JPH0329537B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は、充分に剛性が足りずチヤツクを変形
を起しそうなワーク、例えばリング状ワークを変
形させることなく保持する真空チヤツクに関す
る。

［従来技術］ 従来チヤツク変形を起しそうなワーク、例えば
リング状ワークを高精度に加工する場合には、一
般に開き雇、ネジ雇などにてワークを保持してい
た。而して開き雇の場合は、ワーク内径の真円が
でていない場合にはワークに均等に力がかからず
ためにワークをラジアル方向に変形させることと
なり、又ネジ雇の場合は、ネジが高精度にでき上
がつていない場合あるいは雇スラスト受け部とネ
ジ部との直角がでていない場合には、ワークを締
め込んだ際にスラスト受け部あるいはネジ部にて
片当りを起こし、ワークをスラスト方向に変形さ
せることとなる。

なお他の方法として真空でワークを吸着保持す
る真空チヤツク方式が用いられる場合があるが、
しかしながらこの真空チヤツク方式においても従
来の方法においては、ワークを確実に保持できる
充分な真空力をかけると、吸着されるワークの基
準面が吸着治具の基準面にならい吸着されること
から、ワーク基準面の平面度が高精度にでていな
い場合にはワークが基準面にならつて変形してし
まうことになる。この場合前記変形を防ぐため吸
着真空力を低下すると、ワークの変形は防止され
るものの、保持力が低下するため切削中にワーク
がラジアル方向に移動し、ためにワークの加工精
度が低下してしまうこととなる。

このように、従来の保持方法においては何れも
ワークを変形することなく且つ確実に保持するこ
とができず、従つてワークの加工精度が低下して
しまう欠点があつた。

［発明の目的］ 本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
で、その目的は、ワークの剛性が弱くても、ワー
クを変形させることなく確実に保持できるように
した真空チヤツクを提供することにある。

本発明は、上述の目的を達成するために、ワー
クを保持する真空チヤツクにおいて、真空源に通
じた真空穴をそれぞれ備えた複数のワーク保持用
真空吸着受け面を有するチヤツク本体と、複数の
ワークピン穴を備えたワークの一方のワークピン
穴に挿入される様に前記チヤツク本体に固定さ
れ、前記ワーク保持用真空吸着受け面に吸着され
た前記ワークの回転方向及びラジアル方向の移動
を抑止するための基準となる基準ピンと、前記ワ
ークの他方のワークピン穴に挿入される様に前記
チヤツク本体に設けられ、前記チヤツク本体に対
して移動する移動ピンと、前記ワーク保持用真空
吸着受け面に吸着された前記ワークの回転方向と
略同方向に前記移動ピンに予圧をかける付勢手段
を設けている。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例について添付図面を参
照して説明する。図面は本発明による真空チヤツ
クの一実施例を示し、第１図ａ，ｂは真空チヤツ
クの平面並びに側断面図、第２図は第１図の移動
ピン部の詳細断面図、第３図はワークの平面図、
第４図はワークを真空チヤツクに保持したときの
ピンの作用を示す説明図である。

先づ第１図を参照すると、図は真空チヤツクの
構成を示すものであるが、２は真空吸着受け面で
リング状真空チヤツク治具本体１上に等間隔に３
個配設され、真空穴８を介して真空源９に通じて
いる。３は基準ピンで２つの真空吸着受け面２，
２の中央に固定して配設されている。４は移動ピ
ンで別の２つの真空吸着受け面２，２の中央に配
設され、第２図に詳しく示すように移動コマ５に
固定され、コイルバネ（付勢手段）６並びに支持
ピン７により円周接線方向即ち基準ピン３に対し
角度αが120゜方向に付勢・予圧がかけられてい
る。１０は治具インローで、破線で示すリング状
のワーク１１の内径部と嵌合する。なお、第３図
はワーク１１を示すが、ワーク１１には、その真
空チヤツク１の基準ピン３並びに移動ピン４に対
応する位置にこれらピン３，４が挿入するワーク
ピン穴１２が設けられている。

