JPH0335072B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はブラシロール用ブラツシング材、特に
金属板の研磨、洗浄等に使用するブラシロール用
ブラツシング材に関する。

従来の技術とその問題点 従来、この種のブラシロール用ブラツシング材
には、砥粒を混入した合成樹脂製芯材の外周面に
６ナイロンのフイラメントヤーンをカバーリング
糸として施し、これを合成樹脂接着剤で固定して
なるブラシ毛材を植毛したものがあつた。そして
この種のブラツシング材におけるブラシ毛材の芯
材外周面にフイラメントヤーンをカバーリング糸
として施す理由は、ブラツシング材の使用の進行
で芯材が摩耗するにつれてカバーリング糸が順次
ほぐれ、そのほぐれた部分がブラツシング効果を
助長するからである。

しかし従来のブラツシング材では、そのブラシ
毛材のカバーリング糸が６ナイロンのフイラメン
トヤーンからなる結果、ブラシ毛材の折損が該ブ
ラシ毛材の植毛固定根部寄りの個所（植毛固定根
部の端より約２mm離れた個所）に集中し、ブラシ
毛材の耐久性が充分でない問題があつた。

本発明の目的は、ブラシ毛材の折損個所がブラ
シ毛材の長さの方向に分散し、ブラシ毛材の耐久
性が良いブラシロール用ブラツシング材を提供す
ることにある。

問題点を解決するための手段 上記本発明の目的は、砥粒混入合成樹脂製芯材
の外周面に、芳香族ポリアミドのフイラメントヤ
ーンをカバーリング糸として、スパイラル状に巻
き或いは組紐状に編み設け、該フイラメントヤー
ンを接着剤で前記スパイラル巻き或いは組み紐状
編みの状態下に固定したブラシ毛材を具備するこ
とを特徴とするブラシロール用ブラツシング材に
よつて、達成される。

上記芯材を構成する樹脂は、６ナイロン、66ナ
イロン共重合ナイロンなどのポリアミド、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、共重合ポリエステルなどのポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
イン、ポリ塩化ビニル、ポリフツ化ビニリデンな
どのポリハロゲン化ビニルなどの溶融押出成形可
能な熱可塑性合成樹脂を通常の溶融押出紡糸法に
より紡糸したもの、またこれ等に砥粒を混入した
もの等を好ましい例として挙げることができる。

上記芯材は、数本のモノフイラメントで構成し
てもよく、また１本のモノフイラメントで構成し
てもよい。１本のモノフイラメントを芯材とする
場合、それは通常、直径0.3〜2.5mmであり、モノ
フイラメント数本を芯材とするとき各モノフイラ
メントの直径は通常約0.01〜1.6mmである。

上記芯材にカバーリング糸としてスパイラル状
に巻かれる或いは組み紐状に編み設けられる芳香
族ポリアミドのフイラメントヤーンは、ブラツシ
ング効果の助長の点から、細いモノフイラメン
ト、例えば１〜10デニールのモノフイラメント多
数、例えば20〜1000本で構成したマルチフイラメ
ントヤーンであることが好ましい。

カバーリング糸としての芳香族ポリアミドのフ
イラメントヤーンはそれ単独を芯材に施してもよ
いし、他のフイラメントヤーンと併用の形で芯材
にカバーリング糸として施してもよい。他のフイ
ラメントヤーンとしては、接着性の良好さの点か
らポリアミドのフイラメントヤーンが好ましい。
芳香族ポリアミドフイラメントヤーン単独使用の
とき、それが芯材にスパイラル巻きで施される場
合、右巻き左巻きの何れでも構わないし、また両
方の組合せも良好である。他のフイラメントヤー
ンとの併用では、芯材にカバーリング糸として施
される態様がスパイラル巻きのときは、芳香族ポ
リアミドフイラメントヤーンと他のフイラメント
ヤーンの何れか一方を右巻き、他方を左巻きと
し、組み紐状の編み設けの場合では、これ等二種
のフイラメントヤーンによる組み紐編みとすれば
よい。その併用で組み紐状にカバーリング糸を編
み設けるとき、芳香族ポリアミドフイラメントヤ
ーンが４、他種フイラメントヤーンが４の８打に
なる組み紐編み、２、２の４打になる組み紐編
み、８、８の16打になる組み紐編みとすることが
できる。

芯材にカバーリング糸として所定の態様に施し
た芳香族ポリアミドフイラメントヤーンをその態
様の下に固定する接着剤としては、20％前後の共
重合ナイロンや８ナイロン樹脂のアルコール溶液
を挙げることができる。また該接着剤は浸漬、塗
布等の適宜の手段で付与でき、一般的には上記カ
バーリング糸を構成する芳香族ポリアミドフイラ
メントヤーンを施した芯材を前記溶液にどぶ漬け
した後、約90〜180℃で乾燥し、該カバーリング
糸を固定すればよい。

実施例 次に本発明の実施例を添付図面を参照して説明
する。

第１図及び第２図に示す本発明一態様のブラシ
ロール用ブラツシング材はブラシジスクであり、
符号１により指示されている。該ブラシジスク１
は、例えば鉄圧延工程において加工鉄板表面の研
磨、洗浄等するのに使用するブラシロール用ブラ
シジスクである。

