JPH0329431B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は脱水洗濯機における共振時の振幅を少
なくする防振装置に関するものである。

従来例の構成とその問題点 脱水洗濯機においては、脱水時、脱水兼洗濯槽
（以下水槽という）が高速回転するが、その回転
上昇中、振動系の固有振動数と回転による振動数
が合致した時、共振現象を起し振幅（振れまわ
り）が極めて大きくなり、いわゆる危険速度状態
となる。この時、振動系に効果的に減衰構造を施
せば、若干振幅が大きくなるだけですみやかに共
振点を通過するが、簡単な構成で安定した性能を
有する装置はなかつた。

従来の構造を第１図〜第４図によつて説明す
る。１は本体であり、その内部に、洗濯受槽２を
支持杆３にてサスペンシヨン４を介して垂下防振
支持する。５は洗濯受槽２の側板に設けた下部の
支持体であり、洗濯受槽２はこの下部の支持体５
にてサスペンシヨン４上部に弾性支持されるもの
である。６は水槽であり、その内部にて衣類の洗
濯作用を行い、かつ高速回転させて脱水作用を行
う。この時、水槽６内部に衣類が均一に分布する
ことはまれであり、不均一分布をなしたまま脱水
作用を行うことになる。この衣類の不均一は、回
転物のアンバランスとなり、振動を発生させるも
のである。今、支持杆３およびサスペンシヨン４
等の防振系にて支持された構造を振動系と称す
る。この振動系および防振系にて必然的に構成さ
れるものに固有振動数というものがある。もし、
脱水時振動系の生ずる振動数と、前記固有振動数
が合致した場合は、振動系の振幅は極めて大きく
なり、例えば上下にはね上つたり本体１に衝突し
たり、あるいは回転軸が危険速度時の破損を招く
という、通常共振点と称する状態になる。これを
防振するためには減衰機構によつて振幅を押えね
ばならない。

通常の減衰方法として用いられるものに、エア
ダンパーによる方法と、摩際力による方法があ
り、例えば、前者のエアーダンパーによる方法
は、第２図に示すように支持杆３下端に配し、外
周にシール部を有するゴム性のキヤツプ７と、支
持杆３を中央部で貫通し、前記ゴム性のキヤツプ
７に内周で接触するような円筒部からなるスライ
ダー８により形成され、水槽６の振動によりスラ
イダー８内部の空気が外部へ流出入する時に減衰
効果を奏するものであり、減衰性能としては非常
に安定性があり、減衰効果も大きいが、キヤツプ
７及びスライダー８にきびしい寸法精度を必要と
し、かつ特別な表面処理を行なわねばならないた
め、コストが極めて高いという欠点があつた。

又、摩擦力による方法として、例えば、第３
図、第４図に示すように、下方に径を縮小する勾
配部８ａと溝部８ｂを設けた逆円錐台形状のスラ
イダー８と、その下方に前記スライダー８の勾配
部８ａに接触する形状の減衰具９を設け、振動系
の重量により、前記スライダー８が支持杆３を押
圧するような分力Ｐが発生し、支持杆３とスライ
ダー８の摩擦により減衰させるものである。この
方法はコストが安いという利点があるが、前記ス
ライダー８と減衰具９との摩擦により、前記分力
Ｐが安定して作用せず、減衰性能が不安定で、か
つ、大きな減衰力を得られないという欠点があつ
た。

発明の目的 本発明はこのような従来の欠点を除去するもの
で、減衰装置を簡略な構成とし、コストを低減さ
せ、かつ、安定した性能を得ることを目的とした
ものである。

発明の構成 本発明の脱水洗濯機の防振装置は、脱水兼洗濯
槽を本体上部より防振支持した支持杆を、横断面
形状を非円形とし、かつ縦方向にねじれを設け、
この支持杆には、支持杆と同形状の貫通穴を有す
るとともに前記洗濯受槽に設けた支持体により受
けられたスライダーを備え、支持杆のねじれによ
るスライダーの回転時に支持体との間に摩擦力を
生じさせ、その摩擦力により防振をするものであ
る。

