JPH0325384Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、静止誘導機器の磁気シールド、例え
ば、変圧器やリアクトル等の静止誘導機器により
発生する漏洩磁束が、誘導機器本体を収納する容
器に浸入するのを遮蔽する磁気シールドブロツク
の角部の電界集中を防止するための磁気シールド
に関するものである。

〔従来技術〕

磁気シールドは静止誘導機器の巻線を流れる電
流により生ずる漏洩磁束が分散して誘導機器の容
器を磁路の１部として流れるのを避けることを役
割として設置されるものであり、これによつて、
漏洩磁束による損失を低減させ、容器の局部過熱
の発生をなくすことを目的とするものであつて、
一般に従来は第１図に示すように容器内面に強磁
性体からなる複数個の磁気シールドブロツクを配
設して磁気シールドとする構造が良く知られてい
る。

すなわち、静止誘導機器の一例を示す断面図で
ある第１図において、符号１は誘導機器本体の鉄
心、２はその誘導機器本体の巻線、３はその誘導
機器本体を収納する容器、４は容器３の内面に取
り付けられた磁気シールドブロツク、５は磁気シ
ールドブロツク４を複数個配設したその終端部に
取り付けられた電界緩和シールドである。

このように構成された静止誘導機器を示す第１
図の磁気シールドブロツク４のＡ部の従来構造に
詳細に示すと第２図のとおりであつて、図におい
て示すように、磁気シールドブロツク４は通常、
硅素鋼板からなる積層鉄心４ａを両側端から普通
鋼板材あるいはステンレス鋼板材等の挟み板４ｂ
によつて挾み付けると共に、これらの端部に止め
板４ｃを溶接して一体に構成しており、この１体
に構成された磁気シールドブロツク４を、第２図
に示すように、容器３の内壁に必要数を取付けに
必要な間隔寸法Ｂだけ離して順次取り付けて構成
している。なお、符号６はこの部分における等電
位線を表わしているものである。

また第３図に示すものは、第２図と同じく第１
図のＡ部を示す詳細図であつて、第２図に示すも
のと異なる点は、第２図に示す挾み板４ｂの代わ
りに、巻線２の対向面側の外面側に丸みを付与し
た挾み板４ｄを取り付けた点のみである。

従来の磁気シールドは上記のように構成されて
いる。すなわち、磁気シールドは一般に巻線２の
高圧充電部と対向して設けられ、各磁気シールド
ブロツクの取付けに必要な間隔寸法Ｂが空いてい
るために磁気シールドブロツク４の両側端の角部
Ｃに電界が集中する。これを若干なりとも解消す
るために第３図に示すように、挾み板４ｄに丸み
を設けることを容易に類推される。しかしなが
ら、第３図のような策を構じたとしても、電界集
中を完全に解消することにはならず、事実、実用
的範囲のシールド寸法においては、平面部電界に
対し角部の電界は1.5倍程度の電界値となる。従
つて、この電界集中部より絶縁破壊を生じないよ
うにするために、高圧充電部と磁気シールドの接
地電位部との間の絶縁距離を十分に確保する必要
があり、その結果、誘導機器が大きなものとなら
ざるを得ないという欠点を有していた。

〔考案の概要〕

本考案は、上記の従来装置における欠点を除去
して磁気シールドブロツクの両側端角部の電界集
中のより一層の低減を簡単な手段によつて得られ
るようにした静止誘導機器の磁気シールドを得る
ことを目的とし、これによつて、高電圧充電部と
磁気シールドとの間の寸法を縮小し、ひいては、
静止誘導機器の小形化を図ることを目的としてな
されたものであつて、そのために、隣接する各磁
気シールドブロツクの角部間に金網を取り付け、
かつこの金網を磁気シールドブロツクに電気的に
接続し、これによつて、磁気シールドブロツクの
両側端角部の電界集中をより一層低減した静止誘
導機器の磁気シールドを提供するものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案をその第１及び第２実施例を示す
第４図及び第５図に基づいて説明する。

なお、第４図及び第５図は、第１図におけるＡ
部に相当する本考案の実施例を示すものであつ
て、容器３、磁気シールドブロツク４は従来装置
におけるものと同一のものである。また、符号１
１及び１２は第１実施例及び第２実施例による金
網、１３は金網１２と磁気シールドブロツク４と
の間を絶縁する絶縁紙あるいはポリイミドフイル
ム等からなる絶縁材である。

