JPH0336298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車等のシートバツクの傾斜角を
調整するリクライニング装置に関し、更に詳しく
は、操作ハンドルの回動をチエーン伝動装置及び
遊星歯車機構を介してアツパアームの傾動に変換
し、リクライニング角の調整を行うリクライニン
グ装置に関する。

（従来の技術） チエーン伝動装置を用いて、操作ハンドルをシ
ートバツクの傾動中心から離れた位置に配設した
リクライニング装置は既に提案されている。この
ような構成の場合、操作ハンドルを最適な位置に
配置できるので、リクライニング角調整時の操作
性が向上するという利点がある。ところで、この
タイプのリクライニング装置では、シートに振動
等が加わるとチエーンが大く振動する。そこで、
従来装置では、チエーンガイドをロアアームに固
設し、その振動を抑制している。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、従来装置におけるチエーンガイドは、
前述の如くロアアーム上の所定位置に一体的に固
定されたもの、即ち固定式のチエーンガイドであ
り、部品及び組立精度のバラツキによるチエーン
の弛みや長期間の使用に伴うチエーンの弛みに対
応できず、時にはチエーンの振動が過大になつて
チエーンがスプロケツトから外れたり、大きな異
音を発生したりするという問題があつた。

本考案は、上記の問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、チエーンの振動を小さく抑える
ことができるリクライニング装置、即ちチエーン
の外れをなくし異音の発生を小さくできるリクラ
イニング装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決する本考案は、シートクツシ
ヨン側に固着されるロアアームと、インナギヤ及
び該インナギヤと同心の貫通穴を有しシートバツ
ク側に固着されるアツパアームと、該アツパアー
ムのインナギヤに噛合するアウタギヤ及び該アウ
タギヤと同心の貫通穴を有し前記ロアアームに固
定されるサブプレートと、該サブプレートの貫通
穴と前記アツパアームの貫通穴に同心部と偏心部
が回動自在に挿通され且つ前記ロアアームによつ
て同心部が回動可能に支持された回動シヤフト
と、前記ロアアームに回動可能に付設された操作
ハンドルと、該操作ハンドル側及び前記回動シヤ
フト側のそれぞれに設けられたスプロケツトと、
前記操作ハンドル側のスプロケツトと前記回動シ
ヤフト側のスプロケツトとの間に平行掛けされた
チエーンと、その回動により前記チエーンの一部
を張設方向と交叉する方向に押圧可能に前記ロア
アーム側に設けられ、回動中心を中心とする円弧
状長穴が穿設されたチエーンガイドと、該チエー
ンガイドの長穴に挿入され該チエーンガイドを位
置調整可能に固定するビスとを備え、前記操作ハ
ンドルの回動を前記チエーン及び歯車列を介して
アツパアームの傾動に変換し、リクライニング角
の調整を行うことを特徴とするものである。

（作 用） 本考案のリクライニング装置では、回動可能な
チエーンガイドがチエーンの一部をチエーンの張
設方向と交叉する方向換言すればチエーンの張力
が増大する方向に押圧しており、しかも、このチ
エーンガイドの回動位置は必要により調節でき
る。従つて、部品及び組立精度上並びに経時上の
チエーンの弛みはチエーンガイドの回動位置調整
により吸収できるので、チエーンの外れはなく異
音の発生も減少する。

（実施例） 以下、第１図乃至第７図を用いて本考案の一実
施例を詳細に説明する。これらの図において、１
はシートクツシヨン側（シートクツシヨンフレー
ム）にビス等で固着されるロアアーム、２は同様
にシートバツク側（シートバツクフレーム）に固
着されるアツパアームである。該アツパアーム２
の一方の側面には、インナギヤ２ａが精密プレス
加工等によりエンボス成形されている。又、アツ
パアーム２の上部のシートバツクフレームへの取
付位置部分には、穴２ｅ，２ｆが前記シートバツ
クフレームへの取付穴として穿設されている。３
はアツパアーム２に隣接して配設されたサブプレ
ートで、アツパアーム２のインナギヤ２ａに対向
する側面にはアウタギヤ３ａが精密プレス加工等
によりエンボス成形され、その下部はリベツト４
によつてロアアーム１に固着されている。尚、前
記インナギヤ２ａの歯数はアウタギヤ３ａの歯数
より少なくとも１歯以上多く選ばれている。

