JP2012181082A - 仕切弁の分解点検補助装置およびその案内治具、並びに仕切弁の分解点検方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 作業者の安全性の向上を図りつつ、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮を実現可能な(定検の短縮を実現可能な)仕切弁の分解点検補助装置を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる仕切弁の分解点検補助装置130の代表的な構成は、放射線防護材によって仕切弁210の弁座218a内部に挿抜可能に形成される略円板状の遮蔽板134と、遮蔽板134の周縁部に沿って連結されるパッキン136と、パッキン136を押圧して放射状に膨出させ、弁座218aの内面との隙間を封止する封止機構142とを有することを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】 本発明にかかる仕切弁の分解点検補助装置130の代表的な構成は、放射線防護材によって仕切弁210の弁座218a内部に挿抜可能に形成される略円板状の遮蔽板134と、遮蔽板134の周縁部に沿って連結されるパッキン136と、パッキン136を押圧して放射状に膨出させ、弁座218aの内面との隙間を封止する封止機構142とを有することを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、原子力発電所等の放射線の被曝領域に備えられる仕切弁の分解点検補助装置およびその案内治具、並びに仕切弁の分解点検方法に関する。
原子力発電所では、電気事業法第五四条にもとづき、定期検査(以下、「定検」と称する)が実施されている。かかる定検は、以前は100日程度の期間をかけて行われることが多かった。しかし、近年では技術進歩により、安全性を充分に確保しつつ、その期間が短縮されてきている。定検のために原子炉を停止させている期間が短いほど、発電所の設備利用率が向上されるため、さらなる定検の短縮が望まれている。
定検には、原子炉再循環系(PLR:Primary Loop Recirculation System)の仕切弁の分解点検作業が含まれている。この原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業は、殆どの場合、定検のクリティカル工程(定検期間を決定する作業を組み合わせた工程)となる。したがって、この原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業を、安全性を充分に確保しつつ短縮できれば、定検の短縮を図ることが可能となる。
原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業に際しては、放射線による被曝を低減するために化学除染が実施される。従来のこの化学除染については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1では、仕切弁の両弁座を閉止板で塞いで、弁箱中央部内に除染液を充満して化学除染を実施し、その後仕切弁の点検作業を実施するとしている。
上記特許文献1の技術では、仕切弁の両弁座を閉止板で塞いでいるため、当然ながらその弁座の内部(閉止板の内部)を除染することはできない。すなわち、その弁座の内部には放射線源(放射性物質)が残存した状態となる。この状態で、両弁座から閉止板を取り外し点検作業(弁座のシート面の摺り合わせ等)を実施すると、弁座の内部に残存する放射線源から発せられる放射線によって被爆してしまう。
原子力発電所では、作業者の安全性を充分に確保するために、作業者の1日当たりの被爆線量の上限が規定されている。上記のように、弁座の内部に放射線源が残存する状態では、各作業者が短い時間で1日当たりの被爆線量の上限に達してしまい、連続して点検作業にあたることができない。この点検作業は、熟練を要する作業でもあり、作業者の交代を繰り返さなければならない状態では、作業効率の低下を招かざるを得ない。このような現状から、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮は、困難な状態にあった。
