JPH03269B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車用チルトステアリング装置に関
するものである。

自動車において、運転者の体格や好みに応じて
ステアリングシヤフトを上下に角度調整し、ステ
アリングハンドルを自己の最適位置とすることが
できるようにしたチルトステアリング装置は既に
種々開発されている（例えば実開昭55−117360号
公報参照）。

上記のようなチルトステアリング装置において
は運転者が降車に際してステアリングシヤフトを
上方に角度変位させステアリングハンドルを最上
位置とすることにより乗降を楽にすることができ
るが、このようにすると乗車の度毎にステアリン
グハンドル位置を自己に最適な位置となるよう再
調節しなければならず極めて面倒である。

そこで降車に際して跳ね上げたステアリングシ
ヤフトを乗車した後ワンタツチで跳ね上げ前のも
との位置に戻すことができるメモリ機構をもつた
チルトステアリング装置が従来より開発されてい
るが、従来は機構複雑で小型化が困難で且つ操作
性にも問題がある等の諸欠点を有している。

本発明は小型コンパクトで且つ機能良好なるメ
モリ機構付チルトステアリング装置を提供するこ
とを目的とするもので、以下本発明を附図実施例
を参照して説明する。

第１図において１はステアリングハンドル、２
はステアリングシヤフトで、該ステアリングシヤ
フト２はコラムシヤフト３内に回転可能に支持さ
れ、該コラムシヤフト３はその下端部をトーボー
ド等の車体側部材４に首振り可能なるよう支持さ
れると共に、上方部を後述するチルト機構５によ
つて車体側部材４に支持された構造となつてい
る。

チルト機構５は、第２図乃至第４図に示すよう
に、コラムシヤフト３の外周面に固着されたコラ
ムブラケツト６の左右両側面の外面に摺接する両
側面を有する可動ブラケツト７と、該可動ブラケ
ツト７の両側面の外面に対向する両側面をもち車
体部材４にボルト等により固着された固定ブラケ
ツト８とからなる。

上記コラムブラケツト６にはその両側面に設け
た貫通孔６ａ，６ａを連通する間筒６１が固着さ
れ、又可動ブラケツト７の両側面には上記コラム
ブラケツト６の貫通孔６ａ，６ａに対向する位置
にチルト案内溝７ａ，７ａが設けられ、上記貫通
孔６ａ，６ａ及びチルト案内溝７ａ，７ａ内にチ
ルトピン９が貫通し、該チルトピン９に螺合する
ナツト形状の締付部材１０を締付けることにより
可動ブラケツト７の両側面がコラムブラケツト６
の両側面に圧接固定されると共に、チルトレバー
１１を操作して締付部材１０を弛めることにより
コラムブラケツト６を可動ブラケツト７のチルト
案内溝７ａ，７ａに沿つて上下に移動調整できる
ようになつている。

尚８ａは固定ブラケツト８の両側面に設けた上
記チルトピン９及び締付部材１０の逃げ溝孔であ
る。

上記可動ブラケツト７の一側面にはロツク穴７
ｂが設けられ、固定ブラケツト８に設けたロツク
部材１２が該可動ブラケツト７のロツク穴７ｂに
嵌入することにより可動ブラケツト７は固定ブラ
ケツト８にロツクされ、該ロツク部材１２を図示
しない操作部材の操作によりロツク穴７ｂより抜
き出させると可動ブラケツト７は固定ブラケツト
８に対し上下方向にフリー即ちロツク解除状態と
なるようになつている。尚ロツク部材１２はスプ
リング１３によりロツク方向に附勢されている。

１４は跳ね上げ用コイルスプリングであり、該
跳ね上げ用コイルスプリング１４はコラムシヤフ
ト３の内部に配設されている。

即ちコラムシヤフト３内には内側への切起しに
よりスプリング受け部３ａが形成され、該スプリ
ング受け部３ａにアツパスプリングシート１５を
介して跳ね上げ用コイルスプリング１４の上端部
が支持され、該跳ね上げ用コイルスプリング１４
の下端を支持するロアスプリングシート１６には
左右に突出するカムピン１７，１７が固設され、
該カムピン１７，１７はコラムシヤフト３に設け
た軸方向溝３ｂ，３ｂを貫通し更に固定ブラケツ
ト８の両側面に設けた傾斜カム溝８ｂをも貫通
し、該カム溝８ｂの下縁部に設けた傾斜カム１８
に当接した状態となつており、跳ね上げ用コイル
スプリング１４のばね力は上記カムピン１７，１
７を下方に押し下げる方向に作用している。

