JPH0337571Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、蓋を回動させることにより本体ケー
スの集塵室を開閉して、この集塵室に対する袋構
造のフイルタを出し入れできるようにした電気掃
除機に関する。

〔従来の技術〕

第９図は従来の電気掃除機の一例を示してお
り、図中１は上面開口の下ケース１ａの後部上面
に上ケース１ｂを覆設してなる本体ケースで、前
部に集塵室２を有している。この本体ケース１に
はその上ケース１ｂの前部に設けた枢軸３を中心
にして蓋４が回動自在に取付けられており、この
蓋４は上記集塵室２の上面開口を開閉するように
なつている。そして集塵室２内には、吸込み口５
に連なつて紙袋製の前フイルタ６が出し入れ自在
に収納されているとともに、このフイルタ６の後
側において略板状をなす後フイルタ７が着脱可能
に取付けられている。なお、４ａは蓋４と一体の
環状をなすシール突壁で、その先端にはゴムパツ
キン８が取付けられている。また、図中９はフア
ンモータを示している。この電気掃除機におい
て、フアンモータ９の動作により吸込み口５から
吸込まれた空気中のごみの内大きなものは、前フ
イルタ６で捕そくされ、このフイルタ６を通過し
た細かなごみは後フイルタ７で捕そくされる。そ
して、適当な時期に使用者は、蓋４をその後端部
側の枢軸３を中心に回動させて集塵室２の開口を
開いてから、前フイルタ６の交換等を行うように
なつている。

また、集塵室内に袋構造の前フイルタとこの後
側に配置される後フイルタを設けたものであつ
て、これら両フイルタ間に隙間を確保するように
した電気掃除機は実開昭59−93365号公報で知ら
れている。この公報に記載の電気掃除機において
は、集塵室内に予備の前フイルタを複数枚保持す
るストツカがヒンジを介して回動自在に取付けら
れ、このストツカにその上方に延出させて後フイ
ルタの前側に位置されるハンドルを形成してい
る。そして、このハンドルに前フイルタの後部を
支持することにより、前後両フイルタ間に隙間を
確保している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、第９図に示した従来において後フイル
タ７の前面には僅かな高さのリブが設けられてい
るにも拘らず、集塵に伴つて他の部位よりも早く
目詰まりを生じる前フイルタ６の後面が後フイル
タ７の前面に全体にわたつて密着して塞ぎ易く、
これにより風量が早期に低下するという問題があ
つた。また、上記従来の構成においては、蓋４の
回動に際してそのシール突壁４ａの後側部位先端
が前フイルタ６に当らないようにするために、本
体ケース１の高さＨを大きく形成している。この
ため、従来の電気掃除機は大形で、かつコスト高
であるという問題があつた。なお、本体ケース１
の高さを小さくするために、あるいは前フイルタ
６の容積を大きくするために、上記シール突壁４
ａの下端位置を使用時における前フイルタ６の上
面位置よりも低くした場合（なお、従来において
このような構成の電気掃除機は提供されていな
い。）には、ごみを捨てる際の開蓋時に、蓋４の
シール突壁４ａの後側部位先端が前フイルタ６の
上部後面に引掛かつてしまい、開蓋動作の邪魔に
なるとともに、場合によつては前フイルタ６が破
損してしまうおそれがある。

また、実開昭59−93365号公報の技術では、後
フイルタが前フイルタの後面によつて塞がれるこ
とは防止できるが、ストツカを持たない電気掃除
機においては実現できないという問題があつた。
また、上記いずれの従来例においても、後フイル
タは必要により集塵室に対して着脱されるが、そ
の着脱を容易にするための工夫がないので、取扱
い上不便であると言う問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案は、環状のシール突壁を内面に有すると
ともに、後端部側を回動中心として回動される回
動部材によつて本体ケースの集塵室の上面開口を
開閉する蓋を備え、かつ上記集塵室には、袋構造
をなす前記フイルタを収納するとともに、この前
フイルタよりも後側に後フイルタを着脱可能に取
付けた電気掃除機において、上記後フイルタのフ
イルタ枠上部にこのフイルタの着脱用の取手を兼
ねるとともに上記前フイルタの上部後面を支える
支持部を、上記後フイルタの前面よりも前側に突
出させて設けるという構成によつて、上記従来の
問題点を解決したものである。

