JPH03259922A - 有機重合体溶液 - Google Patents

有機重合体溶液

Info

Publication number
JPH03259922A
JPH03259922A JP5942090A JP5942090A JPH03259922A JP H03259922 A JPH03259922 A JP H03259922A JP 5942090 A JP5942090 A JP 5942090A JP 5942090 A JP5942090 A JP 5942090A JP H03259922 A JPH03259922 A JP H03259922A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
acid
organic
solvent
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5942090A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2942785B2 (ja
Inventor
Masao Abe
正男 阿部
Shinya Akizuki
伸也 秋月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP5942090A priority Critical patent/JP2942785B2/ja
Publication of JPH03259922A publication Critical patent/JPH03259922A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2942785B2 publication Critical patent/JP2942785B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 童にJ4旧北生顆 本発明は、新規な高分子量有機重合体の安定な有機溶液
に関する。
丈来史挟歪 アニリンを化学酸化剤にて化学酸化重合して、ドーパン
トとしての電解質イオンを含み、電導度が10−”S/
cm以上である導電性有機重合体を製造する方法は既に
知られており、更に、かかる化学酸化重合による導電性
有機重合体の製造において、標準水素電極を基準とする
還元半電池反応における起電力として定められる標準電
極電位が0゜6V以上である酸化剤が特に好適に用いら
れることも、既に特開昭61−258831号公報に記
載されている。
しかしながら、一般に、導電性有機重合体は、不溶不融
性であるので、キャスティング法にてフィルム化するこ
とができず、導電性有機重合体の応用を展開するうえで
大きい障害となっている。
特開昭60−235831号公報や、J、 Polym
erSci、、 Polymer Chem、 Ed、
、 26.1531 (1988)に記載されているよ
うに、アニリンの電解酸化重合によれば、電極上に導電
性有機重合体のフィルムを形成させることができるが、
フィルム形成面が電極表面に限られるために、大面積の
フィルムを得ることが困難であるうえに、電解酸化によ
るために、製造費用が高い。しかも、このフィルムは、
強度が小さく、また、不溶不融性である。
そこで、従来、有機溶剤に可溶性の中間体を製造し、そ
の溶液をキャスティング法にてフィルム化した後、中間
体を物理的又は化学的手段にて導電性重合体に変換させ
る方法が種々提案されている。しかし、この方法による
ときは、高温での処理を必要としたり、或いは中間体か
ら導電性重合体への変換が必ずしも理論どおりに進行し
ないので、製造面からも、得られるフィルムの物性の面
からも、導電性有機重合体フィルムの製造方法としては
、実用的ではない。
ポリピロール又はポリチオフェンの分野では、有機溶剤
に可溶性の重合体が知られている。即ち、長鎖アルキル
基を置換基として有するチオフェンやアルカンスルホン
酸基を置換基として有するピロールを電解酸化重合して
、それぞれ有機溶剤可溶性のポリ3−アルキルチオフェ
ン及び水溶性のポリピロールアルカンスルホン酸を得る
ことができる。これら重合体は、いずれもその溶液から
キャスティング法にてフィルムを得ることができる。
しかし、この方法は、いずれも特殊な単量体を用いると
共に、これを電解酸化重合するので、製造費用が著しく
高い。
他方、アニリンの化学酸化重合の分野においては、最近
、アニリンに対して約1/4モル量のベルオキソニ硫酸
アンモニウムを酸化剤として作用させ、アニリンを化学
酸化重合させて、有機溶剤可溶性のポリアニリンを得る
ことができることが報告されている(A、 G、 Ma
cDiarmid et al、、 5yntheti
c Metals、 21+ 21 (1987); 
A、 G、 MacDiarmid et al、  
L、 Alcacer (ed、)、 Conduct
ingPolymers、 105−120 (D、 
Re1del Publishing Co、。
1987)。しかし、この重合体は、N−メチル−2−
ピロリドンやジメチルスルホキシドのみならず、80%
酢酸や60%ギ酸水溶液にも可溶性であるので、その分
子量は低い。また、重合体のN−メチル−2−ピロリド
ンやジメチルスルホキシドの溶液から自立性フィルムを
得ることができることも記載されている。更に、酢酸溶
液から酢酸にてドープされた導電性重合体フィルムを得
ることができ、これをアンモニアで脱ドープしたフィル
ムとすることも記載されている。しかし、この脱ドープ
状態のフィルムは、ポリアニリンの分子量が低いために
、強度が小さく、折り曲げによって容易に割れるので、
実用に耐えない。
また、アニリンをベルオキソニ硫酸アンモニウムで酸化
して、テトラヒドロフランに溶解するポリアニリンを得
ることができることも知られている(J、 Tang、
 5ynthetic Metals、 24.231
 (1988)。
しかし、この重合体も、テトラヒドロフランに溶解する
ところからみて、分子量は低いものとみられる。
Hが”ンしようとする1 本発明者らは、特に、アニリンの化学酸化重合によって
有機溶剤可溶性の高分子量有機重合体を得るべく鋭意研
究した結果、従来、知られているポリアニリンよりも遥
かに高分子量でありながら、脱ドープ状態において、種
々の有機溶剤に可溶性であって、容易にその溶液からキ
ャスティング法にて自立性の厚さ10μm乃至数十μm
のフィルムを得ることができ、しかも、このフィルムが
強靭であり、可撓性にすぐれると共に、高い引張強度を
有し、しかも、かかるフィルムは、pKa値が4.8以
下のプロトン酸によって容易にドーピングされて、10
’〜10’S/cm台の電導度を有することを見出して
いる。
ここに、上記のように薄い自立性フィルムをキャスティ
ング法によって得るには、溶液中の有機重合体の濃度を
5〜30重量%程度の高濃度溶液として、溶液の粘度を
数十ポアズ以上とすることが有利である。しかしながら
、前記有機重合体を上記のように高濃度に溶液化すると
、有機重合体の安定性が低下して、ゲル化しやすい傾向
が認められる。
そこで、本発明者らは、前記有機重合体溶液の安定化に
ついて、更に鋭意研究した結果、ある種の有機アミン化
合物を上記溶液に加えることによって、溶液の安定化を
達成することができることを見出して、本発明に至った
ものである。
課 を”′するための 本発明による有機重合体溶液は、−i式(式中、m及び
nはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイミン構造単位及
びフェニレンジアミン構造単位のモル分率を示し、O<
m<1.0 < n < 1、m+n=1である。) を主たる繰返し単位として有する重合体であって、脱ド
ープ状態において有機溶剤に可溶性である有機重合体と
有機アミン化合物とを溶解含有することを特徴とする 特に、本発明においては、上記有機重合体は、脱ドープ
状態において、457.9Hmの波長の光で励起して得
られるレーザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベ
ンゼンの骨格振動のうち、1000cr’よりも高波数
にあられれる骨格延伸振動のラマン線の強度1aと10
00cm−’よりも低波数にあられれる骨格延伸振動の
ラマン線強度Ibの比1 a / I bが1.0以上
であることが好ましい。
更に、前記有機重合体は、脱ドープ状態において、N−
メチルピロリドン中、30°Cで測定した極限粘度〔η
〕が0.40 dl/g以上であることが好ましい。
先ず、前述した本発明によるアニリンの酸化重合体の製
造について説明する。
本発明によるアニリンの酸化重合体は、酸解離定数pK
a値が3.0以下であるプロトン酸の存在下に溶剤中に
てアニリンに温度を5°C以下、好ましくは0°C以下