尚コラムシヤフト３内に回転可能に支持されて
いるステアリングシヤフト２が上記跳ね上げ用コ
イルスプリング１４のコイル内を貫通しているこ
とは言うまでもない。

上記において、ロツク部材１２がロツク穴７ｂ
に嵌入している状態では可動ブラケツト７は固定
ブラケツト８に固定されており、このロツク状態
においてチルトレバー１１を操作し締付部材１０
を弛めることによりコラムブラケツト６は可動ブ
ラケツト７に対しフリーとなり、ステアリングハ
ンドル１、ステアリングシヤフト２及びコラムシ
ヤフト３等よりなるステアリングコラムアツシー
を可動ブラケツト７に対しチルト案内溝７ａに沿
つて上下に移動させ、適当なところでチルトレバ
ー１１を操作して締付部材１０を締め込むことに
より、ステアリングハンドル１を最適ドライビン
グ位置とすることができる。

このようなハンドル位置調整に当りチルトレバ
ー１１で締付部材１０を弛めコラムブラケツト６
が可動ブラケツト７に対しフリーとなるコラムシ
ヤフト３内に配設した跳ね上げ用コイルスプリン
グ１４のばね力にてカムピン１７が傾斜カム１８
に沿つて斜め上方に移動することによりステアリ
ングコラムアツシーを上方に移動させ、カムピン
１７が傾斜カム溝８ｂの上端に位置するチルト最
上位置までステアリングコラムアツシーを跳ね上
げ、チルト調整は上記跳ね上げられた最上位置か
らステアリングコラムアツシーを下方へ下げつつ
行うものである。

運転者が降車に際し、図示しない操作部材を操
作しロツク部材１２をロツク穴７ｂから抜き出さ
せると、固定ブラケツト８に対し可動ブラケツト
７がフリーとなり、跳ね上げ用コイルスプリング
１４のばね力により前記チルト調整の場合と同様
カムピン１７が傾斜カム１８に沿つて上方に移動
しつつステアリングコラムアツシーを上方に跳ね
上げる。この場合可動ブラケツト７とコラムブラ
ケツト６とは締付部材１０の締付けによつて固定
されたままとなつているので、該可動ブラケツト
７はステアリングコラムアツシーと一体となつて
上方に跳ね上る。

次に運転者が乗車したとき、上記のようにチル
ト最上位置まで跳ね上つているステアリングハン
ドル１をもつて下方に引き下げると、ステアリン
グコラムアツシーと可動ブラケツト７は一体とな
つて下降し、可動ブラケツト７のロツク穴７ｂが
固定ブラケツト８に取付けられているロツク部材
１２の先端部に一致したところでロツク部材１２
はスプリング１３により自動的にロツク穴７ｂに
嵌入係合し、可動ブラケツト７は固定ブラケツト
８にロツクされる。このとき、可動ブラケツト７
に対するステアリングコラムアツシーの位置は跳
ね上げ前と同じであるので、ステアリングコラム
アツシーは跳ね上げ前にセツトした最適ドライビ
ング位置にそのまま戻り、再調節は全く不要とな
る。

上記のようにステアリングコラムアツシーをチ
ルト調整可能なるよう支持するブラケツトを、固
定ブラケツト８とそれにロツク部材にて係脱可能
なる可動ブラケツト７の組合せにて構成したこと
により、構造簡単で小型コンパクトなメモリ機構
付チルトステアリング装置を得ることができるも
のであるが、乗降に際しての可動ブラケツト７を
伴つたステアリングコラムアツシーの跳ね上げ
時、可動ブラケツト７が締付部材１０の締付けに
よるチルトピン９部のみでステアリングコラムア
ツシーに支持された構造となつていると、跳ね上
げ時の衝撃で該可動ブラケツト７がチルトピン９
を中心として回動しステアリングコラムアツシー
に対し相対的に角度変位してしまう虞れがあり、
このように可動ブラケツト７がチルトピン９を中
心として幾分回動変位すると、跳ね上つているス
テアリングコラムアツシーを下方に引き下げもと
の位置にもどしたときロツク穴７ｂの軌跡が固定
ブラケツト８に設けたロツク部材１２からずれて
該ロツク部材１２がロツク穴７ｂに嵌入しなくな
つてしまう。