５は偏心部５ａ及びこれに連設された同心部５
ｂ，５ｃ等を有した回動シヤフトで、偏心部５ａ
はアツパアーム２の回転中心穴に回動可能に挿通
され、同心部５ｂはロアアーム１のブツシユ６に
回動可能に挿通され、又、同心部５ｃはサブプレ
ート３の中心穴に回動可能に挿通されている。更
に、この回動シヤフト５の端部（同心部５ｃ側）
には、スプロケツト７が該回動シヤフト５と一体
となつて回動するように取り付けられている。上
記構成によつてアツパアーム２のインナギヤ２ａ
とサブプレート３のアウタギヤ３ａとが噛合し、
遊星歯車機構が形成される。

８，９はアツパアーム２に係止されたフツク部
材で、その頭部８ａ，９ａはロアアーム１、サブ
プレート３間の間隔を規制している。このフツク
部材９の胴部９ｂはリクライニング角の調整範囲
を規制するストツパとしての機能をも有してい
る。即ち、フツク部材９の胴部９ｂは、サブプレ
ート３の切欠部３ｅ内に位置し、切欠部３ｅの前
端３ｆ、後端３ｇが該胴部９ｂに当接する範囲内
で、アツパアーム２の傾動を許容している。又、
１０は弾性部材（ゴム、合成樹脂等）で形成され
たリングで、ロアアーム１とアツパアーム２との
間に配設され第２図の横方向のガタを吸収するも
のである。更に、１１はロアアーム２に複数のピ
ン１２でもつて取り付けられたカバープレートで
ある。

１３はロアアーム１に取り付けられたブレーキ
機構で（特に第３図及び第４図参照）、該ブレー
キ機構１３のハンドル軸の一端には操作ハンドル
１４が取り付けられている。

このブレーキ機構１３において、１５はロアア
ーム１の穴１ａに嵌合された状態で該ロアアーム
１に鋲着されたストツパケース、１６は該ストツ
パケース１５の凹部に対向する如くロアアーム１
に鋲着されたカバーブラケツトである。前記スト
ツパケース１５及びカバーブラケツト１６の各中
央穴には、ハンドル軸１７が挿入され、ここでハ
ンドル軸７が回動可能に支持されている。該ハン
ドル軸１７のストツパケース１５側の端部付近に
は、一部が切欠かれたコア１７ａが設けられ、カ
バーブラケツト１６側の端部付近には、前記操作
ハンドル１４を取り付けるためのセレーシヨン部
１７ｂが設けられている。１８は前記ハンドル軸
１７に回動可能に挿通されるスプロケツト軸で、
一端に前記コア１７ａの切欠部に進入する舌部１
８ａを有し、外周部にスプロケツト１８ｂを有し
ている。１９はストツパケース１５内に該ストツ
パケース１５の内壁に圧接する如く配設されたス
トツパスプリング（コイルスプリング）で、その
両端は内側に折り曲げられフツク１９ａを形成し
ている。ここで、前記コア１７ａは該フツク１９
ａの折曲部内側に位置し、前記舌部１８ａは該フ
ツク１９ａの折曲部外側の空間に位置している。

２０はスプロケツト１８ｂとスプロケツト７と
の間に巻掛けられたチエーンで、該チエーン２０
の中間部分にはチエーンガイド２１が摺接してい
る。このチエーンガイド２１の詳細形状は第５図
で示される。チエーンガイド２１は、前記ピン１
２に中央の穴２１ａが緩挿された状態即ちピン１
２を中心に回動可能な状態で、ロアアーム１・カ
バープレート１１間に配設されている。又、この
チエーンガイド２１の回動端部近傍には、穴２１
ａを中心とする円弧状の長穴２１ｂが穿設されて
おり、そこに挿通されたビス２２が、ロアアーム
１に螺刻された雌ねじに螺合し、チエーンガイド
２１の位置規制（固定）を行つている。更に、チ
エーンガイド２１の摺接部２１ｃはチエーン２０
の上側外周部（第１図参照）に摺接している。こ
の摺接部２１ｃは、チエーンガイド２１を第１図
の反時計方向に回動したとき、チエーン２０の摺
接部分をその張設方向と交叉する方向に押圧し、
チエーン２０の張力を増大させるもので、摺接部
２１は緩やかな略円弧状の曲面となつている。
尚、２１ｄはチエーン２０の外れ止め用の周縁突
起部である。