の温度に保持しつつ、標準水素電極を基準とする還元半
電池反応における起電力として定められる標準電極電位
が0.6 V以上である酸化剤の水溶液をアニリン1モ
ル当りに、酸化剤の1モルを、酸化剤1分子を還元する
のに必要な電子数で割った量として定義される当量で、
2当量以上、好ましくは2〜2.5当量徐々に加えて、
上記プロトン酸にてドーピングされたアニリンの酸化重
合体を生成させ、次いで、この重合体を塩基性物質によ
って脱ドーピングすることによって得ることができる。
上記酸化剤としては、二酸化マンガン、ベルオキソニ硫
酸アンモニウム、過酸化水素、第二鉄塩、ヨウ素酸塩等
が特に好ましく用いられる。これらの中で、例えば、ベ
ルオキソニ硫酸アンモニウムや過酸化水素は、その酸化
反応において、共に1分子当りに2個の電子が関与する
ので、通常、アニリン1モルに対して1〜1.25モル
の範囲の量が用いられる。
アニリンの酸化重合において用いられるプロトン酸は、
酸解離定数pKa値が3.0以下であれば、特に、限定
されるものではなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩
素酸、ホウフッ化水素酸、リンフッ化水素酸、フッ化水
素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、
P−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、メタン
スルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸
、ピクリン酸等のフェノール類、m−ニトロ安息香酸等
の芳香族カルボン酸、ジクロロ酢酸、マロン酸等の脂肪
族カルボン酸等を挙げることができる。また、ポリマー
酸も用いることができる。かかるポリマー酸としては、
例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン
酸、ポリアリルスルホン酸、ポリビニル硫酸等を挙げる
ことができる。
用いるプロトン酸の量は、用いる酸化剤の反応様式に依
存する。例えば、二酸化マンガンの場合は、酸化反応は
、 MnO2+4H′″+2e−→Mn”+28zOで示さ
れるから、用いる二酸化マンガンの少なくとも4倍モル
量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必要があ
る。また、過酸化水素の場合も、酸化反応は、 HzOz + 2H” + 2e−−+ 2HzOで示
されるから、用いる過酸化水素の少なくとも2倍モル量
のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必要がある
。他方、ベルオキソニ硫酸アンモニウムの場合は、酸化
反応は、 S、O,”+2e−−+ 2SO,” で示されるから、特に、プロトン酸を用いる必要はない
。しかし、本発明においては、酸化剤として、ベルオキ
ソニ硫酸アンモニウムを用いる場合であっても、この酸
化剤と等モル量のプロトン酸を用いることが好ましい。
アニリンの酸化重合における溶剤としては、アニリン、
プロトン酸及び酸化剤を溶解し、且つ、酸化剤によって
酸化されないものが用いられる。
水が最も好ましく用いられるが、しかし、必要に応して
、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニ
トリル等のニトリル類、N−メチル−2−ピロリドン、
ジメチルスルホキシド等の極性溶剤、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類、酢酸等の有機酸類も用いることがで
きる。また、これら有機溶剤と水との混合溶剤も用いる
ことができる。
本発明による溶剤可溶性のアニリン酸化重合体を得る方
法において、反応の間、特に、酸化剤溶液をアニリン溶
液に加える間に、反応混合物の温度を常に5°C以下に
保持することが重要である。
従って、酸化剤溶液は、アニリンに徐々に加えて、反応
混合物の温度が5°Cを越えないようにする必要がある
。急激に酸化剤を加えるときは、外部からの冷却によっ
ても、反応混合物の温度が上昇して、低分子量の重合体
を1威したり、或いは後述する脱ドーピング後にも溶剤
不溶性の酸化重合体が1威する。
特に、本発明においては、反応温度をO″CC以下持す
るのが好ましく、これによって、脱ドーピング後、N−
メチル−2−ピロリドン中、30°Cで測定した(以下
、同し。)極限粘度〔η]が1.0dl/g以上の高分
子量の溶剤可溶性のアニリンの酸化重合体を得ることが
できる。
このようにして、用いたプロトン酸によってドープされ
たアニリンの酸化重合体を得ることができる。ドープ状
態では、アニリンの酸化重合体は、プロトン酸と塩を形
成しているために、多くのドープ状態の導電性有機重合
体についてそうであるように、一般には、後述するよう
な有機溶剤に溶解しない。
しかしながら、上記プロトン酸にてドーピングされて、
有機溶剤に不溶性である導電性有機重合体は、これを脱
ドーピングすることによって、本発明による有機溶剤に
可溶性のアニリン酸化重合体を得ることができる。
製造時に用いたプロトン酸にてドープされている上記導
電性有機重合体の脱ドーピングは、一種の中和反応であ
るから、このような脱ドーピングを行なうには、ドーパ
ントとしてのプロトン酸を塩基性物質にて中和すればよ
い。このような塩基性物質は、特に、限定されるもので
はないが、好ましくは、アンモニア水、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシ
ウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物が用いられる
。脱ドーピングは、上記アニリンの酸化重合の後、反応
混合物中に直接に塩基性物質を加えてもよ(、或いは重
合体を一旦単離した後、塩基性物質を作用させてもよい
アニリンの酸化重合によって得られたドープ状態の導電
性有機重合体は、通常、IQ−637cm以上の電導度
を有して、黒縁色を呈するが、脱ドーピング後は、紫色
或いは紫がかった銅色である。
この変色は、重合体中の塩構造のアミン窒素が遊離アミ
ンに変化したためである。電導度は、通常、10””3
7cm台である。
このようにして得られる脱ドープ状態のアニリン酸化重
合体は、高分子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶
解する。かかる有機溶剤としては、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等を挙げ
ることができる。
溶解度は、重合体の平均分子量や溶剤にもよるが、重合
体の0.5〜100%が溶け、l〜30重量%の溶液を
得ることができる。
特に、本発明による脱ドーピング状態のアニリン酸化重
合体は、N−メチル−2−ピロリドンに高い溶解性を示
し、通常、重合体の20〜100%が溶解し、3〜30
重量%溶液を得ることができる。しかし、テトラヒドロ
フラン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液、アセト
ニトリル等には溶解しない。
従って、かかる溶剤可溶性の重合体を有機溶剤に溶解し
、キャスティング法にてフィルム化することができる。
例えば、重合体溶液をガラス板上にキャスティングした
後、溶剤の加熱乾燥の条件を選ぶことによって、均一、
強靭で可撓性にすぐれる自立性フィルムを得ることがで
きる。
このフィルム調製において、強靭で可撓性にすぐれるフ
ィルムを得るには、極限粘度〔η〕が0゜4061/g
以上の前記した溶剤可溶性重合体を用いることが望まし
い。
更に、前記溶剤可溶性のアニリン酸化重合体をキャステ
ィングして得られるフィルムは、溶剤の乾燥条件によっ
ても、異なる性質を有する。通常、極限粘度〔η〕が0
.40 dl/g以上である可溶性重合体のN−メチル
−2−ピロリドン溶液をガラス板上にキャスティングし
、溶剤を乾燥させる場合に、乾燥温度が100 ’C以
下であるときは、得られるフィルムは強度が尚十分に大
きくなく、また、N−メチル−2−ピロリドンにも一部
溶解する。
しかし、乾燥温度を130°C以上とするときは、得ら
れるフィルムは可撓性にすぐれ、非常に強靭であって、
折り曲げても割れることがない。また、このようにして
得られるフィルムは、N−メチル−2−ピロリドンにも
溶解せず、更に、濃硫酸にも溶解しない。このように、
キャスティング後の高温での溶剤乾燥による重合体の溶
剤不溶化は、重合体中に存在し、或いは加熱時に生成す
るラジカルのカップリングによって、重合体分子が架橋
するためであるとみられる。
前述した有機溶剤に可溶性のアニリン酸化重合体の溶液
は、必要に応じて、他の有機溶剤で希釈されていてもよ
い。このような希釈溶剤としては、N−メチル−2−ピ
