JPH03224465A - 肉質改良剤 - Google Patents

肉質改良剤

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JPH03224465A
JPH03224465A JP2298477A JP29847790A JPH03224465A JP H03224465 A JPH03224465 A JP H03224465A JP 2298477 A JP2298477 A JP 2298477A JP 29847790 A JP29847790 A JP 29847790A JP H03224465 A JPH03224465 A JP H03224465A
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JP
Japan
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meat
elastase
enzyme
elastin
activity
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JP2298477A
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Hiroshi Takagi
博史 高木
Tomoaki Hisatsuka
智明 久塚
Fumihiko Odajima
文彦 小田嶋
Yoshihiro Yoshinaga
吉永 吉弘
Masakari Yamazaki
眞狩 山崎
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は牛、豚、鶏等の肉の中で、硬くてスジの多い低
品質部位の肉質を調理前に改良し、付加価値を向上させ
る方法に関するものである。
〔従来の技術〕
牛、豚、鶏等の食肉中には、腿、すね等のようにスジが
多く、硬くて食べにくい部位が存在する。
肉の硬さは筋肉繊維表層を包む硬タンパク質、主として
エラスチンが関与しており、従来から機械的な破壊の他
に、パパイン、プロメライン、フィシンなど植物由来の
タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が肉の軟化に用い
られてきた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、これらの酵素は特殊な立体構造を持つエ
ラスチンにはほとんど作用せず、逆に筋肉タンパク質を
分解するため、軟かくはなるが弾力がなくなったり、べ
とつき感が生じて肉の本来有する食感がそこなわれてし
まう欠点があった。
また牛肉の輸入自由化(1991)に伴って大量に生じ
るスジの多い低品質部位の有効利用は大きな課題である
。したがってエラスチンを特異的に分解する酵素、エラ
スターゼの利用が待ち望まれているのが現状である。
(課題を解決するための手段〕 本発明者等は、上記問題点である低品質部位の肉質を改
良するべく鋭意研究を行ったところ、アルカリ性バチル
ス属細菌の生産するエラスターゼに注目することにより
、上記課題を解決し、本発明を完成に至らしめた。すな
わち、本発明は低品質の肉にアルカリ性バチルス属細菌
の生産する工ラスターゼを添加して、エラスチン分解反
応を行なわせることを特徴とする肉質改良法及びアルカ
リ性バチルス属の生産するエラスターゼを含有する肉質
改良剤に関するものである。
エラスチン(elastin )は動脈壁や股、皮膚な
どの伸展性に冨んだ組織に存在している弾性線維を構成
する不溶性の硬タンパク質である。ペプチド鎖間に架橋
が多く 、Guy−X−Gly−X−Gly・・・・・
・というアミノ酸配列単位を豊富に含みコラーゲンと同
様にヒドロキシプロリンも含んでいる。一方、架橋構造
は4残基のLysの側鎖から導かれたピリジン環をもつ
デスモシン、イソデスモシンなどを含み、−Lys−八
1a−Ala−(Ala)−Lys−の配列がα−へワ
ックスに近い構造をとりながら多数存在し、Alaをは
さんで対をなしているLys残基の所に架橋構造が形成
されてくるのであろうと考えられた。アミノ酸組成は非
