JPH0338031Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈考案の分野〉 この考案は、自動車用リアパーセルの補強構造
に関し、特に自動車用リアパーセルのプレス成形
後における樹脂収縮に伴なう変形や、レインフオ
ースの端部の突出を防止するものに関する。

〈従来の技術とその問題点〉 自動車のリアパーセルは、ハツチバツクタイプ
の乗用車の後部荷物室に設置されて、荷物室を上
下に仕切る部材であり、荷重方向に対し、充分な
抗力を持たせることが必要である。

そのため、リアパーセルは、樹脂シート間に、
１乃至複数のレインフオースを介装した状態で、
一体にプレス成形を行なうことにより、補強芯材
であるレインフオースを、上記樹脂シート間に、
埋設させるようにしている。

上記のような方法によれば、レインフオースは
完全に樹脂により被覆されるため、リアパーセル
を開けた場合に、裏面にレインフオースが露出し
ていることによる見栄えの低下を解消することが
できる。

しかしながら、このような構成では、前記プレ
ス成形後における樹脂収縮によつて、リアパーセ
ル本体部分が歪んだり、あるいはレインフオース
の両端部が樹脂材を突き破つてしまい、歩留まり
低下の要因となつていた。

上記のような問題を解決する手段として、第４
図イに示すように、レインフオース１の両端部
に、射出成形により形成された合成樹脂製のエン
ドキヤツプ２を摺動可能に嵌合させ、樹脂収縮を
上記エンドキヤツプ２のスライドにより吸収させ
るようにすることが行なわれてきた。

ところが、このような方法によつても、プレス
の嵌合しろ３に樹脂が入り込み、その後硬化する
ため、エンドキヤツプ２のスライドが充分に行な
われない。

このため、リアパーセル本体部分が歪んだり、
第４図ロに示すように、エンドキヤツプ２の端部
２ａが樹脂を突き破つてしまうことがある。

また、樹脂５には、嵌合しろ３付近に凹部４が
生ずるため、見栄えが悪くなる等の欠点指摘され
ていた。

〈考案の目的〉 この考案は、上記のような自動車用リアパーセ
ルの、プレス成形後における歪み、あるいはレイ
ンフオース端部の突出を防止し、歩留まり向上を
図るとともに見栄えを向上させることを目的とす
る。

〈考案の構成と効果〉 前記目的を達成するために、この考案は、樹脂
シート間にレインフオースを埋設するとともに、
上記レインフオースの両端にエンドキヤツプを嵌
め入れ、樹脂シートの収縮に伴ない、エンドキヤ
ツプがレインフオース内に摺動するようにした自
動車用リアパーセルにおいて、 上記レインフオースの上面を延長して一体に形
成した延長片と、上記エンドキヤツプの上面の外
側先端部に固着され、上記延長片の厚みとほぼ同
一の厚みの緩衝部材とを備え、上記延長片の先端
部と緩衝部材とを当接させることにより、樹脂シ
ートの収縮に伴ない、エンドキヤツプがレインフ
オース内に摺動することを特徴とする。

以上のような構成によれば、樹脂が嵌合部に入
り込むことを防止することができるとともに、上
記緩衝部材は、容易に収縮し、かつレインフオー
スに設けた延長片のエンドキヤツプに対する支持
機能およびガイド機能により、エンドキヤツプは
グラつくことなく、レインフオース内をスムース
にスライドすることが可能となり、そのため樹脂
収縮を確実に吸収することができる。

また、上記緩衝部材によりレインフオース端部
に凹部が生ずることを防ぐことができるととも
に、延長片と緩衝部材との厚みがほぼ等しく設定
されているため、成形体の平面度を保つことがで
きると同時にレインフオースの端部が樹脂を突き
破ることを防止することができる。

従つて、製品外観を損なうことがなく、しかも
製品歩留まりを向上させることができる。

〈実施例の説明〉 第１図は、この考案に係るリアパーセルに用い
られるレインフオースを示す。

同図において、６はレインフオースで、このレ
インフオース６は、断面角型を有する鉄製パイプ
により構成されている。

７は上記レインフオース６の上面を延長して一
体に形成した延長片、８は射出成形により形成さ
れた合成樹脂製のエンドキヤツプである。このエ
ンドキヤツプ８は、上記レインフオース６との嵌
合部が、上記レインフオース６の開口部よりも若
干小さく形成され、これにより、上記レインフオ
ース６内を摺動できるように構成されている。

