JPH0329202Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、フオークリフトトラツク等の産業車
輌に用いられるソリツドタイヤ、更に詳しくはス
リツプ防止用の金網、針金等を埋設するソリツド
タイヤの改良に関する。

〔従来の技術〕

産業車輌、特にフオークリフトトラツクにおい
ては、ソリツドタイプのタイヤが一般に用いられ
る。そして、ソリツドタイヤは通常高荷重、低速
条件下で使用されるため、比較的硬度が硬くてト
レツドパターンのないプレーンタイヤとして、ウ
レタンゴム等を素材に用いて成形されるのである
が、冷凍室等のスリツプし易い作業環境にあって
は、凍結した床面に対してタイヤのグリツプ性が
低下するという不具合を有する。そして従来この
様な問題点の解決手段として、タイヤのゴム胴体
内にスリツプ防止用の金網、針金等を埋設する方
法が提案されている。その埋設方法として、次の
二つの方法が開示されている。

車輪のベースバンド側に金網、針金等の一端
を付けた状態にて埋設成型する様に設けられ
る。即ち、金網、針金等をベースバンドにより
位置決めし、同ベースバンドの外周面と、円輪
状に形成する金型の内周面間に延在させて設け
る方法。

金型の内周面に金網、針金等の一端を付けた
状態にて埋設成型する様に設けられる。即ち、
金型側にて金網、針金等の位置決めをする様に
設ける方法。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかして上記の様な金網、針金等の埋設方法に
あっては、ベースバンド側に特殊な加工を施した
り、可撓性の帯状体に金網、針金等を植設させ、
埋設成形後タイヤの表皮を切削加工して帯状体部
分を除去する必要が有り、加硫成形時の金型に対
する金網、針金等の組付け作業、特にその位置合
せが面倒であるという不具合を生ずる点に第一の
問題点を有する。

又、この様に金網、針金等を埋設する方法にあ
っては、上記の様な不具合に加えて、金網、針金
等の先端部がトレツド部表面に両幅方法に向けて
一列状に整列してしまうという不具合を有する。
即ち、この様な一列状の金網、針金等の先端部が
トレツド部表面に一定間隔毎に平行状態に露出す
るため、タイヤのクツシヨン性が損なわれてしま
うという不具合を生ずる点に第二の問題点を有す
る。

本考案は、上記の様な問題点を解決すべくその
改善を試みたものであつて、埋設成形が簡単で、
且つクツシヨン性に優れたソリツドタイヤを得る
ことが出来る様にする点に解決すべき問題点を有
する。即ち、金網、針金等に代えてスパイラル状
に形成する金属線を設けるとともに、同金属線を
植設する取付け部材を別体にて設け、同取付け部
材とベースバンド間にタイヤ素材を介在させて埋
設させたことを特徴とするものであつて、その具
体的な手段は次の通りである。

〔問題点を解決するための手段〕 コ字型の溝部を存して長帯状に形成する金属
素材を、溝部が外周方向に開口する如く螺旋状
に巻回させて金属線の取付け部材を形成する。
同取付け部材の内径部には両幅方向に延在させ
て固定部材を固着させる。又、金属線はスパイ
ラル状に屈曲させて形成し、放射方向に延在す
る如く上記溝部内に植設させる。

上記取付け部材を、同取付け部材とベースバ
ンドとの間に適宜の間隔を存して且つ金属線の
先端部がトレツド部表面と同一面上に存する如
くソリツドタイヤのゴム胴体内に埋設させる。
即ち、取付け部材はベースバンドに対して同心
円状に配置させて設けるとともに、金属線は同
取付け部材の周縁部とトレツド部表面に亘つて
延在させて設ける。

〔実施例〕

以下に本考案の具体的な実施例を例示の図面に
ついて説明する。

１はソリツドタイヤ、１′は同ソリツドタイヤ
１を構成するゴム胴体、２は車輪のベースバンド
を夫々示す。

３は後述する金属線６の取付け部材であつて、
同取付け部材３は金属材料を素材に用いて同ベー
スバンド２よりも若干大きな直径寸法と、同ベー
スバンド２よりも若干小さな幅寸法を存して螺旋
状に巻回させることにより形成される。即ち、同
取付け部材３は断面形状を略コ字型状に形成する
溝部を存して長帯状に形成され、同長帯素材をそ
の溝部が同取付け部材３の周縁部に沿つて外側に
向けて開口する如く螺旋状に巻回させて設けられ
る。又、同取付け部材３の内径部には一対の固定
部材４，４がその両幅方向に延在させて固着され
る。そして、同取付け部材３はゴム胴体１′内に
上記ベースバンド２と同心円を存して埋設され
る。即ち、同取付け部材３はベースバンド２との
間に適宜な間隔を存して埋設される。

６は前述の金属線であつて、同金属線６は一定
の長さ寸法を存してスパイラル状に形成され、そ
の一端は上記取付け部材３に取付けられる。即
ち、同金属線６は取付け部材３の周縁部に沿つて
形成する溝部内にその一端を挿入させ、同溝部を
形成する両立上り片によつて挟持させることによ
り取り付けられる。そして金属線６は、同取付け
部材３より放射方向に向けて延在させてゴム胴体
１′内に埋設され、その先端部はトレツド部５の
表面と同一面上に至る如く設けられる。

