JPH0322545Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は自動車用エンジンなどに装着され蒸
発燃料の大気中への放散を防止するカーボンキヤ
ニスタに関する。

（従来の技術） 内燃機関のガソリンタンク等から蒸発する燃料
ガスを一旦活性炭などの吸着剤に吸着し機関運転
中に吸気管側へ放出するカーボンキヤニスタが用
いられている。第３図にその例を示す。ガソリン
タンク５０から蒸発する燃料ガスはカーボンキヤ
ニスタ３０の導入パイプ３１で容器３２内へ導か
れ吸着剤３３に一旦吸着され、機関運転中にパー
ジバルブ３４が開弁して放出パイプ３５から機関
の吸気管５１のスロツトルバルブ５２の下流側へ
燃料ガスを放出するものである。パージバルブ３
４は第４図のように放出パイプ３５の管端開口３
５ａをダイヤフラム３９に固設された板状の弁体
４０で蓋するものである。パージバルブ３４は前
記ダイヤフラム３９で上部の負圧室４１と下部の
パージ室４５に区画され、負圧室４１内にはスプ
リング４２が配設されてリテーナ４３を介してダ
イヤフラム３９を押圧し弁体４０でパージ室４５
内にある開口３５ａを閉塞させている。負圧室４
１はスロツトルバルブ５２の上流側と連通してい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上記のような従来のカーボンキヤニスタ３０は
機関のアイドル運転中はスロツトルバルブ５２が
閉ぢているので負圧室４１には負圧が作用せずパ
ージバルブ３４は閉ぢられている。放出パイプ３
５内には500〜600mmHg程度の吸気管負圧が作用
している。スロツトルバルブ５２が開かれて吸気
管負圧が負圧室４１に及ぶとパージバルブ３４は
急激に開弁し前記放出パイプ内の負圧が衝撃的に
パージ室４５へ伝播しさらに容器３２内に伝えら
れる。その際弁体４０は開口３５ａから一挙に離
れるので空気衝撃音（エアボーン）が発生し振動
を伴なう。さらに全開位置で弁体４０はストツパ
４４に衝突し衝突音（ソリツドボン）と振動を発
生する。

（問題を解決するための手段） この考案のカーボンキヤニスタは、パージバル
ブのダイヤフラムの上面に配設されるリテーナの
スプリングすわり面に高低差をつけてスプリング
の押圧力が偏荷重となつて弁体に伝えられるよう
にしたものである。

（作用） この考案のカーボンキヤニスタはパージバルブ
のスプリングの押圧力が弁体に偏荷重となつて作
用しているので、負圧室に負圧が作用して弁体が
放出パイプの管端開口から離れるとき一挙に開弁
することなく荷重の弱い側がまず〓間をつくり弁
体が傾いて剥がれるように順次に開口面積を拡大
してゆくので、放出パイプ内の負圧はパージ室へ
紋り状態の通路から伝播が始まることとなり空気
衝撃音や振動は発生しない。また一挙に開弁しな
いので開弁初速が緩められており、全開時にスト
ツパへ弁体が衝突する速度も小さく衝突音や振動
も軽減される。

（実施例） 第２図にこの考案の実施例のカーボンキヤニス
タ１、第１図にそのパージバルブ２を示す。第２
図においてカーボンキヤニスタ１は導入パイプ
３、放出パイプ４を具え、大気連通孔５を底面に
穿設した容器６内に吸着剤として活性炭７を収蔵
している。容器６上部にはパージバルブ２が設け
られる。第１図に示すようにパージバルブ２はバ
ルブケーシング８内が板状の弁体９を固設したダ
イヤフラム１０によつて上側の負圧室１１と下側
のパージ室１２とに区画され、パージ室は容器６
に連通するとともに放出パイプ４の管端開口４ａ
が設けられる。負圧室１１はエンジン吸気管のス
ロツトルバルブ５２（第３図参照）の上流側と連
通するとともに内部にスプリング１３が配設され
リテーナ１４を介して弁体９を押圧し開口４ａを
閉塞させている。リテーナ１４の上面には一方側
に偏つて適宜数の突起１４ａが設けられている。
スプリング１３の下方当り面は一方側ではこの突
起に当たり、他方側では突起のないリテーナ上面
の平面上に当たつているので、スプリングの圧縮
量が一方側では大きく他方側では小さくなつてい
る。また導入パイプ３の他方端が燃料タンク５０
に、放出パイプ４の他方端がスロツトルバルブ５
２の下流側に連通することは第３図のものと同様
である。

エンジンが運転されると放出パイプ４に吸気管
負圧が伝えられる。スロツトルバルブが開くと負
圧室１１に負圧が生じスプリング１３の押圧力に
打ち克つてダイヤフラム１０には均等に負圧が作
用するがスプリングは一方側と他方側とで圧縮量
が異なつているので圧縮量が少なく押圧力の弱い
方から先に上昇する。従つて弁体９はその側から
先に開口４ａとの間の〓間をつくり、開口面積を
順次に拡大する。またこのような開弁作動により
開弁初速が緩くなり全開時のストツパへの衝突も
軽減される。

第５図にこの考案における他のリテーナの形状
の例を示す。リテーナ２０は厚さが異なり一方側
の厚さt¹が他方側の厚さt²より大となつておりス
プリング１３は一方側では他方側より圧縮量が大
で押圧力が強くなつている。

第６図に示すさらに他のリテーナ２１は上面の
一方側に当て板２２が施こされたものであつてそ
の分だけスプリング１３の圧縮量が他方側より大
きくなつている。

（考案の効果） この考案のカーボンキヤニスタはパージバルブ
のスプリングのリテーナの上面に高底差を設けス
プリングの押圧力を不均等にしたので弁体が傾い
て作動し一挙に開弁することがないので、開弁時
の空気衝撃音がなくなり、全開時の衝突音も軽減
され振動も少なく異音を発生させない。

【図面の簡単な説明】

第１図この考案にかかるパージバルブの図、第
２図はこの考案の実施例。第３図はカーボンキヤ
ニスタの装着状態を示す図、第４図は従来のパー
ジバルブ、第５図はこの考案にかかる他のリテー
ナの図、第６図はこの考案にかかるさらに他のリ
テーナの図である。 ２……パージバルブ、４ａ……開口、９……弁
体、１０……ダイヤフラム、１３……スプリン
グ、１４，２０，２１……リテーナ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 導入パイプと放出パイプを具え、底面に大気連
   通孔を穿設した容器に吸着剤を収蔵し、さらにダ
   イヤフラムによつて負圧室と前記容器内に連通す
   るパージ室とに区画され、パージ室内に前記放出
   パイプの管端を開口させ、負圧室内に配設したス
   プリングでダイヤフラムに固設した弁体を押圧し
   て前記開口を閉塞するようにしたパージバルブを
   具えてなるカーボンキヤニスタにおいて、ダイヤ
   フラム上面に設けたリテーナの前記スプリングす
   わり面に高低差を設けてなるカーボンキヤニス
   タ。