JPH0327913Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 −産業上の利用分野− 本考案はトランクルームに収納するスペアタイ
ヤを覆うスペアタイヤカバーに関し、特に略垂直
に立てて収納される応急用スペアタイヤに適した
構造に関する。

−従来技術− 周知のように、最近の自動車においては、トラ
ンクルーム内空間の確保や車体重量削減の見地か
ら、スペースセイバータイヤまたはテンポラリー
タイヤと称呼される小型の応急用スペアタイヤを
トランクルーム内に装備する場合がある。即ち、
第４図及び第５図は、仮想線で示す装着タイヤＡ
に比較して重量及び幅寸法を削減した応急用スペ
アタイヤＢを示し、このスペアタイヤＢはリヤフ
エンダパネル１の内側の空間Ｒに略垂直に立てた
状態で搭載される。ところで、トランクルーム内
の荷物の汚れを防止するため、前述した応急用ス
ペアタイヤＢを何等かのカバーで覆う必要がある
が、従来では、スペアタイヤＢの上部周面ｂを上
部半筒部２ａで覆う樹脂成形スペアタイヤカバー
２を用い、大スペアタイヤカバー２の下部から略
水平方向に延長する棚部２ｂの下面に“Ｌ”字状
断面の引掛ブラケツト３を固定し、同引掛ブラケ
ツト３をフロアパネル４の肩部４ａに引掛けてい
る（例えば1980年日産自動車(株)発刊、ニツサンロ
ーレル整備要領書、第430頁参照）。

しかしながら、このような従来のスペアタイヤ
カバー２の構造によると、応急用スペアタイヤＢ
の収容部にはバーストした装着タイヤＡが入るだ
けの空間Ｒを確保しなければならないので、スペ
アタイヤカバー２の棚部２ｂが長くなり、同スペ
アタイヤカバー２はフロアパネル４に片持状態に
おかれるため、スペアタイヤカバー２の支持状態
及び全体剛性が低いものとなる。したがつて、ス
ペアタイヤカバー２に外力Ｆで示すような荷重が
加わると、棚部２ｂが仮想線示のように折れた
り、上部半円筒部２ａが第５図仮想線示のように
変形してスペアタイヤＢから外れかかる等の問題
を生じている、勿論、スペアタイヤカバー２のこ
のような問題を解決するためには、肉厚増加等の
スペアタイヤカバー２の補強対策を行なえばよい
が、このような対策では、スペアタイヤカバー２
の重量増加により車体重量が重くなる。

このため、本出願人は、第６図のような構造の
スペアタイヤカバー構造を特願昭59−217767号特
許出願によつて提案した。即ち、第６図のスペア
タイヤカバーは、トランクルーム中に略垂直に立
てて収納されるスペアタイヤＢの側面を覆うスペ
アタイヤカバー２Ａの上端部を、固定ねじ５を用
いて車体パネル１に固定したもので、同スペアタ
イヤカバー２Ａの下部に、フロアパネル４と略同
一高さの支持爪６を設けて同支持爪６とフロアパ
ネル４との間に剛性のある棚板７を乗せ、スペア
タイヤカバー２Ａのスペアタイヤ側表面に、スペ
アタイヤ側面に当接する弾性体スペーサ８を固定
してある。したがつて、このような構造では、斜
め方向の外力Ｆに対しても安全なスペアタイヤカ
バーを提供できるけれども、この構造のスペアタ
イヤカバーでは、大面積のスペアタイヤカバーを
片手で持ちながら、固定ねじ５を着脱する作業が
要求されるので、取扱い性の点で改良の余地があ
る。詳しくいうと、スペアタイヤカバーを車体パ
ネルに固定するには、スペアタイヤカバーを片手
でささえながら、スペアタイヤカバーの孔に挿通
した固定ねじを車体側の取付孔に締結するが、こ
の作業は直接に目で見ることのできない取付孔を
固定ねじの先端でさがしながらの作業となるの
で、不慣れな者ではやつかいかつ時間を要する
し、一般ユーザにとつては、操作しがたいものと
なる。

