JPH0335643Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車のボデイに止着する装飾用の
モールを止付けるための合成樹脂を素材にして製
造されるクリツプに関するものである。

［従来の技術］ 自動車に使用されるモールデイングクリツプに
ついては従来から多くの提案があり、且つ実用化
されている。

周知の様にモールデイングクリツプはモールを
係止する主体部分と、この主体部分をボデイに設
ける取付穴に掛止め、ボデイ表面にモールを固定
する装着脚、つまり固着手段を有してなり、従来
の多くの提案はこの二つの構成部分のうちモール
デイングと密接に関係する主体部分に集中してい
る。

この主体部分はモールの内部に嵌り込んで掛止
められることからモールの断面形状に大きく左右
され、取付けるモールによつて様々になるが、実
際にはモールの長さ方向に沿つて設けられる開口
部の縁を係合することによつて止着するものとな
つていることから実際の止着手段には共通点が多
い。

しかし、知られる様にモールは金属板材をロー
ル加工等によつて製造するものであるため、同一
形状のモールにあつてもスプリングバツク等によ
つて製造誤差があり、係止対象となる開口縁の開
口幅に差が出来、またモールの高さに差が出来る
などしてバラ付きが多く、必ずしも一定形状のク
リツプでは対応し切れない問題がある。

従来この様なことから、モールのバラ付きに対
応して安定した止着が行えるよう様々な試がなさ
れて来た。その主たる対応策はクリツプにバネ性
を有した係止片を備え、この係止片をモールの開
口縁の一方の縁部に掛止めるようにして開口部幅
のバラ付きを係止片の撓み代で吸収することであ
つた。

第６，７図に示す例は上述撓み代を有した係止
片でモールを安定させるようにした従来例の一つ
である。

この従来のクリツプは図示するようにブロツク
状をなしたクリツプ主体１の下面から錨形の係入
脚２を垂設し、主体上端部からバネ性を付与した
弾性係止片３を斜め下方に向けて派生させ、その
先端部に係止爪部４を設けると共に、主体１の反
対側の下面に沿つた縁部に係合部５を設けたもの
で、使用に際してはモール６の開口部から主体１
の臨ませ一方の開口縁６ａに上記係合部５を掛止
めたのち、この係合部５を支点にして主体を回転
させるようにして押入れ、同時に弾性係止片３を
撓ませて押入れ、先端の係止爪部４を他方の開口
縁６ｂに掛止め装着し、その後係入脚２を図示し
ない自動車のボデイに設ける取付穴に押入れるこ
とによつてモールの止付けが行えるようになつて
いる。

このクリツプは上記弾性係止片３のバネ性によ
りモールのバラ付きに影響されることなく常時開
口縁部に係合し安定した止付けが得られるもので
あつたが、一つの大きな欠点は上記弾性係止片３
が派生基端部３ａを支点に揺動し、バラ付きを吸
収するものであるためモールの開口幅が設計上よ
り大であつたとき充分な係止状態が得られるのも
かゝわらず、先端に係止爪部４が図面矢符方向に
移動して開口縁６ｂの係止点を上昇させボデイ表
面から浮き上げてしまう問題があつたのである。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は、上述した従来の問題点に鑑み、設計
寸法より幅広の開口幅を有したモールを止着する
とき、この拡張分を吸収するに当つて弾性係止片
の拡張によつて係止爪部の上昇による係止点の浮
き上りを解消すべく考案されたもので、その目的
とするところは上述従来のクリツプと同様にモー
ルの開口部の製造誤差を完全に吸収し、安定した
係止状態を得ると同時に、このバラ付きの吸収に
当つて開口縁との係止点の上昇を回避し、常に自
動車ボデイの表面との間隔を一定にして密着せし
め、モール自体の浮き上りを完全に解消すること
にある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記目的を達成するため、次の如く
構成されたもので、その特徴とするところは長さ
方向に沿つて開口部を有した断面Ｃ字形をなすモ
ールを自動車ボデイに止着せしめる合成樹脂製の
モールデイングクリツプであつて、モールの内部
に収まる大きさのブロツク状のクリツプ主体と、
主体の下面から垂設されるボデイに開設する取付
穴に装着される装着脚と、主体の両側部から側方
に向けて張出し先端部を主体の前方に向けて水平
に突き出す一対の弾性係止片を有し、前記クリツ
プ主体には後縁部に下面に並行して前記モールの
一方の開口縁を係止する係止部を備え、他方前記
両弾性係止片の各先端部にはモールの他方の開口
縁を係止せしめる係止爪を備えてなるモールデイ
ングクリツプを提供することにある。