極性アミノ酸のAlaとGlyが全体の約55%を占め
ており、その他ではVat、 Leu。
Proなどが多く存在する。このような特殊構造のため
一般のプロテアーゼは作用しにくいが、もし、Ala−
Ala−(Ala)−という配列を選択的に切断できる
プロテアーゼであればエラスチンの架橋部分を切断して
分解することができると考えられる。こうしたエラスチ
ンを分解する酵素即ち、エラスターゼは動物の膵臓をは
じめ植物、カビ、放線菌、細菌から分離されている(M
orihara、 K、 et al。
(1965) J、 Biol、 Chem、 ハ[、
3295−3304; Mandl。
1、 et al、 (1960) Arch、 Bi
ochem、 Biophys、91゜47−53; 
0zaki、 H,et al、 (1975) J、
 Biochem。
77、171−180; Morihara、 K、 
et al、 (1967) Arch。
Biochem、 Biophys、月20 + 68
−78; Mandl、1.et al。
(1962) Proc、 Soc、 Exp、 Bi
ol、 Med、 109 、923−925)。
山崎らは、酵素分解を受けにくいエラスチンを高アルカ
リ域で変性の効果を加えつつ酵素分解する目的で、高ア
ルカリ域でよく作用するエラスターゼをアルカリ性バチ
ルス属細菌(alkalophilicBacillu
s sp、 ) Y a −B株(FERM BP−2
017)の培養濾液より見出した(Tsai、Y、C,
et al、 (1983)Biochem、 Int
、 L、577−583) 、その後、本酵素の精製、
酵素学的性質の解析を行ない(Tsai、 Y、C。
et al、(1986) Biochim、 Bio
hpys、 Acta、 883,439447; T
sai、 Y、 C,et al、(198B) Ap
pl、 Enviro。
Microbiol、54.3156−3161 ) 
、最近、本酵素遺伝子のクローニング、塩基配列の決定
にも成功している(Kaneko、 R,et al、
  (19B’?) J、 Bacteriol。
皿、 5232−5236 )。
本酵素のDNA塩基配列から推定されるアミノ酸配列は
枯草菌由来のアルカリ性セリンプロテアーゼ、サチライ
シンと約50%の相同性があり、特に活性中心(Asp
 32. His 64. Ser 221 )の近傍
は良く保存されている。したがって基質特異性の差異を
はじめ、両酵素の構造と機能の相関関係を解析すること
は極めて興味深い。さて、応用面であるが、現在のとこ
ろ、この酵素の利用例については報告されていない。
さて、食肉軟化に関しては、現在欧米ですでに市販され
ている食肉軟化剤(a+eat tenderizer
 )に含まれているパパイン、プロメラインなど植物由
来のプロテアーゼが知られているが、筋肉タンパク質を
分解するため軟かくはなるが、弾力がなくなりべとつく
感じで肉の食感がそこなわれてしまう。また国内の畜肉
メーカーにとっては1991年4月に控えた牛肉輸入自
由化に伴って、モモ、スネなどのスジの多い低品質部位
をどのように利用するかが大問題である。逆にこれら使
用しにくい部位を多く含む肩肉や老廃肉などを加工し、
付加価値を向上させることにより有効利用できれば大き
なビジネスにつながると考えられている。こうした背景
から本発明者らは従来知られているエラスターゼに比較
して活性が強いアルカリ性バチルス属細菌の生産するエ
ラスターゼに注目し、本発明の目的に使用することにし
た。本酵素の生産は以下の実施例で記載される方法に限
定されるわけではなく枯草菌や酵母などを宿主とする組
換えDNA法によってもまた変異した遺伝子を染色体に
相同組換えを利用して野生型遺伝子と入れかえてやるこ
とも可能であり、いずれの方法を用いて生産させた酵素
も同程度の効果が期待できる。
本発明の改良剤及び改良方法は、広範囲に適用可能であ
り、例えば、老廃中などその硬さのため食肉にはならず
、廃棄処分していた肩肉のようなものも通常の食肉に変
えることも考えられる。
さて、本発明に係る肉質改良剤中のアルカリ性バチルス