〔作用〕

上記構成を備えた電気掃除機においては、使用
時に集塵室内で膨らむ前フイルタの後面は、その
下部側を後フイルタの下部側に面接触するような
状態で支持されるとともに、上部側を後フイルタ
のフイルタ枠上部に設けた支持部に支持される。
これにより、前フイルタの後面上部側は、後フイ
ルタの上部側との間に隙間を形成して離されると
ともに、使用時における前フイルタの上面位置よ
りも低い位置に先端が設けられたシール突壁の後
側部位との間に大きな空隙を形成して、この部位
に対向される。したがつて、使用時においては、
上記間隙の確保により後フイルタの前面が塞がれ
ることを防止するとともに、上記空隙により前フ
イルタの後面で塞がれることがない後フイルタの
周囲に連通する風路を確保して風量の低下を防止
でき、以上により吸塵性能を向上できるものであ
る。そして、蓋のシール突壁の下端位置を使用時
における前フイルタの上面位置よりも低くしてあ
るにも拘らず、開蓋時にそのシール突壁の後側部
位は、上記空隙内を移動して前フイルタの後面上
部に当たることが防止され、これにより前フイル
タに妨げられることなく蓋を開くことができる。
勿論、蓋のシール突壁の下端位置を使用時におけ
る前フイルタの上面位置よりも低くしてあるか
ら、前フイルタの容積を従来より大きくすること
も、また、このことに代えて本体ケースの高さを
小さくすることも設計上任意に選択できるもので
ある。

また、上記支持部は後フイルタに突設したか
ら、袋構造をなす前フイルタの後に配置される後
フイルタを備えた電気掃除機であれば、集塵室に
前フイルタのストツカご備えるか否かを問わず実
施できる。その上、上記支持部は取手を兼ねてい
るため、後フイルタに目詰まり等を生じた場合
に、後フイルタを上記支持部によつて容易に着脱
できるものである。

〔実施例〕

一実施例を示す第１図から第８図中１１は本体
ケースであつて、これは上面開口の下ケース１２
の後部上面に上ケース１３を覆設してなり、前部
に集塵室１４を有している。下ケース１２は、そ
の前端部に吸込み口１５を有した吸込み口体１６
を備えているとともに、この口体１６の上面およ
び後面を覆う覆い板１７を備えている。さらに、
下ケース１２の前部下面にはキヤスタ１８が取付
けられているとともに、後部には左右一対の車輪
１９が取付けられている。しかも本体ケース１１
の後部には、フアンモータ２０およびコードリー
ル２１等が内蔵されている。

なお、図中２２は消音筒、２３はダストインジ
ケータ、２４は起倒自在なハンドル、２５はハン
ドル収納用凹部、２６は電源プラグ、２７はコー
ドリール２１のロツクを解除するつまみ、２８お
よび２９は本体ケース１１を起立載置させるため
の突脚、３０は排気口を示している。また、３１
は集塵室１４を区画する下ケース１２の仕切り板
１２ａに形成した吸気口、３２は吸込み口１５を
囲んで吸込み口体１６と覆い板１７との間に挟着
されたゴム製の吸込み口弁、３３は覆い板１７に
取付けられたフイルタクランプ、３４は開蓋時に
おける指の挿入止めをなすために覆い板１７の上
面に突出されたコ字形部で、その裏面には係合凸
部３５が形成されている。

上記本体ケース１１の構造において、上ケース
１３の前側壁の下端に前方に向けて連なり上記仕
切り板１２ａの上縁に嵌合した嵌合部３６の上面
と、集塵室１４の上端面と、覆い板１７の上面と
は、面一に連なつており、これら各面により環状
のシール面が形成されている。

上記集塵室１４には袋状をなす前フイルタ３７
が出し入れ自在に収納されている。このフイルタ
３７は口枠板に通気性の紙袋を装着してなる使い
捨て形のものであつて、これはフイルタクランプ
３３により吸込み口１５の後端側に着脱自在に取
付け保持されて、上記弁３２のシール部３２ａに
口枠部を密接させるようになつている。さらに、
集塵室１４には前フイルタ３７よりも後側に位置
して後フイルタ３８が取付けられている。つま
り、後フイルタ３８は上記仕切り板１２ａに設け
た上下の取付け孔３９に取付け部４０を着脱可能
に係合させて、仕切り板１２ａの前面に上記吸気
口３１を覆つて取付けられている。この後フイル
タ３８は絡子部を有したフイルタ枠４１の内部に
スポンジ状のフイルタ要素４２を少なくとも一枚
収納して、略板状をなしている。４３は必要に応
じて設けられる取手用突出部である。

