JPH0334360Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車等のシートベルトにおけるリト
ラクターに関するものであって、特にウエビング
を引出して着用した後若干巻戻すことにより、再
度のウエビングの引出しを不可能ならしめる、自
動ロツク式リトラクターの構造に関するものであ
る。

従来の技術 従来この種のシートベルト用自動ロツク式リト
ラクターは各種の構造のものが知られているが、
その一例として、リトラクター本体に対して回転
可能に軸支されたウエビング巻取り軸と、該巻取
り軸に一体に固定されたラチエツトホイールと、
該ラチエツトホイールに対して係合位置と非係合
位置とを取り得るパウルと、前記巻取り軸に対す
るウエビングの巻取り量を検知してその巻取り量
が所定量より少ない場合にのみ前記パウルがラチ
エツトホイールに対する係合位置を取ることを可
能ならしめる巻取り量検知手段と、前記巻取り軸
に嵌合して摩擦従動しリトラクター本体に対して
所定の範囲で回動可能でありかつ前記ラチエツト
ホイールの外周から突出する第一及び第二の二つ
の脚部を有する制御部材とを有する自動ロツク式
リトラクターが知られている。（実開昭60−11858
号） このものは、シートベルト不使用時にウエビン
グを巻込んだ状態においては、巻取り量検知手段
によってパウルはラチエツトホイールに対して非
係合位置に保持されている。この状態からウエビ
ングを引出すと巻取り軸がウエビング引出し方向
に回転し、これに伴って前記制御部材も所定の範
囲内で同方向に回動する。而して前記制御部材に
おけるウエビング引出し方向に後方の第一の脚部
がパウルを支持して、該パウルを前記ラチエツト
ホイールに対して非係合位置に保持する。従って
パウルがラチエツトホイールに係合することはな
く、巻取り軸は自由に回転することができるの
で、必要な長さに亙ってウエビングを引出すこと
ができる。

次いでウエビングを必要なだけ引出してバツク
ルを結合し、シートベルトを着用した後過剰に引
出したウエビングをリトラクターに巻込むと、制
御部材においけるウエビング引出し方向に前方の
第二の脚部がパウルを支持してラチエツトホイー
ルに対して非係合位置に保持する。

この状態から、事故等によって着用者の身体が
前方に移動し、ウエビングをリトラクターから引
出すと、巻取り軸がウエビング引出し方向に回転
し、これに伴って制御部材も同方向に回動し、前
記前方の第二の脚部による支持が外されてパウル
がラチエツトホイールに近付く方向に揺動し、ラ
チエツトホイールに係合して巻取り軸の回転をロ
ツクしてウエビングの引出しを阻止するものであ
る。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら前述のリトラクターにおいては、
制御部材におけるウエビング引出し方向に前方の
第二の脚部がパウルを支持し、パウルをラチエツ
トホイールに対して非係合位置に保持した状態か
ら、事故等によってウエビングが強く引かれ、巻
取り軸及びラチエツトホイールがウエビング引出
し方向に急激に回転すると、パウルが揺動してラ
チエツトホイールに係合するのに時間的遅れが生
じ、その間に制御部材におけるウエビング引出し
方向に後方の第一の脚部がラチエツトホイールと
パウルとの間に入り込み、パウルをラチエツトホ
イールに対して非係合位置に支持し、パウルがラ
チエツトホイールに係合するのを阻止してしまう
恐れがあったのである。

本考案はかかる事情に鑑みなされたものであっ
て、前述の自動ロツク式リトラクターを改良し、
ウエビングが急激に引出されたような場合であっ
ても、常にパウルを確実にラチエツトホイールに
係合させ、着用者の身体を確実に拘束することの
できる自動ロツク式リトラクターを提供すること
を目的とするものである。

問題点を解決する手段 而して、本考案は、前述の構成を有する自動ロ
ツク式リトラクターいおいて、前記制御部材にお
けるウエビングの引出し方向に後方の第一の脚部
が、前方の第二の脚部よりもラチエツトホイール
の外周へ大きく突出しており、且つ第一の脚部の
ウエビングの引出しの方向の前方に、パウルの先
端がラチエツトホイールの外周との間に嵌入し得
る凹所が形成されていることを特徴とするもので
ある。

以下本考案を図面に従って説明する。図面にお
いて１はリトラクター本体であって、底板２と該
底板２の両側縁に相対向して立設された側板３，
４とよりなり、該側板３，４間には、外面にウエ
ビングＷを巻回したウエビング巻取り軸５が回転
自在に軸支されており、該巻取り軸５は、ばね手
段６により図中時計方向に付勢されている。７は
香箱である。

