JPH0325265B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は鋳造に用いる扇形注湯機の運転を制御
する方法に関する。

（従来技術） 従来の扇形注湯機は、例えば第１図ａ〜ｃに示
すように、架台１と、該架台１上に反転軸受２を
介して反転自在に設けられた反転フレーム３と、
該反転フレーム３上にローラ４，４を介して傾動
自在に設けられた扇形トリベ５とを備えており、
前記扇形トリベ５には注湯口６、受湯口７並びに
排湯口８が設けられている。また架台１には反転
シリンダ９が取付けられて、その出力軸端を反転
フレーム３に連結すると共に、扇形トリベ５に隣
接してモータ１０が取付けられて、チエーン１１
を介して扇形トリベ５の下端に取付けた係合部材
１２と連結している。

そして、上面水平状態で受湯口７から溶湯を受
けた後、モータ１０を駆動して扇形トリベ５を傾
動させると、注湯口６からＡ矢印のごとく図示を
略した鋳型に向けて溶湯が注入され、一方反転シ
リンダ９を駆動すれば、反転フレーム３が反転軸
受２を支点に反転して、排湯口８からＢ矢印のご
とく図示を略した排湯トリベへ向けて溶湯が排出
される。

しかして、かかる扇形注湯機を運転制御するに
は、従来、扇形トリベ５の傾動角速度を一定にし
て、その傾動上昇、同下降、停止時間をタイマ設
定により制御し、またプリレベル出し（溶湯を注
湯口６の開口からわずか低位に保持する操作）は
作業者が目視で行つていた。このため、一般に注
湯速度や注湯量を高精度に制御することが困難
で、鋳型の湯口カツプからのオーバーフローによ
る歩留り低下、押湯不足による品質不良等を来た
して、実質完全自動運転が困難な状態にあつた。

（発明の目的） 本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、注湯速
度、注湯量等の注湯精度の向上を計ると共に、扇
形トリベ周りから干渉部分を可及的に排除し、も
つて鋳造歩留りの向上、鋳造品質の向上、作業性
の向上に寄与し、かつ完全自動化を達成し得る扇
形注湯機の運転制御方法を提供することを目的と
する。

（発明の構成） そして、この目的は、予め扇形トリベを傾動さ
せて湯面検知器により初期のプリレベルを決定
し、次に角度データにもとづいてまたは扇形トリ
ベを計量することによつて得た重量データにもと
づいて、前記扇形トリベを前記プリレベルから設
定注湯速度が得られる角度まで傾動せしめ、注湯
量が設定値に達したら次のプリレベルまで扇形ト
リベを戻すようにした扇形注湯機の運転制御方法
によつて達成される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて
説明する。

第２図ａ〜ｃは本発明の方法の実施対象である
扇形注湯機の構造の一例を示したものである。な
お第１図ａ〜ｃに示した部分と同一構成要素には
同一符号を付し、その説明は省略する。本扇形注
湯機の特徴とするところは、架台１の上端に計量
器１３，１３を設け、この計量器１３の上に反転
フレーム３を載置するようにしたこと、反転軸受
２を架台１に取付けたジヤツキアツプシリンダ１
４に連結し、このジヤツキアツプシリンダ１４と
反転シリンダ９とを、下死点時に反転フレーム３
に対してフリーとし、かつジヤツキアツプシリン
ダ１４より反転シリンダ９の方をスロトーク大と
したこと、扇形トリベ５を反転フレーム３に取付
けた傾動シリンダ１５によつて傾動可能としたこ
と、扇形トリベ５のほぼ傾動軸芯Ｃの反注湯口側
に、水平状態で注湯口６よりわずか高位置となる
排湯口８を設けたこと、注湯口６に近接して湯面
検知器１６を、排湯口８の筒部に接して角度計１
７をそれぞれ設けたこと、にある。

