JPS5929734Y2 - 高周波加温治療の腔所加温用電極装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、高周波加温治療に使用される生体の腔所を
対象とした加温用電極装置に係り、腔所の内面もしくは
その付近に生じた患部を、容易且つ確実に加温可能なら
しめんとするものである。

ところで、癌もしくはその他の腫瘍を構成する異常な細
胞組織と周囲の正常な細胞組織とを、共に４０℃以上の
温度範囲で加温すると、前者だけが後者よりも更に２〜
２．５℃程度高温になることは、よく知られている。

そこで近年に於ては、正常な細胞組織を、壊死などの影
響がない４３℃以下の温度範囲内に保たせるよう留意し
乍ら加温して、異常な細胞組織だけを、４５℃前後の温
度域にまで上昇させることにより、異常な細胞組織の壊
死崩壊を図り、もって癌などの患部を治癒させる方法が
、いわゆる加温療法（ハイパーサーミア）として注目さ
れ始めている。

かかる加温療法を実施する場合の加温源としては、生体
内における患部の存在部位に応じて種々のものが試用さ
れている。

例えば、生体表層部に存在する患部に対しては、これを
白熱灯で加温することが行なわれ、膀胱癌に対しては膀
胱内へ注入した温水で患部を加温することが行なわれて
いる。

然し乍ら、これらの加温源では、患部中心まで充分に加
温し得なくて、その加温源に近い個所だけが局部的に加
温される結果を招き易く、従ってまた、生体の深部に存
在する患部に対しては効果がない。

これに対して高周波エネルギーの誘電加熱を応用する高
周波加温では、患部を両側から挾むようにして生体表面
に添接させた２個の電極体間へ高周波エネルギーを与え
て、その患部を誘電加熱により加温しようとするもので
あるため、該患部が生体の深部に存在する場合でも、そ
れなりの効果を期待できる。

但しこの高周波加温でも、患部が生体内部の腔所、例え
ば前記した膀胱や子宮あるいは食道、更には直腸や鼻腔
などに生じたものである場合は、その腔所で、高周波エ
ネルギーの伝播が妨げられるため、患部を充分には加温
し難い憾がある。

本考案は、高周波加温治療における上記したような従来
の問題に対処して、生体の腔所に生じた患部をも充分に
加温可能ならしめるため、高周波発生源へ接続された一
対の対向電極を使用し、腔所に挿入されるバルーンの内
部へ、上記対向電極の一方を収めると共に食塩水を満た
して該バルーン全体を腔所用電極とし、残る他方の電極
を体外用電極体として、それら両電極体で腔所内の患部
を挾むようにしたものである。

以下これを図面に示す実施例について詳述する。

図に於て１は生体、２はこの生体内部の腔所であって、
例えば膀胱などがこれに相当し、３はその腔所２を生体
１の外部へ開口する基管であって、例えば尿道などがこ
れに相当する。

４は上記した腔所２の内面もしくはその附近に生した患
部である。

これに対して本考案における腔所加温用電極体Ａは、次
のように構成されている。

即ち１１は前記の腔所２内で膨らませられるバルーン、
１２はこのバルーン１１に一端で連続したパイプである
。

然して上記のバルーン１１は、ゴムもしくは合成樹脂等
の薄くて柔軟性があり且つ電気絶縁性を備えた素材から
作られ、腔所２内で膨らませたとき該腔所の全体へ内接
させ得る大きさとなるように配慮されている。

また上記のパイプ１２は、形状を自己保持できるだけの
強さを有し乍らもなお柔軟性があり且つ電気絶縁性を備
えたゴムもしくは合成樹脂等の素材から作られ、腔所２
に通じた基管３へ通し得るだけの細さと、腔所２から基
管３を経て生体１の外部になお余剰分を残し得る長さと
を有するように配慮されている。

更にこれらのバルーン１１とパイプ１２とは、当初から
一体に連続するよう製作しても良いが、個別に製作した
後に於て適当な接続手段で連続させるようにしても良い
。

１３は上記バルーン１１の内部に納められた微小電極で
あって、これに接続されたコード１４は、上記パイプ１
２の内部を通して該パイプの他端近くから外部へ引き出
されている。

１５は上記のバルーン１１内へ食塩水１６を注入して該
バルーンを膨らませるため注入ポンプであり、上記パイ
プ１２の他端に接続されている。

然して上記食塩水１６の塩分濃度は、バルーン１１の全
体を電極化するために、生理的食塩水のそれよりも濃い
方が良くて、例えば３％ぐらいとするのが適当であり、
またこの食塩水１６としては、できるだけ不純物を含ま
せないようにするため、蒸溜水に純粋な塩化ナトリウム
を溶解させたものが適当である。

