JPH0331307Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は高周波加温用電極装置に係り、より詳
細には生体内の管腔臓器にできた腫瘍等に対する
加温治療等に適用され得る高周波加温用電極装置
に係る。

癌細胞等が正常細胞と比較して熱に弱いことを
利用して患部を加温することにより治療を行なう
高周波温熱治療は知られている。

従来の高周波加熱法では、例えば第１図及び第
２図に示す様に生体１の目標とする加熱部位２を
含む領域３を対向する２つの板状電極４，５では
さみ、高周波電源６でこの電極４，５間に高周波
電流を流すことにより温熱治療が行なわれてい
る。

この際、皮下脂肪層７と内腔臓器組織との間の
電気定数（導電率、誘電率）の違いの故に皮下脂
肪層７の方がより強く加熱される傾向があり、或
いは電極体近接部におけるより強い発熱のため患
者の熱感愁訴、表層組織の熱傷の危険性等があ
る。

従つて高周波発生部電極体の生体に接する又は
近接する部分に、生体に密着する可撓、気密性の
袋体を取り付け、前述の袋体内に冷媒を満たす又
は循環せしめる方法が提案されている。しかしな
がら、前述の方法では正常に作動している場合は
良いが、冷却媒体の導入圧変化、停止或るいは漏
洩等の不測の事態が生じた場合には、電極体が生
体と密着する虞れがあり安全面で不安視される。

しかも、この種の電極装置は一般に生体内外の
目標加温部に固定する装置を別途用意する必要が
ある。

本考案は、前述の諸点に鑑みなされたものであ
り、その目的とするところは、管腔臓器の目標部
位の空間の大きさに応じて管腔臓器壁部に適切に
固定され得る高周波加温用電極装置を提供するこ
とにある。

本考案によれば、前述の目的は、底壁及び当該
底壁の外周縁部に一体的に連結された側壁を有し
ており、可撓性高分子からなる肉厚容器と、対電
極と協働して当該対電極との間に電流を流すべ
く、底壁の内面に配置される変形容易な電極体
と、肉厚容器を密閉すべく、側壁の開口端に取り
付けられており、管腔臓器の表面の形状に適合す
るように変形自在な可撓性高分子膜と、前述の可
撓性高分子膜で密閉された肉厚容器内の空間に冷
却媒体を導入すべく、肉厚容器に設けられた冷却
媒体導入路と、前述の導入された冷却媒体を空間
から排出すべく、肉厚容器に設けられた冷却媒体
排出路と、底壁の外面と協働して気密性の気体収
容部を形成すべく、底壁の外面に固着されてお
り、伸長・膨脹し得る可撓性膜と、前述の形成さ
れた気体収容部に気体を導入すると共に当該導入
された気体を気体収容部の外部に排出すべく、可
撓性膜に取り付けられた気体導入排出管とを備え
る、生体内の管腔臓器を温熱治療するための高周
波加温用電極装置により達成される。

本考案の電極装置は、肉厚容器の底壁の外面と
協働して気密性の気体収容部を形成すべく、底壁
の外面に固着されており、伸長・膨脹し得る可撓
性膜を有するが故に、電極装置を管腔臓器の目標
部位の空間の大きさに応じて気体収容部に導入す
る気体の量を調節することによつて、電極装置
は、管腔臓器の壁部に適切に固定され得る。

以下に、本考案を図面の実施例に基づいて説明
する。

第３図は、本考案の加温用電極の斜視図であ
り、第４図にその断面図を示す。

１１は適用する生体形状との適合性に優れる合
成又は天然のゴム、例えばシリコンゴム等からな
る可撓性高分子製の肉厚容器である。肉厚容器１
１は、底壁２０と、底壁２０の外周縁部に一体的
に連結された側壁２１とを有している。肉厚容器
１１の形状、大きさ等は使用目的に応じて任意に
設計すれば良く、例えば経腔用の電極にあつて
は、設置、抜去の容易さから外寸法30〜90mm、肉
厚８〜25mm、深さ５〜15mm程度の扁平楕円状を例
示し得る。肉厚容器１１の開放面と反対側の内面
には電極体１２が配設されている。即ち電極体１
２は対電極と協働して当該対電極との間に電流を
流すべく底壁２０の内面に配置される。電極体１
２は銅、銀等の電気良導体からなり、変形容易な
板状、箔状、網目状等を例示し得る。電極体１２
の形状は肉厚容器１１の外観形状に必ずしも依存
する必要はない。電極体１２には肉厚容器１１の
壁部を貫通し、電源（図示せず）と接続するため
の導線１７が設けられている。肉厚容器１１の開
放面部は気密な空間１３を形成すべく、管腔臓器
の表面の形状に適合するように変形自在な可撓性
高分子膜１４で密閉されている。即ち、可撓性高
分子膜１４は肉厚容器１１を密閉すべく、側壁２
１の開口端に取り付けられる。可撓性高分子膜１
４で密閉された肉厚容器１１内の空間１３には、
冷却媒体給排手段（図示せず）から肉厚容器１１
に具備する冷却媒体導入路１５及び冷却媒体排出
路１６を介し水又は食塩水等の冷却媒体が循環さ
れるようになつている。