−考案の目的− 本考案の目的は、以上に述べたような従来のス
ペアタイヤカバー構造の問題に鑑み、スペアタイ
ヤカバーに斜めの荷重が加わつても、スペアタイ
ヤカバーが不自然に変形することがなく、不慣れ
な者でも簡単にスペアタイヤカバーを着脱できる
スペアタイヤカバー構造を得るにある。

−考案の効果− この目的を達成するため、本考案は、トランク
ルーム中のフロアパネルのトランクルーム縦壁に
隣接する部分に凹部を形成して、同凹部に略垂直
に立てて収納されるスペアタイヤの側面を覆うス
ペアタイヤカバー上端部を、締結部材を用いて車
体パネルに固定するスペアタイヤにおいて、 フロアパネル一般面と略同一高さの支持爪をス
ペアタイヤカバーの下部に設け、 下面にフロアパネルの凹部の肩部に引掛けるこ
とのできる引掛ブラケツトを有する棚板を前記支
持爪とフロアパネル一般面との間に乗せ、 スペアタイヤ側面に当接する弾性体スペーサを
スペアタイヤカバーのスペアタイヤ側表面に固定
し、 車体側部材の前記締結部材が締結される被締結
部の近くに仮止めフツクを突設し、 同仮止めフツクに対応してスペアタイヤカバー
に引掛孔を形成し、 同引掛孔に、前記仮止めフツクを引掛けること
を提案するものである。

−実施例− 以下、第１図から第３図について本考案の実施
例の詳細を説明する。

第１図から第３図において、図示実施例は第６
図について前述した特願昭59−217767号特許出願
のスペアタイヤカバー２Ａに、本考案を実施する
場合であり、スペアタイヤカバー２Ａは薄い板状
物として樹脂で真空成形される。そして、スペア
タイヤカバー２Ａの上端部２ｃは、第１図及び第
２図に示すように、リヤフエンダパネル（車体パ
ネル）１の開口部１ａ下面に固定した取付ブラケ
ツト９Ａ並びに“Ｌ”字状取付ブラケツト９Ｂ
（これらの取付ブラケツトの詳細については第３
図によつて後述する）に固定ねじ５Ａ，５Ｂで着
脱可能に固定してある。また、略垂直に垂れ下つ
たスペアタイヤカバー２Ａの下部には、フロアパ
ネル４と略同一高さの支持爪２ｄを一体成形して
あり、同支持爪２ｄとフロアパネル４の間に比較
的厚みのある剛性棚板１０を乗せることにより、
トランクルーム中の荷物のずれ落ちを防止してい
る。この棚板１０はフロアパネル４の肩部４ａに
引掛けることができる引掛ブラケツト１１を下面
に固定してあるので、支持爪２ｄからずれること
はなく、荷物の重量を確実に負担できる。スペア
タイヤカバー２Ａのスペアタイヤ側表面に、略水
平方向に延びた弾性体スペーサ８が固定され、こ
の弾性体スペーサ８をスペアタイヤＢの側面に弾
力的に接触させることにより、外力をスペアタイ
ヤＢに伝えるようにしている。

第３図は前述したスペアタイヤカバー２Ａと取
付ブラケツト９Ａ，９Ｂとの関係を示し、スペア
タイヤカバー２Ａには固定ねじ５Ａ，５Ｂを挿入
できる透孔２ｅ並びに引掛孔２ｆが形成してあ
る。また、取付ブラケツト９Ａ，９Ｂには、これ
らの透孔２ｅに対応する位置に取付孔９ａが、ま
た、前記引掛孔２ｆに対応する位置に仮止めフツ
ク９ｂが成形され、スペアタイヤカバー２Ａの引
掛孔２ｆを取付ブラケツト９Ａ，９Ｂの仮止めフ
ツク９ｂに引掛けることにより各透孔２ｅに対応
取付孔９ａが一致するようにしてある。図示は省
略するが、本考案の好ましい実施例にあつては、
固定ねじの首部に“Ｅ”リング等の抜止め手段を
設けて固定ねじをスペアタイヤカバー２Ａに保持
させてもよい。