このような構成において、ワーク１１を保持す
るときは、第４図に示すようにワーク１１の内径
部を真空チヤツクの治具インロー１０に嵌合しワ
ークピン穴１２に基準ピン３並びに移動ピン４を
挿入するが、このときワーク１１は３ヶ所の真空
吸着受け面２で吸着保持されるので、ワーク基準
面の平面度が高精度に仕上げられていなくてもワ
ーク１１はその全面を吸着されることがないので
変形を起すことなく最も安定した状態で保持され
る。またこれと同時に、ワーク１１には移動ピン
４による予圧がその回転方向αと同方向にかけら
れることになるので、ワーク１１はワークピン穴
１２においてその回転方向ａが基準ピン３に押し
付けられ回転方向の移動が抑止されると共に、ワ
ークピン穴１２が基準ピン３に押し付けられると
同時にワーク１１の内径部が位置１３で治具イン
ロー１０に押し付けられラジアル方向の移動も抑
止される。

このように、ワークは、従来の全面吸着方式に
おけるようにワーク基準面が治具基準面にならつ
て変形を起すようなことがなくまた回転方向並び
にラジアル方向の移動も完全に抑止されるのでワ
ークはその加工中・変形を起すことなくまた移動
することなく最も安定した状態で保持されること
となり、従つてワークは平面度、平行度、真円
度、同軸部の総てに亘つて極めて超精密に加工さ
れる。

なお、ワークの厚さ等が変わりワークの剛性が
変わるとワークの吸着力及び移動ピンの予圧量を
変更する必要が生ずるが、吸着力の調整は真空源
の真空力を調整することにより、また予圧力の調
整はコイルバネを変更することにより、夫々容易
に調整することができる。また、ワークの回転方
向を変更する場合は、ワークピン穴を予圧方向を
逆に付勢した他の移動ピンに挿入するようにす
る。

また、上記の実施例においては、真空吸着受け
面を３ヶ所とし、基準ピン並びに移動ピンを夫々
２つの吸着受け面の中央に配設した場合について
述べたが、上記に限定されることなく、ワークの
寸法或いは形状に応じ吸着受け面の個数を３個以
上に、或いはピンの配設角度位置を他の適切な角
度位置に変更しても構わないことは勿論である。
また移動ピンを２個配設しワークの回転方向によ
り何れか一方を用いるようにしたが、移動ピンを
一個にしワークの回転方向によりその付勢方向を
変更するように構成することもできる。更に移動
ピンの付勢方法は、コイルバネを用いることなく
他の方法例えばシリンダ等を用いても構わない。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明によれば、ワークは
複数個の真空吸着受け面により保持されるもので
あるから、ワーク基準面の平面度が高精度にでて
いない場合でもワークを変形することなく保持で
きる利点がある。また、ワークは基準ピン並びに
移動ピンによりその移動が抑止されるものである
から、ワークを加工中移動することなく保持でき
る利点がある。更に吸着受け面の吸着力並びに移
動ピンの予圧量は真空度並びに付勢手段を調整・
変更することにより簡単に調整することができる
から、ワークをその剛性の強弱に応じて最も安定
した状態で保持することができ、従つてこのよう
にして剛性の異なる多種類のワークをその平面
度、平行度、真円度、同軸度の総てに亘つて極め
て超精密に加工できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明による真空チヤツクの一実施例を
示すもので、第１図ａ，ｂは真空チヤツクの夫々
平面及び側断面図、第２図は第１図の移動ピン部
の詳細断面図、第３図はワークの平面図、第４図
はワークを真空チヤツクに保持したときのピンの
作用を示す説明図である。 １……真空チヤツク治具本体、２……真空吸着
受け面、３……基準ピン、４……移動ピン、５…
…移動コマ、６……コイルバネ、７……支持ピ
ン、８……真空穴、９……真空源、１０……治具
インロー、１１……リング状ワーク、１２……ワ
ークピン穴。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 真空源に通じた真空穴をそれぞれ備えた複数
   のワーク保持用真空吸着受け面を有するチヤツク
   本体と、複数のワークピン穴を備えたワークの一
   方のワークピン穴に挿入される様に前記チヤツク
   本体に固定され、前記ワーク保持用真空吸着受け
   面に吸着された前記ワークの回転方向及びラジア
   ル方向の移動を抑止するための基準となる基準ピ
   ンと、前記ワークの他方のワークピン穴に挿入さ
   れる様に前記チヤツク本体に設けられ、前記チヤ
   ツク本体に対して移動する移動ピンと、前記ワー
   ク保持用真空吸着受け面に吸着された前記ワーク
   の回転方向と略同方向に前記移動ピンに予圧をか
   ける付勢手段を有することを特徴とする真空チヤ
   ツク。