冷却媒体導入路１５は、空間１３に冷却媒体を
導入すべく、肉厚容器１１に設けられており、ま
た冷却媒体排出路１６は、導入された冷却媒体を
空間１３から排出すべく、肉厚容器１１に設けら
れている。

冷却媒体は加温治療時の局部加熱を防止する目
的で使用する。前述の冷却の使用目的を効果的に
達成するため、可撓性高分子膜１４としては膜厚
0.2〜0.5mm程度の天然又は合成のゴム等よりなる
伸長・拡張可能な高分子膜を例示し得る。又、加
温状態の監視のためのセンサーを必要に応じこの
可撓性高分子膜１４の外表面にあらかじめ設置す
る。

１８は肉厚容器１１の表面部に接着剤等で接合
された可撓性膜としての気密性袋体であり、気体
導入排出管としての導管１９を介し、空気等の気
体が導入排出されるようになつている。

気密性袋体１８は、底壁２０と協働して気密性
の気体収容部を形成すべく、底壁２０の外面に固
着されている。

気密性袋体１８は、導入気体で容易に伸長・膨
脹するシリコーンゴム或いは天然ゴム等よりなる
成形体乃至バルーン等が管腔臓器内例えば腔内に
挿入された電極装置を確実に固定留置できる点で
使用される。

導管１９は、底壁２０と気密性袋体１８との間
に形成された気体収容部に気体を導入すると共
に、当該導入された気体を気体収容部の外部に排
出すべく、気密性袋体１８に取り付けられてい
る。

第３又は第４図において気密性袋体１８内に対
する気体の流路はワンパスを例示するが、複数路
を形成するようにしても良い。

以下に、本考案の電極装置の使用例を説明す
る。本考案の電極装置を気密性袋体１８をしぼま
させた状態で腔内に挿入し、目標加温部に肉厚容
器１１の開放面が位置するように設置する。次で
冷却媒体導入路１５を介し、冷却媒体を空間１３
に導く。更に導管１９を介して、空気等の気体を
気密性袋体１８に導入し気密性袋体１８の膨脹を
利用し適度な圧力で目標加温部に電極装置が固定
されるようにする。前述のように目標加温部に留
置された本考案の電極装置は対電極としての体外
電極と協働せしめ高周波加温治療を実施し得る。
この場合、体外電極として本考案の電極装置より
10倍以上大きい電極部面積をもつ電極（不感電
極）を用いることで、本考案の電極装置が位置す
る目標加温部を効果的に治療し得る。また、本考
案の電極装置では、肉厚容器１１の裏面部への高
周波電流の回り込みを極力少なくし得る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は高周波加温治療法の一般的
な説明図、第３図は本考案の一実施態様を示す詳
細説明図、第４図は第３図の断面図である。 １１……肉厚容器、１２……電極体、１３……
空間、１４……可撓性高分子膜、１５……冷却媒
体導入路、１６……冷却媒体排出路、１７……導
線、１８……気密性袋体、１９……導管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底壁及び当該底壁の外周縁部に一体的に連結さ
   れた側壁を有しており、可撓性高分子からなる肉
   厚容器と、対電極と協働して当該対電極との間に
   電流を流すべく、前記底壁の内面に配置される変
   形容易な電極体と、前記肉厚容器を密閉すべく、
   前記側壁の開口端に取り付けられており、管腔臓
   器の表面の形状に適合するように変形自在な可撓
   性高分子膜と、前記可撓性高分子膜で密閉された
   肉厚容器内の空間に冷却媒体を導入すべく、前記
   肉厚容器に設けられた冷却媒体導入路と、前記導
   入された冷却媒体を前記空間から排出すべく、前
   記肉厚容器に設けられた冷却媒体排出路と、前記
   底壁の外面と協働して気密性の気体収容部を形成
   すべく、前記底壁の外面に固着されており、伸
   長・膨脹し得る可撓性膜と、前記形成された気体
   収容部に気体を導入すると共に当該導入された気
   体を気体収容部の外部に排出すべく、前記可撓性
   膜に取り付けられた気体導入排出管とを備える、
   生体内の管腔臓器を温熱治療するための高周波加
   温用電極装置。