JPH0327711Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、多段式圧造成形機における素材移送
用チヤツクの交換装置に関するものである。

〔従来の技術〕

ところで、供給された素材を順次段階的に圧造
加工してボルトやナツトもしくは各種のパーツ類
を成形するように構成された多段式圧造成形機で
は、往復動するラム正面の機台前部に装備したダ
イブロツクに粗から精に至る複数個の圧造ダイが
並設されると共に、供給された素材を各圧造ダイ
間にて順次移送させる為の素材移送用チヤツクが
上記圧造ダイと同数個備えられている。然して上
記圧造ダイ及びチヤツクを交換することにより一
台の圧造成形機で種類の異なつた各種の製品を製
造し、以て圧造成形機の汎用性を向上させて設備
費の削減等を図るようになされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然し乍ら、上記圧造ダイや素材移送用チヤツク
の交換に際しては、圧造成形機を一旦停止させた
うえで次に圧造すべき製品形状に適応した圧造ダ
イやチヤツクを取付けねばならず、特に上記チヤ
ツクの交換においては新しく取付けたチヤツクの
圧造ダイに対する芯出しや、個々のチヤツクの開
き度合等を調整する必要があり、これらの作業に
は相当の熟練を要するために従来、上記チヤツク
の交換作業に多くの時間が費やされ、然もその間
圧造成形機の停止を余儀なくされて機械の稼働効
率を著しく低下させていた。

そこで本考案は上記の問題点に対処すべく、次
に圧造する製品形状に適応すべく予め調整された
複数個のチヤツクを取付けたフレームを圧造成形
機の機台に載置したテーブル上に用意して次のチ
ヤツク交換に備えて待機させておき、チヤツク交
換時には上記フレームを使用中のフレームと入れ
替えることにより、チヤツク交換の作業時間を短
縮させようとするものである。

〔問題を解決するための手段〕

上記の目的を達成させる為に本考案は次のよう
に構成されている。

即ち、粗から精に至る複数個のダイが一定間隔
に並設されたダイブロツク上に支持ブロツクを載
置させると共に、この支持ブロツクに上記圧造ダ
イと同数個の素材移送用チヤツクを取付けた可動
フレームを左右摺動自在に支持することにより、
上記チヤツクをダイブロツクの前面に垂下させる
ようになしている。また、上記チヤツクの開閉用
カムを備えた水平なカム駆動軸がダイブロツク後
方の機台上へ上記支持ブロツクと平行に配置さ
れ、このカム駆動軸の後方へ該軸と平行に配置さ
れた回転軸に上記支持ブロツクの後端を固着する
ことにより、可動フレームを含めた支持ブロツク
の全体を上記回転軸を中心として上方に回動し得
るようになされている。更に、上記支持ブロツク
側部近傍の機台上に機台前後方向へ延びるガイド
レールを敷設し、このガイドレール上に上記支持
ブロツクに支持された可動フレームを受止し得る
テーブル、竝びに可動フレームと交換しうる可動
フレームを受止させたテーブルの少なくとも二台
以上のテーブルを平行に載置し、これらのテーブ
ルを必要に応じて上記ガイドレールに沿つて前後
に進退させるようになされている。

〔考案の作用〕

上記の構成によれば、回転軸を回転させること
によつて該軸に後端を固着した支持ブロツクの全
体を可動フレームと共に稼動体勢の位置から上方
へ回動し、該支持ブロツクが上記回転軸を中心と
して90゜上方へ回動した状態で停止維持させる。
次いで支持ブロツク側部近傍の機台上に敷設した
ガイドレール上に載置させたテーブルのうち一台
を移動し、上記支持ブロツクに並列して待機させ
る。然して支持ブロツクに摺動自在に支持された
可動フレームをスライドさせながら該支持ブロツ
クより引き抜きつつ上記テーブル上に受渡して取
外した後、このテーブルを退避させると共に、も
う一台のテーブルを移動して前記支持ブロツクと
並列させる。このテーブル上には、次の圧造に備
えて予め調整された複数個のチヤツクを取付けた
可動フレームが載置されているので、該可動フレ
ームをスライドさせて支持ブロツク内に挿入して
取付ける。その後、再び上記回転軸を回転させて
支持ブロツクを下方に回動しダイブロツク上に載
置することにより、チヤツクの交換作業が完了し
て次の圧造が開始される。

なお、上記の交換作業により取外された可動フ
レームは、圧造作業中に次のチヤツク交換に備え
て他の可動フレームと取り替えておくか、あるい
は次に圧造すべき製品形状に対応するようテーブ
ル上で調整しておけば良い。