また、上記エンドキヤツプ８の上面の外側先端
部には、ウレタン発泡体からなる緩衝部材９の、
外側端縁のみが接着剤等により固着されており、
従つて、緩衝部材９は収縮自在になつている。

従つて、レインフオース６にエンドキヤツプ８
を嵌合した状態では、延長片７と緩衝部材９とが
当接しており、緩衝部材９の収縮により、エンド
キヤツプ８はレインフオース６内にスライド可能
であり、このとき、延長片７はエンドキヤツプ８
に対する支持機能、ガイド機能を備えているた
め、エンドキヤツプ８はグラつくことなく、レイ
ンフオース６内にスムースにスライドできる構成
である。

なお、上記延長片７および緩衝部材９の長さ
は、樹脂収縮の度合に対応して設計されてている
ことは勿論であり、また、上記延長片７の厚さと
緩衝部材９との厚さは第２図イに示すように、ほ
ぼ同一に設定されており、このため、成形後製品
の平面度が維持されるとともに、緩衝部材９はエ
ンドキヤツプ８の上面の外側先端部のみに薄肉状
のものを設定するだけで足り、材料費も少なくて
すむ。

次に、この考案に係るリアパーセルの製造工程
について説明する。

まず、第２図イに示すように、上記レインフオ
ース６の両端に上記エンドキヤツプ８を嵌合させ
る。

次いで、第２図ロに示すように、加熱され、半
溶融状態の複合樹脂（木粉入りのポリプロピレン
樹脂）等からなる樹脂シート５ａの間に、エンド
キヤツプ８を嵌合した状態の上記レインフオース
６を配置し、この状態で下型１０に上記樹脂シー
ト５ａおよび上記レインフオース６を載置する。

次に、上型１１を上記下型１０に係合させて、
充分な圧力を加えると、加熱軟化された上記樹脂
シート５ａは、上記レインフオース６を包囲した
状態で相互融着し、一体化される。

その後、冷却されて、上記上型１１を上昇さ
せ、リアパーセルを上記下型１０から脱型すれ
ば、レインフオースが埋設された状態の本考案に
係るリアパーセルが得られる。

本考案に係るリアパーセルは、上記の如くして
得られるのであるが、成形過程あるいは成形後に
おいて、金型内で冷却された樹脂が収縮すること
は樹脂成形上避けられない。

しかしながら、本考案にあつては、上記の如く
緩衝部材９が介在され、かつエンドキヤツプ８は
レインフオース６内を延長片７にガイド支持され
てスライド可能であり、上記樹脂収縮に対応し
て、緩衝部材９が収縮し、エンドキヤツプ８が延
長片７によりスムースにスライドするため、上記
の如き樹脂収縮を確実に吸収することができる。

また、緩衝部材９があるため、レインフオース
端部に凹部が生ずることもない。

従つて、成形体の平面度を保つと同時にレイン
フオースの端部が樹脂を突き破ることを防止する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案に係るリアパーセル
の一実施例を示すもので、第１図は本考案に用い
られるレインフオースの端部の分解斜視図、第２
図は本考案に係るリアパーセルの製造工程を示
し、イは本考案に用いられるレインフオースの組
立概要図、ロは本考案に係るリアパーセルをプレ
ス成形する場合の説明図、第３図は本考案に係る
リアパーセルのレインフオース端部の断面図、第
４図は従来のリアパーセルを示すもので、イは従
来のレインフオース端部の断面図、ロは従来のリ
アパーセルのレインフオース端部の断面図であ
る。 ６……レインフオース、７……延長片、８……
エンドキヤツプ、９……緩衝部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 樹脂シート間にレインフオースを埋設するとと
   もに、上記レインフオースの両端にエンドキヤツ
   プを嵌め入れ、樹脂シートの収縮に伴ない、エン
   ドキヤツプがレインフオース内に摺動するように
   した自動車用リアパーセルにおいて、 上記レインフオースの上面を延長して一体に形
   成した延長片と、上記エンドキヤツプの上面の外
   側先端部に固着され、上記延長片の厚みとほぼ同
   一の厚みの緩衝部材とを備え、上記延長片の先端
   部と緩衝部材とを当接させることにより、樹脂シ
   ートの収縮に伴ない、エンドキヤツプがレインフ
   オース内に摺動することを特徴とする自動車用リ
   アパーセル。