ロリドンと相溶性を有するものが好ましく、従って、例
えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、三ト
リル類を含む含窒素有機溶剤等が好適に用いられる。
特に、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアル
コール、ブチルアルコール等のような脂肪族アルコール
が希釈溶剤として好適である。しかし、エチレングリコ
ールのようなグリコール類も好適に用いることができる
。また、アセトニトリル、テトラヒドロフランも好適な
希釈溶剤である。
また、希釈程度によっては、必要に応して、例えば、n
−へキサンのように、N−メチル−2ピロリドンに相溶
性をもたない炭化水素溶剤も希釈溶剤として用いること
ができる。
本発明による前記可溶性アニリン酸化重合体は、元素分
析、赤外線吸収スペクトル、ESRスペクトル、レーザ
ー・ラマンスペクトル、熱重量分析、溶剤への溶解性、
可視乃至近赤外吸収スペクトルから、 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
率を示し、O<m<1、O<n<1、m+n=1である
。) を主たる繰返し単位として有する重合体である。
前記溶剤可溶性重合体からキャスティング法にて溶剤不
溶化して得たフィルムも、溶剤可溶性重合体と実質的に
同じ赤外線吸収スペクトルを示し、また、元素分析、赤
外線吸収スペクトル、ESRスペクトル、レーザー・ラ
マンスペクトル、熱重量分析、溶剤への溶解性、可視乃
至近赤外吸収スペクトル等から、架橋構造を有するもの
の、実質的に同じ繰返し単位からなるものとみられる。
上記−数式にて示される溶剤可溶性重合体において、m
及びnの値は、重合体を酸化又は還元することによって
調整することができる。即ち、還元することによって、
mを低減させ、nを増大さ廿ることかできる。逆に、酸
化すれば、mを増大させ、nを低減させることができる
。重合体の還元によって、重合体中のキノンジイミン構
造単位が減少すると、重合体の溶剤への溶解性が高めら
れる。また、還元前に比べて、溶液の粘度は低下する。
このような溶剤可溶性重合体の還元のためには、抱水ヒ
ドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類、水素
化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の金
属水素化物、水素等が好適に用いられる。有機溶剤、特
に、N〜メチル−2−ピロリドンに溶解するが、N−メ
チル−2−ピロリドンを還元しない点から、フェニルヒ
ドラジンが最も好ましく用いられる。他方、溶剤可溶性
重合体の酸化のために用いられる酸化剤は、一般弐にお
けるフェニレンジアミン構造単位を酸化し得るものであ
れば任意であるが、標準水素電極を基準とする還元半電
池反応における起電力として定められる標準電極電位が
0.3 V以上である酸化剤が特に好適に用いられる。
例えば、穏和な酸化剤である酸化銀が好ましく用いられ
る。酸素吹き込みも有用である。強力な酸化剤として、
例えば、過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリウム等
も用いることができるが、その使用に際しては、重合体
の劣化をもたらさないようにする必要がある。
このように、溶剤可溶性重合体を還元することは、重合
体溶液の粘度を低減させるので、前述したドーピング状
態で溶剤可溶性の重合体の溶液を安定に保つのに有用で
ある。
また、本発明によれば、ドーピング状態の導電性有機重
合体とプロトン酸とを含む溶液は、添加剤として、バイ
ンダーとして機能する種々の樹脂を含有していてもよい
。バインダーに用いる樹脂は、溶剤に溶解し得るもので
あれば、特に、限定されない。
前記重合体の還元において、還元剤を過剰に用いた場合
は、重合体中のキノンジイミン構造単位の多くが還元さ
れるために、キノンジイミン構造単位へのプロトン酸に
よるドーピングによるセミキノンラジカル(ポーラロン
構造)の生成が少なく、従って、得られる導電性有機重
合体の電導度は、そのドーピング直後には、それほど高
くない。
しかし、ドーピングした重合体を空気中に放置すること
によって、還元されたフェニレンジアミン構造単位が空
気酸化によって、徐々にキノンジイミン構造単位に戻り
、重合体層中に残存するプロトン酸によってドーピング
されて、セミキノンラジカルを生成するので、高導電性
の有機重合体を得ることができる。
このようにして得られる導電性有機重合体を薄膜として
用いたときの表面抵抗は、用いるプロトン酸によって異
なるが、通常、105〜10′。Ω/口程度である。
ここで、レーザー・ラマンスペクトルより得られる本発
明による有機重合体の特徴について、従来より知られて
いる所謂ポリアニリンと比較しつつ、説明する。
一般に、物質を構成する原子間の振動に関する情報を得
る手段として、振動分光学があり、これには赤外分光と
ラマン分光とがある。赤外分光は、双極子モーメントの
変化をもたらす振動モードに活性であり、ラマン分光は
、分極率の変化をもたらす振動に活性である。従って、
両者は、相補的な関係にあって、−船釣には、赤外分光
で強くあられれる振動モードは、ラマン分光では弱く、
他方、ラマン分光にて強くあられれる振動モードは、赤
外分光では弱い。
赤外線吸収スペクトルは、振動準位間のエネルギー吸収
を検出することによって得られ、ラマンスペクトルは、
光照射によって分子が励起された後、基底状態のより高
い振動準位に落ちるときに生しる散乱光(ラマン散乱)
を検出することによって得られる。このとき、照射光に
対する散乱光のエネルギー差から振動エネルギー準位を
知ることができる。
通常、ラマンスペクトルは、アルゴンレーザー等からの
可視光励起によって得られる。ここに、試料が可視領域
に吸収帯を有する場合、照射レーザー光とその吸収帯波
長がマツチングすると、非常に強いラマン線が得られる
ことが知られている。
この現象は共鳴ラマン効果と呼ばれており、これによれ
ば、通常のラマン線の10’〜105倍もの強いラマン
線が得られる。かかる共鳴ラマン効果によれば、照射し
たレーザー光の波長によって励起される化学構造部分の
情報がより強調されて得られることとなる。従って、照
射するレーザー光の波長を変えながら、ラマンスペクト
ルを測定することによって、その試料の化学構造をより
正確に解析することができる。このような特徴は、赤外
分光にはないラマン分光の特徴である。
第1図は、本発明による有機溶剤可溶性であって、N−
メチル−2−ピロリドン中、30°Cで測定した極限粘
度〔η〕が1.2 dl/gである脱ドープ状態のポリ
アニリンの粉末をディスク状に成形した試料について、
励起波長457.9 n mで照射して得たレーザー・
ラマンスペクトルである。ラマン線の帰属は以下のとお
りである。1022及び1591cm”’は、パラ置換
ベンゼンの骨格延伸振動、1489及び1479cm−
’は、キノンジイミン構造のC=C及びC=Nの伸縮振
動、1220cot−’はC−N伸縮振動とC−C伸縮
振動の混在、1185及び1105cm−’はC−Hの
面内変角振動である。
第2図は、Y、 Furukawa et al、、 
5ynth、 Met、。
10、189 (1986)に示された脱ドープ状態の
ポリアニリンについて、励起波長457.9nmで照射
して得たレーザー・ラマンスペクトルである。このポリ
アニリンは、白金電極上、アニリンの電解酸化重合によ
って得られたものである。
第1図にみられるように、本発明による溶剤可溶性の脱
ドープ状態のポリアニリンでは、パラ置換ベンゼンの骨
格振動のうち、1000cm−’よりも高波数にあられ
れる骨格延伸振動のラマン線強度1aと1000cm−
’よりも低波数にあられれるラマン線強度1bとの比1
 a / I bが1.0以上である。これに対して、
第2図に示したポリアニリンを含む従来より知られてい
るポリアニリンは、化学酸化重合によるものを含めて、
すべて上記比I a / I bは1.0よりも小さい
1022及び1591cm−’のラマン線は、共に、パ
ラ置換ベンゼンの骨格延伸振動に基づくものである。還
元状態にあるポリアニリンでは、キノンジイミン構造を
もたないために、1021cm−’にのみラマン線を生
じるが、キノンジイミン構造を有する脱ドープ状態のポ
リアニリンでは、前述したように、1022及び159
1cm−’にラマン線があられれる。これらのラマン線
は、第3図に示すような励起波長依存性を示す。
励起波長を488.0nmから476.5nmを経て4
57.9nmへと短波長側に変化させるにつれて、I 
a / I bは変化する。即ち、488.0 n m
のときはI a / I bは1.0より小さいが、4
57゜9nmでは、1.0以上となっており、488.