〔実施例〕

次に、本考案の具体的な実施例を図面に基づき
詳述すると、第１図は多段式圧造成形機の主要部
の平面図を示し、第２，３図は第１図Ａ〜Ａ，Ｂ
〜Ｂ線の拡大断面図を示している。まず本考案が
実施される多段式圧造成形機から説明すると、こ
の圧造成形機の機台１の前部に装備したダイブロ
ツク２には粗から精に至る複数個の圧造ダイ３が
一定間隔に並設保持されており、このダイブロツ
ク前方の該ブロツクに向かつて往復動するラム４
には、上記圧造ダイ３と同数の圧造パンチ５が各
圧造ダイと対向するように保持されている。

また、ダイブロツク２上へ載置された支持ブロ
ツク６には対向溝６′，６′間に可動フレーム７が
左右方向に摺動自在に支持され、この可動フレー
ム７の一端に、前記したラム４の往復動作に同期
して左右へ進退する駆動ロツド８が連接されて、
該可動フレームを隣接する圧造ダイ３，３の間隔
に等しい距離だけ上記ラム４の後退している時間
内で一往復させるようになつている。

かかる可動フレーム７の前面には、下端に左右
一対のチヤツク爪９ａ，９ｂを備えたチヤツク９
が軸１０ａ，１０ｂを介して、圧造ダイ３と同数
だけ該ダイと同じ間隔で取付けられ、夫々の軸１
０ａ，１０ｂには互いに噛合する一対のセグメン
トギア１１を固着すると共に、一方の軸１０ａの
後端にはローラー１２が装備されている。更にダ
イブロツク２の後方の機台１上には、支持ブロツ
ク６の背後に前記対向溝６′と平行して軸受され
た水平なカム駆動軸１３があつて、各チヤツク９
ごとの開閉用カム１４が該軸上へ嵌着され、この
各カム１４に転接するカムフオロワー１５が後方
へ附勢させた揺動可能なブラケツト１６の後部に
枢着されることにより、該ブラケツト１６がカム
１４の回転に付随して揺動し、以てブラケツト１
６の先端に固着させたロツカー１７が軸１０ａの
後端に装備された上記ローラー１２を下方へ押し
下げて軸１０ａを回転させることになる。従つ
て、軸１０ａ，１０ｂに固着した一対のセグメン
トギア１１を回動させ乍ら各一対のチヤツク爪９
ａ，９ｂを圧造パンチ５の前進に伴い開かしめる
ようになされている。

上記したような多段式圧造成形機において、カ
ム駆動軸１３の後方に該軸と平行に回転軸１８を
軸受１９により軸支し、この回転軸１８に前記支
持ブロツク６の後端をボルト２０により固着して
上記可動フレーム７を含む支持ブロツクの全体が
回転軸１８を中心として上方へ回動し得るように
なされている。さらに上記回転軸１８の軸端には
該軸の回転角度の上限と下限を規制するリミツト
スイツチ２１ａ，２１ｂを作動させる為のカム２
２ａ，２２ｂと、この回転軸を回転させる為の適
当な駆動源、例えば正逆転可能なモーター２３に
より回転させられるウオームホイール２４等の歯
車が上記回転軸１８に固着されている。なお、上
記支持ブロツク６の回動範囲を規制するストツパ
ー２５が回転軸１８背部上方の機台１上に設けら
れている。

また、上記支持ブロツク側部近傍の機台１上に
は機台の前後方向へ延びるガイドレール２６が敷
設されており、このガイドレール上に上記支持ブ
ロツク６に支持された可動フレーム７を受止し得
るテーブル２７が少なくとも二台以上平行に載置
されている。これらテーブル２７は夫々上記可動
フレームを受止し得る搭載面２８を有し、かつ該
搭載面が支持ブロツクを上方に回動させた状態に
おける可動フレーム７の下面と同一高さとなるよ
う構成されると共に、下部には車輪２９が上記ガ
イドレール２６を挟み込むようにして設けられて
おり、従つて上記各テーブル２７を必要に応じて
ガイドレール２６に沿つて前後進退させることが
できる。