属細菌の生産するエラスターゼの含有量は特に制限はな
いが、通常、該肉質改良剤1gあたり10〜100,0
00ユニット程度、好ましくは100〜10,000ユ
ニット程度含有させればよい。
この場合、精製されたエラスターゼを用いてもよく、ま
た粗精製品のエラスターゼを用いてもよい。
また、安定化剤、増量側として、塩化カルシウム、牛血
清アルブミン、グリセロール、デキストリン、クエン酸
ナトリウム等を単独又は2種類以上組み合せて含有させ
ても良い。
本発明に係る肉質改良剤は粉末の形でもよく、また、水
や緩衝液に溶解させた溶液の形態であっ−に分散させた
のち層殺し、通常の手順で処理する方法も採用しうる。
酵素処理した肉は冷蔵庫、室温などで反応を進めること
が可能であるが温度が高いほど反応が早(進行すること
となる。
また本発明に用いるアルカリ性バチルス属細菌が生産す
るエラスターゼの使用量は肉に存在するエラスチン量、
処理温度、処理時間、処理方法などによって異なるため
、一定に決めることはできないが、通常肉1kgあたり
1万〜1o万ユニツト、好ましくは肉1kgあたり2万
〜8万ユニツトである。くり返し述べるが上記添加量に
制限されるものではない。以下、実施例をもって、本酵
素の調製方法、生産方法の改善、酵素化学的諸性質、さ
らには本酵素を用いた肉質改良法について示す。
〔実施例〕
〔実施例1〕 エラスチン含有寒天培地(グルコース1%、酵母エキス
0.5%、リン散水素二カリウム0.1%、硫酸マグネ
シウム0.02%、炭酸ナトリウム1%、エラスチン0
.5%、寒天1.5%)で生育させたアルカリ性バチル
ス属細菌(alkalophilic Bacillu
ssp、)Ya−B株(FERM BP−2017)を
エラスターゼ生産培地(グルコース1%、ソイミール(
Soymeal)1%、酵母エキス0.5%、リン散水
素二カリウム0、1%、硫酸マグネシウム0.02%、
炭酸ナトリウム1%)に接種し、坂ロフラスコで37”
C324時間の前培養を行なった。その後、本培養を2
゜rの消泡剤TMA8120.001%含有同エラスタ
ーゼ生産培地で2%シード、37°C1等量通気、30
0回転/分、20時間の条件で実施した。培養後、迅速
に遠心分離により菌体を除去し、培養土清液を集めた。
本培養で得た培養上清液から本酵素を次のように精製し
た。
■硫安塩析:培養上清液のpHを酢酸で約7.0に調整
した後、硫安を最終70%飽和になるように加え、溶解
後、4℃で一夜放置した。生じた沈殿(浮遊状態)を遠
心分離で集めて、適当量のエラスターゼ用緩衝液(50
mM Tris−HCf、 pH8,o; 1mMCa
C1g)に溶解した。
■濃縮=1尼の酵素溶液を限外濾過膜(Diaflow
ultrafiltration membrane 
PMIo 76mm、 Am1conグレースジヤパン
)で約50mff1まで濃縮し、硫安を除くためにエラ
スターゼ用緩衝液に対して透析を行なった。
■DEAE−5ephadex A−25イオン交換:
エラスターゼ用緩衝液で平衡化したDEAE−Seph
adex A−25(Pharmacia)に酵素溶液
をバッチ法(10mf/gDEAE)で処理し、濾液(
非吸着成分)を集めた。色素類はDEAE−Sepha
dexに吸着されるので、脱色された酵素溶液を得た。
■CM−5ephadex C−50イオン交換:エラ
スターゼ用緩衝液で平衡化したCM−Sephadex
 C−50(PC−50(Pharカラム(2,5X2
0cm、80mjりに酵素溶液をかけ、同緩衝液で洗浄
した後、0,5M NaCff1を含む同緩衝液で酵素
を溶出した。この段階で、タンパク質の吸収曲線とエラ
スターゼ活性がほぼ一致するようになる。5DS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認後、精
製酵素として以後の実験に供した。また硫安沈殿物も粗
酵素として適宜使用した。本酵素の製造は上記方法に限
定されているわけではなく、例えば、培養液を限外濾過
膜などを用いて菌体を除去、濃縮後、アルコール沈殿し
たものを真空乾燥することによっても得られる。
エラスターゼの活性測定については多くの方法が考案さ
れたが、ここではelastin−orceinを基質
