JPH0332697B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、クリーンルームで製作、加工する食
品、医薬品、あるいは、半導体や精密機器部品等
の清浄保持必要物を、一方のクリーンルームから
他方のクリーンルームへ運搬車により運搬する方
法に関する。

従来、上記の如き清浄保持必要物を運搬する
に、出荷側クリーンルーム内で清浄保持必要物を
気密包装等により厳重に包装し、その包装状態で
搬出運搬した清浄保持必要物を受入側クリーンル
ームに搬入するに際して、運搬途中で包装材に付
着した塵埃をエアーシヤワーによる清浄気体吹付
で除去するようにしたり、又、搬入搬出に際して
出荷側や受入側のクリーンルームに塵埃濃度の高
い外気が流入してそれらクリーンルームが汚染さ
れるのを防止するために、搬入搬出口にエアーカ
ーテンを設けるようにしていた。

しかしながら、上記従来運搬方法における清浄
気体吹付では、包装材に付着した塵埃を完全に除
去することができないのが現状であり、除去でき
なかつた付着塵埃が清浄保持必要物とともに受入
側クリーンルームに持ち込まれるために、その受
入側クリーンルーム内での開包に際して清浄保持
必要物が持ち込み塵埃により汚染されてしまう問
題があり、又、エアーカーテンを設けていたとし
ても、搬入搬出時に塵埃濃度の高い外気がクリー
ンルームに侵入することを完全には回避すること
ができず、クリーンルームが外気により汚染され
てしまうのが現状であり、そのことも清浄保持必
要物の汚染の原因となつていた。

本発明は、運搬に伴う清浄保持必要物の汚染を
確実に防止できるようにすることを目的とする。

本発明方法の特徴手段は、運搬車に備えた移動
クリーンルームの出入口と定置クリーンルームの
出入口とを対向連通させると共に、前記移動クリ
ーンルームに対して加圧供給する清浄気体、及
び、前記定置クリーンルームに対して加圧供給す
る清浄気体を、前記両出入口の間の隙間から外部
空間に吐出させるクリーンルーム連通状態をつく
り、そのクリーンルーム連通状態下において、前
記両クリーンルームの一方から他方に前記両出入
口を介して運搬物を移動することにあり、その作
用・効果は次の通りである。

つまり、移動クリーンルームに加圧供給する清
浄気体、及び、定置クリーンルームに加圧供給す
る清浄気体を、対向連通状態の両出入口の間の隙
間から外部空間に吐出させるクリーンルーム連通
状態をつくることにより、正常気体供給以外の気
体が逆流的に室内に侵入することを両クリーンル
ームの個々について確実に防止できて、両クリー
ンルームの清浄度を維持でき、しかも、両出入口
によて形成されるクリーンルーム連通路内で外部
空間よりも高圧の清浄気体空間となつて、外部空
間から連通路内に塵埃が侵入することを確実に阻
止できる。

したがつて、上述クリーンルーム連通状態下で
定置クリーンルームと移動クリーンルームとにわ
たつて清浄保持必要物を運搬することにより、定
置クリーンルームから移動クリーンルームへの搬
出、及び、移動クリーンルームから受入側定置ク
リーンルームへの搬入に際しての塵埃汚染を確実
に回避でき、又、運搬車による運搬途中において
は移動クリーンルームによる清浄維持で塵埃汚染
を回避でき、それらのことにより、運搬に伴なう
清浄保持必要物の汚染を確実に防止できるように
なつた。

上述の結果、次の効果がある。

() 清浄面における清浄保持必要物の最終品質
を向上できる。

() 搬出・運搬に際しての汚染防止用包装を簡
略化ないし皆無にできて、包装に要する経費を
大巾に削減できると共に、作業能率を向上でき
る。

次に実施例を図面に基づいて説明する。

食品や半導体等の清浄保持必要物Ｇを製作・加
工する第１室１を垂直層流型クリーンルームで、
かつ、清浄保持必要物Ｇの搬入・搬出を行なう第
３室３、及び、第１室１と第３室３との間に位置
する前室としての第２室２を乱流型クリーンルー
ムで構成した出荷側及び受荷側工場の夫々におい
て、各室１，２，３に対する空調器A₁，A₂及び
外気調和器PA₁，PA₂に内蔵した給気フアンF_1〜4
の回転数制御、各室１，２，３から室内空気を排
出する排気フアンR₁，R₂の回転数制御、並びに、
給気ダクトや排気ダクトに介装したダンパＤの開
度制御等を、各室１，２，３に付設した室圧検出
センサーS₁，S₂，S₃からの情報をフイードバツク
させながらコンピユータ制御装置Ｃにより自動的
に行なわせ、それら自動制御による室圧制御で、
第１室１の室圧P₁、第２室２の室圧P₂、及び第
３室３の室圧P₃を、それらが常に大気圧Paより
高く、かつ、常に第１室１側ほど高圧P₁＞P₂＞
P₃＞Paとなるように維持することにより、第１
室１側ほど室内清浄度を高く維持する。