図示実施例は、以上に述べたような構造である
から、棚板１０に加わる垂直方向の力はフロアパ
ネル４とリヤフエンダパネル１に固定されたスペ
アタイヤカバー２Ａとにより確実に支持される。
また、第２図に示した斜め方向の外力Ｆが加わつ
た場合、同外力Ｆの垂直方向分力はフロアパネル
４と支持爪２ｄとによつて支持されるが、水平方
向分力はスペアタイヤカバー２Ａの弾性体スペー
サ８を介してスペアタイヤＢに伝えられるので、
スペアタイヤカバー２Ａの異常な変形を紹かず
に、確実に外力を負担できる点では、本出願人に
より提案された特願昭59−217767号特許出願の場
合と同様である。

そして、図示例の場合、取付ブラケツト９Ａ，
９Ｂにスペアタイヤカバー２Ａを取付ける際、取
付ブラケツト９Ａ，９Ｂの仮止めフツク９ｂにス
ペアタイヤカバー２Ａの引掛孔２ｆを引掛ける
と、スペアタイヤカバー２Ａに保持した固定ねじ
が取付ブラケツト９Ａ，９Ｂの取付孔９ａに自動
的に一致するから、取付孔９ａに固定ねじを締付
けるだけで車体パネルに取付けることができる。
また、車体パネルからスペアタイヤカバー２Ａを
取外すには、固定ねじを緩め、スペアタイヤカバ
ー２Ａの引掛孔２ｆを取付ブラケツト９Ａ，９Ｂ
の仮止めフツク９ｂから外すことによりスペアタ
イヤＢを取出すことができる。したがつて、図示
実施例によると、不慣れな者であつても、容易に
スペアタイヤカバー２Ａの着脱を行うことができ
る。

尚、上記実施例では、正規の固定用締結部材と
して固定ねじを用いたが、周知のクリツプでも良
い。

−考案の効果− 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、棚板に加わる垂直方向の力は、支持爪を介し
て、リヤフエンダパネルに固定されたスペアタイ
ヤカバーに伝えられ、かつ、スペアタイヤカバー
に加わつた水平方向の力は弾性体スペーサを介し
てスペアタイヤに伝えられるので、これりの外力
に対して安定した構造が得られ、しかも不慣れな
者でも簡単にスペアタイヤカバーの着脱を行うこ
とができるスペアタイヤカバー構造を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるスペアタイヤカバー構造
の拡大断面図、第２図は同スペアタイヤカバー構
造の斜視図、第３図は同スペアタイヤカバー構造
の分解斜視図、第４図は従来のスペアタイヤカバ
ー構造の斜視図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿
う断面図、第６図は他の従来のスペアタイヤカバ
ー構造の第５図と同様の図である。 Ｂ……スペアタイヤ、１……リヤフエンダパネ
ル（車体パネル）、２Ａ……スペアタイヤカバー、
２ｄ……支持爪、２ｆ……引掛孔、５Ａ，５Ｂ…
…固定ねじ、８……弾性体スペーサ、９Ａ，９Ｂ
……取付ブラケツト、９ａ……取付孔、９ｂ……
仮止めフツク、１０……棚板、１１……引掛ブラ
ケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 トランクルーム中のフロアパネルのトランクル
   ーム縦壁に隣接する部分に凹部を形成して、同凹
   部に略垂直に立てて収納されるスペアタイヤの側
   面を覆うスペアタイヤカバー上端部を、締結部材
   を用いて車体パネルに固定するスペアタイヤにお
   いて、 フロアパネル一般面と略同一高さの支持爪をス
   ペアタイヤカバーの下部に設け、 下面にフロアパネルの凹部の肩部に引掛けるこ
   とのできる引掛プラケツトを有する棚板を前記支
   持爪とフロアパネル一般面との間に乗せ、 スペアタイヤ側面に当接する弾性体スペーサを
   スペアタイヤカバーのスペアタイヤ側表面に固定
   し、 車体側部材の前記締結部材が締結される被締結
   部の近くに仮止めフツクを突設し、 同仮止めフツクに対応してスペアタイヤカバー
   に引掛孔を形成し、 同引掛孔に、前記仮止めフツクを引掛けること
   を特徴とするスペアタイヤカバー構造。