JPH0327126Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、鋼管コンクリート柱材の梁材接合
構造に関するものである。

〔従来の技術及び解決しようとする課題〕

最近では、鋼管が柱として広く使用されている
が、鋼管柱はＨ形鋼等の他の形鋼より圧縮材や曲
げ材として有利であることが一般に知られてい
る。

また、鋼管内にコンクリートを充填することに
より構成される充填型鋼管コンクリート柱材も広
く使用されている。

さらに、鋼管柱やコンクリート充填型鋼管柱の
梁材接合部には、一般にダイヤフラムが柱材に直
交して取り付けられているが、コンクリート充填
型鋼管柱材の場合、梁材接合部のコンクリート中
に補強鉄筋を配筋すると、鋼管とコンクリートと
の一体性が図れて強度が高められるが、補強鉄筋
はきわめて狭いスペース内でダイヤフラムを貫通
して配筋する必要があるため、配筋が困難でほと
んど実施されていないのが現状である。

このため、従来のコンクリート充填型鋼管柱材
では、梁材接合部における鋼管とコンクリートと
の完全な一体化が図れず、コンクリートによる接
合部の補強を充分に果たせなかつた。

この考案は、このような前記従来の課題を解消
するために提案されたもので、コンクリート充填
型鋼管柱材の梁材接合部における鋼管とコンクリ
ートとの完全な一体化を可能にし、これによつて
コンクリートによる梁材接合部の効果的な補強を
可能にした鋼管コンクリート柱材の梁材接合構造
を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記課題を解決するためこの考案にかかる鋼管
コンクリート柱材の梁材接合構造は、鋼管コンク
リート柱材の梁材接合部の梁材の上下フランジに
対応する位置に鋼管径より一回りに大きいダイヤ
フラムを柱材に直交してそれぞれ溶接し、当該ダ
イヤフラムの中央部に大孔を設け、当該大孔の周
辺部に複数本のシヤコネクターを前記上下ダイヤ
フラム間を貫通して設け、当該シヤコネクターの
外側に鋼管の内面に接して上下に突出する立ち上
がり片と垂下片を設け、かつ、前記上下ダイヤフ
ラムの内側突出部の範囲内のコンクリートを充填
してなるものである。

〔実施例〕

以下、この考案を図示する一実施例に基づいて
説明すると、円形断面の鋼管柱１の梁材接合部に
２枚のダイヤフラム２，２が取り付けられてい
る。

ダイヤフラム２，２は鋼管柱１の径より１回り
大きく形成され、かつ、接合される梁材３の上下
フランジと対応する位置に、鋼管柱１を略水平に
貫通した状態で鋼管柱１に溶接することにより取
り付けられている。

上下ダイヤフラム２，２の略中央部には、所定
径大（鋼管径の略１／２程度の大きさ）の大孔４
が形成され、その周辺部には複数個の貫通孔５が
大孔４の円周方向に沿つて一定間隔おきに形成さ
れている。

各貫通孔５にはボルト若しくは鉄筋等からなる
シヤコネクター６が上下ダイヤフラム２，２間に
わたつて鉛直に挿通されている。

さらに、その外側には立ち上がり片７と垂下片
８が形成されている。

立ち上がり片７及び垂下片８は鋼管柱１の内側
に接し、かつ、鋼管柱１の円周方向に沿つて環状
に形成されており、当該立ち上がり片７及び垂下
片８は、主に鋼管柱１とダイヤフラム２とを接合
する際の双方の位置決め片及び裏当て金としての
働きを有するものである。

なお、ダイヤフラム２は立ち上がり片７及び垂
下片８とともに鋳造等によつて一体的に形成して
もよいが、立ち上がり片７及び垂下片８とは別に
形成し、あとで立ち上がり片７及び垂下片８を溶
接してもよい。

鋼管柱１の内側には、その全長にわたつてコン
クリート９が所定厚さに充填され、シヤコネクタ
ー６はコンクリート９の中に完全に埋設されてい
る。

コンクリート９は遠心力を利用することにより
締め固められている。また、上下ダイヤフラム
２，２間のコンクリート９の厚さはダイヤフラム
２の内側突出部２ａの突出長さの範囲内で自由に
調整することができる。

さらに、コンクリート９は必ずしも鋼管柱１の
全長にわたつて充填する必要はなく、上下ダイヤ
フラム２，２間にのみ充填してもよく、上下ダイ
ヤフラム２，２間にのみ充填すれば、軽量化が図
れるとともにコンクリートの節約も図れる。

第２図は鋼管柱１の梁材接合部の上側部分と下
側部分の断面サイズが異なる場合の梁材接合部の
構造を示したもので、その構造は先の実施例と略
同じである。

〔考案の効果〕

この考案は以上の構成からなるので、以下の効
果を雄する。

鉄筋等からなるシヤコネクターはダイヤフラ
ムを貫通して取り付けることができるため、シ
ヤコネクターの取り付けが簡単である。

シヤコネクターによつて梁材接合部の鋼管と
コンクリートとの強力な一体化が図れるため、
コンクリートによる充分な補強ができる。ま
た、運搬等の取り扱い中に衝撃等によるコンク
リートのひび割れを防止することができる。

上下ダイヤフラム間のコンクリートの厚さ
は、ダイヤフラムの内側突出部の突出長さの範
囲内で自由に変えることができ、また、上下ダ
イヤフラム間とその外側部分のコンクリートの
厚さも自由に変えることができるため、きわめ
て経済的である。

コンクリートは遠心力を利用して締め固める
ことができるため、鋼管とコンクリートとの完
全一体化が図れる。

コンクリートは上下ダイヤフラム間にのみ充
填すれば、軽量化が図れるとともにコンクリー
トの節約も図れる。

さらに、シヤコネクターの取り付けに際し、
上下ダイヤフラムの一方に溶接して取り付ける
ことができるため、シヤコネクターの取り付け
が簡単にできて作業性も良い。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの考案の一実施例を示し
たもので、いずれも鋼管柱の梁材接合部の縦断面
図である。 １……鋼管柱、２……ダイヤフラム、３……梁
材、４……大孔、５……貫通孔、６……シヤコネ
クター、７……立ち上がり片、８……垂下片、９
……コンクリート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼管コンクリート柱材の梁材接合部の梁材の上
   下フランジに対応する位置に鋼管径より一回りに
   大きいダイヤフラムを柱材に直交してそれぞれ溶
   接し、当該ダイヤフラムの中央部に大孔を設け、
   当該大孔の周辺部に複数本のシヤコネクターを前
   記上下ダイヤフラム間を貫通して設け、当該シヤ
   コネクターの外側に鋼管の内面に接して上下に突
   出する立ち上がり片と垂下片を設け、かつ、前記
   上下ダイヤフラムの内側突出部の範囲内にコンク
   リートを充填してなることを特徴とする鋼管コン
   クリート柱材の梁材接合構造。