JPH0337834Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

《考案の目的》 ＜産業上の利用分野＞ 本考案はプレス装置に関するものであつて、特
に作業中の安全性を向上させた油圧シリンダまた
はエアシリンダを駆動源とする新規なクランクプ
レス装置に係るものである。 ＜従来技術と問題点＞ 従来、プレス装置の基本タイプの一つとしてフ
ライホイールを蓄力源としたクランクプレスが知
られている。このものは昇降する上型ないしはこ
れを取り付けるラムの昇降ストロークが変換作業
等の必要性から40mm〜100mm程度に設定されてお
り、このため作業者の手が入り易く甚だ危険の多
いものであつた。もとより安全性の見地からこの
種のプレス装置にあつては、作業者の手の挿入等
を見地してプレス装置の運転を停止する機構や、
警報を行う機構などが付設されているが、未だプ
レス作業における事故は皆無とはなつていない。 ＜解決を試みた技術課題＞ このような現状に鑑み本考案がなされたもので
あつて、本考案にあつては作業事故のもととなる
上型と下型の運転時における空〓（ストローク）
を、手が入り込む余地がない程度に充分に小さく
しておき、これにより作業中の事故の発生を皆無
とするようにしたものである。 《考案の構成》 ＜目的達成の手段＞ 即ち本考案たるプレス装置は、クランク軸の回
転運動をラムの直線運動に変換し、ラムとこれと
対向するボルスターとに設けた金型によつてワー
クの剪断または塑性変形を行わせる装置におい
て、前記クランク軸にはレリーズアームの一端を
継断自在に取り付け、更にレリーズアームの他端
にはクランク軸を一定角度の範囲で回転させるシ
フトシリンダを接続させ、一方前記クランク軸に
は手動回転レバーを接続できるように構成したこ
とを特徴として成るものであり、もつて前記目的
を達成しようとするものである。 ＜実施例＞ 以下本考案を図示の実施例に基づいて具体的に
説明する。符号１は機枠であつて、いわゆるＣ型
機枠である。この機枠１は据付台である脚部２に
対し定法に従い設定角度を幾分か調節自在に固定
するとともに、機枠１の中央空間部いわゆるラム
下の部分にはボルスター３を設ける。一方このボ
ルスター３に対向するその上方には機枠１に対し
摺動自在にラム４を設ける。このラム４の駆動系
統について述べると、まず機枠１の上方における
軸受５に対しクランク軸６が回転自在に横架する
ように取り付けられ、クランク軸６におけるコン
ロツド７がラム４の上端部に回動自在に取り付け
られる。このようなラム４の駆動機構におけるク
ランク軸６を回動させる駆動源としては機枠１の
側面に取り付けられたシフトシリンダ８を用いる
ものであつて、このシフトシリンダ８の作動媒体
としては適宜エアまたは油を用いる。このシフト
シリンダ８はシリンダボデー８ａを機枠１から突
出させたサブフレーム９に取り付けるとともに、
他端たる摺動子８ｂはクランク軸６の端部に取り
付けられたレリーズアーム１０の自由端側に接続
される。このレリーズアーム１０とクランク軸６
との接続構造は第３図に拡大して示すようにレリ
ーズアーム１０におけるボス１１がクランク軸６
の端部に外嵌めされるように取り付けられ、且つ
ボス１１とクランク軸６とにはそれぞれキー溝１
２ａ，１２ｂが設けられて、そこにキー１３が嵌
め込まれる。このような構成によりキー１３が嵌
め込まれてレリーズアーム１０におけるボス１１
とクランク軸６とが固定された際には、レリーズ
アーム１０の回動運動はクランク軸６に伝達され
てこれを一定角度の範囲で回転させる。尚、前記
機構は、クランク軸６の動きを増力させることな
く、ラム４の動きに伝達しているが、更に増力効
果のあるトグル機構を介在させてもよい。即ちこ
のものは第５図に示すようにクランク軸６に対し