この上記金網１１は磁気シールドブロツク４を
取り付けた後、第４図に示すように、挾み板４ｂ
上に溶接等により機械的且つ電気的に固着接続さ
れている。

また、磁気シールドブロツク４間の空間部を紙
面に垂直な方向に流れる漏洩磁束が大きい場合に
は、容器３から挾み板４ｂ、金網及び止め板４ｃ
を介して容器３に至る閉回路に発生する電流が問
題となるので、この場合には、第５図に示す第２
実施例のように、金網１２の一端は磁気シールド
ブロツク４の積層鉄心４ａ間あるいは積層鉄心４
ａと挾み板４ｂとの間に、絶縁材１３により絶縁
して挾み込み、これにより閉回路を作らないよう
にし、また、他端を次の磁気シールドブロツク４
の挾み板４ｂに溶接等により機械的且つ電気的に
接続させている。

このように構成された磁気シールドにおいて
は、従来電界集中を生じていた磁気シールドブロ
ツク４の角部（第２，３図Ｃ部）は金網１１，１
２で覆われることにより、電界的には概ね平面と
見なすことができ、従つて、従来装置より大幅に
電界集中が解消されるようになる。

また、金網１１，１２の取付けは、第４図に示
すような挾み板４ｂ上への溶接、あるいは、第５
図に示すような磁気シールドブロツク４への挾み
込みと他端の挾み板４ｂへの溶接作業のみでよ
く、また、溶接も全長溶接する必要はなく、間欠
溶接程度で十分であり、従つて、従来構造におけ
る第３図のように厚さが薄く、高さが低く、しか
も、長さの長い挾み板４ｂ材の角部を精度よく丸
みを付ける作業に比べて、その工作性に大いに向
上する。

〔考案の効果〕

このように本考案は、各磁気シールドブロツク
の間に金網を設け、その両端を挾み板に溶接等に
より固着するか、又は、一端は磁気シールドブロ
ツクに挾み込み、他端は挾み板に固着させるよう
にしたので、磁気シールドブロツク４の角部の電
界集中を無くすることができる静止誘導機器の磁
気シールドを得られる効果を有しており、ひいて
は、高圧充電部と磁気シールドとの間の絶縁距離
を縮小することができ、従つて、静止誘導機器の
小形化を図ることのできる静止誘導機器の磁気シ
ールドが得られる効果も合わせ有している。ま
た、金網は磁気シールドブロツクに電気的に接続
されているので、金網自体の端部でコロナが発生
する虞れはない。

なお、磁気シールドブロツク４間を覆う材料と
しては、工作性が簡単なものであることは勿論、
その材料の面に直角方向に浸入してくる漏洩磁束
によるうず電流損失発生の少ないものが必要であ
り、従つて、その両方を兼ね備えたものとして、
本考案では普通鋼製あるいはステンレス鋼製等の
金網を提案しているが、これに限らず、うず電流
損失発生の少ない材料例えばニツケルシルバー箔
等でもよいことは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の静止誘導機器の概略構成を示す
断面図、第２図はその第１図のＡ部の一例の詳細
断面図、第３図は従来装置の他の一例の第２図に
相当する部分の詳細断面図、第４図及び第５図は
本考案の第１及び第２実施例の第１図のＡ部に相
当する部分の詳細断面図である。 図において、１……静止誘導機器本体の鉄心、
２……静止誘導機器本体の巻線、３……容器、４
……磁気シールドブロツク、４ａ……強磁性体、
４ｂ……挾み板、４ｃ……止め板、５……電界緩
和シールド、６……磁気シールド部近傍の等電位
線、１１，１２……金網、１３……絶縁材。な
お、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示
す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 静止誘導機器の本体から本体を収納する容器に
   侵入する漏洩磁束を遮断するように容器内面に磁
   気シールドブロツクを複数個取り付けた静止誘導
   機器の磁気シールドにおいて、隣接する前記磁気
   シールドブロツクの角部間に金網を取り付け、か
   つこの金網を前記磁気シールドブロツクに電気的
   に接続したことを特徴とする静止誘導機器の磁気
   シールド。