該ジスク１はその周辺部に植毛状に設けたブラ
シ毛材２を有する。該ブラシ毛材２は、ジスク１
周辺部に穿設した穴３に挿通しＵ字状に折り曲
げ、その折り曲げ基部を金属線４等により緊締さ
れている。ジスク１は多数枚を回転シヤフト（図
示せず）に嵌装し、圧縮、拘束しかつ駆動的に該
シヤフトに結合して、ブラシロールとし、鉄板の
研磨、洗浄等に用いることができる。

ブラツシング材は上記の他、Ｃ形断面の溝形材
にブラシ毛材を常法に従い植毛固定してなる当業
者にチヤンネル型乃至チヤンネル法と通称されて
いるタイプのブラツシング材でもよいことは勿論
である。このタイプのブラツシング材は回転シヤ
フトの周囲にスパイラル状に巻きつけ、適宜の手
段で固定して、ブラシロールとし、上述と同様な
用途に使用可能である。

ブラツシング材のブラシ毛材２は、砥粒を混入
したナイロン製の直径約１mmのモノフイラメント
３本を芯材２１とし、この芯材２１の外周面に、
約１デニールの芳香族ポリアミドモノフイラメン
トを約1000本引揃えてなるマルチフイラメントヤ
ーン２２をカバーリング糸として芯材２１１ｍに
つき約304回程度でのスパイラル状に巻き、その
上から更に約６デニールの６ナイロンモノフイラ
メントをヤーン２２と同数程度引揃えてなるマル
チフイラメントヤーン２３をカバーリング糸とし
てヤーン２２と同程度の巻き数で逆方向にスパイ
ラル状に巻き（第３図）、或いは上記と同様なも
ので直径約２mmの１本の芯材２１の外周面に、上
記と同様なマルチフイラメントヤーン２２及び２
３を組み紐状に編み設け（第４図）、或いは第３
図に示したと同様な芯材２１外周面にマルチフイ
ラメントヤーン２２単独を芯材２１に第３図にお
けると同程度の巻き数でスパイラル巻きし（第５
図）、これ等全体を共重合ナイロン樹脂溶液にど
ぶ漬けした後、約150℃で乾燥し、カバーリング
糸としてのヤーン２２及び２３或いは２２を上記
スパイラル巻き或いは組み紐状編み状態に固定し
たものである。場合によつては第３，５図の形式
で、芯材２１は１本でもよい。

芳香族ポリアミドフイラメントヤーンをカバー
リング糸として、芯材の外周面にスパイラル状に
巻き或いは組み紐状に編み設け、そのスパイラル
巻き或いは組み紐状編みの状態に接着剤で固定し
たブラシ毛材は、これをブラシロール用ブラツシ
ング材のブラシ毛材として備えると、極めて良好
な耐折力を示し、その耐久性が向上する。

因みに、本発明者等の実験結果では、上述した
実施例のブラシ毛材が、カバーリング糸に芳香族
ポリアミド以外のポリアミドによるものを適用し
た点を除き、本発明と同様な条件でつくつた比較
例ブラシ毛材に対し、次表１に示すような耐折力
を示した。

表 １ 耐折力 比較例 ナイロン６ 100 〃 ナイロン66 70 〃 ナイロン・10 80 〃 ナイロン６・12 78 〃 6.66共重合ナイロン 120 〃 6.610共重合ナイロン 110 本発明 ポリパラフエニレンテレフタルアミド
890 〃 ２−ポリパラフエニレン−３，４−オキ
シ−ジフエニレンテレフタルアミド 800 〔耐折力は、外径320のブラシロールを1000r.p.m
の回転速度、金属板に対する圧下量10mmの条件
で、ブラシ毛材に折れが発生するまでの時間であ
る。〕 本発明ブラシ毛材の耐折力がこのように向上す
るのは、当該実験結果において、ブラシ毛材の折
損個所が、該ブラシ毛材の植毛固定根部の端より
ブラシ毛材の長さの方向にほぼ３〜６mmの範囲に
分散しているのが認められたところから、次の理
由によるようである。即ち、芳香族ポリアミドフ
イラメントヤーンは一般的に20ｇ/dという超強
力でかつ４％程度の超低伸度の性質のものであ
り、これを上述した態様で芯糸にカバーリングし
た結果、当該芳香族ポリアミドフイラメントヤー
ンの存在が芯糸の局部的な応力集中の分散化に役
立ち、それがブラシ毛材の耐折れ性の向上に寄与
しているようである。これと異なり、比較例では
ブラシ毛材の植毛固定根部に折損個所が集中して
いるのが認められた。

発明の効果 このように本発明によれば、ブラシ毛材の折損
個所がブラシ毛材の長さの方向に分散し、ブラシ
毛材の耐久性が良いブラシロール用ブラツシング
材を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す正面図、第２
図はその縦断側面図、第３図から第５図は第１図
に示す実施例で用いるブラシ毛材のそれぞれ異な
る態様例をカバーリング糸の一部を解いて示す斜
視図である。 １…ブラシロール用ブラシジスク、２…ブラシ
毛材、３…穴、４…金属線、２１…芯材、２２…
芳香族ポリアミドモノフイラメントのマルチフイ
ラメントヤーン、２３…６ナイロンモノフイラメ
ントのマルチフイラメントヤーン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 砥粒混入合成樹脂製芯材の外周面に、芳香族
   ポリアミドのフイラメントヤーンをカバーリング
   糸として、スパイラル状に巻き或いは組み紐状に
   編み設け、該フイラメントヤーンを接着剤で前記
   スパイラル巻き或いは組み紐状編みの状態下に固
   定したブラシ毛材を具備することを特徴とするブ
   ラシロール用ブラツシング材。