また、実際には、両弁座から閉止板を取り外した後には点検作業の実施前に、弁座の内部に残存する放射線源の飛散を防ぐため及びRPV負圧管理維持・負圧による異物吸い込まれ防止の観点から、弁座の内部に風船状の詰め物をする。すなわち、実際には、この風船状の詰め物をする工程も考慮しなければならず(その時間も考慮しなければならず)、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮は、困難な状態にあった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業者の安全性の向上を図りつつ、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮を実現可能な(定検の短縮を実現可能な)仕切弁の分解点検補助装置およびその案内治具、並びに仕切弁の分解点検方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明にかかる仕切弁の分解点検補助装置の代表的な構成は、放射線防護材によって仕切弁の弁座内部に挿抜可能に形成される略円板状の遮蔽板と、遮蔽板の周縁部に沿って連結されるパッキンと、パッキンを押圧して放射状に膨出させ弁座の内面との隙間を封止する封止機構とを有することを特徴とする。
かかる分解点検補助装置を仕切弁の弁座内部に挿入して弁座内部を封止することで、化学除染を実施可能であり(除染液を充満させることが可能であり)、且つ弁座の内部に残存する放射線源からの放射線を遮蔽板によって遮蔽することができる。分解点検補助装置は、仕切弁の弁座の開口を被覆するのではなく弁座内部に挿入されるため、弁座のシート面の摺り合わせ等を含む点検作業に支障が生じることはなく、分解点検補助装置を取り付けたまま(放射線源からの放射線を遮蔽板で遮蔽したまま)化学除染〜点検作業をこなすことができる。分解点検補助装置を取り付けたままでよいため、当然ながら従来の風船状の詰め物をする必要もない。これより、作業者の安全性の向上(被爆線量の低減)を図りつつ、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮が可能であり、定検の短縮が可能となる。
上記パッキンは、上記遮蔽板の背面側に連結され、上記封止機構は、遮蔽板の表面側に配置される頭部および遮蔽板の表面から背面へと貫通する軸部からなる駆動支軸と、軸部の先端に連結されるパッキン拡張板とを備え、駆動支軸の頭部を工具で回転させて遮蔽板に近接するようにパッキン拡張板を引き寄せることで、パッキン拡張板がパッキンを押圧して放射状に膨出させるとよい。これにより、弁座の内面との隙間を好適に封止することができる。
上記封止機構は、複数の上記駆動支軸と、駆動支軸のそれぞれの頭部に設けられた外歯の小歯車と、それぞれの小歯車と噛み合い、1つの小歯車の回転に伴い他の小歯車を同方向に回転させる内歯の大歯車とを備えるとよい。かかる構成では、1つの駆動支軸の頭部を工具で回転させるとその小歯車が回転し、この小歯車の回転に伴い他の小歯車が同方向に回転する。そのため、均等にパッキン拡張板を引き寄せたり、引き離したりすることができる。これにより、弁座の内面との隙間を好適に封止することができる。
上記課題を解決するために本発明にかかる仕切弁の分解点検補助装置の案内治具の代表的な構成は、仕切弁の弁箱内に設けられた弁体ガイドに摺動可能に嵌合する位置合わせ部と、弁体ガイドに位置合わせ部が嵌合し、弁箱の底面に着座した状態で、仕切弁の弁座の開口に沿って配置される案内部とを有することを特徴とする。
かかる案内治具によれば、仕切弁の弁座のシート面を傷つけるおそれなく、仕切弁の分解点検補助装置を正確に弁座内部に挿入することができる。案内治具を使用することで、簡単に仕切弁の分解点検補助装置を挿入できるため、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮にも寄与する。
上記案内部は、上記弁座の開口に近接するほど幅が狭くなっているとよい。これにより、好適に、仕切弁の分解点検補助装置を弁座内部に挿入することができる。
上記課題を解決するために本発明の他の代表的な構成は、原子力発電所の放射線の被曝領域に備えられる仕切弁の分解点検方法であって、放射線防護材によって仕切弁の弁座内部に挿抜可能に形成される略円板状の遮蔽板と、遮蔽板の周縁部に沿って連結されるパッキンと、パッキンを押圧して放射状に膨出させ弁座の内面との隙間を封止する封止機構とを有する仕切弁の分解点検補助装置を、被曝領域に備えられる仕切弁の弁座の内部に挿入し、封止機構により弁座の内面との隙間を封止し、分解点検補助装置にて封止した手前側の化学除染を実施し、仕切弁の点検作業を実施し、弁座から分解点検補助装置を取り外すことを特徴とする。
かかる分解点検方法によれば、作業者の安全性を確保(被爆線量を低減)しつつ、原子炉再循環系の仕切弁の分解点検作業の短縮が可能であり、定検の短縮が可能となる。なお、上述した仕切弁の分解点検補助装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該仕切弁の分解点検方法にも適用される。