そこで本発明では第３，４図に示すようにコラ
ムブラケツト６の上記貫通孔６ａの上方部にガイ
ドピン１９を側方に突出させて固着し、該ガイド
ピン１９が可動ブラケツト７のチルト案内溝７ａ
に嵌合し、可動ブラケツト７のチルトピン９を中
心とする回動変位を上記ガイドピン１９のチルト
案内溝７ａへの嵌合により拘止する構造としたも
のである。

上記のように構成した本発明によれば、コラム
ブラケツトに１本のガイドピンを追加するだけ
で、新たなガイド溝等を設けることなくチルト調
節用のチルト案内溝を利用した極めて簡単なる構
成によつて可動ブラケツトのロツク解除時におけ
るステアリングコラムアツシーに対する相対的角
度変位を完全に防止し、メモリ機構の確実なる作
動を保持し得るもので、前記のように全体構成を
小型コンパクトにまとめ得ることと相俟つて実用
上多大の効果をもたらし得るものである。

尚図示実施例では跳ね上げ用スプリング１４を
コラムシヤフト３内に内装した例を示しており、
このようにすればコラムシヤフト３の内周面とス
テアリングシヤフト２との間のスペースを有効に
利用でき且つコイルスプリングとして大型で強力
なばね力をもつたものを使用できるのでステアリ
ングコラムアツシーの重量が重くても充分大なる
跳ね上げ機能を果し得る等、数多くの利益をもた
らし得るが、本発明においては跳ね上げ用スプリ
ングをコラムシヤフト３の上方部において固定ブ
ラケツト８とステアリングコラムアツシーとの間
に張設したものにも適用可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す全体側面図、第
２図は第１図のチルト機構部の拡大詳細図、第３
図は第２図の−断面図、第４図は第３図の
−矢視図である。 １……ステアリングハンドル、２……ステアリ
ングシヤフト、３……コラムシヤフト、４……車
体側部材、５……チルト機構、６……コラムブラ
ケツト、７……可動ブラケツト、７ａ……チルト
案内溝、８……固定ブラケツト、９……チルトピ
ン、１０……締付部材、１１……チルトレバー、
１２……ロツク部材、１４……跳ね上げ用スプリ
ング、１７……カムピン、８……傾斜カム、１９
……ガイドピン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ステアリングシヤフトを回転可能に嵌装支持
   するコラムシヤフトを、可動ブラケツトに設けた
   チルト案内溝にコラムシヤフト側に設けたチルト
   ピンを嵌挿させることにより上下方向に移動調整
   可能なるよう上記可動ブラケツトに支持させると
   共に、上記コラムシヤフト側にチルトピンとは上
   下方向に変位した位置において可動ブラケツトの
   上記チルト案内溝に嵌合するガイドピンを固設
   し、車体部材に固着した固定ブラケツトに、上記
   可動ブラケツトのロツク穴に嵌合して可動ブラケ
   ツトを固定ブラケツトに固定ロツクするロツク部
   材を、ロツク穴に嵌合する方向にばね支持させて
   取付け、該ロツク部材をロツク穴より抜き出させ
   ることにより可動ブラケツトのロツクを解除し得
   るよう構成し、且つ固定ブラケツトに対しコラム
   シヤフトを上方に移動させる方向に附勢する跳ね
   上げ用スプリングを設けたことを特徴とするチル
   トステアリング装置。 ２ 跳ね上げ用スプリングは、コラムシヤフト内
   に嵌装されたコイルスプリングであり、該コイル
   スプリングの一端部はコラムシヤフト内に固定さ
   れたアツパスプリングシートに係止され、他端は
   ロアスプリングシートに設けたカムピンを介して
   固定ブラケツトに設けた傾斜カムに支持された構
   造となつていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載のチルトステアリング装置。