JPH0338461Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、斜板式の圧縮機に関し、特に、斜板
の傾斜角を可変として、斜板の傾斜角の変化によ
つて圧縮容量を変化できるようにした容量可変圧
縮機に関する。

［従来の技術］ 斜板の回転によつて揺動板を揺動させピストン
を往復動させるようにした斜板式の圧縮機は公知
である。このような斜板式圧縮機において、圧縮
容量を変化させるために、斜板の駆動軸に対する
角度を可変とし、斜板の傾斜角を制御することに
よつて圧縮容量を制御できるようにした圧縮容量
可変式の圧縮機は例えば特願昭62−297700号に開
示されている。

第４図を参照して構造を概略的に説明する。

ハウジング１０は一端にシリンダブロツク１１
を有する。シリンダブロツク１１には複数の（図
には１つのみ示した）シリンダ１２が形成されて
いる。ハウジング１０の他端は、フロントエンド
プレート１３で閉塞され、フロントエンドプレー
ト１３とシリンダブロツク１１との間にクランク
室１４が形成されている。

シリンダブロツク１１の端面上には、吸入孔１
５と吐出孔１６を備えたバルブプレート１７を介
して、シリンダヘツド１８が設置されている。シ
リンダヘツド１８には吸入孔１５を介してシリン
ダ１２と選択的に接続される吸入室１９と、吐出
孔１６を介してシリンダ１２に選択的に接続され
る吐出室２０とを有している。なお、２１，２２
はそれぞれ吸入弁、吐出弁を示す。シリンダヘツ
ド１８には、吸入室１９と吐出室２０へ接続され
た流体吸入口（図示せず）と排出口２４とがそれ
ぞれ設けられ、外部流体回路（図示せず）に接続
される。

駆動軸２５は、フロントエンドプレート１３の
外部からクランク室１４内に延在し、フロントエ
ンドプレート１３とシリンダブロツク１１に回転
可能に支持されている。

駆動軸２５にはロータ２６が固定され、駆動軸
２５と共に回転可能とされている。ロータ２６に
は、斜板２７がピン２８によつてヒンジ結合され
ている。従つて、斜板２７も駆動軸２５の回転に
よつて共に回転可能であり、かつ、ヒンジ結合の
故に駆動軸２５に対する傾斜角が可変となつてい
る。

斜板２７のシリンダブロツク１１と対向する端
面上には、ボス２７１を利用して揺動板２９が取
り付けられている。斜板２７の端面と揺動板２９
との間にはスラストベアリング３０が、ボス２７
１と揺動板２９との間にはニードルベアリング３
１がそれぞれ配設されている。この揺動板２９の
外周部にはピストンロツド３３が球結合されてい
る。ピストンロツド３３の他端には、シリンダ１
２内に摺動可能に設けたピストン３４が結合され
ている。

ボス２７１の先端にはバランスリング３５が装
着され、バランスリング３５の段差部３５１を利
用してボス２７１に取り付けられたスナツプリン
グ３６で抜けが阻止されている。

３９はクランク室１４内の圧力調整用のコント
ロールバルブである。このコントロールバルブ３
９は、シリンダ１２からの流体漏れによりクラン
ク室１４内の圧力が高まると、クランク室１４内
の漏れ流体を吸入室１９へ逃がすように動作す
る。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、この種の圧縮機では、揺動板２９の
端面の一部とバランスリング３５との間に接触部
３７ができる。これは、バランスリング３５が斜
板２７と共に回転するのに対し、揺動板２９は揺
動運動のみであり、スナツプリング３６で係止さ
れているだけのバランスリング３５の回転運動を
安定にするために必要なことである。

ところが、圧縮機の容量制御運転時に、接触部
３７において摩耗や焼付けを生ずることがある。

このような問題点に鑑み、本考案は揺動板とバ
ランスリングとの間の接触部に良好な潤滑特性を
与えることのできる斜板式容量可変圧縮機を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、バランスリングの形状を、斜板のボ
スに嵌合する穴とこの穴と同心状にその径より大
径であつて断面が山形となるようなテーパを持つ
凹部とを有するようにし、しかもこの凹部の付根
部分には周方向に間隔をおいてバランスリングと
揺動板との間の接触部に至る貫通孔を複数個設け
たことを特徴とする。