［作用］ 本考案に係るモールデイングクリツプはモール
に対して先ずモールの長さ方向に設けられる開口
部にクリツプ主体を傾けるようにして臨ませ、後
縁部に設ける係止部にモールの一方の開口縁を係
合させ、次にこの係合点を支点にするようにして
クリツプ主体をモール内部に嵌め入れ、このとき
他方の開口縁で弾性係止片を後縁部側に一旦撓ま
せ先端部の係止爪をこの開口縁に係止させモール
に対する装着を行つたのち、主体下面から垂設す
る装着脚を自動車のボデイの取付穴に係止しモー
ルの取付けを行うものである。

かくして、モールを取付けるにおいてモールの
開口部幅に広狭バラ付があつたとき、一方の開口
縁に係止する弾性係止片はそのバネ性を働かせて
先端部の係止部を水平状に移動させ開口縁の位置
に追随させて常に適正な係止状態を確保すると同
時に、係止点を常時一定高さ位置に保つて自動車
ボデイの表面から浮き上るのを防止することにな
る。

尚、取付作業においてモールに対し先にクリツ
プ主体を装着し、その後係止脚をボデイの取付穴
に係入し取付けても、また先に本考案クリツプを
ボデイの取付穴に取付け、その後このクリツプ主
体にモールを押付けるようにして開口部の両縁を
係止部と弾性係止片の各係止爪に掛止めるように
してもよいこと勿論である。

次に、本考案を図示する実施例につき説明し、
本考案クリツプの特徴を更に明らかにする。

［実施例］ 図面に示す実施例は本考案の一例で、第１図は
クリツプの平面図、第２図は底面図、第３図は背
面図で、第４図はモールを装着した状態を併せ示
した側面図である。

図面において１０はクリツプ主体で、１１はク
リツプ主体の下面１２から垂直に延設した装着
脚、１３はクリツプ主体の両側部から派生させた
左右対称状をなす弾性係止片である。

クリツプ主体１０はそれ自体がモール１４の掛
止め体となるもので、判面略Ｃ字形に形成される
モール１４の長さ方向に沿つて設けられる開口部
の幅より大きな形のブロツク状に形成してあり、
且つ、該モールの内部空間形状より幾分小さく形
成して嵌り込める大きさにしてある。

このクリツプ主体は略平面に形成した下面１２
に沿つた後縁部に上記モール１４の一方の開口縁
１５ａを係止する切欠き段状の係止部１６を備
え、中央部には背面部から頂上部更に前面部に亘
つてモール１４の内壁面形状に適合させたリブ状
の凸部１７を設けている。

弾性係止片１３はこの実施例では垂直に切立つ
た側壁面１８の略中央部から派生させてあり、派
生基端部から長さの途中まで側方からやゝ前方に
向けて斜めに張出させ、この長さの途中から先端
部までを前方に向けて真直に突き出させて該先端
部が主体１０の前縁部１９の線上より前方に突出
るようにしてある。

この弾性係止片１３は上下に幅を有した帯板状
の腕になつており、先端部が基端部に対して上下
に移動し苦くしてある反面、前後方向には撓んで
移動し易くしてある。そして、この先端部には下
縁から突出す如く突起を設けてモール１４の開口
縁を係止する係止爪２０を設けている。

尚、この弾性係止片１３の先端部に近い上縁は
途中から先端部に向けて斜めに切削して斜辺２１
に形成し、後述するモールに対する装着時の誘導
手段としている。

一方、装着脚１１は図示しない自動車ボデイに
開設する取付穴に挿入しクリツプ主体１０を固着
するための手段であつて、この実施例ではネジ軸
状に一体に設け、上記取付穴に挿通後図示しない
ナツトを螺着螺締することによつてクリツプ主体
をボデイ表面に緊密に固定できるようにしてあ
る。

尚、図面における符合２２は前記弾性係止片３
と協働してモールのガタ付きを防止するための補
助片で、弾性係止片の後方に起上るよう側壁面１
８から延設し、上縁２３をブロツク主体１０の頂
上部より高く突出るようにしてある。