本発明によれば、原子力発電所の高線量環境下に存在する仕切弁の化学除染〜点検作業を、被爆線量を低減しつつ、一貫して実施することができる。したがって、作業者の安全性の向上、および仕切弁の分解点検作業の短縮が可能であり、定検の短縮が可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる仕切弁の分解点検方法の各手順を示す図である。本実施形態では、図1に示す各手順(第1ステップS100〜第9ステップS116)に則って、原子力発電所の高線量環境下に存在する仕切弁の化学除染〜点検作業を一貫的に実施する。
図2は、原子炉再循環系202の仕切弁210を示す図である。図3は図2に示す仕切弁210の断面図であり、図3(a)が図2のA−A断面図、図3(b)が図3(a)の仕切弁210の弁蓋214、弁体216を取り外した図である。
図2に示すように、原子炉再循環系202は、原子炉内の冷却水を原子炉圧力容器200から抜き出し、ポンプ208で昇圧して原子炉内に戻す働きをする。原子炉再循環系202の仕切弁210は、原子炉圧力容器200内の水を抜かなければ点検することができない水没弁であり、高線量環境下に存在する。そのため、この仕切弁210の分解点検作業は、殆どの場合、定検のクリティカル工程(定検期間を決定する作業を組み合わせた工程)となる。
第1ステップS100では、図3(a)、(b)に示すように、仕切弁210の弁蓋214および弁体216を取り外す。仕切弁210の弁蓋214および弁体216の取り外しには、チェーンブロック230(図6(a)参照)を使用する。
図4は、仕切弁210の弁箱212に案内治具120を設置する図である。図4(a)は案内治具120の全体形状を示す斜視図であり、図4(b)、(c)は案内治具120を仕切弁210の弁箱212に設置した図である。図4(b)はその上面図であり、図4(c)はその側断面図(図3(b)に対応する図)である。
第2ステップS102では、図4(a)〜(c)に示すように、仕切弁210の弁箱212に案内治具120を設置する。案内治具120は、全体が略U字形状であって、その両端には、弁箱212内に設けられた凸状の弁体ガイド212aに嵌合する凹状の位置合わせ部122が設けられている。この弁体ガイド212aと位置合わせ部122との嵌合により、案内治具120の取付位置の精度を確保することができる。
案内治具120は、凸状の弁体ガイド212aに凹状の位置合わせ部122を嵌合させ弁箱212の底面に着座させた状態で、弁座218a、218bの開口(シート面220a、220b(図3(b)参照))に沿うように配置される案内部124を有する。案内部124は略円弧状に屈曲し、シート面220a、220bの下半分に沿っている。案内治具120は、この案内部124によって、後述の仕切弁の分解点検補助装置(以下「分解点検補助装置130、132」と称する)の弁座218a、218b内部への挿抜を補助する(容易にする)。
案内治具120の案内部124は、弁座218a、218bの開口(シート面220a、220b)に沿うように略円弧状に屈曲する径が、弁座218a、218bの開口に近接するほど狭く(弁座218a、218bの開口に近接するほどその幅が狭く)、中央付近では(弁座218a、218bの真ん中では)広くなっている。
よって、分解点検補助装置130、132を上方から容易に案内治具120の中央付近に差し込み可能である。分解点検補助装置130、132を弁座218a、218b内部に挿入する際には、弁座218a、218bの開口に近接するほど略円弧状に屈曲する径が狭くなるため、その狭くなる傾斜124aに沿って分解点検補助装置130、132を適切な位置へと案内することができる。
なお、案内治具120の案内部124の下部内面の高さは、弁座218a、218bの下部内面の高さよりもわずかに高いとよい。これにより、分解点検補助装置130、132の下端が、弁座218a、218bに接触して、弁座218a、218bを傷つけるおそれがなくなる。
図5は、本実施形態にかかる分解点検補助装置130、132を示す図である。図5(a)は分解点検補助装置130、132の全体形状を示す斜視図であり、図5(b)、(c)は分解点検補助装置130、132を吊具150で吊った状態を示す図である。図5(b)はその正面図であり、図5(c)は図5(b)のB−B断面図である。
図6は、分解点検補助装置130、132を原子炉再循環系202の仕切弁210の弁座218a、218b内部に挿入する図である。図6(a)がその側断面図(図4(c)に対応する図)、図6(b)が図6(a)のC−C断面図、図6(c)が図6(b)の範囲Eの拡大図である。