て中継リンク６ａを回動自在に接続し、この中継
リンク６ａに対し更に押圧リンク６ｂ及びコンロ
ツド７を中折れ状態に回動自在に接続して成る。
一方、キー１３が抜き取られた場合にはレリーズ
アーム１０におけるボス１１とクランク軸６との
固定関係が解除されるから、レリーズアーム１０
とクランク軸６とは相互に自由に回転し得るよう
になる。つまりレリーズアーム１０とクランク軸
６とは継断自在に構成されているのである。一
方、クランク軸６の他端側にはこれを貫くように
した操作孔１４が穿設され、ここに操作ロツドが
差し込み得るように構成されている。 本考案たるプレス装置は以上述べたような具体
的な機構を有するものであり、次にように作動す
る。まず準備段階においてはキー１３をレリーズ
アーム１０におけるボス１１とクランク軸６とに
おけるキー溝１２ａ，１２ｂに嵌め込むようにし
てレリーズアーム１０の動きをクランク軸６に伝
達し得るようにする。勿論これとともにラム４及
びボルスター３とにはワークを加工する上型と下
型とを取り付ける。このような準備段階の後、ワ
ークをあてがい、適宜のスイツチング操作等によ
つてバルブ切り替えをなし、シフトシリンダ８を
伸張させると、このシフトシリンダ８における摺
動子８ｂの伸長によつてレリーズアーム１０が回
動し、これがクランク軸６を回動させその動きを
コンロツド７を介してラム４に伝達し、所定のプ
レス作業を行う。このとき例えば第４図に骨格的
に示すようにレリーズアーム１０の腕の長さを
340mm、シフトシリンダ８のストロークを200mm、
クランク軸６におけるクランク長を25mm、パンチ
点をクランク下死点より25°の位置に設定した際
にはクランクにおける倍力作用は約30倍以上（1
１／３４０）となり、シフトシリンダ８の作用力を大
きく倍力した値が得られる。例えばシフトシリン
ダ８の内圧が７Kg／cm²としたときに、シリンダ径
が50mm〜125mmまでのものを適用した場合を試算
すると、下表のとおりである。

【表】 例えばシリンダ径が50mmの場合には、シリンダ
の作用圧力は123Kgとなり、これが約30倍に倍力
されると、3.69tのプレス圧力をＬことができる。
またシリンダ径を125mmのものとすると、シリン
ダそれ自体の発生する押圧力は772Kgとなり、そ
の30倍で約23.16tのプレス圧力が得られる。この
ように本考案にあつては、クランク運動を直線運
動に変換する際に最もそのトルクが有効に作用す
る下死点付近での増力効果を狙つているから、シ
リンダの力が充分に増力されて利用できる。また
このような条件においてシフトシリンダ８のシリ
ンダ圧により得られる昇降ストロークとしては、
約７mm程度のストロークが設定されるものであ
り、このように設定することにより作業中、作業
者の手が上型と下型の空〓に入り込む危険性を回
避できる。また第５図に示すようなトグル機構を
介在させた構成をとる場合には、シフトシリンダ
８を伸長させると前記実施例と同様にレリーズア
ーム１０が回動し、一定角度の範囲内でクランク
軸６を回転させる。そしてこのクランク軸６の回
転は中継リンク６ａのほぼ水平方向の変位となつ
て現れ、この中継リンク６ａの他端に接続される
押圧リンク６ｂ及びコンロツド７の接続端部を装
置手前側に押し付ける。そしてこの力は分力とな
つて、押圧リンク６ｂ及びコンロツド７をそれぞ
れ上方及び下方に押し広げるように働くのであ
る。そしてこの場合、押圧リンク６ｂは、上端側
においてその移動が制限されているから、押圧リ
ンク６ｂの分力は、コンロツド７を下方に移動さ
せる方向に作用し、増力効果を発揮する。 次にこのような装置において金型の交換のため
にラム４を更に上昇させる際の操作方法について
説明する。この場合にはまずキー１３をキー溝１
２ａ，１２ｂから抜き出し、レリーズアーム１０
