JPH0338364Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、例えば山留壁構成用のシートパイル
（矢板）に沿つて横向き姿勢に配設した端太（腹
起し）やコンクリート型枠の背面に当て付けた端
太に加わる荷重を突張り力にて受止め支持する場
合に用いられるもので、詳しくは、頂部に端太へ
の接当金具を有する筒体内に螺軸を相対回転自在
に螺合させて伸縮杆を構成するとともに、前記螺
軸の端部に軸芯方向に一体移動自在な状態に連設
されたスライダーと一端にベース盤を有し、かつ
前記スライダーに軸芯方向相対移動自在に外嵌さ
れた管体とを、前記スライダーの周辺部にそのス
ライド方向に沿つて適当間隔置きに形成の鋸歯状
係合部とこれに弾性係合するように前記管体側に
付設しストツパーとを介して複数段に伸縮固定自
在に構成してある建築・構築用伸縮支保杆の構造
に関する。

＜従来の技術＞ 上記構成の伸縮支保杆は、前記スライダーとこ
れに外嵌の管体との伸縮固定による長さの粗調整
並びに前記筒体と螺軸とからなる伸縮杆の伸縮固
定による長さの微調整との組合せによつて相当に
長い範囲に亘つてほぼ無段階の長さ調整が可能で
現場条件に対する適用性が広いとともに、狭い場
所での架設、解体も簡単、容易に行ない得る利点
を有する。このような実用的な伸縮支保杆として
従来から知られているものは、第８図で示すよう
に前記スライダー０５が中実の軸様体から構成さ
れ、この中実軸様スライダー０５の周壁部に切削
加工により前記の鋸歯状係合部０８…が断続形成
された構造であつた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 然し上記構造の従来の伸縮支保杆においては、
前記スライダーが中実軸様体から構成されている
ことに起因して、このスライダーに外嵌する管体
として所要の挫屈、圧縮強度を有する径のものを
用いた場合、伸縮の安定化等のために管体内面に
摺接する外径の中実軸様体を用いねばならず、そ
の結果、スライダーが過剰強度のものになり、材
料ロスを招くとともに、重量的にも重くて取扱い
にくいものとなる欠点があつた。その上、鋸歯状
係合部の形成が中実軸様体に対する切削加工で、
特にスライダーから管体への力の伝達を強力にす
るためにストツパーとの係合深さを十分に大きく
とりたいが、係合深さを大きくすればする程、切
削加工が難しくなり、もつて、製作加工面でのコ
スト増も免れ得ないものであつた。

本考案はかかる実情に鑑み、前記スライダーに
対する簡単な改良によつて全体のコストダウン及
び軽量化が図れる建築・構築用伸縮支保杆の構造
を提供する点に目的を有する。

＜問題点を解決するための手段＞ 上記の目的を達成するために案出された本考案
に係る建築・構築用伸縮支保杆の構造は、前記ス
ライダーをパイプから構成し、このパイプスライ
ダーの周壁一部を軸芯方向の全長に亘り押潰加工
して突条を形成し、この突条の頂部に前記の鋸歯
状係合部を切込み形成してあるという構成に特徴
を有するものである。

＜作用＞ 上記特徴構成を有する本考案に係る建築・構築
用伸縮支保杆の構造によれば、スライダーがパイ
プから構成されているから外嵌管体の所要強度に
見合つた径のパイプを用いて材料ロスを招かない
で済みながら、外嵌管体内周面との摺接案内面積
は十分に広く確保してガタツキ等のない円滑な伸
縮性能を確保できると同時に、全体を軽量に構成
し易い。その上、パイプの押潰加工といつた簡単
な機械加工により突条を形成でき、また局部的に
突出する突条頂部に対する切込みというこれまた
簡単な機械加工をもつて鋸歯状係合部を形成でき
るから、切削加工といつた複雑精巧な加工技術を
要することなしに、十分に深い係合部を安価に形
成することができるのである。