かかる構成により、予め反転シリンダ９とジヤ
ツキアツプシリンダ１４とで、該ジヤツキアツプ
シリンダ１４のストローク分傾動フレーム３を持
ち上げて、計量器１３に荷重がかからない状態と
しておき、他のトリベから受湯口７を通して溶湯
を受ける。その後、反転シリンダ９とジヤツキア
ツプシリンダ１４とを下降させて、計量器１３上
に反転フレーム３を着座させ、以降、傾動シリン
ダ１５を駆動して扇形トリベ５を傾動上昇させれ
ば、注湯口６が排湯口８よりも低位置にあるた
め、溶湯は注湯口６のみを通して出湯され、所定
の鋳造が行われる。

鋳造作業後、残湯を排湯しようとする場合は、
反転シリンダ９とジヤツキアツプシリンダ１４と
を再び駆動して反転フレーム３をジヤツキアツプ
シリンダ１４のストローク分持ち上げ、さらに反
転シリンダ９を残りのストローク分上昇させれ
ば、排湯口８が注湯口６よりも低位置となつてそ
の後の傾動シリンダ１５の上昇によつて、残湯は
排湯口８のみを通して排出されるようになる。

しかして、本法においては、上記注湯に際して
以下に記すような注湯制御を行う。

先ず、自動注湯に先立つて初期のプリレベルを
決定する。すなわち、傾動シリンダ１５を駆動し
て扇形トリベ５を傾動させ、注湯口６から流出し
ようとする溶湯を湯面検知器１６で検出し、該湯
面検知器１６からの信号により前記傾動シリンダ
１５を下降させて扇形トリベ５を設定した一定角
度だけ戻す。この位置がプリレベルであり、以降
の注湯の操作上の基準となる。なお、前記プリレ
ベルの決定に際しては、湯面を波打たせずにかつ
注湯口６から多量に出湯させないように扇形トリ
ベ５の傾動、戻しは微速で行うようにする。

次に、傾動シリンダ１５を再び駆動して扇形ト
リベ５を前記プリレベルから設定注湯速度が得ら
れる角度まで傾動させる。具体的には、扇形トリ
ベ５の形状特性により、該扇形トリベ５の傾動角
度と注湯速度との間に比例関係があることに着目
し、角度計１７によつて得た角度データにもとづ
いて、すなわち角度偏差値によつて注湯速度を求
める。そして、前記演算によつて求めた注湯速度
を設定値と比較し、設定値に達した時を傾動の停
止タイミングとして、扇形トリベ５の傾動を停止
し、そのままの姿勢で該扇形トリベ５を保持す
る。

その間、計量器１３により反転フレーム３を含
む扇形トリベ５の重量変化量したがつて注湯量を
連続的に検出し、その注湯量が設定値に達した
ら、直ちに傾動シリンダ１５を下降すなわち扇形
トリベ５を逆傾動させて次のプリレベルまで戻
す。ここで、初期のプリレベルと次のプリレベル
との傾動角度差は前記初回の注湯量に比例するの
で、予め注湯量との相関において次のプリレベル
を決定しておき、その角度まで扇形トリベ５を戻
すようにする。このようにして注湯の１サイクル
が終了し、その後は次のプリレベルから次サイク
ルの注湯をスタートさせる。

なお、鋳込パターンによつては「上昇−停止−
下降」の停止期間中に微速上昇させても良い。

また、注湯量精度を向上させるために、すなわ
ち扇形トリベ５の下降中の出湯を少くするために
２段注湯を行う場合があり、この場合は前記扇形
トリベ５の戻しを２段に分けて行う。

また、上記実施例では角度データにもとづいて
注湯速度を求めるようにしたが、これに代えて、
計量器１３から得た重量変化量にもとづいて、す
なわち計量偏差値を微分して求めるようにしても
良い。