一方、腔所２の種類によっては、バルーン１１の内接状
態を維持させ難いことがある。

即ち＠胱にあっては、腎蔵から尿が常時少量ずつ送られ
て来て溜まり、これがバルーン１１の内接状態を阻害す
る。

そこで、このような腔所を対象とする電極体Ａ′に於て
は、第２図に例示する如く、排尿用の更に細いパイプ１
７が、バルーン１１及び前記のパイプ１２へ貫通させら
れ、その一端はバルーン１１の外周面適所で開口１８シ
、他端１９はパイプ１２の後端から外部へ引き出される
。

なお、上記の如く構成された本考案における腔所電極体
Ａは、生体１の表面へ添接される今一つの体外用電極体
Ｂと併用される。

この電極体Ｂとしては、昭和５４年実用新案登録願第１
６７３７１号に係る加温用電極体が適当である。

即ちこの電極体Ｂは、蒸溜水２１で満たされた水パット
２２と、該パッドの上面に重合し被覆された薄膜状電極
２３と、該電極に接続されたコード２４とからなってい
る。

かかる２個の加温用電極体Ａ、Ｂら引き出されたコード
１４．２４は、コネクター２５．２５及び中継コード２
６．２６を介して高周波発生源２７へ接続されるものと
する。

ところで、上記した腔所用電極体Ａは、次のように使用
される。

まず生体１の腔所２内へ、基管３を通じてバルーン１１
を挿入し、該バルーンに連続したパイプ１２は、基管３
から生体１の外部へ引き出しておく。

然してバルーン１１は、腔所２への挿入時には嵩が低く
なるようにすぼませられ、挿入後には注入ポンプ１５で
パイプ１２を介し食塩水１６を注入して膨らませられる
。

すると、その挿入されたバルーン１１は、腔所２の全体
へ内接させられて、患部４を直接的に覆うことになる。

これに対して、併用される体外用電極体Ｂは、腔所２内
のバルーン１１とで患部４を挾む如く、生体１の表面に
添接される。

かかる状態に於て、両電極体Ａ、Ｂの微小電極１３と薄
膜状電極２３との間へ、高周波発生源２７からコード２
６．２６及び１４．２４を介して高周波エネルギーを供
給せしめる。

すると腔所２内のバルーン１１は、内部が導電性ある食
塩水１６で満たされているため、その全体が電極化され
る。

即ち腔所用電極体Ａは、その電極化されたバルーン１１
で、腔所２内の患部４へ確実に添接されていることにな
る。

従って供給された高周波エネルギーは、その電極化され
たバルーン１１と、もう一方の電極体Ｂとの間で、生体
１のそれら両者間に挾まれた部分を誘電加熱することに
つき、有効に費され、患部４の温度だけが周囲の正常な
細胞組織からなる部分よりも２〜２．５℃だけ高くなる
ように加温せしめ得る。

以上の如く、本考案は高周波発生源へ接続された一対の
対向電極を使用し、腔所に挿入されるバルーンの内部へ
、上記対向電極の一方を収めると共に食塩水を満たして
、該バルーン全体を腔所用電極体とし、残る他方の電極
を体外用電極体として、それら両電極体で腔所内の患部
を挾むようにしたものであるから、このような加温用電
極装置を高周波加温治療に使用するときは、該電極体を
腔所の内面もしくはその附近に生じた患部へ確実に添接
させ得て、高周波発生源から人力される高周波エネルギ
ーを上記患部の加温に有効に費させることができ、従っ
て生体の腔所、例えば膀胱、子宮。

食道、直腸もしくは鼻腔なでへ生じた患部に対しても、
高周波加温治療の適用を可能ならしめ得て、充分な治療
成果を挙げさせ得る効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す欠截側面図、第２図は他
の実施例を示す欠截側面図である。 １・・・・・・生体、２・・・・・・腔所、４・・・・
・・患部、１１・・・・・・バルーン、１２・・・・・
・パイプ、１３・・・・・・微小電極、１４・・・・・
・コード、１５・・・・・・注入ポンプ、１６・・・・
・・食塩水。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高周波発生源へ接続された２個の対向電極からなる電極
   装置であって、生体の腔所へ挿入される柔軟で電気絶縁
   性をもったバルーンの内部へ、これに接続したパイプを
   通して上記対向電極の一方を収めると共に、上記腔所に
   挿入された状態で食塩水を満たして、このバルーン全体
   が腔所用電極体とされ、上記対向電極の他方がその腔所
   用電極体と一対な体外用電極体とされていることを特徴
   とする高周波加温治療の腔所加温用電極装置。