とした比色法(Sachar、 L、八、et al、
 (1955) Proc。
Soc、 Exp、 Biol、 Med、90323
−326)を用いた。スクリューキャップの付いたミニ
試験管に20■のelastin−orcein(E1
500. Sigma)を取り、2mlの50 mM 
NaHCOz−Na2CO3緩衝液(pH10,5> 
と適当量の酵素溶液を添加して、37℃で振動しながら
反応させ、1時間後、1mfの反応停止液(0,7Mリ
ン酸緩衝液、pH6,0)を添加、遠心分離により基質
を除去して、上清の590 nmでの吸光度を測定する
活性の表示は全量のelastin−orceinの半
分を分解できる酵素の量を10ユニツトとして用いた。
〔実施例2〕 本酵素生産菌であるアルカリ性バチルス属細菌Ya−B
株(FERM−BP 201?)の培地組成を検討し、
エラスターゼの生産性への効果を調べた。
従来のエラスターゼ生産培地に含まれるソイミールはエ
ラスターゼの生産に効果があると認められているが、不
溶性の粉末であり入手も困難であることから大量培養の
際には不適当である。そこで本発明者らはグルコース、
酵母エキス、無機塩、炭酸ナトリウムなどの基本成分の
他にグリセロース、ポリペプトン、油va(大豆のエタ
ノール抽出物)、さらに大豆の酸加水分解物である゛豆
濃”や“味液”、グルタミン酸生産菌の分解物である“
菌濃°゛などを表1のように組み合わせた各培地50m
1に2%シードで37℃、24時間の振とう培養を行な
った。各種培地による培養結果を表2に示す。
生育度に差はあるが、1mfあたりのエラスターゼ活性
を比較すると従来の培地(Nal)に比べて油糖をベー
スにしても(Nα6.7.9)エラスターゼ活性の上昇
は認められず、むしろ活性は低下した。
しかしながら、従来のソイミール(No、1)の代替物
として立瀬、味液、菌濃を全量・ノ素量約140rng
/dlになるように添加した場合(Nα2.3゜45)
にエラスターゼ活性が著しく増大することを見出した。
またグリセロールは生産量に影響を与えなかった。なお
各培地のpHは炭酸ナトリウムを添加する前に約6.4
に調整した(最終のpHは9.0〜9.5になった)。
以上の結果から本酵素の大量調製にはソイミールの代わ
りに立瀬や味液が有効であることが示された。
尚、立瀬、味液、菌濃はいずれも味の素株式会社製であ
り、それぞれ商品名「立瀬」、「味液」及び「菌濃Jで
市販されている。
さらに、以上の結果を踏まえて、立瀬(全量ッ素量約1
40■/d1)を含む生産培地でYa −B株(FER
M BP−2017)を培養し、その経時変化を調べた
なお培養は、グルコース1%、酵母エキス0.5%、リ
ン散水素二カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0,0
2%、炭酸ナトリウム1%、立瀬4%(全量ッ素量約1
40■/d1)を添加した培地(pH約9.3)60m
j2に2%シードで37°C124時間振とうして行な
った。図1に培養の経時変化を示す。
エラスターゼは対数増殖期の後期に入ってから生産量が
増加し、16時間後に最大に達した。pHは植菌時は9
,3であったが菌の生育とともに約8.0まで下がった
がpHの調整は行なわなかった。
これまで述べてきたように、本酵素の大量調製には従来
からチッ素源として用いてきたソイミールの代わりに立
瀬や味液などの大豆の酸加水分解物が適していることが
示された。そこで、本酵素生産菌を大量に培養しエラス
ターゼの生産性や収率について調べた。
エラスチン含有寒天培地(グルコース1%、酵母エキス
0.5%、リン散水素二カリウム0.1%、硫酸マグネ
シウム0.02%、炭酸ナトリウム1%、エラスチン0
.5%、寒天1.5%)で生育させたアルカリ性バチル
ス属細菌(alkalophilic Bachill
ussp、)Ya−B株(FERM BP−2017)
をエラスターゼ生産培地(グルコース1%、立瀬4%(
全量ッ素量約140■/dir、酵母エキス0.5%、
リン散水素二カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.
