JPH0328143B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鉄心を複数に分割して巻線を施した
後、分割面を接合し外周を樹脂モールドする電動
機固定子の接合に適した鉄心に関するものであ
る。

電動固定子の巻線を固定子鉄心のスロツト毎の
継鉄部に巻装すると、コイルエンド高さを大巾に
短縮できる事は衆知の事実であるが、環状鉄心の
継鉄部にいわゆるトロイダル巻線を施すには、ト
ロイダル巻線機が必要である。

この巻線機は、その貯線環を環状の被巻線体と
交差する様にセツトした後、所要の電線を貯線環
に一坦巻きとり、次いで貯線環を逆転させ、貯線
した電線をはき出しつつ前記被巻線体に巻線をし
てゆくのであるが、作業性が極めて悪く、巻線速
度も小さいため多数回の巻回を必要とする電動機
等の回転電機の巻線には適していない。

トロイダル巻線機に代わる方法として、被巻線
体である鉄心を分割して、各分割鉄心のスロツト
毎に通常行なうフライヤー巻線を施すことが特願
昭51−98031号等により提案されている。この方
法によれば、分割鉄心を接合する点を除けば、従
来困難あつたトロイダル状巻線を、簡単に、かつ
高速で行なうことができ有用である。

ところが、この鉄心の接合については種々の問
題が発生する。すなわち、通常考えられるのが第
１図の如く分割鉄心１，２の接合部に凹凸部３を
設けてかみ合せる方法であるが、これは両者をか
み合せる為に必ず隙間が必要で、この隙間が磁気
抵抗となつて電動機特性に影響を与える。更に両
者の寸法精度の管理に注意を払わないと品質にバ
ラツキを生じるなどの重要な問題を含んでいた。
又、継鉄部の巾が小さい小型電動機用鉄心では寸
法的に凹凸部３を設けられず採用できない方法で
あつた。

別の接合方法としては、第２図の如く分割面４
の外周部に突起５を設けてそれを溶接６により固
着する方法がとられる。この方法では、分割面４
を平坦にして磁気ロスを低減できるという利点は
あるものの、溶接時の火気により巻線（図示せ
ず）が焼けたり、鉄心絶縁が劣化したりする性能
品質上の問題と共に、溶接設備が必要となり、大
量生産をする場合に特に管理面で注意を要するな
ど、より大きな問題を含んでいる。

又、更に別の方法として平坦な分割面を接着材
により接着するということも考えられるが、分割
面が平坦にできる利点は溶接の場合と同様である
ものの、今度は接着剤のストツク管理、塗布作業
管理、硬化乾燥条件管理を充分に行なわないと接
着強度に大巾なバラツキを生じ、又接着剤を更化
乾燥するためにその設備が必要であつたり、連続
生産ラインが組めないなどの問題を抱えている。

本発明は以上の問題点を解決し、接合が容易で
かつ接合部における磁気ロスを極少にできる電動
機固定子の分割鉄心を提供しようとするものであ
り、以下に詳細を説明する。

第３図は本発明の基となる２分割された鉄板の
１片を示したものである。図において、２分割さ
れた環状鉄板７はその分割面８の外径側両端部の
一方に、一部が分割面外側に位置するよう径方向
外側に突出する突起部９を形成してある。また、
突起部９の分割面外側に位置する部分の分割面８
の近傍に凹部１０が設けてある。更にもう一方の
分割面８の外径側端部には、分割面８の近傍の外
周部に凸部１１が設けてある。そして、この凹部
１０と凸部１１のそれぞれの中心と分割面と距離
は等しく、凹凸の形状は相似形で凸部１１の方が
やや小さく形成されている。

以上の如き構成の鉄板７を同一方向、すなわち
突起部９を揃えて積層し、分割鉄心１２を構成し
たものが第４図の斜視図である。そして、この分
割鉄心１２，１２′を２つ逆方向に組合せて得た
固定子鉄心を第５図に示す。図でも明らかな如
く、凹部１０と凸部１１′が，凸部１１と凹部１
０′がそれぞれ咬み合わされて２つの分割鉄心１
２と１２′は接合される。

この時、咬み合わせの方法としては、第６図の
如く両者の位置を合せて矢印の如く積厚方向（軸
線方向）に押入する方法と、凸部１１及び１１の
径方向の突出高さを調節して、分割面８と直角方
向から第５図矢印の如く押入する方法とがある。
鉄板を同一方向に積層した本例の場合は、どちら
の咬み合わせ方法をとつても咬み合わせ可能であ
る。