次にその製造方法について説明する。

金属の線材をスパイラル状に巻いて金属線６を
形成し、ゴム胴体１′の厚さ寸法に合わせて一定
長さ寸法に切断する一方、断面形状をコ字型状に
形成する溝部を存して長帯素材を設け、同長帯素
材の溝部に対してその長手方向に沿つて略一定間
隔毎に金属線６の一端を直立状に整列させて挿入
する。即ち、この様に長帯素材の溝部に対して金
属線６を直立状態に整列させた状態において、同
溝部を閉じる方向にその両立上り片を内側に向け
て折曲させることにより、両立上り片間に金属線
６の一端を挟持する状態が得られる。

そして又、この様に長帯素材の溝部に金属線６
を挟持させた状態において、同長帯素材を金属線
６が外側に向けて突出する如く螺旋状に巻回させ
ることにより、金属線６が取付け部材３に対して
その周縁部より外側に向けて放射状に延設する状
態が得られる。そして、上記の様に螺旋状に巻回
された長帯素材のその内径部に対して両幅方向に
延在させて一対の固定部在４，４を掛け渡し、こ
れを溶接することにより、第３図に表わす様に螺
旋状に巻回させて形成する取付け部材３と、同取
付け部材３に放射方向に延在させて植設する金属
線６を得ることが出来る。

第４図は金型の断面図、第５図は同平面図であ
つて、７は上型、８は下型、９は中型、１０は削
減リング、１１は注入口、１２は取つ手を夫々示
す。そしてこの金型内にベースバンド２は上型７
と下型８間に挟持させる事によつて、又、取付け
部材３は中型９の下端近傍部に形成する段部９′
に対して最下端部に位置する金属線６の先端部を
当接させて支承する事によつて、取付け部材３
を、ベースバンド２に対して同心円となる様に金
型の中にセツトする状態、即ち、ベースバンド２
と取付け部材３間に適宜な間〓を存して、金属線
６の先端部が金型の内周面に当接する状態が得ら
れる。

そこで注入口１１より金型内にウレタン等の液
状ゴムを充填し、加硫することにより、金属線６
を埋設するソリツドタイヤ１が得られる。

〔考案の効果〕

本考案は以上の様に構成されるものであつて、
上記の様に断面コ字型の溝部を存して長帯状に形
成する金属素材を同溝部が外周方向に開口する如
く螺旋状に巻回させて金属線の取付け部材を形成
し、同溝部にスパイラル状に形成する金属線を植
設される様にしたことにより、簡単な工程でスリ
ツプ防止用の埋設部材を組み立てることが出来る
に至つた。そして、この様にスリツプ防止用の埋
設部材を別体にて設け、同埋設部材をゴム胴体内
に埋設させる様にしたことにより、簡単にソリツ
ドタイヤを成形出来ることに加えて、その材料費
を節減出来るに至つた。即ち、従来の様にベース
バンドに特別な加工を施し、正確に位置合せしな
がら金網、針金等をセツトしたり、或いは埋設成
形した後に切削加工をするといつた面倒な作業が
不必要になり、これによつてより少ない材料で且
つ容易に金属線を埋設させることが出来るに至つ
た。

又本考案にあつては、上記の様にスパイラル状
に形成する金属線をその先端部がトレツド部表面
に臨む如く放射方向に延在させて上記取付け部材
に植設させる様にしたことにより、金属線の先端
部をトレツド部表面にランダムに露出させること
が出来るに至つた。そして、この様に金属線をラ
ンダムに露出させる様にしたことに加えて、取付
け部材をベースバンドよりも若干大きな直径を存
してゴム胴体内に同心円状に埋設させる様にした
ことにより、接地面の衝撃を、金属線の発条性に
よつて緩和させることが出来ることに加えて、取
付け部材とベースバンド間に介在するゴム素材に
よつても緩和させることが出来、これにより優れ
たクツシヨン性を具備するソリツドタイヤを得る
ことが出来るに至つた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るソリツドタイヤの断面
図、第２図は同側断面図、第３図は金属線を植設
した取付け部材の側断面図、第４図は金型の左半
部を表す断面図、第５は同平面図である。 １……ソリツドタイヤ、１′……ゴム胴体、２
……ベースバンド、３……取付け部材、４……固
定部材、５……トレツド部、６……金属線、７…
…上型、８……下型、９……中型、９′……段部、
１０……削減リング、１１……注入口、１２……
取つ手。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面コ字型の溝部を存して長帯状に形成する金
   属素材を上記溝部が外周方向に開口する如く螺旋
   状に巻回させると共に、同巻回部の内径側には両
   幅方向に延在させて固定部材４を固着させて金属
   線６の取付け部材３を形成し、同取付け部材３
   を、ベースバンド２よりも若干大きな直径を存し
   てゴム胴体１′内に同心円状に埋設させる一方、
   上記溝部にはスパイラル状に形成する金属線６を
   その先端部がトレツド部５表面に臨む如く放射方
   向に延在させて植設させて成る産業車輌用ソリツ
   ドタイヤ。