JPH0322958B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は高速増殖形原子力発電所等において、
炉内機器挿通孔のシール面に付着した放射化ナト
リウム等の異物を除去する際に使用するのに好適
な孔内異物の除去装置に関する。

［発明の技術的背景］ 一般に高速増殖炉では、一次冷却材としてナト
リウムが使用されるが、このナトリウムは一部が
蒸気化して炉内機器等の表面に付着し、次第に放
射化される。炉内機器等は故障時や一定期間使用
後に炉内から撒去されて使用済貯蔵設備に移送さ
れ、炉内には代りの炉内機器が設置される。

第１図は高速増殖炉における炉内機器の交換状
況を説明するもので、炉心１および一次冷却材２
を収納する原子炉容器３の上端は回転プラグ４に
より閉塞されている。回転プラグ４に設けた貫通
孔５には炉内機器６が吊下げ固定されている。

この炉内機器６を交換する場合には、回転プラ
グ４上のピツト室７内に設けた下部案内管８，
９、ドアバルブ１０、上部案内管１１を介してピ
ツト蓋１２上に設けたドアバルブ１３の上にドア
バルブ１４を備えた炉内機器収納キヤスク１５を
放置し、グリツパ１６で把持した炉内機器６をグ
リツパ巻き上げ機構１７によつてキヤスク１５内
に巻き上げ、ドアバルブ１３，１４を閉じた後、
キヤスク１５を使用済貯蔵設備（図示せず）に移
送し、そこで使用済炉内機器６を放出する。

次いでキヤスク１５内に新しい炉内機器を収容
し、上記と逆の手順で回転プラグ４の貫通孔５内
にセツトする。上記手順において使用済炉内機器
６を引き抜く際には、その表面に付着していた放
射化ナトリウム等の異物が貫通孔５のシール面５
ａに付着するので、新しい炉内機器をセツテイン
グする場合には、それに先だつてシール面５ａの
リーミングを行なう。

第２図はこのリーミング工程を例示するもの
で、ドアバルブ１８を備えたリーミング装置１９
をドアバルブ１３上に放置し、延長管２０の下端
に設けたリーマ２１を貫通孔５のシール面５ａ内
に挿入して回転させ異物を削りとる。

［背景技術の問題点］ しかしながら、上述した従来の孔内異物の除去
装置では、シール面からナトリウムを完全に除去
できる保証がないうえ、その除去効果を確認でき
ず、またシール面に傷をつけるおそれがあつた。

［発明の目的］ 本発明はかかる従来の事情に対処してなされた
もので、貫通孔シール面を目視確認しながら安全
かつ確実に清掃し得る孔内異物の除去装置を提供
することを目的とするものである。

［発明の概要］ すなわち本発明の孔内異物の除去装置は、原子
炉容器の上端開口部を遮蔽する遮蔽プラグに穿設
される炉内機器搬出入用の貫通孔に付着した異物
を除去する孔内異物の除去装置において、前記貫
通孔内に挿入されて孔壁との間をシールするシー
ル装置と、前記貫通孔の上方に取付けられ変形自
在とされる気密バツクと、この気密バツクの下部
に配設され前記異物除去時に作業者の手を挿入す
るグローブと、この気密バツグ内に気体を供給す
る供給装置とを備えたことを特徴とする孔内異物
の除去装置である。

［発明の実施例］ 以下第３図ないし第６図を参照して本発明の実
施例を説明する。なおこれらの図において第１図
または第２図におけると同一部材には同一符号を
付してある。

第３図に示す孔内異物の除去装置は、ピツト蓋
１２の下面に布設したレール３０に走行自在に取
付けた吊下げ機構、例えばチエーンブロツク３１
と、このチエーンブロツクに吊下げられる吊下げ
金具３２と、この吊下げ金具とドアバルブ１０と
の間に取付けられる気密バツグ３３と、ドアバル
ブ１０と下部案内管８との間を気密に連絡する気
密バツグ３４と、吊下げ金具３２にワイヤ３５を
介して吊下げられ、回転プラグ４の貫通孔５内に
挿入されるシール装置３６と、各種ホース３７〜
４１とから構成されている。

ドアバルブ１０によつて上下に仕切られた気密
バツグ３３，３４はそれぞれ透明で軟質、かつ機
密性のビニル樹脂等からなる。気密バツグ３３に
はブローダウン用ホース３７や加圧用ホース３８
を継手４２，４３に接続したり切り離したりする
際に使用されるグローブ３３ａが設けられてお
り、また気密バツグ３４には貫通孔５のシール面
５ａを清掃する際等に利用されるグローブ３４ａ
と、清掃間工具４６等を収容しておく気密バツグ
３４ｂと、清掃工具取り出し用のグローブ３４ｃ
とが設けられている。

シール装置３６は第４図に示すように、本体３
６ａとその下端に取付けたガイドシユー３６ｂ
と、本体３６ａと上板３６ｃとの間に介挿したシ
ール用チユーブ３６ｄと、吊下げ用アイボルト３
６ｅと、本体挿入深さを規制する支持脚３６ｆ
と、その位置決めを行なうナツト３６ｇと、コネ
クタ３６ｈ，３６ｉ等から構成されている。コネ
クタ３６ｈにはブローダウンを行なうホース３７
が接続され、このホース３７を通して供給される
アルゴンガスは連通孔３６ｊから本体３６ａとガ
イドシユー３６ｂとの間の環状溝３６ｋに流出
し、矢符Ａのようの貫通孔５内を流下する。これ
によつて貫通孔５内には一次バウンダリーが形成
され、炉内ガスの上昇は防止される。またコネク
タ３６ｉに連結されたホース３８を通してガスを
シール用チユーブ３６ｄ内に導入し、これを膨張
させてその外周のリング状突起を貫通孔５の壁面
に圧接させシールする。