ここに示した本考案クリツプは所要の弾性を有
した合成樹脂を素材に一体的に成形するが、ネジ
軸状をなす装着脚１１については金属ネジをイン
サート成形してクリツプ主体に取付けるようにし
てもよい。

本考案クリツプは上述の如く構成されるもの
で、使用に際しては当該クリツプを自動車のボデ
イに先に取付けるか、若しくはモールに装着した
のちボデイに取付けるかいずれかの手順で行われ
るが、ここでは先にモールに装着する場合に従つ
て説明すると、モール１４の開口部にクリツプ主
体１０を臨ませて一方の開口縁１５ａに主体の係
止部１６を掛止め、両者の関係を安定させたの
ち、この係止点を支点にして開口部内にクリツプ
主体１０を回転させるようにして割込ませると、
凸部１７を案内にして押開きながモール内に嵌り
込むことになる。

この嵌付けによつて他方の開口縁１５ｂは押開
かれながら弾性係止片１３の先端へと誘導され、
この先端部を一旦後退させたのち係止爪２０に係
止され装着が完了する。次に主体の下面１２から
垂下する装着脚１１をボデイの取付穴に挿入しナ
ツト締めすることによりボデイに対するモールの
取付けが完了することになる。

ところで、実施例では装着脚１１をネジ軸状と
したが、この装着脚は例えば従来例として挙げた
第６，７図における錨形の係入脚タイプのものと
してもよく、その他公知の係止手段を採用するこ
とを妨げない。

［考案の効果］ 本考案は上述の如く構成され、実施されるが、
モールの開口部の縁を係止する弾性係止片は係止
に当つて水平方向、つまり主体の下面に対して並
行する方向に撓み、常に先端の係止爪を水平移動
させて係止位置を確保することから、モールの開
口部のバラ付きによつて、ことに開口部が設計上
の幅より大であつた場合でも、この開口縁との係
止点を上下変動させることなく同一高さ位置で係
止することになる。

従つて、本考案クリツプによれば、モールのバ
ラ付きに影響されることなく自動車ボデイの表面
に対して常に一定した位置で係止することができ
前述従来例の如くモールの縁が浮き上るようなこ
とがなく美麗な装着が可能となると共に、本考案
実施例はバネ性を有した弾性係止片によつてモー
ルの縁を係止することから撓み代が大きく製造誤
差の吸収力に優れる利点がある。

また、上述充分な撓み代を有することから係止
爪がモールの縁に追随して密着し常に安定した係
止状態を確保することができ、且つ装着時には楽
に後退して係合関係が得られるため作業性にも優
れ、自動車の組立用部品として極めて有利であ
る。

尚、一般にクリツプの装着時、モールの折り返
つた両縁部は自動車のボデイ表面に当接して上下
の動きを拘束されるが、本考案においては補助片
２２が先端部２３をモールの内壁面に押当て上下
の動きを拘束することから、上下方向の動きによ
つて生ずるガタ付きもなく安定した取付けが期待
できることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したもので、第１
図は平面図、第２図は底面図、第３図は背面図、
第４図はモールを装着した状態を併せ示した側面
図、第５図は第１図−線断面図、第６図は従
来例の斜視図、第７図は同上モールを装着した状
態の側面図である。 １０……クリツプ主体、１１……装着脚、１２
……クリツプ主体の下面、１３……弾性係止片、
１４……モール、１５ａ，１５ｂ……開口縁、１
６……係止部、２０……係止爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長さ方向に沿つて開口部を有した断面Ｃ字形を
   なすモールを自動車ボデイに止着せしめる合成樹
   脂製のモールデイングクリツプであつて、モール
   の内部に収まる大きさのブロツク状のクリツプ主
   体と、主体の下面から垂設されボデイに開設する
   取付穴に装着される装着脚と、主体の両側部から
   側方に向けて張出し先端部を主体の前方に向けて
   水平に突き出す一対の弾性係止片を有し、前記ク
   リツプ主体には後縁部に下面に並行して前記モー
   ルの一方の開口縁を係止する係止部を備え、他方
   前記両弾性係止片の各先端部にはモールの他方の
   開口縁を係止せしめる係止爪を備えてなることを
   特徴としたモールデイングクリツプ。