0 nmのときと比べて、I a / I b強度が逆
転している。この逆転現象は、以下のように説明されよ
う。
第4図に本発明による溶剤可溶性ポリアニリンの電子ス
ペクトルを示す。647nmのピークは、ポリアニリン
を還元することによって消失するので、キノンジイミン
構造に由来するものとみられ、334 nmのピークは
、逆にポリアニリンを還元することによって強度を増す
ので、パラ置換ベンゼンのπ−π”遷移に由来するとみ
られる。第4図に前記したラマン励起波長を示す。ここ
で、パラ置換ベンゼン骨格延伸振動のバンドについては
、励起波長を488.0nmから457.9nmへと短
波長側に変化させると、1591cm−’のバンドと比
較して、1022cm−’のハンドの共鳴ラマン効果の
共鳴条件がより有利になり、前述のような相対強度の変
化が生じると考えられる。
次に、第1図と第2図に示すスペクトルにおいて、15
91cr’と1022cm−’のラマン線の相対強度が
、同じ励起波長(457,9nm)であるにもかかわら
ず、異なることは、以下のように説明されよう。即ち、
フェニレンジアミン構造のモデル化合物としてのN、N
“−ジフェニル−p−フェニレンジアミンが1017c
m−’のみにラマン線を有し、キノンジイミン構造のモ
デル化合物としてのN、N”−ジフェニル−p−ベンゾ
キノンジイミンが1568cm−’及び1021c++
−’にラマン線を有することから、下記(a)に示すよ
うに、キノンジイミン構造と非共役のバラ置換ベンゼン
環は、短波長光の励起にて強度が増した1 622cm
−’のラマン線を有し、下記(b)に示すように、キノ
ンジイミン構造と共役しているバラ置換ベンゼン環は、
1591cm−’及び1022cm−’のラマン線を有
するものと推定される。
N、 N’−ジフェニル フェニレン−;アミン キノンジイ ミン構造 (a) 1022c++ (b) 591cm 1022  cm 元素分析の結果から、本発明による脱ドープ状態の溶剤
可溶性ポリアニリンにおいては、キノンジイミンの数と
フェニレンシア旦ンの数はほぼ等しいとみられるから、
かかる脱ドープ状態の溶剤可溶性ポリアニリンの構造連
鎖は、キノンジイミン構造とフェニレンジアミン構造と
の連結様式から、(C)に示すように、キノンジイミン
構造とフェニレンシアくン構造の交互共重合体的連鎖と
、(d)に示すように、キノンジイミン構造とフェニレ
ンジアミン構造のブロック共重合体的連鎖の2つに分類
される。図中、矢印にて示すバラ置換ベンゼン環は、キ
ノンジイミンと非共役のベンゼン環を示し、上記交互共
重合体的連鎖においては、例えば、8量体連鎖単位当り
では2つであり、フロック共重合体的連鎖においては、
例えば、8量体連鎖単位当りでは3つである。連鎖単位
がもつと長い場合は、両者におけるキノンジイミンと非
共役のベンゼン環の数の差は、更に大きくなる。この差
が1591cm+−’と1022cm−’のラマン線の
相対強度の差となってあられれるといえる。
本発明による溶剤可溶性ポリアニリンにおいては、レー
ザー・ラマンスペクトルにおけるIa/Ib比が1.0
以上であるところから、キノンジイミン構造と非共役の
ベンゼン環が多く含まれており、かくして、前記ブロッ
ク共重合体的連鎖を有するものとみられる。
本発明によるポリアニリンの有機溶剤可溶性は、かかる
ブロック共重合体的連鎖を有することによって合理的に
説明される。一般に、キノンジイミン構造におけるイミ
ン窒素(−N=)は、近傍の第2級アミノ基水素(−N
H−)と水素結合を形成することが知られているが(M
acromolecules。
旦、 1297 (1988))、第2級アミノ基相互
の間の水素結合は強くない。
従って、ポリアニリンが前記交互共重合体的連鎖を有す
る場合は、(f)に示すような水素結合の強固なネット
ワークを形成する。従来より知られているポリアニリン
が脱ドープ状態でも、多くの有機溶剤に不溶性であるの
は、かかる水素結合の強固なネットワークを形成するこ
とに起因するとみられる。これに対して、本発明による
脱ドープ状態の溶剤可溶性ポリアニリンのように、重合
体連鎖が前記ブロック共重合体的連鎖である場合は、通
常は、ブロック鎖が異なる長さを有するから、(e)に
みられるように、フェニレンジアミン構造部分とキノン
ジイミン構造部分が隣接しても、多くの水素結合を形成
することができず、溶剤が重合体鎖間に侵入し、溶剤と
の間に水素結合を生じて、有機溶剤に溶解することとな
る。ブロック鎖がどの部分も完全に同し長さを有すると
すれば、前記したような水素結合のネットワークを形成
するであろうが、このような構造を有する確率は極めて
小さいから、通常は、無視し得る。
\    / / \ 更に、このような鎖間相互作用は、前記レーザー・ラマ
ンスペクトルのC−H面内変角振動からも説明される。
前記第2図に示した脱ドープ状態のポリアニリンのC−
H面内変角振動に帰属される1 102cm−’のラマ
ン線は、ポリアニリンが還元されて、イミン窒素がすべ
て第2級アミノ窒素に変換されると、1181cm−’
に高波数シフトする。
前述したように、本発明による溶剤可溶性ポリアニリン
は、脱ドープ状態において、C−H面内変角振動に帰属
されるラマン線として、1105及び1185cじ1の
2つがある。この1185cm−’のラマン線は、従来
より知られている脱ドープ状態のポリアニリンにはみら
れないものであって、還元状態におけるC−H面内変角
振動に帰属される1 181cm−’に近い値を示して
いる。
これらの点から、本発明による溶剤可溶性ポリアニリン
は、脱ドープ状態において、ブロック共重合体的連鎖を
有し、還元構造の雰囲気を有すると思われる。このこと
より、高分子量であるにもかかわらず、有機溶剤に対し
て高い溶解性を有するのであろう。以上のように、本発
明によるポリアニリンは、従来より知られているポリア
ニリンとは異なる構造連鎖を有する新規な重合体である
このように、本発明によるアニリンの酸化重合体は、繰
返し単位として、前述したようなブロック共重合体的連
鎖にてキノンジイミン構造単位とフェニレンジアミン構
造単位を有するので、プロトン酸にてドーピングされた
状態においては、酸化還元反応を伴なわずに、酸塩基反
応のみによって、導電性を有するものとして説明される
。この導電機構は、A、 G1MacDiars+id
らによるものであって(A、 G、 MacDiarm
id et al、+ J、 Ches+。
Soc、、 Che+m、 Coma+un、、 19
87.1784)、プロトン酸によるドーピングによっ
て、下に示すように、キノンジイミン構造がプロトン化
され、これがセミキノンカチオンラジカル構造をとって
、導電性を有するものである。かかる状態は、ポーラロ
ン状態と呼ばれる。
IHX <プロトン酸) 薯 ↓分子内酸化還元反応 (セミキノンカチオンラジカル(ポーラロン))前述し
たように、本発明による脱ドープ状態で溶剤可溶性のポ
リアニリンは、これを有機溶剤に溶解し、キャスティン
グ法にて自立性フィルムとすることができ、また、適宜
の基材上にキャスティング法にてフィルム化して、複合
フィルムを得ることもできる。そして、かかるフィルム
は、これをプロトン酸によってドーピングすることによ
って、容易に導電性フィルムを与える。
ここに、好ましいプロトン酸として、酸解離定数pKa
値が4.8以下である有機酸のほか、ホウフッ化水素酸