第3ステップS104では、図5(a)〜(c)および図6(a)〜(c)に示すように、分解点検補助装置130、132を仕切弁210の弁座218a、218b内部に挿入する。分解点検補助装置130、132は、略円板状の遮蔽板134、遮蔽板134の背面にその周縁部に沿って連結されるパッキン136、遮蔽板134の表面に連結される吊具受け138(代表して1つに符号を付す)、パッキン136を押圧して放射状に膨出させる封止機構142からなる。なお、分解点検補助装置130、132は同様の構成であるため、以下では、一方の分解点検補助装置130を挙げて説明する。
略円板状の遮蔽板134は、放射線防護材によって仕切弁210の弁座218a内部に挿抜可能に形成される。放射線防護材としては、鉄鋼材料や鉛材料が挙げられる。遮蔽板134の板厚は、低減したい線量(放射線量)に応じて決定される。
遮蔽板134は、その直径が弁座218aの開口よりもわずかに小さく形成される。また、遮蔽板134の端面には、表面に近づくほど後退する傾斜134aが形成される(図6(c)参照)。これにより、弁座218a内部への挿入時および抜出時に、弁座218aや案内治具120に干渉することを抑えて、円滑に分解点検補助装置130を挿抜することが可能となる。
パッキン136は、化学除染実施時の除染液、高温環境下においてシール機能(封止機能)を発揮できるように耐薬品性、耐熱性の弾性材料で形成される。パッキン136は、遮蔽板134の径と同程度の径を有し遮蔽板134の背面に連結され、遮蔽板134の周縁部に沿ってその縁が略水平方向に張り出す(以下、この縁を「張出縁136a」と称する)。張出縁136aは、根元側が厚く先端側が薄くなるようにその内側が傾斜している(以下、この傾斜を「傾斜136b」と称する)。パッキン136を遮蔽板134の背面に連結する具体的な構造としては、ボルト等で締結する方法が挙げられる。
吊具受け138は、吊具126が引っ掛けられる鉤状の部材であり、ここでは4つが遮蔽板134の表面に連結されている。吊具126は、分解点検補助装置130aを吊る器具であって、その上部にチェーンブロック230のフック232を受ける引掛孔126aが設けられている。すなわち、分解点検補助装置130は、その吊具受け138に吊具126が引っ掛けられ、吊具126をチェーンブロック230で懸垂することによって、案内治具120に差し込まれる(弁箱212内部に挿入される)。なお、吊具126の引掛孔126aは、真っ直ぐに分解点検補助装置130を吊れるように、その重心の直上に位置するように設定される。
吊具126には、その上部で縦軸に交差するように位置調整取手126bが設けられる。チェーンブロック230で懸垂され案内治具120に差し込まれる際に、この位置調整取手126bを持ち手として位置調整を行うためである。また吊具126の縦軸の中途には、ゴム製等の緩衝部126cが設けられる。万が一、弁座218aのシート面220aに接触した場合に、シート面220aを傷つけないためである。
図7は分解点検補助装置130と原子炉再循環系202の仕切弁210の弁座218aの内面との隙間L1を封止する概略図であり、図7(a)がその隙間L1の封止前の状態を示す断面図、図7(b)がその隙間L1の封止後の状態を示す断面図である。なお、図7〜図10では、吊具126および吊具受け138の図示を省略する。
第4ステップS106では、図7(a)、(b)に示すように、封止機構142により弁座218aの内面との隙間L1を封止する。封止機構142は、駆動支軸144a〜144d(図5(a)参照)と、パッキン拡張板152とを含んで構成される。
駆動支軸144a〜144dは、遮蔽板134の表面側に配置される頭部としてのブッシュ146a〜146d、および遮蔽板134の表面から背面へと貫通する軸部150a〜150dからなる。軸部150a〜150dの先端(遮蔽板134の背面側の端部)にはパッキン拡張板152が連結(固定)される。ブッシュ146a〜146dは、遮蔽板134の表面に回転可能にインロー等で連結されており、その内面には雌螺子が切られている。一方、軸部150a〜150dの遮蔽板134の表面側は、雄螺子が切られている。
ブッシュ146a〜146dの上部は工具(ソケットレンチ128)で回転可能に六角状に形成され、ブッシュ146a〜146dの下部の外周には歯車が切られる(以下、この外歯の歯車をそれぞれ「小歯車148a〜148d」と称する)。各ブッシュ146a〜146dの小歯車148a〜148dは、遮蔽板134の表面に回転可能にインロー等で連結される内歯の大歯車140と噛み合っていて、1つの小歯車148a〜148dの回転に伴い、他の小歯車148a〜148dが大歯車140によって同方向に回転させられるように構成されている。これより、ソケットレンチ128で1つのブッシュ146a〜146dを回転させるだけで、他のブッシュ146a〜146dを同方向に回転させ、各軸部150a〜150dをブッシュ146a〜146dの雌螺子に沿って案内することができるため、均等にパッキン拡張板152を引き寄せたり、引き離したりすることが可能である。