02%、炭酸ナトリウム1%)に接種し、坂ロフラスコ
で37°C124時間の前培養を行なった。
その後、本培養を201の消泡剤TMA812o、oo
i%含有同エラスターゼ生産培地で2%シード、37℃
、等量通気、300回転/分、20時間の条件で実施し
た。培養後、迅速に遠心分離により菌体を除去し、培養
上清液を集めた0本培養で得た培養上清液のpHを酢酸
で約7.0に調整した後、硫安を最終70%飽和になる
ように加え、溶解後、4°Cで一晩放置した。生じた沈
殿を遠心分離で集めて、適当量の50mMリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pE18.o)に溶解した。表3に本実施
例(立瀬使用)と従来(ソイミール使用)の培養結果に
ついて示した。立瀬を用いることにより培養後の総活性
、硫安沈殿後の収率ともに著しく改善された。
表3 アルカリ性バチルス属細菌(FERM BP−2
017)のエラスターゼ生産性 豆 濃       ソイミール ステップ 比活性  総活性   比活性  総活性(
units/mg)  (units)  (unit
s/mg)  (units)硫安沈殿 31 506X10’ (63X) 87 41X10’ (17χ) 硫安塩析後の粗酵素は、実施例1で記載した操作により
、精製酵素として得られる。
本実施例で記載した方法により培養したアルカリ性バチ
ルス属細菌が生産するエラスターゼは従来用いていた培
地に比較してその生産性及び調製時の収率ともに著しく
向上した。したがって本実施例は本酵素の製造方法とし
て極めて有効な手段であることを確認した。また、実施
例1でも記載したように、本酵素の調製は上記方法に限
定されるわけではない。例えば、本実施例で記載した方
法により培養を行なったのちの培養液を限外濾過膜(U
F膜)やマイクロフィルタ膜(MF膜)を用いて菌体を
除去、濃縮後、アルコール沈殿したものを真空乾燥する
ことによっても得られるが、同様の効果が期待できる。
〔実施例3] 本酵素の諸性質に関しては、既に詳細に調べられている
が(Tsai、 Y、C,et al、(1986) 
Biochi11+。
Biophys、 Acta、 883439−447
) 、主な酵素化学的諸性質を以下に示した。
a)基質特異性:かなり広範囲のペプチド結合にb)至
適pH c) pH安定性 d)至適温度 作用するが、特に、非極性の小 さなアミノ酸(Ala、 Gly)のカルボキシ末端側
を切断する活性 が強い。またエラスチンに対す る強い結合力から強いエラスチ ン分解活性を示す。
二基質により若干異・なるが弱〜中 アルカリ性である。エラスチン を基質とした場合の至適pttは 11.75であった。
:pus以下では不可逆的に変性失 活した。
:エラスチンを基質とした場合、 約60℃であった。
f)金属イオンの影響: Ca 1 +の存在下で安定
性が一向上した。
g)阻害剤の影響ニジイソプロピルフルオロリン酸(D
FP ) 、フェニルメタンス ルホニルフルオリド(PMSF)、 放線菌由来サチライシン特異的 インヒビター(ssr )により阻 害された。
h)等電点  :10.6 本発明者らは今回調製した精製酵素、または硫安沈殿後
の粗酵素を用いて本酵素の肉質改良剤としての可能性を
多面的に評価した。即ち、以下に述べるようにエラスチ
ンやコラーゲンなどの硬タンパク質の分解活性、従来の
植物由来の酵素の欠点である筋原線維タンパク質の過剰
分解などを調べた。
まず、本酵素による硬タンパク質のエラスチンと一般タ