図中faは、各室１，２，３に加圧供給する空気
を清浄化するフイルターである。

他方、バツテリーを電源とする塔載フアンF₅、
及び、塔載空調器A₃から供給される加圧空気を
フイルターfbを介して車体後方向きに吹出し、か
つ、車体後部に備えた運搬品出入口４とそれを閉
塞するドア５との間の隙間から室内空気を排出す
ることにより室圧Pbを大気圧Paより高く維持す
る水平層流型の移動クリーンルーム６を運搬車７
に装備しておく。

前記第３室３の運搬物出入口８、及び、移動ク
リーンルーム６の運搬物出入口４の夫々におい
て、アクチユエータ９，１０により伸縮操作され
る連通路形成用ジヤバラ体１１，１２を第３室３
及び、移動クリーンルーム６に気密状に連通接続
し、それらジヤバラ体１１，１２の先端周部に、
互いにほぼ合同形状の接合用枠１３，１４を取付
けておくと共に、各出入口８，４を開閉するドア
１５，５を接合用枠１３，１４に対して摺動させ
る状態で開閉操作するドア用アクチユエータ１
６，１７を設けておく。

前記出荷側工場において製作・加工された清浄
保持必要物Ｇを前記運搬車７により受荷側工場に
運搬するに際して、それら工場と運搬車７との間
での清浄保持必要物Ｇの受渡しを次の如く行う。

(イ) 移動クリーンルーム６の出入口４と第３室３
の出入口８とを対向させるようにして運搬車７
を所定受渡し位置に停車させる。

(ロ) 工場側コンピユータ制御装置Ｃの端末器LC
に、移動クリーンルーム側制御回路の出入力端
子Ｊを接続する。

(ハ) コンピユータ制御装置Ｃに受渡し作業開始指
令を与えることにより、先ず、コンピユータ制
御装置Ｃにアクチユエータ９，１０，１６，１
７を自動操作させて、両出入口４，８のドア
５，１５を開き、かつ、両ジヤバラ体１１，１
２を伸長作動させて、そして、ジヤバラ体１
１，１２の伸長に伴ない両接合用枠１３，１４
が対向接当するクリーンルーム連通完了時点で
ジヤバラ体１１，１２の伸長を停止させる。

尚、接合用枠１３，１４には、それらが対向
接当した状態でそれらの間に所定の隙間ｄが形
成されるように、接合パツキンが省略されると
共に、隙間間隔規制用の突状当り部１３ａ，１
４ａがドア１５，５の支障とならないように備
えられている。

又、両接合用枠１３，１４の接合面は、それ
らの接合が多少位置ズレしてもジヤバラ体１
１，１２による連通路Ｌ形成に支障が無いよう
に夫々全周にわたつて巾広に形成されている。

(ニ) 移動クリーンルーム６に付設した室圧検出セ
ンサーS₄からの情報を端末器LCを介してフイ
ードバツクさせながら同じく端末器LCを介し
てコンピユータ制御装置Ｃに運搬車側塔載フア
ンF₅の回転数制御を行なわせることにより、
工場側コンピユータ制御装置Ｃに移動クリーン
ルーム６の室圧制御をも自動的に行なわせ、そ
の移動クリーンルーム側自動室圧制御と前述コ
ンピユータ制御装置Ｃによる工場側各室１，
２，３の自動室圧制御とにより、第３室３の室
圧P₃、及び、移動クリーンルーム６の室圧Pb
をドア５，１５の開放後も大気圧Paより高圧
で、かつ、互いに等しくなるP₃≒Pb＞Paのよ
うに調整し、更に、工場側各室１，２，３の室
圧バランスP₁＞P₂＞P₃＞Paを維持させ、もつ
て、工場側各室１，２，３、及び、移動クリー
ンルーム６内への外部空気侵入を防止して、各
室１，２，３，６の室内清浄度を維持させる。