実施例の説明 以下本発明の実施例を図面とともに説明する。
第５図、第６図において、第１図〜第４図と同一
部分は同一符号で示している。ここで、洗濯受槽
２に固着した下部の支持体５の開孔１０には、横
断面形状が、非円形で、かつ縦軸方向に若干のね
じれを有する支持杆３を貫通している。支持杆３
の下端にはバネ押え１１を装着し、その上部に圧
縮型のサスペンシヨン４を配する。一方、下部の
支持体５とサスペンシヨン４の間には、前記支持
杆３の横断面形状と同じ形状の貫通穴８ａを持つ
たスライダー８を前記支持杆３に貫通させて配し
ている。

スライダー８には、洗濯受槽２等の振動系の重
量及び、衣類の不均一分布により生ずる交番荷重
が作用し、その結果、スライダー８は前記支持杆
３上を上下に繰り変し移動する。その際、支持杆
３はその縦軸に対しねじれを持つており、かつ横
断面が非円形であることから、スライダー８は支
持杆３上を移動した場合、必然的にネジの原理で
縦軸まわりに回転することになる。ところが前記
のようにスライダー８はサスペンシヨン４と下部
の支持体５の間に、振動系の重量に相当する力で
挾持されているため、スライダー８と下部の支持
体５の摩擦力により回転は妨げられ、その結果と
して、支持杆３上の上下の繰り返し移動も抑止さ
れ、水槽２の共振回転時におけるスライダー８の
最大振幅を低減させ減衰効果を奏する。

次に第７図において減衰力Ｆの値を説明する。
簡略のため、スライダ８及び下部の支持体５は円
形状とし支持杆の横断面形状は長方形とする。

第７図において Ｑ：スライダー８に掛かる力≒（振動系の重
量）／４ r₁、r₂：スライダー８の最大径と最小径 μ：スライダー８と下部の支持体５の摩擦係数 ａ：支持杆３の半径 θ：支持杆３のねじれの傾斜角 Ｆ：減衰力 スライダー８に生ずる面圧力をＰとすると、 Ｐ＝Ｑ／π（r₂ ²−r₁ ²） ……(1) スライダー８を回転させるために必要なトルク
T₁は、 T₁＝∫^r2 _r1μP2πrdrr＝2πμP∫^r2 _r1r²dr＝2πμP〔r³
／３〕^r2 _r1＝２／３πμP（r₂ ³−r₁ ³）……(2) (1)式より T₁＝２／３πμQ（r₂ ³−r₁ ³）／π（r₂ ²−r₁ ²）＝２／
３μQ（r₂ ²＋r₂r₁＋r₁ ²）／（r₁＋r₂）……(3) スライダー８をトルクT₁で回転させた場合に
支持杆３を移動するときの力Ｆは、 Ｆ＝T₁／ａ tanθ ＝２／３μQ（r₂ ²＋r₂r₁＋r₁ ²）／ａ（r
₁＋r₂）tanθ……(4) (4)式においてＦは減衰力に相当し、例えば、脱
水共振時にスライダー８の上下の振幅（移動）が
激しければ、減衰力Ｆを大きくするために、(4)式
のねじれ角度θ、支持杆３の半径ａを小さくする
かあるいは摩擦係数μを大きくすれば良い。

発明の効果 本発明の脱水洗濯機の防振装置は、スライダー
と支持体の回転摩擦力により減衰させる構造であ
り、このスライダーと支持体の接触面積は比較的
大きいため、面圧力が小さく、従つてスライダー
及び支持体の摩耗が極めて少ない。又、仮に摩耗
した場合においても、振動系の重量が常にスライ
ダーの上面に作用しているため、摩擦力の変動等
も極めて少ない。又構成部品点数も少ないため、
コストも安く、極めて有効な効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す脱水洗濯機の縦断面図、
第２図、第３図はそれぞれ異なる従来例の要部縦
断面図、第４図は第３図におけるスライダーの斜
視図、第５図は本発明の実施例における防振装置
の要部断面図、第６図はスライダーと支持杆の関
係を示す平面図、第７図は第５図における装置の
動作説明図である。 １……本体、２……洗濯受槽、３……支持杆、
５……支持体、８……スライダー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 洗濯受槽を本体上部より防振支持する支持杆
   を、横断面形状を非円形とし、かつ、縦軸方向に
   ねじれを設け、この支持杆には、支持杆と同形状
   の貫通穴を有するとともに、前記洗濯受槽に設け
   た支持体により受けられたスライダーを備えた脱
   水洗濯機の防振装置。