パッキン拡張板152は、金属等で形成される円錐台状の部材であり、遮蔽板134の背面側(軸部150a〜150dの連結側)の径が狭くなっている。すなわち、パッキン拡張板152の端面は、遮蔽板134の背面側に向かって後退するように傾斜している。パッキン拡張板152が引き寄せられると、パッキン拡張板152の端面が、パッキン136の張出縁136aの内側に進入してその傾斜136bを押圧する。これにより、張出縁136aが放射状に膨出し、弁座218aの内面との隙間L1が封止される(図7(b)参照)。なお、この状態から、再びパッキン拡張板152を引き離すようにすれば、図7(a)に示す状態に戻る。
パッキン136によって隙間L1を封止すると、遮蔽板134全体が弁座218aの中に固定される。この状態で吊具126をさらに下げることにより、吊具受け138から離脱させて、吊具126を遮蔽板134から取り外すことができる。このようにして、遮蔽板134を安定して設置する(残留させる)ことができる。
以下、分解点検補助装置130の他の例をいくつか挙げる。しかし、本実施形態が上記構成や以下の他の例に限定される訳ではない。
図8は分解点検補助装置130の第1の変形例の概略図であり、図8(a)が図7(a)に対応する図、図8(b)が図7(b)に対応する図である。図8(a)、(b)に示すように、第1の変形例は、遮蔽板134を切削して形成した窪み160に、ブッシュ146a〜146dおよび大歯車140を配設した点で(遮蔽板134に埋め込んだ点で)、上記と異なる。この構成では、ブッシュ146a〜146dの小歯車148a〜148dおよび大歯車140が遮蔽板134から突出しないため、これらの歯車の損傷のおそれを低減できる。
図9は分解点検補助装置130の第2の変形例の概略図であり、図9(a)が図7(a)に対応する図、図9(b)が図7(b)に対応する図である。図9(a)、(b)に示すように、第2の変形例は、ヘキサプラグ(六菱ゴム株式会社 商品名)を使用した封止機構142aを採用した点で、上記と異なる。封止機構142aでは、環状のゴムリング136c(パッキン)をパッキン拡張板152aで押圧して放射状に膨出させ、弁座218aの内面との隙間L1を封止する。
図10は、分解点検補助装置130の第3の変形例の概略図である。図10に示すように、第3の変形例は、遮蔽板134の表面側に突き出ることのない封止機構142bを採用した点で、上記と異なる。封止機構142bでは、六角孔162を有し外周に歯車が切られた(以下、この歯車を「小歯車148e」と称する)頭部146eおよび頭部146eの反対側に雄螺子が切られている軸部150eからなる駆動支軸144e(六角キャップボルト)を採用している。また、封止機構142bでは、駆動支軸144eの軸部150eの先端の雄螺子と嵌合する雌螺子が切られたパッキン拡張板152bを使用している。軸部150eの遮蔽板134の背面側にはCリング164が取り付けられている。これにより、六角孔162に工具(六角レンチ)を差し込んで回転させた場合に、駆動支軸144eを移動させず(遮蔽板134の表面側に突き出ることなく)、パッキン拡張板152bを引き寄せたり、引き離したりすることができる。
図11は、分解点検補助装置130の第4の変形例の概略図である。図11(a)がその正面図であり、図11(b)が図11(a)に吊具127を引っ掛けた図であり、図11(c)がそれを弁座218a内部に挿入した側断面図である。なお、図11(c)では、吊具127および吊具受け138aの図示を省略している。図11(a)〜(c)に示すように、第4の変形例は、遮蔽板134の中央に設けられた1つの駆動支軸144fによって、パッキン拡張板152を引き寄せたり、引き離したりする封止機構142cを採用した点で、上記と異なる。駆動支軸144fは、遮蔽板134の表面側に配置される頭部としてのブッシュ146f(ナット)および遮蔽板134の表面から背面へと貫通する軸部150fからなる。ブッシュ146fはその内面に雌螺子が切られ、ソケットレンチ128で回転可能に六角状に形成される。軸部150fの遮蔽板134の表面側には、雄螺子が切られる。第4の変形例では、上記の小歯車148a〜148dや大歯車140が廃止される。
第4の変形例では、パッキン拡張板152を均等に引き寄せるために、駆動支軸144fを遮蔽板134の中央に設けているため、この駆動支軸144fに干渉しないように吊具受け138aの位置を設定しなければならない。そのため、分解点検補助装置130を吊る際のバランスや強度が問題となる。そこで、図11(b)に示すように、第4の変形例では略「介」の字状の吊具127を使用する。これにより、バランスや強度の問題を解消することができる。なお、吊具127の強度に不安がある場合には、略「介」の字状の下部を接続する補強部材127a(図中点線で記す)を設けるとよい。