、リンフッ化水素酸、過塩素酸等を挙げることができる
上記酸解離定数pKa値が4.8以下である有機酸は、
脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式等の−又は多塩基
酸を含み、更に、このような有機酸は、水酸基、ハロゲ
ン、ニトロ基、シアノ基、ア呉ノ基等を有していてもよ
い。従って、かかる有機酸の具体例として、例えば、酢
酸、n−酪酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタ
フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジ
クロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノ
クロロ酢酸、シアノ酢酸、アセチル酢酸、ニトロ酢酸、
トリフェニル酢酸、ギ酸、シュウ酸、安息香酸、m−ブ
ロモ安息香酸、p−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香
酸、p−クロロ安息香酸、0ニトロ安息香酸、2,4−
ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ピクリ
ン酸、0−クロロ安息香酸、P−ニトロ安息香酸、m−
ニトロ安息香酸、トリメチル安息香酸、P−シアノ安息
香酸、m−シアノ安息香酸、チモールブルー、サリチル
酸、5−アミノサリチル酸、0−メトキシ安息香酸、1
,6−シニトロー4−クロロフェノール、2゜6−ジニ
トロフェノール、2.4−ジニトロフェノール、p−オ
キシ安息香酸、ブロモフェノールブルー、マンデル酸、
フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロ
ン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、α−アラニ
ン、β−アラニン、グリシン、グリコール酸、チオグリ
コール酸、エチレンジアミン−N、 N’−二酢酸、エ
チレンジアミン−N、 N、 N’ 、 N’−四酢酸
等を挙げることができる。
また、有機酸は、スルホン酸又は硫酸基を有するもので
あってもよい。このような有機酸としては、例えば、ア
旦ノナフトールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル
酸、アリルスルホン酸、ラウリル硫酸、キシレンスルホ
ン酸、クロロベンゼンスルホン酸、1−プロパンスルホ
ン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸
、■へブタンスルホン酸、■−オクタンスルホン酸、■
−ノナンスルホン酸、l−デカンスルホン酸、1−ドデ
カンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、P−)ルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸
等を挙げることができる。
更に、有機酸は、ポリマー酸であってもよい。
このようなポリマー酸としては、例えば、ポリビニルス
ルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、
スルホン化スチレン−ブタジェン共重合体、ポリアリル
スルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリ−2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリハロ
ゲン化アクリル酸等を挙げることができる。
ナフィオン(米国デュポン社登録商標)として知られて
いる含フツ素重合体も、ポリマー酸として好適に用いら
れる。
ドーピング前は、フィルムは、反射光は銅色を呈し、透
過光は青色を呈するが、プロトン酸によるドーピング後
は、反射光は青色を呈し、透過光は緑色を呈する。また
、ドーピング後は、近赤外領域(1000〜2000n
m)の反射率が大幅に変化する。即ち、ドーピング前は
、近赤外光を殆ど反射するが、ドーピング後は、近赤外
光を殆ど吸収する。
ドーピングによって得られる導電性フィルムの電導度は
、用いるプロトン酸のpKa値に依存し、前述したよう
に、pKa値が4.8以下のプロトン酸が有効である。
pKa値が1〜4.8のプロトン酸を用いるときは、そ
のpKa値が小さいほど、即ち、酸性が強いほど、得ら
れるフィルムの電導度は高い。しかし、pKa値が1よ
りも小さいときは、得られるフィルムの′T!1導度は
、最早、殆ど変化せず、はぼ一定である。但し、勿論、
必要に応じて、pKa値が1以下のプロトン酸を用いて
もよい。
このようにして、プロトン酸のドーピングによって得ら
れる本発明による導電性フィルムの導電性は、通常、1
O−6S/cm以上、多くの場合、IQ−’S/cm以
上である。
この導電性フィルムも、強靭であって、折り曲げても、
容易には割れない。しかし、この導電性フィルムは、プ
ロトン酸の存在下に調製された導電性重合体と同様に、
プロトン酸にてドーピングされているために、前述した
理由によって、また、フィルム調製時の溶剤の加熱蒸発
工程で生成するラジカルのカップリングによる架橋のた
めに、前記した有機溶剤には溶解しない。
以下に上述した脱ドープ状態にて溶剤可溶性のアニリン
酸化重合体の有機溶液について説明する。
本発明による有機重合体溶液は、上述した脱ドープ状態
にて溶剤可溶性のアニリン酸化重合体の溶液に有機アミ
ン化合物を加えることによって得ることができる。
上記溶液を得るための有機溶剤としては、前述したよう
に、N−メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルア
セトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、スルホラン等を挙げることができる。更に、このよ
うな有機重合体の溶液は、必要に応じて、他の有機溶剤
にて希釈されていてもよい。このような希釈溶剤として
は、N−メチル−2−ピロリドンと相溶性を有するもの
が好ましく、従って、例えば、アルコール、ケトン、エ
ステル、エーテル、ニトリル類を含む含窒素有機溶剤等
を挙げることができる。
特に、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアル
コール、ブチルアルコール等のような脂肪族アルコール
が希釈溶剤として好適である。しかし、エチレングリコ
ールのようなグリコール類も好適に用いることができる
。また、アセトニトリル、テトラヒドロフランも好適な
希釈溶剤である。
上記有機アミン化合物としては、塩基性定数Kb値が1
o−11以上であるものが用いられるが、特に、Kb値
が10−”以上である芳香族第1級アミンが、有機重合
体のゲル化を防止する効果が強く、本発明において好ま
しく用いられる。
具体例を示せば、 Kb値 トリエチルアミン      5.6 Xl0−’N−
メチルアニリン      7.I Xl0−”N、N
−ジメチルアニリン    1.17X10−9アニリ
ン          4.2 XIO−Iom−フェ
ニレンジアミン   1.OXl0−9p−フェニレン
ジアミン   1.40X10−”m−キシリレンジア
