JPH0338311Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はシールド掘進機、特に掘削した土砂を
カツターヘツドの圧力室内で塑性流動化させると
共に充満させ、切羽土圧を支持して切羽崩壊を防
止し、且つ塑性流動化土砂で地下水を保持する泥
漿シールド掘進機に関する。

従来の技術 従来、このような泥漿シールド掘進機のカツタ
ヘツド後部に形成された圧力室内には、土砂と泥
漿とを混練する混練羽根が設けられており、また
この混練羽根はカツタヘツドに固定されて、カツ
タヘツドと一緒に回転されるものであつた（特公
昭56−54435公報）。

考案が解決しようとする課題 上記従来の構成によれば、混練羽根がカツタヘ
ツドに固定されているため、掘削作業の中断後、
作業開始時には下記のような問題がある。即ち、
作業開始時においては、土砂と泥漿とが混練され
ていないため、塑性化が不良で切羽土圧及び地下
水圧に対抗し得ない状態になつたり、カツタヘツ
ドの回転力が過大になり、回転不能に陥つている
ことが多い。従つて、土砂と泥漿とを混練させよ
うとカツタヘツドを回転させると、切羽がゆるん
だり崩壊してますます上記が助長される。

そこで本考案は上記問題を解消し得るシールド
掘進機を提供することを目的とする。

問題を解決するための手段 上記問題を解決するため、本考案のシールド掘
進機はカツタヘツドを、シールド本体前部の圧力
室隔壁に、エンドプレートを有する環状体を介し
て回転自在に支持し、上記環状体のエンドプレー
トに回転軸体を回転自在に支持し、上記回転軸体
の圧力室内の前端側に混練羽根を設けると共に、
圧力室隔壁後方の大気圧室内の後端側に回転駆動
装置を連動連結し、上記環状体の大気圧室内の後
端部又はこれに対応する回転軸体の大気圧室内の
所定箇所のどちらか一方に、円周方向に沿う被係
合凹部を設けると共に、他方に、該被係合凹部内
に突出して被係合凹部内を所定範囲に亘つて移動
可能にされた係合部材を設けたものである。

作 用 上記構成において、例えばカツタヘツドが連結
されている環状体側に被係合凹部を、混練羽根が
取付けられている回転軸体側に係合部材を設けた
場合、回転駆動装置により回転軸体を回転させる
と、被係合凹部内を係合部材が移動している間だ
け、回転軸体即ち混練羽根が揺動して、カツタヘ
ツドは回転しない。従つて、切羽がカツタヘツド
により支持されている状態で、圧力室内の土砂と
泥漿とが効果的に混練される。そして、係合部材
が所定角度揺動して、被係合凹部の端壁に当接す
ると、この時点からカツタヘツドが回転して掘削
が開始させる。なお、上記とは逆に、回転軸体側
に溝部を、環状体側に突起を設けても同一作用が
得られる。

実施例 以下、本考案の一実施例を第１図及び第２図に
基づき説明する。１は泥漿シールド掘進機のシー
ルド本体で、その前部には圧力室２が形成されて
いる。３はシールド本体１前部に配置されたカツ
タヘツドで、後方に突設されたエンドプレート４
付き環状体５及び旋回軸受６を介して圧力室隔壁
７に支持されている。また、上記環状体５の圧力
室２内の前部には、後述する混練羽根移動用の貫
通穴８が周囲適所に設けられている。また、上記
環状体５の後端部には、円周方向に沿つて所定角
度α幅の溝部（被係合凹部の一例）９が複数個例
えば３個等ピツチで形成されている。１０はカツ
タヘツド３の回転軸心上でその中間部が上記環状
体５のエンドプレート４にシール付き軸受１１を
介して回転自在に支持された回転軸体で、その前
端部はカツタヘツド３の中心部にシール付軸受１
２を介して支持されると共に、圧力室２内の中間
部にはアーム１３を介して複数個の棒状混練羽根
１４が取付けられている。なお、アーム１３は回
転軸体１０の周囲に複数本（例えば３本）放射状
に設けられると共に、それぞれ環状体５の貫通穴
８を挿通して圧力室２周辺まで延設されている。
また、大気圧室１５側の後端部には、リングギア
１６が設けられると共にこのリングギア１６には
回転駆動装置（電動機、油圧モータ等）１７側の
ピニオン１８が噛合されている。そして、更に環
状体５の溝部９に対応する上記リングギア１６の
側面には、各溝部９内に突出してこの溝部９内を
それぞれ移動可能にされた３個の突起（係合部材
の一例）１９が固定されている。即ち、この突起
１９は溝部９の角度幅αより突起１９の幅を差し
引いた角度βだけ揺動できる。なお、２０は圧力
室隔壁７下部に接続されたリボンスクリユウ式排
土装置で、圧力室２内の土砂を大気圧室１５側に
順次移動排出するためのものである。２１は圧力
室２内に泥漿（塑性流動化剤）を注入する注入管
で、圧力室隔壁７の任意の位置に接続されてい
る。２２は回転軸体１０の後端部にロータリジヨ
イント２３を介して接続された泥漿等の供給管
で、回転軸体１０内に穿設された導入穴２４を介
してカツタヘツド３前面に泥漿等を注入するため
のものである。また、２５は環状体５と圧力室後
部隔壁７との間に設けられたシール材である。