次に別の鉄心組立方法としては、鉄板７の積層
の際に積厚方向1/2の厚さで鉄板７の方向を逆に
する。この様にして出来た分割鉄心１２の構成を
第７図に示す。図の様に構成した場合は、鉄心の
咬み合わせ方法として、２つの分割鉄心を分割面
を互に対向して配置し、分割面と直角方向の力で
両側から押しつける様にして咬合する。このため
に、凸部１１の高さは、押入圧によつて相手側の
鉄心がその上を乗越えられる高さとする必要があ
る。

又、別の組立方法としては、鉄板を積層の1/4
の厚さ毎に積層方向を逆にし、出来た鉄心は前記
と同様に押入により咬合させる。この様に鉄板の
積層の際に積層の偶数等分毎に積層方向を逆にす
ると、分割方向両側へ同数の突起部を持つ鉄心が
得られ、巻線の際の鉄心チヤツク時などに利点が
ある。

なお、上記固定子鉄心は、巻線を施し分割鉄心
の分割面を接合した後、樹脂モールドするもので
ある。

本発明によれば次の効果が得られる。

(1) 分割鉄心の接合に分割面に設けた凹凸部によ
らず、分割面の平坦さを確保できるため、磁気
ロスの低減を図れる。

(2) 分割部に溶接などで火気を用いたりするので
ないから、溶接用の設備も不用で、生産性が向
上し、火気による巻線の焼損や鉄心絶縁の劣化
がなく、更に作業場の安全性も向上する。

(3) 接着剤による接合の様に硬化や乾燥に要する
時間が不要で、連続した生産ラインが作れると
同時に、接着剤の塗布作業も不要で、接着剤の
ストツク管理や塗布管理、硬化乾燥管理或は、
作業場の環境管理なども不要となる。

(4) 溶接や接着の様に、２つの分割鉄心の接合面
を合せた状態を保持しておく必要がなく、その
為の設備や治具も不要になる。

(5) 咬合される凹部と凸部の寸法の選択によつて
は、両者の咬合が充分密に行なわれ、従つて接
合面積の増加がなされ、磁気ロスの低減が期待
できる。

(6) 突起部を巻線機のチヤツクで保持するなど巻
線時の作業改善も期待できる。

本発明によれば分割鉄心の接合が咬合によるワ
ンタツチ化されるだけでなく、従来考えられてい
る方法に比し以上述べた如く多大の改善効果が得
られ、量産性があり品質、価格共に秀れた分割鉄
心の組立を行なう事ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の凹凸による鉄心接合例の部分平
面図、第２図は従来の突起部先端溶接例の部分平
面図、第３図は本発明の実施例にかかる鉄板平面
図、第４図は本発明の実施例にかかる分割鉄心の
斜視図、第５図は本発明の実施例のスロツトの図
示を省略した分割鉄心による接合状態を示す平面
図、第６図は本発明の実施例の分割鉄心による別
の接合状態を示す斜視図、第７図は本発明の別の
実施例による分割鉄心の斜視図である。 ７……鉄板、８……分割面、９……突起部、１
０……凹部、１１……凸部、１２，１２′……分
割鉄心。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 還状の固定子鉄板を径方向に複数に分割し、
   前記分割鉄板の一方の分割面外周部に一部が分割
   面外側に位置するよう径方向外側に突出する突起
   を設けると共に、前記突起の分割面外側に位置す
   る部分の鉄板外径線を延長した部分に凹部を設
   け、他方の分割面外周部には前記凹部と対応する
   位置に前記凸部と同じかやや小さい凸部を設けた
   鉄板を同一方向に積層して分割鉄心を構成し、前
   記分割鉄心を環状を復するに必要な数を用いて互
   いに逆向きに咬合させて組立てた電動機の固定子
   鉄心。 ２ 鉄板の分割が直径による２分割の場合であつ
   て前記鉄板を積層の時に積層の時に積厚の偶数等
   分毎に鉄板の方向を逆に向けて積層した分割鉄心
   を、互いに逆向きに咬合させて組立てた特許請求
   の範囲第１項記載の電動機の固定子鉄心。 ３ 鉄板の積層を積厚の丁度1/2又は1/4毎に逆向
   きに行つた特許請求の範囲第２項記載の電動機の
   固定子鉄心。