第３図は上記のごとく実施したときの鋳込パタ
ーンを、時間に対する扇形トリベ５の傾動角度変
化として示したもので、実線Ｍが１段注湯の場合
を、破線Ｎが２段注湯の場合を表わす。これよ
り、傾動角度は、湯面検知により決定された初期
のプリレベルＰを起点に、始め所定の注湯速度が
得られる角度Ｑまで直線的に増大し、その後この
レベルで計量設定点Ｒに達するまで平行推移し、
後次のプリレベルＳまで直線的にあるいは多段に
減じ、その間に注湯の１サイクルが実行される。
その後、傾動角度は次のプリレベルＳを起点に次
サイクルへと推移する。なお、この傾動角度変化
は、そのまま傾動シリンダ１５の上昇、下降動作
としてとらえることができる。

しかして、上記各動作は全て制御装置により自
動制御されるようになつており、いまその制御回
路を一括して示すと第４図のとおりとなる。すな
わち、計量器１３の信号処理系には、傾動加速
度、溶湯の振動、油圧ホースや作動油荷重等に対
応すべく波形成形部２１、Ａ−Ｄ変換部２２、補
正部２３等が設けられる他、扇形トリベ５の重量
変化量すなわち注湯量を求める偏差回路２４、前
記注湯量を設定値と比較する設定・比較部２５、
注湯速度を求めるための微分回路２６等が設けら
れ、一方角度計１７の信号処理系には扇形トリベ
５の傾動角度を求める偏差回路２７、前記傾動角
度を設定値と比較する設定・比較部２８およびト
リベ傾動速度を求めるための微分回路２９が設け
られている。そして、これらの信号処理系からの
信号は出力部３０に集約され、傾動シリンダ１５
への上昇・下降指令、速度指令等として、また表
示・生産管理部３１への指令として適宜出力され
るようになつている。なお、注湯速度を角度デー
タにもとづいて求める場合には計量器１３側の微
分回路２６が省略される。

（発明の効果） 以上、詳細に説明したように、本発明は湯面検
知器により初期のプリレベルを決定すると共に、
注湯速度と注湯量を常時検出して、設定値との比
較により扇形注湯機の運転を自動制御するように
したもので、これにより注湯精度が著しく向上す
るようになつて、鋳造歩留りおよび鋳造品質が大
きく向上する効果が得られた。

また、モータ駆動系に代えてシリンダ駆動系を
採用したことにより、扇形トリベ周りから干渉部
分を可及的に排除することが可能となつて注湯の
作業性が高まり、また扇形注湯機自体の信頼性が
向上する効果が得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｃは従来の扇形注湯機の構造を示し
たもので、ａは側面図、ｂは平面図、ｃは正面
図、第２図ａ〜ｃは本発明の方法の実施対象であ
る扇形注湯機の構造を示したもので、ａは側面
図、ｂは平面図、ｃは正面図、第３図は本法によ
る鋳込パターンを示す特性図、第４図は本法を実
行する制御回路図である。 ５……扇形トリベ、１３……計量器、１５……
傾動シリンダ、１６……湯面検知器、１７……角
度計。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 予め扇形トリベを傾動手段で傾動させて湯面
   検知器により初期のプリレベルを決定し、次に、
   角度計により得た角度データにもとづいて前記扇
   形トリベを前記プリレベルから設定注湯速度が得
   られる角度まで傾動せしめ、その間の注湯量を前
   記扇形トリベの重量変化から求めて、該注湯量が
   設定値に達したら次のプリレベルまで角度計によ
   り得た角度データにもとづいて前記扇形トリベを
   戻すことを特徴とする扇形注湯機の運転制御方
   法。 ２ 予め扇形トリベを傾動手段で傾動させて湯面
   検知器により初期のプリレベルを決定し、次に前
   記扇形トリベを計量することにより得た重量デー
   タにもとづいて前記扇形トリベを前記プリレベル
   から設定注湯速度が得られる角度まで傾動せし
   め、その間の注湯量を前記扇形トリベの重量変化
   から求めて、該注湯量が設定値に達したら次のプ
   リレベルまで前記扇形トリベを戻すことを特徴と
   する扇形注湯機の運転制御方法。 ３ 扇形トリベの計量の偏差値を微分して注湯速
   度を得ることを特徴とする特許請求の範囲第２項
   記載の扇形注湯機の運転制御方法。