(ホ) そして、両接合用枠１３，１４の対向接当が
完了した後においても、第３室３の室圧P₃と
移動クリーンルーム６の室圧Pbとを互いにほ
ぼ等しく、かつ、大気圧よりも高圧P₃≒Pb＞
Paに継続して維持させることにより、第３室
３に加圧供給した清浄空気と移動クリーンルー
ム６に加圧供給した清浄空気との両方を両接合
用枠１３，１４の間の隙間ｄから吐出させ、そ
れによつて、第３室３、及び、移動クリーンル
ーム６夫々への逆流的な空気侵入を防止しなが
ら、両ジヤバラ体１１，１２によつて形成され
たクリーンルーム連通路Ｌ内を第３室３及び移
動クリーンルーム６と同程度の清浄度に維持す
るクリーンルーム連通状態をつくり、もつて、
そのクリーンルーム連通状態下において清浄保
持必要物Ｇを前記連通路Ｌを介して、第３室３
から移動クリーンルーム６に、あるいは、移動
クリーンルーム６から運搬３に受渡すことによ
り、受渡しに伴なう清浄保持必要物Ｇの外部塵
埃汚染を確実に防止するのである。

(ヘ) 清浄保持必要物Ｇの受渡し完了後、コンピユ
ータ制御装置Ｃに受渡し作業完了指令を与える
ことにより、接合時と同様に自動室圧制御させ
て第３室３及び移動クリーンルーム６の室内清
浄度を維持しながら、接合時とは逆手順で両ジ
ヤバラ体１１，１２を自動的に短縮作動させ、
かつ、ドア５，１５を自動閉じ作動させて、ク
リーンルーム離間を完了する。

そして、クリーンルーム離間完了後、端末器
LCと運搬車側出入力端子Ｊと切離して、移動
クリーンルーム６の作動を運搬車側で独自に行
なわせるようにした後、運搬車７を発車する。

以上要するに、出荷側工場ないし受荷側工場
と運搬車７との間での清浄保持必要物Ｇの受渡
しを、上記クリーンルーム連通状態下で行な
い、かつ、運搬途中においては清浄保持必要物
Ｇを移動クリーンルーム６内に保管することに
より、運搬に伴なう清浄保持必要物Ｇの外部塵
埃汚染を確実に防止するのである。

次に別実施例を説明する。

工場側定置クリーンルーム３、及び、移動クリ
ーンルーム６の出入口８，４構成は種々の改良が
可能であり、又、それら両出入口８，４の対向連
通、及び、ドア１５，５開閉をコンピユータ制御
装置Ｃにより自動的に行なわせるに代えて、手動
操作で行なうようにしても良い。

定置クリーンルーム３に対して加圧供給する清
浄気体と移動クリーンルーム６に対して加圧供給
する清浄気体との両方を、対向連通状態の両出入
口４，８の間の隙間ｄから吐出させるに、定置ク
リーンルーム３、ないし、移動クリーンルーム６
の室内制御を人為操作で行なつても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本発明の実施例を示し、
第１図は、移動クリーンルーム連通過程を示す全
体概略図、第２図は、連通完了状態を示す部分概
略図、第３図は、移動クリーンルーム切離し状態
を示す部分概略図、第４図は、連通完了状態を示
す平面視図、第５図は、制御系統図である。 ３……定置クリーンルーム、４，８……出入
口、６……移動クリーンルーム、７……運搬車、
ｄ……隙間、Ｇ……運搬物、P₃，Pb……室圧。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 運搬車７に備えた移動クリーンルーム６の出
   入口４と定置クリーンルーム３の出入口８とを対
   向連通させると共に、前記移動クリーンルーム６
   に対して加圧供給する清浄気体、及び、前記定置
   クリーンルーム３に対して加圧供給する清浄気体
   を、前記両出入口４，８の間の隙間ｄから外部空
   間に吐出させるクリーンルーム連通状態をつく
   り、そのクリーンルーム連通状態下において、前
   記両クリーンルーム３，６の一方から他方に前記
   両出入口４，８を介して運搬物Ｇを移動する清浄
   保持必要物運搬方法。 ２ 前記クリーンルーム連通状態をつくるに際し
   て、前記両クリーンルーム３，６の室圧P₃，Pb
   を、それらがほぼ等しくなるように調整する特許
   請求の範囲第１項に記載の清浄保持必要物運搬方
   法。