そして、本体ケース１１側、つまり本実施例の
場合には以上のようにして下ケース１２に取付け
られた後フイルタ３８には、その上部例えばフイ
ルタ枠４１の上面において支持部４４が設けられ
ている。なお、本実施例は上記突出部４３をフイ
ルタ枠４１が備える関係から支持部４４は左右一
対設けてあるが、上記突出部４３を省略する場合
には一つでもよく、そして、この支持部４４は後
フイルタ３８の着脱用の取手を兼用している。こ
のように取手を兼ねる支持部４４は後フイルタ３
８の前面より突出しているから掴み易く、したが
つて後フイルタ３８の着脱操作がし易いものであ
る。なお、支持部４４が取手を兼ねるから、前述
の取手用突出部４３は省略することができる。支
持部４４は掃除機の使用時における上記前フイル
タ３７の上部後面を支えるものであつて、後フイ
ルタ３８の前面よりも前側に突出させて設けられ
ている。また、この支持部４４は図示のような斜
め状ではなく略Ｌ字形状に形成してもよい。

また、上記上ケース１３の集塵室側には蓋取付
け孔４５が左右一対形成されている。そして本体
ケース１１には蓋取付け孔４５を中心にして回動
する蓋４６が着脱可能に取付けられている。蓋４
６は、蓋取付け孔４５に挿脱自在な回動部材とし
ての取付け脚４７を後端部に突設しているととも
に、前端部内面に上記係合凸部３５に係脱される
係合孔４８が形成された弾性変形可能な係合片４
９を有している。この蓋４６は、その脚４７を蓋
取付け孔４５に挿入した後に、この孔４５を中心
に回動させて押し下げることにより、係合凸部３
５に係合片４９を係合させて上記集塵室１４の上
面開口を閉鎖して本体ケース１１に取付けられる
ものである。蓋４６の内面には、上記シール面に
圧接するゴム製のパツキン５０を先端に装着した
環状のシール突壁５１が一体に突設されている。
また、フイルタ交換時等に蓋４６を本体ケース１
１から取外す場合には、蓋４６の前端部に内側に
手を入れて蓋４６を押し上げればよい。なお、上
記覆い板１７の上面には一対のストツパ凸部５３
が一体に突設されており、この後面には閉蓋状態
において蓋４６に設けたリブ状の当接部５３が係
合され、これらの係合により閉蓋時における係合
片４９の弾性変形にもとずく蓋４６の前側への移
動止め、および閉蓋状態における前方向の引張り
力に抗して蓋４６の外れ止めがなされるようにな
つている。

なお、図中５４は必要に応じて設けられるアタ
ツチメントホルダで、これは上ケース１３および
ハンドル収納凹部２５に設けた係合孔５５，５６
の両側の取付け腕５４ａ，５４ｂを夫々着脱自在
に係合して取付けられている。また、５７は取外
し部で、この部分を第１図中矢印方向に押し込む
ことによつて、取付け腕５４ａを弾性変形させて
係合孔５５から外せるようになつている。このホ
ルダ５４の取付け部５８には隙間掃除用のアタツ
チメントＡが着脱自在に嵌合支持され、かつ他の
取付け部５９には丸ブラシＢが着脱自在に嵌合支
持されるようになつている。

また、上記下ケース１２と上ケース１３と集塵
室１４側における連結は、上ケース１３を挿通し
て下ケース１２のねじ受部６０にねじ込んだねじ
６１でなされている。さらに、下ケース１２と上
ケース１３と集塵室１４と反対側の端部における
連結は、下ケース１２の開口端より突出して一体
に設けた掛止突起６１を上ケース１３の開口縁１
３ａに形成した掛止孔６２に掛合させることによ
り、ねじを使用することなくなされている。この
掛合は上記ねじ止めに先立つて上記開口縁１３ａ
の弾性変形を利用してなされるものである。上記
掛止孔６２は下端が開口されている上記突脚２９
の近くにおいて形成されている。しかも、これら
突脚２９と掛止孔６２との間に位置して上記開口
縁１３ａには、スリツト状をなす下端開口の切欠
溝６３が形成されている。この切欠溝６３は上記
掛止突起６２と掛止孔６２との掛合を軽い力で行
わせるために設けたものであり、これにより本体
ケース１１の組立ておよび分解を容易化してい
る。なお、以上の掛合構造は、掛止突起６１を上
ケース１３に設けるとともに掛止孔６２を下ケー
ス１２に設けて実施してもよい。そして、上記開
口縁１３は下ケース１２の開口縁外面に重ねられ
ており、これにより上ケース１３にこじれるよう
な外力が作用した際に、その外力を下ケース１２
に分散させて上記掛止突起６１と掛止孔６２との
掛合部に異常に強い力が作用しないようにしてあ
る。さらに上記開口縁１３ａの外面に沿つて帯状
部材６４が装着されている。この帯状部材６４は
本実施例では化粧用として使用されているが、バ
ンパーとして使用できるような材質のものを使用
してもよい。そして、帯状部材６４は上記開口縁
１３ａの外面を覆い隠して設けられており、した
がつて、上記掛合部の露出および視認なくして本
体ケース１２の後部外観の見栄えをよくしてい
る。さらに、この部材６４の一端部は、上記切欠
溝６３を利用してこれを通つて開口縁１３ａの裏
側に巻込まれて、接着等の適当な固定手段で固定
されている。なお、６４ａは上記掛止突起６１用
の逃げ部である。また、帯状部材６４の他端部は
上記集塵室１４側において設けたスリツト溝６５
を通つて開口縁１３ａの裏側に巻込まれて、接着
等の適当な固定手段で固定されている。