従つて、上記構成において、掘削作業中断後、
再び掘削開始する際に、回転駆動装置１７により
回転軸体１０を矢印Ａ方向に回転させる。する
と、突起１９が溝部９内を移動している間は、回
転軸体１０即ち混練羽根１４だけが揺動して、カ
ツタヘツド３は回転しない。したがつて、切羽が
カツタヘツド３により支持されている状態で、圧
力室２内の土砂と泥漿とが効果的に混練される。
そして、突起１９が所定角度β揺動して、溝部９
の端壁に当接すると、この時点からカツタヘツド
３が回転して掘削が開始される。なお、上記一回
だけの混練だけでは、十分な混練状態が得られな
い場合には、回転軸体１０を所定角度β範囲内で
往復揺動させるか、カツタヘツド３の位置を変え
て更に同様に往復揺動させて十分に混練した後、
掘削を開始すればよい。

ところで、上記実施例においては、環状体側に
溝部を回転軸体側に突起を設けたが、逆にしても
同一作用が得られる。

第３図は混練羽根の形態の異なる実施例を示
す。このシールド掘進機は、混練羽根以外は上記
実施例と同一構成であるため、同一部材には同一
符号を付し説明を省略する。

すなわち、回転軸体１０の圧力室２内には、螺
旋状のスクリユウ羽根３１が混練羽根として取り
付けられている。したがつてカツタヘツド３や貫
通穴８を介して取り込まれた掘削土砂はこのスク
リユウ羽根３１により攪拌混練される。

更に、上記各実施例においては、回転軸体の前
端部をカツタヘツドに支持したが、前端部をフリ
ーにして片持ち式に構成してもよい。

考案の効果 上記本考案の構成によると、カツタヘツドに設
けられた環状体と、混練羽根が設けられると共に
回転駆動装置に連動連結された回転軸体とを、被
係合凹部及びこの被係合凹部内を移動可能にされ
た係合部材を介して連動させたので、被係合凹部
内における係合部材の移動範囲内において、カツ
タヘツドを回転させることなく混練羽根を揺動さ
せることができ、従つて掘削中断後再び掘削を開
始する際に生じる切羽崩壊を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は全体縦断面図、第２図は第１図の−矢視
図、第３図は他の実施例の全体縦断面図である。 １……シールド本体、２……圧力室、３……カ
ツタヘツド、４……エンドプレート、５……環状
体、６……旋回軸受、７……圧力室隔壁、９……
溝部（被係合凹部）、１０……回転軸体、１４…
…混練羽根、１５……大気圧室、１７……回転駆
動装置、１９……突起（係合突起）、３１……混
練羽根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カツタヘツドを、シールド本体前部の圧力室隔
   壁に、エンドプレートを有する環状体を介して回
   転自在に支持し、上記環状体のエンドプレートに
   回転軸体を回転自在に支持し、上記回転軸体の圧
   力室内の前端側に混練羽根を設けると共に、圧力
   室隔壁後方の大気圧室内の後端側に回転駆動装置
   を連動連結し、上記環状体の大気圧室内の後端部
   又はこれに対応する回転軸体の大気圧室内の所定
   箇所のどちらか一方に、円周方向に沿う被係合凹
   部を設けると共に、他方に、該被係合凹部内に突
   出して被係合凹部内を所定範囲に亘つて移動可能
   にされた係合部材を設けたことを特徴とするシー
   ルド掘進機。