このように構成されたリクライニング装置の作
動を次に説明する。まず、操作ハンドル１４を回
動させると、ハンドル軸１７及びこれと一体に形
成されているコア１７ａも回動する。この回動開
始直後、該コア１７ａの切欠端部にストツパスプ
リング１９のフツク１９ａが当接するが、ストツ
パスプリング１９は縮径されストツパケース１５
との接触抵抗が小さくなるので、ハンドル軸１７
の回動はスムースに行われることになり、スプロ
ケツト軸１８も舌部１８ａによつてハンドル軸１
７と共に回動する。従つて、チエーン２０を介し
て回動シヤフト５が回動し、遊星歯車機構により
アツパアーム２も一定の減速比をもつて回動す
る。このため、フツク部材９の胴部９ｂに、サブ
プレート３の切欠部３ｅの前後端３ｆ，３ｇが当
接する範囲でリクライニング角の調整を行うこと
ができる。尚、上記構成のリクライニング装置に
おいては、振動等により回動シヤフト１５を自転
させようとする回動力が生じても、該回動力は、
スプロケツト軸１８の舌部１８ａを介してストツ
パスプリング１９の外径を広べて、ストツパスプ
リング１９とストツパケース５との圧接力を高め
るように作用するため、回動シヤフト５は自転で
きない。

又、この構成では、チエーンガイド２１を反時
計方向（第１図）に回動してチエーンガイド２１
の回動位置の調整を行える。従つて、この調整に
より、チエーン２０はチエーンガイド２１の摺接
部２１ｃに押圧され、常に十分な張力でもつて張
られた状態にある。このため、チエーン２０の弛
みは生じない。

尚、本考案は上記実施例に限るものではなく、
種々の変形が可能である。例えば、チエーンガイ
ド２１の配設位置は、チエーン２０の弛みをとれ
る位置なら他の場所であつてもよい。更に、サブ
プレート３をロアアーム１に対して回動可能に構
成すれば、容易にリクライニング角の粗調整を行
うことができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、回動可
能なチエーンガイドがチエーンの一部をチエーン
の張設方向と交叉する方向換言すればチエーンの
張力が増大する方向に押圧しており、しかも、こ
のチエーンガイドの回動位置は必要により調節で
きる。従つて、部品及び組立精度上並びに経時上
のチエーンの弛みはチエーンガイドの回動位置調
整により吸収できるので、チエーンの外れはなく
異音の発生も減少する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部構成図、
第２図は第１図のAA拡大断面図、第３図は第１
図のBB拡大断面図、第４図は第３図の主要部の
分解斜視図、第５図はチエーンガイドの斜視図、
第６図は第１図のCC拡大断面図、第７図は第１
図のDD拡大断面図である。 １……ロアアーム、２……アツパアーム、２ａ
……インナギヤ、３……サブプレート、３ａ……
アウタギヤ、５……回動シヤフト、５ａ……偏心
部、５ｂ，５ｃ……同心部、７……スプロケツ
ト、１１……カバープレート、１２……ピン、１
３……ブレーキ機構、１４……操作ハンドル、１
５……ストツパケース、１６……カバーブラケツ
ト、１７……ハンドル軸、１８……スプロケツト
軸、１８ｂ……スプロケツト、１９……ストツパ
スプリング、２０……チエーン、２１……チエー
ンガイド、２１ｂ……長穴、２１ｃ……摺接部、
２２……ビス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨン側に固着されるロアアーム
   と、インナギヤ及び該インナギヤと同心の貫通穴
   を有しシートバツク側に固着されるアツパアーム
   と、該アツパアームのインナギヤに噛合するアウ
   タギヤ及び該アウタギヤと同心の貫通穴を有し前
   記ロアアームに固定されるサブプレートと、該サ
   ブプレートの貫通穴と前記アツパアームの貫通穴
   に同心部と偏心部が回動自在に挿通され且つ前記
   ロアアームによつて同心部が回動可能に支持され
   た回動シヤフトと、前記ロアアームに回動可能に
   付設された操作ハンドルと、該操作ハンドル側及
   び前記回動シヤフト側のそれぞれに設けられたス
   プロケツトと、前記操作ハンドル側のスプロケツ
   トと前記回動シヤフト側のスプロケツトとの間に
   平行掛けされたチエーンと、その回動により前記
   チエーンの一部を張設方向と交叉する方向に押圧
   可能に前記ロアアーム側に設けられ、回動中心を
   中心とする円弧状長穴が穿設されたチエーンガイ
   ドと、該チエーンガイドの長穴に挿入され該チエ
   ーンガイドを位置調整可能に固定するビスとを備
   え、前記操作ハンドルの回動を前記チエーン及び
   歯車列を介してアツパアームの傾動に変換し、リ
   クライニング角の調整を行うリクライニング装
   置。