上記構成の電気掃除機を使用すると、吸込み空
気等によつて集塵室１４内で膨らむ前フイルタ３
７の紙袋の後面は、第１図に示すように下部側を
後フイルタ３８の下部側に面接触するような状態
で支持されるとともに、上部側を本体ケース１１
に取付けられた後フイルタ３８に設けた支持部４
４の先端側に支持される。これにより、前フイル
タ３７の後面上部側は、後フイルタ３８の上部側
との間に間隙Ｘを形成して離されるとともに、使
用時における前フイルタ３７の上面位置よりも低
い位置に先端が設けられたシール突壁５１の後側
部位５１ａとの間に大きな空隙Ｙを形成して、こ
の部位５１ａに対向される。

したがつて、使用時においては、上記間隙Ｘの
確保により後フイルタ３８の前面が塞がれること
を防止できるとともに、上記空隙Ｙにより、前フ
イルタ３７の後面で塞がれることがない後フイル
タ３８の周囲に連通する風路を確保して風量の低
下を防止できる。すなわち、以上の理由により吸
塵性能を向上できるものである。

そして、蓋４６のシール突壁の下端位置を使用
時における前フイルタ３７の上面位置よりも低く
してあるにも拘らず、開蓋時にそのシール突壁５
１の後側部位５１ａは、上記空隙Ｙ内を移動して
前フイルタ３７の後面上部に引掛かることが防止
される。これにより、蓋４６をその後端部の取付
け脚４７と蓋取付け孔４５との係合部を中心にし
て回動させながら、前フイルタ３７に妨げられる
ことなく開くことができる。勿論、以上の構成に
おいては、蓋４４のシール突壁５１の下端位置を
使用時における前フイルタ３７の上面位置よりも
低くしてあるから、前フイルタ３７の容積を従来
より大きくすることも、また、このことに代えて
本体ケース１１の高さを小さくすることも設計上
任意に選択できることは言うまでもない。

なお、一実施例は以上のように構成したが、本
考案は蓋４６が着脱不可能で回動のみができるも
のにも実施できる。その他、本考案の実施に当つ
ては、本体ケース、蓋、シール突壁、集塵室、前
フイルタ、後フイルタ、支持部、フイルタ枠等の
具体的な構造、形状、位置、材質等は、上記一実
施例に制約されることなく種々の態様に構成して
実施できることは勿論である。

〔考案の効果〕

上記実用新案登録請求の範囲に記載の構成を要
旨とする本考案によれば、蓋のシール突壁の下端
位置を使用時における前フイルタの上面位置より
も低くした電気掃除機を提供できるから、本体ケ
ースの高さを小さくしたり、あるいは前側フイル
タの容量を大きくすることができるとともに、こ
のような形式の電気掃除機にも拘らず前側フイル
タが邪魔となることを防止して蓋を容易に開くこ
とができ、しかも、吸塵性能を向上できるととも
に、後フイルタの集塵室への着脱を容易に行え、
また、集塵室に前フイルタのストツカを備えてい
るか否かを問わずに実施できる等の効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図から第８図は本考案の一実施例を示し、
第１図は一部を断面した側面図、第２図は一部を
断面図した平面図、第３図は分解斜視図、第４図
は蓋の裏面図、第５図は第４図中−線に沿う
断面図、第６図は後面図、第７図は第６図中−
線に沿う断面図、第８図は第６図中−線に
沿う断面図である。第９図は従来例を一部断面し
て示す側面図である。 １１……本体ケース、１４……集塵室、３７…
…前フイルタ、３８……後フイルタ、４１……フ
イルタ枠、４４……支持部、４６……蓋、５１…
…シール突壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状のシール突壁を内面に有するとともに、後
   端部側を回動中心として回動される回動部材によ
   つて本体ケースの集塵室の上面開口を開閉する蓋
   を備え、かつ上記集塵室には、袋構造をなす前フ
   イルタを収納するとともに、この前フイルタより
   も後側に後フイルタを着脱可能に取付けた電気掃
   除機において、上記後フイルタのフイルタ枠上部
   にこのフイルタの着脱用の取手を兼ねるとともに
   上記前フイルタの上部後面を支える支持部を、上
   記後フイルタの前面よりも前側に突出させて設け
   たことを特徴とする電気掃除機。