ミン 等を挙げることができる。
上記したなかでは、特に、Kb値が10−”以上である
アニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジ
アミン、m−キシリレンジアミン等が好ましく用いられ
る。
因みに、Kb値が6X10−”であるO−ニトロアニリ
ンやKb値が6X10−+4であるジフェニルアミンは
、本発明による有機重合体のゲル化防止に効果がない。
本発明において、これら有機アミンの有機重合体溶液中
の有効濃度は、脱ドープ状態のアニリンの酸化重合体の
製造条件にもよるので、厳密には、その範囲を定めるこ
とは困難であるが、通常、有機重合体100重量部に対
して、有機アミン化合物を10〜200重量部の範囲と
すれば、望ましい結果を得ることができ、特に、20〜
100重量部の範囲とすることが好ましい。一般に、有
機アミンの有機重合体溶液中の濃度が余りに少ないとき
は、有機重合体のゲル化防止に効果がなく、他方、余り
に多いときは、重合体溶液の保存中に重合体の加水分解
を引き起こし、分子主鎖の切断が起こって、重合体の分
子量低下を招くので好ましくない。
本発明による有機重合体の調製方法は、特に、限定され
るものではなく、重合体溶液を調製した後、その溶液に
有機アミン化合物を溶解させてもよいし、また、予め溶
剤に有機アミン化合物を溶解させ、この溶液に有機重合
体を溶解させてもよい。特に、有機アミン化合物は、一
般に、N−メチル−2−ピロリドンに対する溶解性が高
く、この点からも、本発明においては、溶剤として、N
−メチル−2−ピロリドンが好ましく用いられる。
発lR14果 以上のように、本発明による脱ドープ状態におけるアニ
リン酸化重合体は、種々の有機溶剤、特に、N−メチル
−2−ピロリドンによく溶解し、また、従来より知られ
ているポリアニリンに比べて、遥かに高分子量を有する
ために、キャスティング法によって、強靭で可撓性及び
耐熱性にすぐれ、折り曲げても割れることがないフィル
ムを容易に得ることができる。また、適宜の基材上にフ
ィルム化乃至薄膜化することができる。
しかも、かかるフィルム乃至薄膜をプロトン酸にてドー
ピングすることによって、同様に、高強度の高導電性有
機重合体フィルムを得ることができる。この導電性フィ
ルムは、高い安定性を有しており、例えば、帯電防止材
料や電磁波シールド材料として好適に用いることができ
る。
本発明による有機重合体溶液は、このように有用なアニ
リン酸化重合体と共に、有機アミン化合物を含有し、有
機重合体のゲル化が防止されるので、有機重合体溶液の
種々の利用において、そのポットライフを長くすること
ができる。
例えば、本発明によれば、アニリンの酸化重合体の自立
性フィルムを製造するのに必要な高濃度の溶液を安定に
得ることができ、導電性高分子の実用化に多大の貢献を
なすことができる。
実施班 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 (アニリンの酸化重合によるドープ状態の導電性有機重
合体の製造) 攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた101容
量セパラブル・フラスコに蒸留水6000g、36%塩
酸360m1及びアニリン400g(4,295モル)
をこの順序にて仕込み、アニリンを溶解させた。別に、
氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水1493g
に97%濃硫酸434g(4,295モル)を加え、混
合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液を上記
セパラブル°フラスコに加え、フラスコ全体を低温恒温
槽にて一4°Cまで冷却した。
次に、ビーカー中にて蒸留水2293gにベルオキソニ
硫酸アンモニウム980g(4,295モル)を加え、
溶解させて、酸化剤水溶液を調製した。
フラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の温
度を一3℃以下に保持しつつ、攪拌下にアニリン塩の酸
性水溶液に、チュービングポンプを用いて、直管アダプ
ターから上記ベルオキソニ硫酸アンモニウム水溶液を1
 m17分以下の割合にて徐々に滴下した。最初、無色
透明の溶液は、重合の進行に伴って緑青色から黒縁色と
なり、次いで、黒縁色の粉末が析出した。
この粉末析出時に反応混合物において温度の上昇がみら
れるが、この場合にも、本発明に従って、高分子量重合
体を得るためには、反応系内の温度をO′C以下、好ま
しくは一3°C以下に抑えることが肝要である。粉末析
出後は、ベルオキソニ硫酸アンモニウム水溶液の滴下速
度を例えば8m1/分程度とやや速くしてもよい。しか
し、この場合にも、反応混合物の温度をモニターしつつ
、温度を3°C以下に保持するように、滴下速度を調整
することが必要である。かくして、7時間を要して、ベ
ルオキソニ硫酸アンモニウム水溶液の滴下を終了した後
、更に1時間、−3°C以下の温度にて攪拌を続けた。
得られた重合体粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、
室温で真空乾燥して、黒縁色の重合体粉末430gを得
た。これを直径13an、厚さ700μmのディスクに
加圧成形し、ファン・デル・ボー法によって、その電導
度を測定したところ、143/Cl11であった。
(導電性有機重合体のアンモニアによる脱ドーピング) 上記ドープされている導電性有機重合体粉末350gを
2Nアンモニア水42中に加え、オートホモミキサーに
て回転数5000rpa+にて5時間攪拌した。混合物
は、黒縁色から青紫色に変化した。
ブフナーろうとにて粉末を濾別し、ビーカー中にて攪拌
しながら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰り返して
洗浄し、続いて、濾液が無色になるまでアセトンにて洗
浄した。この後、粉末を室温にて10時間真空乾燥して
、黒褐色の脱ドーピングした重合体粉末280gを得た
この重合体はN−メチル−2−ピロリドンに可溶性であ
って、溶解度は同溶剤100gに対して8g(7,4%
)であった。また、これを溶剤として30“Cで測定し
た極限粘度〔η〕は1.23 dl/gであった。
この重合体は、ジメチルスルホキシド及びジメチルホル
ムア兆ドには1%以下の溶解度であった。
テトラヒドロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶液、6
0%ギ酸水溶液及びアセトニトリルには実質的に溶解し
なかった。
この脱ドープ状態のポリアニリンの粉末をディスク状に
底形した試料について、励起波長457゜9nmで照射
して得たレーザー・ラマンスペクトルを第1図に示す。
比較のために、Y、 Furukawaet al、、
 5ynth、 Met、、 10.189 (198
6)に示された脱ドープ状態のポリアニリンについて、
励起波長457.9nmで照射して得たレーザー・ラマ
ンスペクトルを第2図に示す。このポリアニリンは、白
金電極上、アニリンの電解酸化重合によって得られたも
のである。
また、レーザー励起光の波長を変化させて、1400〜
1700cIII−1の範囲について、ラマンスペクト
ルを測定した結果を第3図に示す。励起波長を488.
