JPH0328767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、魚類を養殖する場合に、海水中に
おける魚類の遊泳を遮断する魚類の遊泳遮断装置
に関する。

〔従来の技術〕

一般に、魚類を養殖する場合、海水中にいけす
を設け、該いけす内において魚類の養殖を行なつ
ており、通常海水中に網を張りめぐらしていけす
を形成し、網によりいけすの外側への魚類の脱出
やいけすの内側への魚類の侵入を阻止している
が、養殖初期の段階では、養殖魚はまだ体長数cm
の稚魚であり、これらの稚魚の遊泳を遮断するた
めには、海水中に配設すべき網として非常に目の
細かいものを用いる必要がある。

ところが、潮汐変化が数ｍもあるような海域で
は、網が破損し易く、わずかな破損でも稚魚の場
合には容易に脱出できるため、網の保守，維持に
多大な労力と費用を要するという不都合が生じ、
このような不都合を解消するために、従来いけす
を設ける海域として、水深が深過ぎず、波が穏や
かで潮汐変化の少ないところが選定されるが、こ
のような条件を満たす海域であつても、台風等に
よる網の流失や船舶の接触による網の破損が発生
することがあり、やはり網の保守，維持に多大な
労力，費用を要し、網により確実に魚類の遊泳を
遮断することができない。

また、海洋牧場のように大規模な養殖を行なう
場合には、使用する網の全長が非常に長いものに
なり、網の保守，維持に要する労力，費用もそれ
だけ多大になり、魚類の遊泳遮断に網を用いるこ
とは、大規模養殖の場合最良の方策とは言えな
い。

そこで、本件出願人において、以下のような装
置を提案している。

すなわち、海水中に上下方向の複数個の棒状導
電電極からなる２個の電極列を一定距離隔てて平
行に配設し、電気スクリーン発生用の電源により
前記両電極列にたとえば直流電圧を印加して両電
極列間に電気スクリーンを発生させ、この電気ス
クリーンにより所定の養殖領域を囲み、電気スク
リーンの電気的刺激により養殖領域内の養殖魚や
養殖領域外の外敵魚の遊泳を遮断するものであ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、前記した電気スクリーンによる遊泳遮
断装置の場合、継続して電気スクリーンを発生さ
せなければならず、そのために常時前記電源を駆
動して前記両電極列間に大電流を流し続ける必要
があり、たとえば水深２ｍの海域に数10ｍの長さ
の電気スクリーンを発生させるには数100KVAの
電力を要することになり、電力の消費量が非常に
多くなるという問題点がある。

そこで、この考案では、消電力の節減を図るこ
とを技術的課題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、前記の点に留意してなされたもの
であり、海水中にそれぞれ複数個の導電電極がほ
ぼ等間隔に配列されて形成され互いに平行に配設
された複数の電極列と、前記各電極列の電位が異
なるように前記各電極列に電圧を印加する電気ス
クリーン発生用の電源とを備えた魚類の遊泳遮断
装置において、前記各電極列に近接して複数個の
魚群探知機を設け、前記各探知機からの探知信号
により前記電源を駆動する駆動手段を設けた魚類
の遊泳遮断装置である。

〔作用〕

したがつて、この考案によると、魚群が電極列
に接近した場合、いずれかの魚群探知機により魚
群の接近が探知されて探知信号が出力され、前記
探知信号により駆動手段が作動して電気スクリー
ン発生用の電源が駆動され、各電極列に電圧が印
加されて各電極列間に電気スクリーンが形成さ
れ、魚群が接近したときだけ電気スクリーンが形
成されることになり、従来に比べ消電力の大幅な
節減が図れる。

〔実施例〕

つぎに、この考案を、その実施例を示した図面
とともに詳細に説明する。

まず、１実施例を示した第１図ないし第３図に
ついて説明する。

第１図において、１ａ，１ｂは海水中に上下方
向の複数個の棒状導電電極がほぼ等間隔で配列さ
れて形成され互いに平行に配設された第１，第２
電極列、２は両電極列１ａ，１ｂに電圧を印加す
る電気スクリーン発生用の直流電源、３はフロー
ト４により第２電極列１ｂの外側の海上に一定間
隔で浮上して設置された送波器および受波器等か
らなる複数個の魚群探知機、５は各探知機３それ
ぞれからの探知信号により電源２を駆動する複数
個の駆動手段であり、第２図に示すように、基準
電源６と、基準電源６による基準電圧と探知機３
からの探知信号の電圧とを比較して後者が前者を
上回るとき駆動信号を出力する比較器７とにより
構成されている。

ところで、このような装置において、魚群が第
２電極列１ｂに接近して第１図中に１点鎖線で示
す魚群探知機３の探知エリアに侵入すると、探知
機３から探知信号が出力される。

このとき、探知機３から出力される探知信号に
は、海底，岩，藻などによるほぼ一定の雑音成分
が常時含まれており、たとえば第３図ａに示すよ
うな波形の探知信号が探知機３から出力された場
合、魚群による真の信号成分のみ抽出するため
に、駆動手段５の基準電源６による基準電圧が前
記した雑音成分のレベルVeに設定され、比較器
７により探知信号の電圧と前記基準電圧Veとが
比較され、前者が後者を上回るときに、駆動手段
５の比較器７から電源２に駆動信号が出力され
る。

そして、前記駆動信号の出力されている間、電
源２が駆動されて第３図ｂに示すような電源電圧
Voが両電極列１ａ，１ｂ間に印加され、両電極
列１ａ，１ｂ間に電気スクリーンが形成され、接
近中の魚群が当該電気スクリーンの電気的刺激に
より魚群の遊泳が遮断される。

なお、第４図に示すように、第１電極列１ａの
外側にも、第１図と同様の複数個の魚群探知機
３′をフロート４により海上に浮上して設け、各
探知機３′それからの探知信号により電源２を駆
動する第１図と同様の複数個の駆動手段５′を設
けても、この考案を同様に実施することができ、
この場合両電極列１ａ，１ｂの両側のいずれから
魚群が接近しても、電気スクリーンによりこれら
の魚群の遊泳を遮断できることになる。

また、電気スクリーン発生用の電源は交流電源
であつてもよい。

さらに、駆動手段は１個であつてもよい。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案の魚類の遊泳遮断装置
によると、魚群探知機により魚群が探知された場
合に、魚群探知機からの探知信号により駆動手段
が作動して電気スクリーン発生用の電源が駆動さ
れるため、魚群が接近したときだけ電気スクリー
ンを形成することができ、従来に比べ消電力の大
幅な節減を図ることができ、経済性に優れ、その
効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の魚類の遊泳遮断装置の実施
例を示し、第１図ないし第３図は１実施例を示
し、第１図は概略構成図、第２図は一部のブロツ
ク図、第３図ａ，ｂはそれぞれ探知信号および電
源の出力電圧の波形図、第４図は他の実施例の概
略構成図である。 １ａ，１ｂ……電極列、２……電源、３，３′
……魚群探知機、５，５′……駆動手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 海水中にそれぞれ複数個の導電電極がほぼ等間
   隔に配列されて形成され互いに平行に配設された
   複数の電極列と、前記各電極列の電位が異なるよ
   うに前記各電極列に電圧を印加する電気スクリー
   ン発生用の電源とを備えた魚類の遊泳遮断装置に
   おいて、 前記各電極列に近接して複数個の魚群探知機を
   設け、前記各探知機からの探知信号により前記電
   源を駆動する駆動手段を設けた魚類の遊泳遮断装
   置。