前記巻取り軸５の一端部にはラチエツトホイー
ル８が固着されおり、該ラチエツトホイール８の
外周には係合歯９が形成されている。

また巻取り軸５には、制御部材１０が摩擦によ
り従動可能に嵌合されている。該制御部材１０は
金属線材を曲げて形成されており、その嵌合部１
１において前記巻取り軸５に嵌合され、中央部に
形成された突部１２が側板３の側面に突設された
ストツパー１３，１４の間を移動することによ
り、その範囲内においてリトラクター本体１に対
して回動可能となっている。

制御部材１０を形成する線材の両端は、ラチエ
ツトホイール８の外周から突出する第一及び第二
の二つの脚部１５，１６を形成しており、該両脚
部１５，１６の先端はウエビングＷの引出し方向
に向って前方すなわち図中反対方向に屈曲されい
る。そしてウエビングＷの引出し方向に後方の第
一の脚部１５は、前方の第二の脚部１６よりもラ
チエツトホイール８の外周から大きく突出してお
り、またこの第一の脚部１５には、前記線材の屈
曲を利用して、ウエビングＷの引出し方向に向っ
て前方に開口する凹部１７が形成されている。

１９は、前記側板３，４に形成された略扇状の
支持孔２０，２１間に揺動自在に懸架されたフツ
クプレートであって、その中央部には、前記巻取
り軸５に巻回されたウエビングＷの外面に当接し
てその巻取量を検知する巻取り量検知手段２２が
設けられている。また側板３から突出した部分に
は、前記ラチエツトホイール８の係合歯９に対し
て係合位置と非係合位置とを取り得るパウル２３
が形成されている。２６は前記フツクプレート１
９を常時ラチエツトホイール８に近付く方向に付
勢するばね手段であり、２７は機構部分を覆うカ
バーである。

作 用 次に本考案の自動ロツク式リトラクターの作用
を述でる。

第１図及び第２図は、本考案の自動ロツク式リ
トラクターの不使用状態を示すものであって、ウ
エビングＷは巻取り軸５に巻回されている。リト
ラクターがウエビングＷを巻き取る際には巻取り
軸５は第１図中時計方向に回転しており、制御部
材１０は巻取り軸５に伴って時計方向に回動し、
突部１２がストッパー１４に当接して停止した状
態となっている。

また巻取り軸５にはウエビングＷが大量に巻回
されているため、ウエビングＷの巻き径が大きく
なっており、フツクプレート１９における巻取り
量検知手段２２がウエビングＷの外面に当接し
て、フツクプレート１９はばね手段２の弾力に抗
して図中反時計方向に揺動せしめられており、パ
ウル２３はラチエツトホイール８に対して非係合
位置に保持されている。従って巻取り軸５はいず
れの方向にも自由に回転できる。

次にシートベルトを着用するためにウエビング
Ｗを引出すと、巻取り軸５がばね手段６を巻き締
めながらウエビング引出し方向すなわち図中反時
計方向に回転する。そのためこの巻取り軸５に摩
擦従動する制御部材１が巻取り軸５に伴われて同
方向に回動し、ウエビング引出し方向に後方の第
一の制御１５がパウル２３とラチエツトホイール
８の外周との間に位置し、この位置で突部１２が
ストツパー１３に当接することにより制御部材１
０の回動は停止する。そして巻取り軸５と制御部
材１の嵌合部１１とが摩擦しながら巻取り軸５は
さらに回転を続け、ウエビングＷは必要な長さに
亙って引出される。

ウエビングＷが引出されることにより巻取り軸
５に巻回されたウエビングＷの巻き径は縮小し、
巻取り量検知手段２２がその巻取り量を検知しな
がら、フツクプレート１９はばね手段２６の弾力
により時計方向に揺動し、パウル２３はラチエツ
トホイール８の外周に接近する。しかしながら前
述のように、パウル２３とラチエツトホイール８
の外周との間には前記制御部材１０の第一の脚部
１５が位置しているので、第３図に示すように、
パウル２３が該第一の脚部１５に当接して支持さ
れ、フツクプレート１９のそれ以上の揺動は阻止
される。従ってパウル２３がラチエツトホイール
８の係合歯９に係合することはなく、さらにウエ
ビングＷを必要な長さに亙って引出すことができ
る。

ウエビングＷを必要な長さに亙って引出してバ
ツクルを結合し、シートベルトを着用した後ウエ
ビングＷを緩めると、ばね手段６の弾力によって
巻取り軸５がウエビング巻き込み方向すなわち図
中時計方向に回転し、過剰に引出されていたウエ
ビングＷを巻き込む。これにより制御部材１０が
巻取り軸５に伴われて同方向に回動し、突部１２
がストツパー１４に当接して制御部材１０の回動
は停止する。