上述のように構成した孔内異物の除去装置を使
用するに当たつては、第１図を用いて説明したよ
うに、炉内機器６を搬出した後、ドアバルブ１０
を閉じ上部案内管１１を取り外す。次いで第３図
に示すように、下部案内管９を包むようにして炉
内機器１０を下部案内管８との間に気密バツグ３
４を取付ける。

一方、チエーンブロツク３１を操作して吊下げ
金具３２をドアバルブ１０上に載置し、気密バツ
グ３３の下端をドアバルブ１０に固定する。

次にホース４１とコネクタ４４とを通して気密
バツグ３３，３４内を真空引きした後、ホース３
９，４０からアルゴンガスを気密バツグ３３，３
４内に注入し、しかる後ドアバルブ１０を開いて
シール装置３６を貫通孔５内に挿入する。

続いてホース３７からアルゴンガスを放出して
ブローダウンを形成するとともに、ホース３８を
通してシール用チユーブ３６ｄにガスを送り込
み、これを膨張させて貫通孔５との間隙をシール
する。

次にチエーンブロツク３１を操作し、第５図に
示すように吊下げ金具３２をドアバルブ１０およ
び下部案内管９と一緒に吊下げるとともに、清掃
を行ない易くするためレール３０に沿つて横方向
へ移動させる（第３図では便宜上この吊上げ移動
に必要なたるみを図示してないが、実際には気密
バツグ３４、ワイヤ３５、ホース３７〜４１には
適当なたるみが与えられている）。

以上のようにして本発明装置の取付け準備作業
が完了すると、従業員がグローブ３４ｃ，３４ｄ
に手を入れ清掃工具４６を取り出して、第６図に
例示するようにして貫通孔５のシール面５ａに付
着したナトリウム等の異物を除去する。この清掃
作業は透明な気密バツグ３４を通して目視確認を
しながら進められる。

このようにして清掃の完了が確認されると、ホ
ース４１を通して気密バツグ３３，３４内のアル
ゴンガスを回収装置（図示せず）へ移送し、上記
と逆の手順で本発明装置の撤去および下部案内管
９と上部案内管１１の再組立を行ない新しい炉内
機器をセツテイングする。

［発明の効果］ 上述の如く本発明の孔内異物の除去装置は、シ
ール装置によつて貫通孔をシールした後、透明な
気密バツグを通してシール面を目視しながらその
清浄を行なうものであるから清掃作業を簡単にし
かも効率的に行なうことができ、清掃の完了およ
びシール面の健全性の確認を合せて行なうことが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は高速増殖炉における炉内機器の取換え
工程を説明する縦断面図、第２図は従来のナトリ
ウム除去工程を例示する縦断面図、第３図は本発
明装置の一実施例を示す縦断面図、第４図は本発
明装置におけるシール装置の一実施例を示す縦断
面図、第５図および第６図は本発明装置の用法を
例示する縦断面図である。 １……炉心、３……原子炉容器、４……回転プ
ラグ、５……貫通孔、６……炉内機器、８，９…
…下部案内管、１０，１３，１４，１８……ドア
バルブ、１１……上部案内管、１２……ピツト
蓋、３２……吊下げ金具、３３，３４……気密バ
ツク、３６……シール装置、３６ｅ……吊下げ用
アルボルト、３６ｋ……環状溝、３７〜４１……
ホース、４２〜４５……コネクタ、４６……清掃
用工具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 原子炉容器の上端開口部を遮蔽する遮蔽プラ
   グに穿設される炉内機器搬出入用の貫通孔に付着
   した異物を除去する孔内異物の除去装置におい
   て、前記貫通孔内に挿入されて孔壁との間をシー
   ルするシール装置と、前記貫通孔の上方に取付け
   られ変形自在とされる気密バツクと、この気密バ
   ツクの下部に配設され前記異物除去時に作業者の
   手を挿入するグローブと、この気密バツグ内に気
   体を供給する供給装置とを備えたことを特徴とす
   る孔内異物の除去装置。 ２ 気密バツグは透明で軟質材料からなる特許請
   求の範囲第１項記載の孔内異物の除去装置。 ３ 気密バツグの上端が吊下げ金具によつて閉塞
   され、この吊下げ金具が吊下げ機構によつて上下
   動および横行自在に支持されている特許請求の範
   囲第１項または第２項記載の孔内異物の除去装
   置。 ４ シール装置が導入されるガス圧によつて膨張
   し孔壁との間をシールするシール用チユーブを備
   えている特許請求の範囲第１項ないし第３項のい
   ずれか１項記載の孔内異物の除去装置。 ５ シール装置には、貫通孔内のシール面下方に
   おいてダウンブローを形成する環状溝が設けられ
   ている特許請求の範囲第４項記載の孔内異物の除
   去装置。