＜実施例＞ 以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述す
る。

第１図において、２は筒体であつて、その下端
近くの内周面には回転操作部１４Ａが外方に突出
位置する雌ねじ部材１４が回転のみ自在に枢支保
持されているとともに、頂部には横軸１０周りで
の揺動により筒軸芯に対して直角に姿勢位置する
状態と筒軸芯に対して傾斜姿勢に位置する状態と
の二姿勢に切換可能な支持部材１１を介して、角
端太へ接当係合部１Ａと丸端太への接当係合部１
Ｂとを90度の位相角をもつて形成してある端太へ
の接当金具１が、方向変換ボルト１２を介して前
記両係合部１Ａ，１Ｂを使用選択可能な状態に取
付けられている。３は第２図乃至第４図で明示の
如く前記の雌ねじ部１４に相対回転自在に螺合さ
れた螺軸であつて、その下端部には下向き開口の
有底短筒体１３が固着連設されている。もつて、
前記雌ねじ部１４の回転操作により前記筒体２と
螺軸３とを軸芯方向に伸縮調整固定自在とする伸
縮杆４を構成してある。５は金属パイプから構成
されたスライダーであり、このパイプスライダー
５の周壁一部を軸芯方向の全長に亘り押潰加工し
て突条５Ａを形成し、かつこの押潰加工によるほ
ぼＵ字形屈曲連設部５Ｃを切断することにより生
じる二つの端縁５ｂ，５ｂをもつて第５図及び第
６図で示すように形成される頂部５Ｂにそれの長
手方向、つまりスライダー５のスライド方向に沿
つて適当間隔置きに鋸歯状係合部８…を切込み形
成するとともに、このパイプスライダー５の上端
部を、前記螺軸３の下端部に軸芯方向に一体移動
自在な状態に固着連設してある。７は前記スライ
ダー５に軸芯方向相対移動自在に外嵌された管体
であつて、下端部にはベース盤６が固着連設さ
れ、かつその周壁部で前記スライダー５の突条５
Ａ突出側に筒部１６を外方に突出状態に固着し、
この筒部１６内に前記鋸歯状係合部８…に対して
係脱自在な二等辺三角形状のストツパー９をスプ
リング１５を介して係合方向に弾性移動付勢した
状態に設けるとともに、このストツパー９をスプ
リング１５に抗して離脱操作可能な摘み片１７を
設け、もつて、前記スライダー５と摘み片１７と
を、前記鋸歯状係合部８…とストツパー９とを介
して、伸張方向においてのみ前記管体７の引出し
操作によつて自動的に伸張できるように複数段に
伸縮固定自在に構成してある。なお、前記スライ
ダー５における突条５Ａのうち、下半部分の頂部
５Ｂを形成する二つの端縁５ｂ，５ｂは第６図に
示すように互いにやや拡開離間している。また、
前記スライダー５の上端部と螺軸３の下端部との
固着連設構造は、第２図及び第５図で明示の如
く、螺軸３の下端部に切込み形成した形の扁平
面３Ａにスライダー５上端の突条５Ａ側の端面を
当て付けた状態でその接当部分を除く外周部分を
溶接することで強固に一体連設して螺軸３からス
ライダー５への軸方の伝達を効率的に行なえるよ
うに構成されている。

上記の如く構成された伸縮支保杆は山留壁構成
用シートパイルに接当させた端太（腹起）や拗壁
形成用コンクリート型枠の背部に当て付けた端太
を突張り状態に支持させるべく用いられるが、何
れの使用に際しても前記スライダー５と管体７と
の伸縮固定により支保間距離の粗調整を行ない、
ねじを介しての伸縮杆４の伸縮固定により所期の
突張り支持力が得られるように微調整を行なうも
のである。

次に別の実施例について列記する。

〔〕 第７図に示す実施例は、前記パイプスラ
イダー５の押潰加工突条５Ａの屈曲連設部５Ｃ
を頂部として、そこに前記の鋸歯状係合部８…
を直接に切込み形成したものである。

〔〕 前記雌ねじ部１４の回転操作部１４Ａを
周方向で複数に分割された叩き操作片１４ａか
ら構成し、これら操作片１４ａ夫々に孔１４ｂ
を形成しておくことにより、ハンマーやシノ等
を利用して回転操作でき、初期の突張り支持力
を強力なものにできる利点がある。

＜考案の効果＞ 以上詳述したことからも明らかなように本考案
による時は、 (1) 支保杆の長さ調整を、粗調整と微調整との二
段階で行なえるから、架設、解体が簡単、容易
であるといつた一般的効果のほかに、 (2) 必要強度のスライダーを、それのスライド伸
縮性能が安定良く維持される状態で材料ロスな
く、可及的に安価に、かつ重量的に軽く構成で
き、もつて前記(1)で云う所の架設、解体作業時
の取扱いを一層容易なものにできる。

(3) しかも、簡単な機械加工のみで形成でき、材
料及び製作加工の両面から従来のものに比して
著しいコストダウンが図り得る。

といつた効果を奏するに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体の外観斜視図、第２図は要部の拡
大一部切欠き側面図、第３図乃至第６図は第２図
−線、−線、−線及び−線での
横断面図、第７図は別の実施例を示す要部の拡大
横断面図、第８図は従来例を示す要部の拡大横断
面図である。 １……接当金具、２……筒体、３……螺軸、４
……伸縮杆、５……スライダー、６……ベース
盤、７……管体、８……鋸歯状係合部、９……ス
トツパー、５Ａ……突条、５Ｂ……頂部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 頂部に端太への接当金具１を有する筒体２内
   に螺軸３を相対回転自在に螺合させて伸縮杆４
   を構成するとともに、前記螺軸３の端部に軸芯
   方向に一体移動自在な状態に連設されたスライ
   ダー５と一端にベース盤６を有し、かつ前記ス
   ライダー５に軸芯方向相対移動自在に外嵌され
   た管体７とを、前記スライダー５の周辺部にそ
   のスライド方向に沿つて適当間隔置きに形成の
   鋸歯状係合部８…とこれに弾性係合するように
   前記管体７側に付設したストツパー９とを介し
   て複数段に伸縮固定自在に構成してある建築・
   構築用伸縮支保杆の構造であつて、前記スライ
   ダー５を、パイプから構成し、このパイプスラ
   イダー５の周壁一部を軸芯方向の全長に亘り押
   潰加工して突条５Ａを形成し、この突条５Ａの
   頂部５Ｂに前記の鋸歯状係合部８…を切込み形
   成してあることを特徴とする建築・構築用伸縮
   支保杆の構造。 前記突条５Ａの頂部５Ｂが押潰加工による屈
   曲連設部５Ｃの切放しにより生じる二つの端縁
   ５ｂ，５ｂから形成されたものである実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載の建築・構築用伸
   縮支保杆の構造。