ンパク質のカゼインの分解活性を常法に従って測定した
。比較のためにブタ膵臓由来エラスターゼ、従来から食
肉軟化剤として使用されている植物由来の酵素パパイン
とプロメライン(シグマ社から購入)についても測定し
た。その結果を表4にまとめた。なお、カゼインを基質
とした場合のプロテアーゼ活性はアンソン萩原変法(H
agihara、 B、et al、、(1958) 
J、 Biochem、 45゜185−194 )を
用いて測定した。また、測定は各酵素の至適条件に近い
緩衝液を用いた。具体的には、本エラスターゼは50 
mM NaHCO3−NatCOs  緩衝液(pH1
0,5)、ブタ膵臓エラスターゼは50mMTris−
H(J緩衝液(pH8,5)、1mMCaCf、、パパ
インおよびプロメラインは300mM NaCf。
2mMEDT^、5mM Cys、10mMβ−メルカ
プトエタノールを用いた。
本酵素はエラスターゼ活性及びプロテアーゼ活性ともに
他のプロテアーゼよりも強い。特にエラスターゼ活性は
従来の食肉軟化用酵素であるパパインやプロメラインに
比べて約60〜200倍の比活性を示した。
次に、別の方法により各酵素のエラスチン、コラーゲン
およびカゼインの分解活性を前述の緩衝液および水道水
で測定した。酵素は本エラスターゼ(精製酵素と硫安沈
殿後の粗酵素)、ブタ膵臓エラスターゼ、パパイン、プ
ロメラインおよびクロストリジウム属のコラゲナーゼ(
本エラスターゼ以外はシグマ社から購入)を用いた。コ
ラゲナーゼの緩衝液は50 mM Tris−HCf 
(pH7,4)、1mMCa(Jtを用いた。方法は各
酵素の適当量を20■の基質と共に1miの緩衝液に加
えて37゛Cで1時間振とうしながら反応させた。反応
は2mlのTCA溶液(0,11Ml−リクロロ酢酸、
0、22 M酢酸ナトリウム、0.33 M酢酸)を加
えて停止した。
タンパク変性剤のTCA溶液を加える為に、残存する基
質タンパク質及び使用した各種酵素は沈殿する。
この沈殿を遠心分離により除去し、上清を得た。
上清には酵素の作用で遊離してくるアミノ酸及びペプチ
ドが含有されている。
さて、 この上清の吸光度を275nmで測定した。
その結果を表5に示した。
本酵素のエラスチン分解活性やカゼイン分解活性は他の
酵素に比べて強く、表4の結果と同じ傾向を示した。さ
らにエラスチンとカゼインの分解活性の相対比較では、
本酵素はブタ膵臓エラスターゼよりもエラスチン分解活
性が相対的に強く、またパパインやプロメラインの10
倍以上もの値を示した。これらの結果から、本酵素は従
来のプロテアーゼに比べて選択的にエラスチンを切断分
解する活性が強いことが明らかになった。また実際の食
肉への利用を考慮して酵素反応を水道水で行なった場合
、本エラスターゼはカゼイン分解活性が著しく低下する
ため、エラスチンやコラーゲン分解活性の相対値が一段
と高まった。本酵素のこれらの性質は、食肉中の硬くて
スジの多い部位の主成分であるエラスチンやコラーゲン
を特異的に切断するのに好都合であり、従来から食肉の
軟化に使用されてきたパパインやプロメラインよりも効
果的である。
次に本酵素の筋原線維タンパク質への影響について調べ
た。前述したように従来から食肉軟化剤として用いられ
ている植物由来の酵素は基質特異性が低いために、肉の
主成分である筋原線維タンパク質を分解して肉特有のテ
クスチャーを失わせてしまうという欠点があった。した
がって本酵素を筋原線維タンパク質に作用させ、電気泳
動法により分解の程度を調べた。
市販の和牛の腿肉から常法に従って大きなスジを取り除