上記の如く構成された実施例によれば、可動フ
レーム７の一端に連接された駆動ロツド８を取外
した後、回転軸１８を回転させると可動フレーム
を含めた支持ブロツク６の全体が上記回転軸１８
を中心として上方に回動する。然して支持ブロツ
ク６が90゜上方に回動したときモーター２３を停
止すべくカム２２ａによりリミツトスイツチ２１
ａを作動させて上記支持ブロツク６を垂直に起立
させた状態で停止維持させる（第２図鎖線）。次
いで支持ブロツク６の側部近傍に敷設したガイド
レール２６上に載置したテーブル２７のうち一台
を移動して上記支持ブロツク６と並列させる。上
記テーブル２７の可動フレーム搭載面２８は、垂
直に起立した支持ブロツク６に摺動自在に支持さ
れた可動フレーム７の下面と同一高さとなされて
いるので、可動フレーム７をスライドさせて支持
ブロツク６の対向溝６′，６′間より徐々に引き抜
いて上記テーブル２７における搭載面２８上へ移
行させることにより可動フレーム７を支持ブロツ
ク６から取外し、この可動フレーム７を受止させ
たテーブル２７を支持ブロツク６の側部より退避
させると共に、残るもう一台のテーブル２７を移
動させて支持ブロツク６と並列させる。

このテーブル２７の搭載面２８には、次の圧造
に備えて予め調整された複数個のチヤツク９′ａ，
９′ｂを取付けた可動フレーム７′が載置されてお
り、該可動フレーム７′をスライドさせて支持ブ
ロツク６の対向溝６′，６′内に挿入した後、上記
回転軸１８を回転させて支持ブロツク６が90゜下
方に回動したときカム２２ｂによりリミツトスイ
ツチ２１ｂを作動させてモーター２３を停止すれ
ば、上記支持ブロツク６が再びダイブロツク２上
に載置されることになつて、これによりチヤツク
の交換作業が完了する。その後、可動フレーム
７′の一端に駆動ロツド８を連接することにより
次の圧造が開始される。

なお、上記の交換作業により取外された可動フ
レーム７は圧造作業中に次のチヤツク交換に備え
て他の可動フレームと取り替えるか、あるいは次
に圧造すべき製品形状に対応するようにテーブル
２７上にて調整しておけばよい。

また、第３図に示すようにテーブル２７の下部
にオイルパン３０を設けておけば、圧造作業中に
附着してチヤツク９より滴下する切削油により機
台１が汚染されることがないと共に、テーブル２
７上でチヤツクを含めた可動フレーム７の全体を
油洗することができて便利である。

〔考案の効果〕

以上の如く本考案は、次の圧造に備えて予め調
整された複数個のチヤツクを取付けた可動フレー
ムを機台に載置したテーブル上に用意して待機さ
せ、この調整後の可動フレームと使用中であつた
支持ブロツク内の可動フレームとを入れ替えるだ
けで速やかに新旧両者のチヤツクを交換でき、従
つて従来のようにチヤツクの交換作業に熟練を要
することなく誰にでも簡単に、然も短時間にて上
記作業を行い得るので機械の稼働効率を飛躍的に
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例を示す平面図、第
２，３図は第１図におけるＡ〜Ａ線、Ｂ〜Ｂ線に
おける拡大断面図である。 １……機台、２……ダイブロツク、３……圧造
ダイ、５……圧造パンチ、６……支持ブロツク、
７および７′……可動フレーム、９……素材移送
用チヤツク、１８……回転軸、２６……ガイドレ
ール、２７……テーブル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機台前部に装備したダイブロツクに粗から精に
   至る複数個のダイが一定間隔に並設され、該ダイ
   と同数個の素材移送用チヤツクを取付けた可動フ
   レームを左右摺動自在に支持させた支持ブロツク
   が、上記チヤツクをダイブロツクの前面に垂下さ
   せるようにして上記ダイブロツク上へ載置され、
   更に上記チヤツクの開閉用カムを備えた水平なカ
   ム駆動軸がダイブロツク後方の機台上へ上記支持
   ブロツクと平行に配置されている多段式圧造成形
   機における素材移送用チヤツクの交換装置におい
   て、上記の機台上におけるカム駆動軸よりも後方
   へ該軸と平行として配置された回転軸に上記支持
   ブロツクの後端を固着することにより、前記可動
   フレームを含めた支持ブロツクの全体を上記回転
   軸を中心として上方に回動し得るようになし、更
   に上記支持ブロツク側部近傍の機台上に機台の前
   後方向へ延びるガイドレールを敷設し、このガイ
   ドレール上へ上記支持ブロツクに支持された可動
   フレームを受止しうるテーブル、竝該びに該可動
   フレームと交換しうる可動フレームを受止させた
   テーブルの少なくとも二台以上のテーブルを平行
   して載置し、これらのテーブルを上記ガイドレー
   ルに沿つて前後に進退しうるよう支持させたこと
   を特徴とする多段式圧造成形機における素材移送
   用チヤツクの交換装置。