JPH03284Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シエルモールド法を用いて鋳造用砂
型を製作する場合に使用されるシエル鋳型造型用
エジエクト装置に関するものである。

（従来技術） 一般に、シエルモールド法を用いてシエル鋳型
を造型する場合、金型回りに造型されたシエル鋳
型は、前記金型に摺動自在に嵌挿されたエジエク
トピンを用いて型抜きされる。ところが、鋳型造
型を繰り返していると、前記エジエクトピンと金
型に形成されたエジエクトピン挿通孔との間に、
種々の原因により摺動不良が生じて、エジエクト
ピンの復帰不良を生じることがあつた。

上記の問題点に対処するものとしては、エジエ
クトピンをそれぞれ独立に設け、該各エジエクト
ピンに、それらの復帰を促すための重錘をスライ
ド可能に嵌挿したものが提案されている（例え
ば、実公昭51−41853号公報参照）。

（考案が解決しようとする問題点） 上記公知例の如く構成したものにおいても、エ
ジエクトピンの復帰不良の原因が重錘の重量を超
えるものであつた場合、エジエクトピン復帰不良
を解消し得ないという場合が生じることがある。

本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、
エジエクトピンを確実に復帰させることによつ
て、シエル鋳型造型の生産性の向上を図ることも
目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案では、上記問題点を解決するための手段
として、シエル鋳型造型用の金型に摺動自在に嵌
挿された複数の型抜き用のエジエクトピンと、該
エジエクトピンを押し上げ作動せしめるためのエ
ジエクトプレートとを備えたものにおいて、前記
エジエクトピン下端部に、それぞれ係止段部を形
成する一方、前記エジエクトプレートには、前記
エジエクトピンの配置パターンに対応し且つエジ
エクトピンの係止段部が臨まされるべく形成され
た通孔をそれぞれ有する２枚のスライドプレート
を重合状態で摺動自在に設けるとともに、前記エ
ジエクトプレートの昇降途中において、前記両ス
ライドプレートを相反する方向に摺動させる駆動
手段を付設している。

（作用） 本考案では、上記手段によつて次のような作用
が得られる。

即ち、エジエクトプレートの昇降時（換言すれ
ば、シエル鋳型の型抜き時）において、両スライ
ドプレートは、駆動手段により相反する方向に摺
動せしめられ、スライドプレートのそれぞれの通
孔に臨まされたエジエクトピン係止段部が前記両
通孔口縁によりセンタリングされつつ係止され
る。従つて、エジエクト時においては、エジエク
トピンは、センタリングされた状態で昇降せしめ
られることとなり、復帰不良を起こすことなく確
実なピン復帰を行うことができる。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して、本考案の好適な
実施例を説明する。

本実施例のシエル鋳型造型用エジエクト装置
は、基台１上に設けられたガイドレール２，２に
案内されて移動自在とされた金型３と、該金型３
に形成された挿通孔１１，１１……に摺動自在に
嵌挿されたエジエクトピン７，７……と、該エジ
エクトピン７，７……を同時に押し上げるための
エジエクトプレート８とを備えている。

前記金型３は、所望の形状の鋳型造型用模型３
ａを有しており、金型固定枠４，４に設けたロー
ラ５，５を前記ガイドレール２，２上で転動せし
めることにより移動自在とされている。

前記各エジエクトピン７は、その上動作用によ
り金型３上に造型されたシエル鋳型２７を型抜き
する作用を有しており、その下端部には、係止段
部１０が形成されている。

前記エジエクトプレート８は、前記エジエクト
ピン７，７……の下方にあつて、基台１に取付け
られたエジエクトシリンダー９によつて上動せし
められるものであり、このエジエクトプレート８
の両側に設けられたガイド溝２６，２６には、２
枚のスライドプレート１２，１３が重合状態で摺
動自在に支持されている。該スライドプレート１
２，１３には、前記エジエクトピン７，７……の
配置パターンに対応する通孔１４，１４……，１
５，１５……が形成されている。これらの各通孔
１４，１５は、常態においては、重合状態にあ
り、エジエクトシリンダー９によるエジエクトプ
レート８の上昇に伴つて前記エジエクトピン７の
係止段部１０が臨ましめられるようになつてい
る。

また、前記エジエクトプレート８の一側端部に
は、前記スライドプレート１２，１３を互いに相
反する方向に摺動させるべく作用する駆動手段１
６として、駆動用シリンダー１７と、該駆動用シ
リンダー１７の駆動力を前記スライドプレート１
２，１３に伝達させるためのリンク機構１８とが
設けられている。

前記リンク機構１８は、第４図図示の如く、エ
ジエクトプレート８に立設された軸１９に回動自
在に遊嵌されたボス部２０と、該ボス部２０から
一体に延設され、前記駆動用シリンダー１７のピ
ストンロツド２８の端部に連結されるリンク２１
と、前記ボス部２０から段違い状且つ互いに反対
方向に一体延設され、前記スライドプレート１
２，１３に形成された係合段部２４，２５にそれ
ぞれ係合せしめられるリンク２２，２３とからな
つている。つまり、駆動用シリンダー１７の進退
運動をリンク２１によつてボス部２０の回転運動
に変換して伝達し、このボス部２０の回転運動を
リンク２２，２３によつてスライドプレート１
２，１３を前記駆動用シリンダー１７の進退運動
と直角であつて、互いに相反する方向に摺動させ
るべき進退運動に変換して伝達するようになつて
いるのである。