制御部材１０が回動ることによりパウル２３は
第一の脚部１５から外れて、ばね手段２６の弾力
によって一旦ラチエツトホイール８の外周に当接
するが、ラチエツトホイール８の回転方向がパウ
ル２３に対して非係合方向であるため、パウル２
３が係合歯９に係合することはなく、制御部材１
０におけるウエビング引出し方向に前方の第二の
脚部１６が、第４図に示すようにばね手段２６の
弾力に抗してパウル２３を支持する。従って、パ
ウル２３はラチエツトホイール８の外周から離
れ、ラチエツトホイール８の回転時にパウル２３
が係合歯９に弾かれて不快な摩擦音を発すること
がない。

而してリトラクターは過剰に引出されていたウ
エビングＷを巻き込み、シートベルトは着用者の
身体に正しく着用される。

次にこの状態からウエビングＷを引出すと、ば
ね手段６を巻き締めながら巻取り軸５が図中反時
計方向に回転する。これに伴って制御部材１０も
同方向に回動し、パウル２３は第二の脚部１６か
ら外れてばね手段２６の弾力によってラチエツト
ホイール８の外周の接近する方向に揺動し、第５
図の実線に示すように、パウル２３の先端がラチ
エツトホイール８の外周に接触すると共に、前記
第一の脚部５の凹部１７内に入り込むことにな
り、該凹所１７によってパウル２３はラチエツト
ホイール８の係合歯９に対して係合する位置に保
持される。

また巻取り軸５の回転が急激でパウル２３の揺
動に時間的な遅れが生じた場合においても、第一
の脚部１５が第二の脚部１６よりもラチエツトホ
イール８の外周へ大きく突出していると共に、ウ
エビングＷの引出し方向の前方に凹所１７が形成
されているので、パウル２３は第５図に鎖線で示
すように、確実に凹所１７内に入り込み、パウル
２３は強制的に揺動せしめられ、係合歯９に係合
せしめられるのである。

この状態で制御部材１０の回動は停止せしめら
れ、巻取り軸５及びラチエツトホイール８のみが
回転すると、パウル２３の先端はばね手段２６の
弾力と凹部１７が押す力とによって、ラチエツト
ホイール８の外周に押付けられ、摺動する。そし
てラチエツトホイール８の係合歯９がパウル２３
の位置に来ると、第６図に示されるようにパウル
２３が係合歯９に係合し、ラチエツトホイール８
の回転は停止せしめられ、さらに該ラチエツトホ
イール８に一体に固定された巻取り軸５の回転が
ロツクされて、ウエビングＷの引出しが停止せし
められる。

次にウエビングＷに加わった引張り力を除き、
リトラクターに巻戻すと、巻取り軸５ラチエツト
ホイール８及び制御部材１０が図中時計方向に回
転し、パウル２３が係合歯９から脱出し、さらに
第二の脚部１６がパウル２３を支持して再度第４
図の状態に復帰する。

またバツクルを外してシートベルトの着用を解
除すると、巻取り軸５はばね手段６の弾力でウエ
ビング巻込み方向すなわち図中時計方向に回転し
て、ウエビングＷを巻込む。このとき制御部材１
０も巻取り軸５に伴って突部１２がストツパー１
４に当接するまで回動し、第二の脚部１６がばね
手段２６の弾力に抗してパウル２３を支持し、パ
ウル２３をラチエツトホイール８に対する非係合
状態に保持する。従ってパウル２３はラチエツト
ホイール８の外周に当接することはなく、パウル
２３が係合歯９に弾かれて不快な摩擦音を発する
ことがなく、静粛にウエビングＷを巻込むことが
できる。

さらにウエビングＷの巻込み量が多くなり、そ
の巻き径が大きくなると、そのウエビングＷの外
面が巻取り量検知手段２２を押して、フツクプレ
ート１９はばね手段２６の弾力に抗してパウル２
３がラチエツトホイール８から離れる方向に揺動
せしめら、再度第１図及び第２図の状態に復帰す
る。