再び、図1に戻る。第5ステップS108では、案内治具120を取り外す。第6ステップS110では、分解点検補助装置130、132にて封止した手前側の化学除染を実施する。
図12は、化学除染の実施に際してターンバックルを取り付ける図である。図12(a)がターンバックル234の外観図、図12(b)が図12(a)のターンバックル234を化学除染の実施前に取り付けた図であり、図12(c)が図12(b)の状態にて化学除染を実施する図である。
上記第4の変形例として説明した封止機構142cを採用する場合には、図12(a)〜(c)に示すように、化学除染の実施前に弁座218a、218b内部を封止する分解点検補助装置130、132をそれぞれターンバックル234で連結固定するとよい。
図12(a)に示すように、ここでは、両オーフ(オーフボルト)タイプのターンバックル234を使用する。図12(b)に示すように、予め駆動支軸144fの軸部150fの先端にオーフ受け166(代表して1つ(片側)に符号を付す)を接合しておき、ターンバックル234のオーフ孔236(代表して1つ(片側)に符号を付す)をオーフ受け166に引っ掛ける。そして、工具等を用いてターンバックル234を回転させ、分解点検補助装置130、132をそれぞれ連結固定する。
これにより、図12(c)に示すように化学除染液を供給して分解点検補助装置130、132にて封止した手前側の圧力が上昇しても、分解点検補助装置130、132が強固に連結固定されているため、これらの封止が解かれるおそれを確実に排除できる。なお、ターンバックル234は、万が一にも分解点検補助装置130、132が化学除染液の供給の圧力に屈することのないように予備的に取り付けられるものであり、通常の場合、ターンバックル234を取り付けずともまずもって分解点検補助装置130、132が外れるおそれはない。すなわち、ターンバックル234を取り付けなければ、安全性が担保されないわけではない。ターンバックル234を取り付けた場合、ターンバックル234は第7ステップS112に移行する前に取り外される。
第7ステップS112では、仕切弁210の点検作業(シート面220a、220bの摺り合わせ等)を実施する。本実施形態では、分解点検補助装置130、132が、弁座218a、218b内部の封止および弁座218a、218b内部の放射線源から発せられる放射線の遮蔽の双方の役割を果たす。よって、第7ステップS112では、作業者の被爆線量の低減を図ることができ、作業者の交代を繰り返さずとも点検作業を実施できる。そのため、原子炉再循環系202の仕切弁210の分解点検作業の短縮が可能となる。これにより、定検の短縮が可能となる。なお、当然ながら、第6ステップS110と第7ステップS112の間に、風船状の詰め物をするなどの他のステップを入れる必要はない。
仕切弁210の点検作業が完了したら、第8ステップS114および第9ステップS116へと移行する。第8ステップS114では、弁座218a、218b内部に挿入していた分解点検補助装置130、132を取り外す。第9ステップS116では、再び仕切弁210の組立作業(仕切弁210を元に戻す)を実施する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本実施形態はかかる例に限定されないことは言うまでもない。上記では、分解点検補助装置130、132を定検においてクリティカル工程となる原子炉再循環系202の仕切弁210に適用する場合について説明したが、原子力発電所の放射線の被曝領域に備えられる他の仕切弁に適用することも当然可能である。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、上記のように、原子炉再循環系202の仕切弁210は水没弁である。水没弁の点検作業は、定検によっては、原子炉圧力容器200内の圧力容器側のノズルに水の浸入を防ぐプラグを取り付けて(全ての水を抜かずに)行う場合がある。このような場合、ノズルに取り付けたプラグに漏洩があると、当然ながらその漏洩水が仕切弁210へと流れてくる。上記分解点検補助装置130、132によればこのような漏洩水もせき止めることができるが、漏洩水が大量になると取外し作業時に影響が出るので、安全性を高めるため、背面側に溜まった漏洩水を排出するためのワンタッチカプラを遮蔽板134に取り付けておいてもよい。
本発明は、原子力発電所等の放射線の被曝領域に備えられる仕切弁の分解点検補助装置およびその案内治具、並びに仕切弁の分解点検方法として利用することができる。