［作用］ 圧縮機のクランク室内にはシリンダから潤滑油
を含んだ流体の一部が流入する。この潤滑油を含
んだ流体はシリンダブロツクの中央部に配設され
たコントロールバルブを通して流体の吸入室に戻
される。その際、潤滑油を含んだ流体はバランス
リング近くを通過する。バランスリングは断面が
山形のテーパを持つ凹部を有しているので、この
凹部内ではバランスリングの回転によつて滑滑油
が流体から分離される。分離された潤滑油バラン
スリングの回転による遠心力ではバランスリング
の凹部の付根部分に集められ、バランスリングの
貫通孔を通してバランスリングと揺動板との接触
部に至り、潤滑作用を呈する。

［実施例］ 以下に本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の一実施例を断面図で示し、第
４図と同じ部分には同一番号を付し説明は省略す
る。

本実施例は、斜板２７に取り付けられたバラン
スリング４０に特徴を有する。すなわち、第２図
をも参照して、バランスリング４０は、斜板２７
のボス２７１に嵌合するための穴４０１と、この
穴４０１の周囲に穴４０１よりも大径であつて断
面形状が山形となるような角度αのテーパを持つ
凹部４０２とを有している。バランスリング４０
は更に、凹部４０２の付根部分に、周方向に間隔
をおいて貫通孔４０３を有する。この貫通孔４０
３の穿孔箇所は、バランスリング４０と揺動板２
９との接触部３７に対応する領域であることは言
うまでもない。

第１図を参照して、シリンダ１２からクランク
室１４に流入した潤滑油を含む流体は、シリンダ
ブロツク１１の中心部のコントロールバルブ３９
を通して流体の吸入室２０に戻る。クランク室１
４内にある潤滑油を含む流体は、回転運動してい
るバランスリング４０の凹部４０２内では回転運
動に伴なう遠心力により潤滑油と流体とが分離さ
れる。分離された流体は、凹部４０２のテーパ面
にあたるが、テーパが山形となつていることによ
り凹部４０２の付根側に案内され集められる。

このようにして凹部４０２の付根側に集められ
た滑滑油は、貫通孔４０３を通して揺動板２９と
バランスリング４０との接触部３７に流入する。
かくして、揺動板２９に対するバランスリング４
０の回転運動は、摩耗、焼付けを生ずることなく
円滑に行われる。

第３図はバランスリング４０の他の例を示す。
この例では、凹部４０２の付根部に穿孔する貫通
孔４０３′が凹部４０２のテーパと同じ角度で傾
斜するようにしている。このようにすれば、凹部
４０２の付根部に集められた潤滑油が、遠心力の
作用により第１図に示した揺動板２９とバランス
リング４０との接触部３７に流入し易くなること
は言うまでもない。

［考案の効果］ 以上説明してきたように本考案によれば、バラ
ンスリングの形状を変えるだけの簡単な改良で、
揺動板に対するバランスリングの回転運動を円滑
に行わしめ、摩耗、焼付けを無くすことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による斜板式容量可変圧縮機の
断面図、第２図ａ，ｂは本考案の要部であるバラ
ンスリングの平面図、断面図、第３図は本考案に
よるバランスリングの他の例を示す断面図、第４
図は従来例の断面図。 図中、１０はハウジング、１１はシリンダブロ
ツク、１２はシリンダ、１３はフロントエンドプ
レート、１４はクランク室、２５は駆動軸、２６
はロータ、２７は斜板、２９は揺動板、３０はス
ラストベアリング、３５，４０はバランスリン
グ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数のシリンダを備えたシリンダブロツクを有
   するハウジングと、前記シリンダブロツクに対向
   し駆動軸を支持するフロントエンドプレートと、
   前記シリンダブロツクとフロントエンドプレート
   の間に形成されたクランク室内に配置され前記駆
   動軸に傾斜角可変なように装着された斜板と、該
   斜板の回転によつて揺動し前記シリンダ内でピス
   トンを往復動させる揺動板と、該揺動板の端面と
   接触した状態にて前記斜板のボス部に嵌合係止さ
   れたバランスリングとを含み、前記斜板の傾斜角
   の変化によつて前記ピストンのストロークが変化
   して圧縮容量が変化するようにした斜板式容量可
   変圧縮機において、前記バランスリングは前記斜
   板のボスに嵌合する穴と該穴と同心状にその径よ
   り大径であつて断面が山形となるようなテーパを
   持つ凹部とを有し、しかも該凹部の付根部分には
   前記揺動板との接触部に至る貫通孔を設けたこと
   を特徴とする斜板式容量可変圧縮機。