0 n mから476.5nmを経て457゜9nmへ
と短波長側に変化させるにつれて、Ia/Ibが変化し
、457.9 n mでは、1.0以上となっており、
488.0 n mのときと比べて、Ia/Ib強度が
逆転していることが示される。
更に、第4図に電子スペクトルを示す。
次に、上記有機溶剤可溶性ポリアニリンについて、N−
メチル−2−ピロリドン用のGPCカラムを用いて、G
PC測定を行なった。カラムは、N−メチル−2−ピロ
リドン用のものを3種類連結して用いた。また、溶離液
には0.01モル/l濃度の臭化リチウムのN−メチル
−2−ピロリドン溶液を用いた。第5図にGPC測定の
結果を示す。
この結果から、上記有機溶剤可溶性ポリアニリンは、数
平均分子量23000、重量平均分子量100000 
(いずれも、ポリスチレン換算)であった。
同様に、反応条件を種々に変えて、N−メチル2−ピロ
リドン中、30°Cで測定した極限粘度(η〕の異なる
有機溶剤可溶性ポリアニリンを得た。これらについて、
極限粘度〔η〕とGPCによる数平均分子量及び重量平
均分子量を第1表に示す。
第  1  表 実施例2 (可溶性アニリン酸化重合体を用いる自立性フィルムの
調製) 実施例1にて得た脱ドープしたアニリン酸化重合体粉末
5gをN−メチル−2−ピロリドン95g中に少量ずつ
加え、室温にて溶解させて、黒青色溶液を得た。この溶
液を03ガラスフイルターにて真空濾過したところ、フ
ィルター上に残存した不溶物は極めて少量であった。こ
のフィルターをアセトンにて洗浄し、残存する不溶物を
乾燥後、重量測定したところ、75■であった。従って
、重合体は、その98.5%が溶解し、不溶物は1.5
%であった。
このようにして得られた重合体溶液をガラス板上にキャ
スティングし、ガラス棒にてしごいた後、熱風循環乾燥
器中でN−メチル−2−ピロリドンを蒸発揮散させた。
この後、ガラス板を冷水中に浸漬することによって、重
合体フィルムがガラス板より自然に剥離し、かくして、
厚さ40μmの重合体フィルムを得た。
このフィルムをアセトンで洗浄した後、室温で風乾して
、銅色の金属光沢を有するフィルムを得た。
フィルムは、その乾燥温度によって、強度及び溶解性が
異なる。乾燥温度が100″C以下のときは、得られる
フィルムは、N−メチル−2−ピロリドンに少量溶解す
ると共に、強度も比較的小さい。しかし、130°C以
上の温度で加熱して得られるフィルムは、非常に強靭で
あって、また、N−メチル−2−ピロリドンやその他の
有機溶剤にも溶解しない。また、濃硫酸にも溶解しない
。このように、高温で加熱すると、その過程で重合体分
子が相互に架橋し、不溶性となるものとみられる。
このようにして得られた脱ドープ状態のフィルムは、電
導度はいずれもIQ−”57cm台であった。
また、フィルムは10000回の折り曲げによっても割
れず、引張強度は850kg/cdであった。
実施例3 (自立性フィルムのプロトン酸によるドーピング)実施
例2において、100°Cで2時間加熱乾燥して得た自
立性フィルムをそれぞれINの硫酸、過塩素酸及び塩酸
水溶液中に室温にて66時間浸漬した後、アセトンで洗
浄し、風乾して、それぞれ導電性フィルムを得た。
フィルムは、いずれも濃青色を呈し、電導度は、それぞ
れ93/C1l、133/ci及び6S/cI11であ
った。また、過塩素酸にてドーピングしたフィルムの引
張強度は520 kg/cfflであった。
実施例4 (共に脱ドープ状態で可溶性の重合体及び不溶性フィル
ム化された重合体のスペクトル及び構造)実施例1にて
得た可溶性重合体粉末と実施例2にて得た不溶性重合体
フィルムのKBr錠剤法によるFT−IRスペクトルを
それぞれ第6図及び第7図に示す。実施例2にて得た不
溶性重合体フィルムのスペクトルには、残存溶剤N−メ
チル2−ピロリドンによるとみられる1060CIIl
−1の吸収が若干認められるが、2つのスペクトルは殆
ど同じであるので、溶剤可溶性の重合体のキャスティン
グ後の溶剤の加熱乾燥によって、重合体は架橋によって
溶剤不溶化するものの、化学構造において大きい変化が
生していないことが認められる。
上記可溶性重合体粉末及び不溶性重合体フィルムの熱重
量分析の結果を第8図に示す。いずれも高い耐熱性を有
する。不溶性のフィルムがより高い温度まで分解しない
ので、濃硫酸に不溶性であることを考慮すれば、不溶性
フィルムにおいては、重合体分子が架橋していることを
示すものである。
また、第9図にESRスペクトルを示す。スピン濃度は
、可溶性重合体が1.2X10I11スピン/gであり
、加熱温度を高めるにつれて、スピン濃度が高くなり、
ラジカルが加熱によって生成することが示される。この
ラジカルのカップリングによって、重合体が架橋して、
加熱したフィルムが不溶性になるものとみられる。
次に、可溶性重合体と不溶性重合体について、元素分析
の結果を以下に示す。
豆痘援里金生 C,77,19; H,4,76; N+ 14.86
  (合計 96.81)玉産止里金生 C,?8.34; H,4,99; N、 15.10
  (合計 98.49)この元素分析に基づいて、C
I 2.00に規格化した可溶性重合体の組成式はC+
z、 ooHs、 sJt、 911であり、不溶性の
重合体の組成式はC+z、。。H9,1IN1. ’l
’lである。他方、同様に、C12,OOに規格化した
キノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単
位は、それぞれ下記のとおりである。
キノンシイごン ′告 立 C1□HsNzフエニレン
ジアミン &C1□H1゜N2従って、可溶性重合体及
び溶剤不溶性重合体共に、前述したように、キノンジイ
ミン構造単位とフェニレンジアミン構造単位を主たる繰
返し単位として有する重合体である。
次に、実施例2にて得た脱ドープ状態のフィルムと実施
例3にて得た過塩素酸をドープしたフィルムの可視乃至
近赤外領域の反射スペクトルをそれぞれ第10図に示す
。脱ドープ状態においては、近赤外光を殆ど反射してい
るが、ドープ後には、近赤外光を吸収しており、反射が
殆どないことが認められる。これは、プロトン酸ドーピ
ングによって生成した導電性をもたらすポーラロン又は
バイポーラロンによる吸収に基づく。
また、脱ドープ状態のフィルムを過塩素酸にてドープす
ることによって、ESR吸収が大幅に増大し、スピン濃
度は3.8X10”スピン/gにも達する。これは生成
したポーラロンであるセミキノンラジカルに由来するも
のである。
実施例5 N−メチル−2−ピロリドン60gにアニリン6.5g
を溶解させ、この溶液に実施例1にて調製した脱ドープ
状態の溶剤可溶性のアニリンの酸化重合体5gを加え、
室温にて攪拌し、溶解させて、均一な黒青色溶液を得た
。この溶液は、冷蔵庫中にて10日間保存しても、重合
体のゲル化は生じなかった。
別に、上記重合体溶液を冷蔵庫に一夜放置した後、ガラ
ス板上に流延し、熱風循環乾燥機中で150°Cで2時
間加熱して、溶剤を蒸発させた。このガラス板を水中に
浸漬すると、自然に重合体フィルムがガラス板から剥離
した。厚さは42μmであった。このフィルムをアセト
ンで洗浄した後、風乾して、銅色の金属光沢を有する自
立性フィルムを得た。
このフィルムの一部をIN過塩素酸水溶液中に3日間浸
漬した後、取り出し、次いで、アセトン中に浸漬して、
酸を除去し、風乾して、光沢を有する黒青色のフィルム
を得た。このフィルムを1印角に切出し、その四隅に幅
1肛の銅箔を銀ペーストにて取付けて電極とし、ファン
・デル・ポー法にて電導度を測定したところ、15S/
Cl11であった。
また、フィルムは非常に強靭であって、折り曲げても割
れることがなかった。引張強度は550kg/cill
であり、そのときの伸びは75%であった。
実施例6 実施例5において、アニリンに代えて、P−フェニレン
ジアミン、m−フェニレンジアミン又はm−キシリレン
シアミンを用いた以外は、実施例5と全く同様にして、
重合体溶液を調製した。これら重合体溶液は、いずれも
、冷蔵庫中に10日間保存しても、重合体のゲル化は認
められなかった。
また、それぞれの重合体溶液を用いて、実施例5と同様
にして、自立性フィルムを得た。いずれのフィルムも、
実施例5のフィルムと実質的に同じ電導度及び機械的強
度を有していた。
実施例7 実施例5において、アニリンに代えて、トリエチルアミ
ン、N−メチルアニリンスはN、N−ジメチルアニリン
を用いた以外は、実施例5と全く同様にして、重合体溶
液を調製した。これら重合体溶液は、冷蔵庫中に保存し
たとき、保存6日までは、重合体のゲル化が認められな
かった。
比較例1 実施例5において、アニリンを用いない以外は、同様に
して、重合体溶液を調製した。この溶液を室温下に放置
したところ、約5時間後に重合体がゲル化した。また、
冷蔵庫中に保存したときは、1日後には、重合体がゲル
化した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による脱ドープ状態で有機溶剤可溶性
のアニリン酸化重合体を457.9nmの波長の光で励
起したときのレーザー・ラマンスペクトル、第2図は、
従来より知られているポリアニリンを457.9nmの
波長の光で励起したときのレーザー・ラマンスペクトル
、第3図は、第1図と同じアニリン酸化重合体を種々異
なる励起波長の光で励起したときのレーザー・ラマンス