従って本考案によれば、巻取り軸５に係合歯９
を有するラチエツトホイール８を一体に回転する
よう固定し、該ラチエツトホイール８に係合可能
のパウル２３を設け、巻取り量検知手段２２によ
ってウエビングＷ巻取り量が少ない時のみパウル
２３の巻取り軸５への係合を許すようにし、且つ
制御部材１０にラチエツトホイール８の外周から
突出する第一の脚部１５を設けているので、シー
トベルトの不使用状態からウエビングＷを引出す
際には、その引出しの初期には巻取り量検知手段
２２によって、後期には第一の脚部１５によっ
て、パウル２３のラチエツトホイール８への係合
を阻止し、着用に必要な長さに亙って自由にウエ
ビングＷを出すことができ、シートベルト着用後
にウエビングＷを若干巻戻すことにより、第一の
脚部１５によるパウル２３の支持を外し、パウル
２３のラチエツトホイール８への係合が可能とな
り、さらに凹所１７によってパウル２３を強制的
にラチエツトホイール８に係合せしめると共にそ
の係合状態を保持し、ウエビングＷの再引出しが
不可能となり、自動ロツク式リトラクターとして
作用するのである。

考案の効果 本考案によれば、制御部材１０におけるウエビ
ング引出し方向に後方の第一の脚部１５が、前方
の第二の脚部１６よりもラチエツトホイール８の
外周への大きく突出しており、またこの第一の脚
部１５にはウエビングＷの引出し方向に前方に開
口する凹所１７が形成されているので、シートベ
ルトを着用した後ウエビングＷが急激に引出され
たときに、パウル２３の揺動に時間的遅れが生
じ、又は何等かの原因でパウル２３の揺動がスム
ーズに行われなかったような場合においても、パ
ウル２３が第一の脚部１５の凹所１７に入り込
み、該凹所１７に押されてラチエツトホイール８
に近付く方向に強制的に揺動させられるので、パ
ウル２３は確実に係合歯９に係合してラチエツト
ホイール８をロツクさせ、ウエビングＷの引出し
を阻止することができるのである。

従つて前述の従来例に示された考案のように、
パウル２３がラチエツトホイール８に係合する前
に第一の脚部１５がパウル２３とラチエツトホイ
ール８との間に入り込み、パウル２３を支持して
ラチエツトホイール８に対する係合を阻止するよ
うなことがなく、作動が確実で、極めて安全であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の自動ロツク式リトラクター
の、カバーを断面で示した側面図であり、第２図
は、本考案の自動ロツク式リトラクターの中央縦
断面図である。第３図乃至第６図は、本考案の自
動ロツク式リトラクターおける作動過程を示す主
要部の側面図であつて、第３図は、シートベルト
着用のためにウエビングを引出した状態、第４図
は、シートベルトを着用した後、ウエビングを若
干巻込んだ状態、第５図は、ウエビングを再度引
出す途中の状態、第６図は、パウルがラチエツト
ホイールの係合歯に係合した状態を示すものであ
る。 Ｗ…ウエビング、１…リトラクター本体、５…
巻取り軸、８…ラチエツトホイール、９…係合
歯、１０…制御部材、１５…第一の脚部、１６…
第二の脚部、１７…凹所、２２…巻取り量検知手
段、２３…パウル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ リトラクター本体１に対して回転可能に軸支
   されたウエビング巻取り軸５と、該巻取り軸５
   に一体に固定されたラチエツトホイール８と、
   該ラチエツトホイール８に対して係合装置と非
   係合装置とを取り得るパウル２３と、前記巻取
   り軸５に対するウエビングＷの巻取り量を検知
   してその巻取り量が所定量より少ない場合にの
   み前記パウル２３がラチエツトホイール８に対
   する係合位置を取ることを可能ならしめる巻取
   り量検知手段２２と、前記巻取り軸５に嵌合し
   て摩擦従動しリトラクター本体１に対して所定
   の範囲で回動可能でありかつ前記ラチエツトホ
   イール８の外周から突出する第一の脚部１５及
   び第二の脚部１６を設けた制御部材１０を有す
   る自動ロツク式リトラクターにおいて、前記制
   御部材１におけるウエビングＷの引出し方向に
   後方の第一の脚部１５が、前方の第二の脚部１
   ６よりもラチエツトホイール８の外周へ大きく
   突出しており、且つ第一の脚部１５のウエビン
   グＷの引出し方向の前方に、パウル２３の先端
   がラチエツトホイール８の外周との間に嵌入し
   得る凹所１７が形成されていることを特徴とす
   る、自動ロツク式リトラクター。 ２ 前記制御部材１０は、金属線材を曲げて形成
   されており、その両端部はウエビングＷの引出
   し方向に彎曲させて前記第一の脚部１５及び第
   二の脚部１６を形成し、第一の脚部１５には前
   記ラチエツトホイール８の外周との間に凹所１
   ７を形成したことを特徴とする、実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の自動ロツク式リトラク
   ター。