とクランク軸６との相互の固定関係を切り離すの
である。しかるときはクランク軸６はレリーズア
ーム１０とは関係なく回転することができるよう
になるものであつて、このような状態でクランク
軸６の他端側にある操作孔１４に操作ロツド１５
を差し込み、手動操作によつてこれを180°回転さ
せてラム４をクランク上死点に持ち上げるように
する。このようにすれば第４図に示したように、
例えばクランク長が25mmで上昇させることができ
る。この状態でクランク軸６を止めておくには前
記操作ロツド１５をそのまま利用してこの端部を
機枠１の側部のいずれかの突起部等に軽視させて
おいてもよいし、あるいは従来のクランクプレス
に見られるようなブレーキ装置を具えたものにあ
つては、そのブレーキバンドを締め込むようにし
てクランク軸６の動きを止める。このようにして
所定の金型交換が完了した場合には再び操作ロツ
ド１５を操作してクランク下死点近くまで移動さ
せてレリーズアーム１０におけるボス１１のキー
溝１２ｂとクランク軸６におけるキー溝１２ａと
を合致させてここにキーを差し込み、シフトシリ
ンダ８による操作を受け得るような状態とするの
である。 《考案の効果》 本考案は以上述べたようにクランクプレス作業
時においては、ラム４の移動ストロークを可及的
に少なくし（前記実施例では７mm）、作業者の手
が入り込む余地のないようなラム下寸法を設定す
ることによつて作業中の事故を皆無とすることが
できる。また金型を交換する際にはレリーズアー
ム１０とクランク軸６との相互の固定関係は切り
離され、操作ロツド１５によつて自由にクランク
軸６を回動できるから、金型交換に必要な充分な
スペース（前記実施例では50mm）が確保できる。
更にプレス作業にあたつての作用力も充分に増力
され、極めて強大なプレス圧力（前記実施例では
30倍以上の倍力作用）が得られる。更にまた本考
案にあつては機構的に極めて簡単なものであり、
特に従来のフライホイールを蓄力源としてクラン
クプレスにおけるフライホイールを除去し、ここ
にシフトシリンダ８の作動を受けるレリーズアー
ム１０を接続させることによつてクランク軸６の
回転運動を一定角度の範囲内での回動運動に変換
するものであり、既存の装置についてもその後か
らの改造も極めて容易である。特に従来は事故防
止対策には多大な設備投資を強いられてきたが、
これを極めて少ないコストのもとにより達成でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案たるプレス装置を示す側面図、
第２図は同上正面図、第３図は本装置におけるク
ランク部分を分解して示す斜視図、第４図は本装
置の作動状態を骨格的に示す説明図、第５図は本
装置の機構を異ならせた他の実施例を示す側面図
である。 １……機枠、２……脚部、３……ボルスター、
４……ラム、５……軸受、６……クランク軸、６
ａ……中継リンク、６ｂ……押圧リンク、７……
コンロツド、８……シフトシリンダ、８ａ……シ
リンダボデー、８ｂ……摺動子、１０……レリー
ズアーム、１１……ボス、１２ａ，１２ｂ……キ
ー溝、１３……キー、１４……操作孔、１５……
操作ロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸の回転運動をラムの直線運動に変換
   し、ラムとこれと対向するボルスターとに設けた
   金型によつてワークの剪断または塑性変形を行わ
   せる装置において、前記クランク軸にはレリーズ
   アームの一端を継断自在に取り付け、更にレリー
   ズアームの他端にはクランク軸を一定角度の範囲
   で回転させるシフトシリンダを接続させ、一方前
   記クランク軸には手動回転レバーを接続できるよ
   うに構成したことを特徴とするプレス装置。