ペクトル、第4図は、本発明による脱ドープ状態で有機
溶剤可溶性のアニリン酸化重合体のN−メチル2−ピロ
リドン溶液の電子スペクトルである。 第5図は、本発明による溶剤可溶性ポリアニリンのGP
Cによる分子量分布を示すグラフ、第6図は、本発明に
よる脱ドープ状態で可溶性のアニリン酸化重合体のKB
rBr法によるFT−I Rスペクトル、第7図は、上
記溶剤可溶性の重合体をキャスティングして得た溶剤不
溶性のフィルムのKBr錠剤法によるFT−IRスペク
トル、第8図は、上記可溶性重合体及び不溶性重合体フ
ィルムの熱重量分析、第9図は、上記可溶性重合体を加
熱したときのESRスペクトル変化を示す図、第10図
は、脱ドープ状態の重合体フィルムとこれを過塩素酸に
てドープしたフィルムの近赤外領域の反射スペクトルで
ある。 第4図 撲束(A帽) 第5図 1=7 (分子量)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)一般式 ▲数式、化学式、表等があります▼ (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1である
    。) を主たる繰返し単位として有する重合体であつて、脱ド
    ープ状態において有機溶剤に可溶性である有機重合体と
    有機アミン化合物とを溶解含有することを特徴とする有
    機重合体溶液。
  2. (2)有機アミン化合物が10^−^1^0以上のKb
    値を有することを特徴とする請求項第1項記載の有機重
    合体溶液
JP5942090A 1990-03-09 1990-03-09 有機重合体溶液 Expired - Lifetime JP2942785B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5942090A JP2942785B2 (ja) 1990-03-09 1990-03-09 有機重合体溶液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5942090A JP2942785B2 (ja) 1990-03-09 1990-03-09 有機重合体溶液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03259922A true JPH03259922A (ja) 1991-11-20
JP2942785B2 JP2942785B2 (ja) 1999-08-30

Family

ID=13112754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5942090A Expired - Lifetime JP2942785B2 (ja) 1990-03-09 1990-03-09 有機重合体溶液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2942785B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05171010A (ja) * 1991-12-20 1993-07-09 Nec Corp 導電性高分子化合物溶液
JPH08143771A (ja) * 1994-11-25 1996-06-04 Nec Corp 耐熱性ポリアニリンあるいはその誘導体及び固体電解コ ンデンサ並びにそれらの製造方法
US5958301A (en) * 1996-09-27 1999-09-28 International Business Machines Corporation Methods of fabricating branched electrially conductive polymers and precursors thereof
US6241913B1 (en) * 1996-09-27 2001-06-05 International Business Machines Corporation Branched electrically conductive polymers and precursors and applications thereof
CN113009007A (zh) * 2021-01-26 2021-06-22 中国建材检验认证集团苏州有限公司 耐根穿刺材料中阻根剂含量的检测方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05171010A (ja) * 1991-12-20 1993-07-09 Nec Corp 導電性高分子化合物溶液
JPH08143771A (ja) * 1994-11-25 1996-06-04 Nec Corp 耐熱性ポリアニリンあるいはその誘導体及び固体電解コ ンデンサ並びにそれらの製造方法
US5958301A (en) * 1996-09-27 1999-09-28 International Business Machines Corporation Methods of fabricating branched electrially conductive polymers and precursors thereof
US6241913B1 (en) * 1996-09-27 2001-06-05 International Business Machines Corporation Branched electrically conductive polymers and precursors and applications thereof
CN113009007A (zh) * 2021-01-26 2021-06-22 中国建材检验认证集团苏州有限公司 耐根穿刺材料中阻根剂含量的检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2942785B2 (ja) 1999-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5205965A (en) Organic polymer solution
JP2739148B2 (ja) 有機重合体又は導電性有機重合体組成物のフィルム,繊維又は複合体の製造方法
Kulkarni et al. Spectroscopic, transport, and morphological studies of polyaniline doped with inorganic acids
JP2631896B2 (ja) 固体電解コンデンサー及びその製造方法
Prevost et al. Studies on chemical oxidative copolymerization of aniline and o-alkoxysulfonated anilines:: I. Synthesis and characterization of novel self-doped polyanilines
US5728321A (en) Organic polymer, conducting organic polymer, production methods and uses of the same
JPH05247204A (ja) 導電性有機重合体の製造方法
Dan et al. Synthesis and characterization of polyaniline prepared in formic acid medium
JPH03259922A (ja) 有機重合体溶液
JP2942786B2 (ja) 有機重合体組成物及びこれを用いる導電性有機重合体薄膜の製造方法
JPH0445929A (ja) ポリアニリン―繊維複合材料
Chao et al. Electroactive hyperbranched polyamide synthesized by oxidative coupling polymerization within an A2+ B3 Strategy
JPH02220373A (ja) 電池
JPH0450198A (ja) ポリアニリン単結晶
JPH04139257A (ja) 噴霧可能帯電防止材組成物
JP3186110B2 (ja) 固体電解コンデンサー及びその製造方法
Dan et al. Preparation and characterization of soluble polyaniline
JP2843938B2 (ja) 導電性有機重合体組成物フイルム及びその製造方法
JP2909555B2 (ja) 電磁波シールド材の製造方法
JP2777659B2 (ja) 抵抗ローラ
JP3204573B2 (ja) 有機重合体溶液
JP2943119B2 (ja) 有機重合体、導電性有機重合体組成物及びそれらの製造方法
JP3043290B2 (ja) 水溶性導電性ポリアニリンおよびその製造方法
JPH02185589A (ja) エレクトロクロミック素子
JP3275061B2 (ja) 有機重合体溶液組成物及びこれを用いる導電性有機重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080625

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 11