図面中、符号６は、前記金型固定枠４を案内す
るガイド部材、２９は、駆動用シリンダー１７を
エジエクトプレート８に取り付けるための取付具
である。

次に、図示のシエル鋳型造型用エジエクト装置
の作用を説明する。

この金型３を用いてシエル鋳型２７を造型する
には、該金型３を加熱装置（図示省略）で加熱処
理したのち、ダンプボツクス（図示省略）内のシ
エル砂を用いて金型３の模型３ａの回りに付着硬
化させてシエル鋳型２７を造型するのである。こ
の状態の金型３を再び加熱装置で加熱処理したの
ち、エジエクトプレート８上方に位置させ、エジ
エクトシリンダー９を駆動させてエジエクトプレ
ート８を上昇させることによりエジエクトピン
７，７……を押し上げてシエル鋳型２７の型抜き
を行うのである。

この時、エジエクトプレート８が上昇してエジ
エクトピン７の下端がエジエクトプレート８上面
に当接すると、該エジエクトピン７の係止段部１
０が第２図および第５図図示の如く、重合状態に
あるスライドプレート１２，１３の通孔１４，１
５に臨ましめられることとなる。そこで、駆動用
シリンダー１７を駆動させると、該駆動用シリン
ダー１７の進退運動がリンク機構１８を介してス
ライドプレート１２，１３を互いに相反する方向
に摺動させる運動として伝達され、第３図図示の
如く、上側のスライドプレート１２が矢印Ａ方向
に、下側のスライドプレート１３が矢印Ｂ方向
（前記矢印Ａと反対方向）にそれぞれ摺動せしめ
られる。従つて、各スライドプレート１２，１３
の通孔１４，１５は、第６図図示の如くずれるこ
ととなり、それぞれの口縁でエジエクトピン７の
係止段部１０を確実に係止する。この状態におい
て、エジエクトピン７は、挿通孔１１の中心と同
軸となるようにセンタリングされるのである。か
かる態勢のもとに、エジエクトプレート８を昇降
させると、エジエクトピン７，７……は、極めて
円滑に昇降され、しかもエジエクト終了後には、
確実にリセツトされるのである。

なお、駆動用シリンダー１７を駆動させてスラ
イドプレート１２，１３を非重合状態にスライド
させるタイミングは、エジエクトピン７，７……
の下端がエジエクトプレート８上面に当接された
後（即ち、エジエクトピン７，７……が上昇し始
めた時点以後）であればよく、また、駆動用シリ
ンダー１７を復帰させるタイミングは、エジエク
トピン７，７……のリセツト完了後とされる。

本考案は、上記実施例に限定されるものではな
く、考案の要旨を逸脱しない範囲において適宜設
計変更可能なことは勿論である。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案によれば、エジエクトピン
を昇降させるために設けられたエジエクトプレー
トの昇降時（換言すれば、シエル鋳型の型抜き
時）において、エジエクトプレートに設けられた
２枚のスライドプレートを、駆動手段により相反
する方向に摺動せしめて、スライドプレートのそ
れぞれの通孔に臨まされたエジエクトピンを係止
段部を前記両通孔口縁によりセンタリングしつつ
係止し得るようにしたので、エジエクト時におい
ては、エジエクトピンは、センタリングされた状
態で昇降せしめられることとなり、復帰不良を起
こすことなく、しかもエジエクトピンはエジエク
トプレートにより強制的に確実にリセツトせしめ
られ、シエル鋳型造型における生産性の向上に寄
与すること大であるという実用的な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかるシエル鋳型
造型用エジエクト装置の一部を断面とした側面
図、第２図および第３図は、第１図のエジエクト
装置におけるエジエクトプレートの作動前および
作動後の状態を示す平面図、第４図は、第１図の
エジエクト装置における要部斜視図、第５図およ
び第６図は、第２図および第３図における−
および−拡大断面図である。 ３……金型、７……エジエクトピン、８……エ
ジエクトプレート、１０……係止段部、１２，１
３……スライドプレート、１４，１５……通孔、
１６……駆動手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シエル鋳型造型用の金型に摺動自在に嵌挿され
   た複数の型抜き用のエジエクトピンと、該エジエ
   クトピンを押し上げ作動せしめるためのエジエク
   トプレートとを備え、前記エジエクトピン下端部
   には、それぞれ係止段部が形成される一方、前記
   エジエクトプレートには、前記エジエクトピンの
   配置パターンに対応し且つエジエクトピンの係止
   段部が臨まされるべく形成された通孔をそれぞれ
   有する２枚のスライドプレートが重合状態で摺動
   自在に設けられており、前記エジエクトプレート
   の昇降途中において、前記両スライドプレートを
   相反する方向に摺動させる駆動手段が付設されて
   いることを特徴とするシエル鋳型造型用エジエク
   ト装置。