120…案内治具、122…位置合わせ部、124…案内部、124a…傾斜、126、127…吊具、126a…引掛孔、126b…位置調整取手、126c…緩衝部、127a…補強部材、128…ソケットレンチ、130、132…分解点検補助装置、134…遮蔽板、134a…傾斜、136…パッキン、136a…張出縁、136b…傾斜、136c…環状のゴムリング(パッキン)、138、138a…吊具受け、140…大歯車、142、142a、142b、142c…封止機構、144a〜144d、144e、144f…駆動支軸、146a〜146d、146f…ブッシュ(頭部)、146e…頭部、148a〜148d、148e…小歯車、150a〜150d、150e、150f…軸部、152、152a、152b…パッキン拡張板、160…窪み、162…六角孔、164…Cリング、166…オーフ受け、200…原子炉圧力容器、202…原子炉再循環系、208…ポンプ、210…仕切弁、212…弁箱、212a…弁体ガイド、214…弁蓋、216…弁体、218a、218b…弁座、220a、220b…シート面、230…チェーンブロック、232…フック、234…ターンバックル、236…オーフ孔
Claims (6)
- 放射線防護材によって仕切弁の弁座内部に挿抜可能に形成される略円板状の遮蔽板と、
前記遮蔽板の周縁部に沿って連結されるパッキンと、
前記パッキンを押圧して放射状に膨出させ、前記弁座の内面との隙間を封止する封止機構と、
を有することを特徴とする仕切弁の分解点検補助装置。 - 前記パッキンは、前記遮蔽板の背面側に連結され、
前記封止機構は、前記遮蔽板の表面側に配置される頭部および該遮蔽板の表面から背面へと貫通する軸部からなる駆動支軸と、該軸部の先端に連結されるパッキン拡張板とを備え、
前記駆動支軸の頭部を工具で回転させて前記遮蔽板に近接するように前記パッキン拡張板を引き寄せることで、該パッキン拡張板が前記パッキンを押圧して放射状に膨出させることを特徴とする請求項1に記載の仕切弁の分解点検補助装置。 - 前記封止機構は、複数の前記駆動支軸と、該駆動支軸のそれぞれの頭部に設けられた外歯の小歯車と、それぞれの該小歯車と噛み合い、1つの小歯車の回転に伴い他の小歯車を同方向に回転させる内歯の大歯車とを備えることを特徴とする請求項2に記載の仕切弁の分解点検補助装置。
- 仕切弁の弁箱内に設けられた弁体ガイドに摺動可能に嵌合する位置合わせ部と、
前記弁体ガイドに前記位置合わせ部が嵌合し、前記弁箱の底面に着座した状態で、前記仕切弁の弁座の開口に沿って配置される案内部と、
を有することを特徴とする仕切弁の分解点検補助装置の案内治具。 - 前記案内部は、前記弁座の開口に近接するほど幅が狭くなっていることを特徴とする請求項4に記載の仕切弁の分解点検補助装置の案内治具。
- 原子力発電所の放射線の被曝領域に備えられる仕切弁の分解点検方法であって、
放射線防護材によって仕切弁の弁座内部に挿抜可能に形成される略円板状の遮蔽板と、該遮蔽板の周縁部に沿って連結されるパッキンと、該パッキンを押圧して放射状に膨出させ該弁座の内面との隙間を封止する封止機構とを有する仕切弁の分解点検補助装置を、前記被曝領域に備えられる仕切弁の弁座の内部に挿入し、
前記封止機構により、前記弁座の内面との隙間を封止し、
前記分解点検補助装置にて封止した手前側の化学除染を実施し、
前記仕切弁の点検作業を実施し、
前記弁座から前記分解点検補助装置を取り外すことを特徴とする仕切弁の分解点検方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011043681A JP2012181082A (ja) | 2011-03-01 | 2011-03-01 | 仕切弁の分解点検補助装置およびその案内治具、並びに仕切弁の分解点検方法 |
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JP (1) | JP2012181082A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015164953A (ja) * | 2005-09-16 | 2015-09-17 | コーネル リサーチ ファウンデイション インコーポレイテッド | Cd36の発現を減少させる方法 |
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2011
- 2011-03-01 JP JP2011043681A patent/JP2012181082A/ja not_active Withdrawn
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