JPH0345574Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、魚貝類を養殖する場合に、海水中
における魚貝類の遊泳遮断用の電気スクリーンを
発生する電気スクリーン発生装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、魚貝類を養殖する場合、海水中にいけ
すを設け、該いけす内において魚貝類の養殖を行
なつており、通常海水中に網を張りめぐらしてい
けすを形成し、網によりいけすの外側への魚貝類
の脱出やいけすの内側への魚貝類の侵入を阻止し
ているが、養殖初期の段階では、養殖魚はまだ体
長数cmの稚魚であり、これらの稚魚の遊泳を遮断
するためには、海水中に配設すべき網として非常
に目の細かいものを用いる必要がある。

ところが、潮汐変化が数ｍもあるような海域で
は、網が破損し易く、わずかな破損でも稚魚の場
合には容易に脱出できるため、網の保守、維持に
多大な労力と費用を要するという不都合が生じ、
このような不都合を解消するために、従来いけす
を設ける海域として、水深が深過ぎず、波が穏や
かで潮汐変化の少ないところが選定されるが、こ
のような条件を満たす海域であつても、台風等に
よる網の流失や船舶の接触による網の破損が発生
することがあり、やはり網の保守、維持に多大な
労力、費用を要し、網により確実に魚貝類の遊泳
を遮断することができないという問題点がある。

また、海洋牧場のように大規模な養殖を行なう
場合には、使用する網の全長が非常に長いものに
なり、網の保守、維持に要する労力、費用もそれ
だけ多大になり、魚貝類の遊泳遮断に網を用いる
ことは、大規模養殖の場合最良の方策とは言えな
い。

そこで、本件出願人において、つぎのような電
気スクリーン発生装置を提案している。

すなわち、海水中に複数個の上下方向の棒状導
電材を等間隔に配列し、互いに電気的に接続して
一方の電極を形成するとともに、同様に海水中に
複数個の上下方向の棒状導電材を等間隔に配列
し、互いに電気的に接続して他方の電極を形成
し、前記両電極を互いに平行に配設し、電気スク
リーン発生用の電源により、いずれかの電極をア
ース電極として両電極間に直流電圧または交流電
圧またはパルス電圧を印加し、両電極間に所定の
電界強度の電気スクリーンを発生させるものであ
る。

このとき、いずれかの電極をアース電極として
残りの電極が所定の電位になるように電圧を印加
することにより、両電極間にほぼ一定の電界強度
の電気スクリーンが形成され、当該電気スクリー
ンに侵入した魚貝類は電気的刺激を受け、電界強
度が低い場合には驚く程度の反応を示し、電界強
度が高くなるに連れて軽い痺れ、麻痺さらには仮
死などの反応を示し、前記電気スクリーンを遊泳
通過できなくなり、前記電気スクリーンにより特
定の範囲を囲むように両電極を配列すれば、当該
電気スクリーンで囲まれた範囲内に魚貝類が閉じ
込められることになり、従来のように網を用いる
ことなく魚貝類の遊泳が確実に遮断され、潮位、
潮汐、水深などの海洋条件や台風などの気象条件
に左右されることもなく、海洋牧場などの大規模
な養殖に適している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、この場合、電極近傍において電位の
傾きが鈍り、両電極の近傍での電界強度が低下す
るため、両電極間の電界強度が均一になる領域が
狭くなり、十分な魚貝類の遊泳遮断効果を得るこ
とができないという問題点がある。

そこで、この考案は、電極近傍での電界強度の
低下を防止し、各電極間それぞれにおいて、全域
にわたり電界強度を均一にすることを技術的課題
とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、前記の点に留意してなされたもの
であり、海水中に互いに平行に配設された複数個
の電極と、前記各電極間に電圧を印加する電気ス
クリーン発生用の電源とを備えた電気スクリーン
発生装置において、前記各電極を網状にした電気
スクリーン発生装置である。

〔作用〕 したがつて、この考案では、海水中に互いに平
行に複数個の網状の電極が配設され、電気スクリ
ーン発生用の電源により各電極間に電圧が印加さ
れ、各電極間に電気スクリーンが形成され、当該
電気スクリーンにより魚貝類の遊泳が遮断され
る。

このとき、各電極が網状であるため、電極近傍
において電位の傾きが鈍ることがなく、各電極の
近傍での電界強度の低下が防止され、各電極間そ
れぞれにおいて、全域にわたり電界強度が均一に
なる。

〔実施例〕

つぎに、この考案を、その実施例を示した図面
とともに詳細に説明する。

まず、１実施例を示した第１図ないし第４図に
ついて説明する。

第２図に示すように、複数の棒状またはパイプ
状の導電材１を縦横に直角に接合して網状の第
１、第２電極２ａ，２ｂを形成し、第１図に示す
ように、海水中に両電極２ａ，２ｂを互いに平行
に配設し、図示されていない電気スクリーン発生
用の電源により、たとえば第１電極２ａをアース
電極として、両電極２ａ，２ｂ間に直流電圧を印
加し、両電極２ａ，２ｂ間に電気スクリーンを発
生させる。

このとき、両電極２ａ，２ｂ間の距離をＬとす
ると、両電極２ａ，２ｂ間の電位分布は第３図中
の実線に示すようになり、同図中の１点鎖線で示
す複数の棒状導電材を接続体により接続した電極
（以下棒状電極という）の場合と比べ、両電極２
ａ，２ｂの近傍における電位の傾きの鈍りがな
く、その結果、両電極２ａ，２ｂ間の電界強度分
布は第４図中の実線に示すようになり、同図中の
１点鎖線で示す棒状電極の場合に比べ、両電極２
ａ，２ｂの近傍において電界強度が低下すること
がなく、両電極２ａ，２ｂ間の電界強度がほぼ全
域にわたり均一になり、十分な魚貝類の遊泳遮断
効果を得ることができる。

ただし、第３図および第４図において、横軸は
第１電極２ａからの距離を示している。

なお、第５図に示すように、複数の棒状または
パイプ状の導電材３を斜めに交差させて接合し、
電極４を形成してもよい。

また、電極が３個以上であつても、この考案を
同様に実施することができる。

さらに、電気スクリーン発生用の電源により、
各電極間に交流またはパルス電圧を印加してもよ
いのは勿論である。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案の電気スクリーン発生
装置によると、海水中に互いに平行に複数個の網
状の電極を配設し、電気スクリーン発生用の電源
により各電極間に電圧を印加して電気スクリーン
を発生するため、各電極の近傍において電位の傾
きが鈍ることがなく、各電極の近傍での電界強度
の低下を防止することができ、各電極間それぞれ
において、全域にわたり電界強度が均一になり、
十分な魚貝類の遊泳遮断効果を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の電気スクリーン発生装置の
実施例を示し、第１図ないし第４図は１実施例を
示し、第１図は斜視図、第２図は一部の正面図、
第３図は電位分布図、第４図は電界強度分布図、
第５図は他の実施例の一部の正面図である。 ２ａ，２ｂ，４……電極。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 海水中に互いに平行に配設された複数個の電極
   と、前記各電極間に電圧を印加する電気スクリー
   ン発生用の電源とを備えた電気スクリーン発生装
   置において、前記各電極を網状にした電気スクリ
   ーン発生装置。