いたあとの筋原線維タンパク質を調製しく例えばKin
+ura、 S、et al、(1983) J、 B
iochem、。
94、2083−2085など)、本酵素(精製品およ
び粗精製品)またはパパインを加えて37°Cで1時間
、または4°Cで一晩反応させた。この時、基質タンパ
ク質と各酵素の重量比は1,000:1または10.0
00 : 1とした。その後、反応混合物をSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動にかけた。−例として、
10,000: 1での結果を第2図に示した。
酵素無処理区ではミオシン、アクチンを中心に幾つかの
タンパク質がバンドになって見えた。これにパパインを
作用させると、これらのタンパク質が著しく分解された
ためバンドが低分子側に移動したり、消失していた。特
に筋原線維タンパク質の中でその60%を占めるミオシ
ンの分解が顕著であった。なお、パパイン以外の食肉軟
化剤であるブロメラインもパパインと類似の性質を有し
ていることから、パパインと同様に筋肉タンパク質を過
剰に分解すると思われる。一方、パパインとは対照的に
エラスターゼを添加しても泳動パターンはあまり変化し
ておらず、タンパク質の過剰な分解は生じていないこと
が明らかになった。この結果は本酵素の精製度、反応条
件にかかわらず得られた。
以上の結果から本酵素は従来の食肉軟化剤に比べて、著
しく強いエラスチン分解力を有し、かつ肉特有のテクス
チャーを失わせるような筋原線維タンパク質の過剰分解
をおこさない効果的な酵素であるといえる。
〔実施例4〕 これまでの結果を踏まえて本実施例では、本酵素(エラ
スターゼ)を用いた食肉の軟化を破断テストによる物性
測定、およびパネラ−による官能評価で調べた。
オーストラリア産輸入牛の腿肉5kgを500gずつl
Oグループに分けて下記に記載する処理を施した。その
あと4 cra X 4 cm X 3 cmに肉を切
り(約100g弱)、70°Cl2O分間の加熱処理後
、レオメータ−(Fudoh社)による破断試験を行な
った。−例として5kgの切断力で深さ31での応力を
測定した。その結果を第3図に示す。残りの肉は1%の
塩をまぶして味付けし、それぞれを別のフライパン上で
同一火力のもとで同時に加熱調理し、ステーキを試作し
た。
処理区■ 無処理 処理区■ 市販のミートテンダライザー(Adolph
’s社、パパイン含有)を説明書に準じ た方法であらかじめインジェクショ ン用の針を用いて表面を一定の深さ で突き刺した肉にまんべんなく振り かけた。
処理区■ 市販のパパイン(シグマ社)5■を45mj
!に溶解し、ランダムに肉に注射した。そのあと37°
Cで1時間放 置した。
処理区■ 市販のパパイン(シグマ社)5■を七5ml
に溶解し、ランダムに肉に注 射した。そのあと4°Cで17時間放 置した。
硫安塩析のあと50mMリン酸緩衝 液(pH8,0)に溶解したエラスターゼ液12.00
0ユニッI・分(精製酵素5■に相当)5ml!、をラ
ンダムに肉に注射した。そのあと37°CT:1時間放
置した。
硫安塩析のあと50m、M’Jン酸緩衝液(pH8,0
)に溶解したエラスターゼ液12.000ユニット分(
精製酵素5■に相当)5mlをランダムに肉に 注射した。そのあと4°Cで17時間 放置した。
硫安塩析のあと水に溶解したエラス ターゼ液12,000ユニット分(精製酵処理区■ 処理区■ 処理区■ 素5■に相当)5mj!をランダムに 肉に注射した。そのあと37°Cで1 時間放置した。
処理区■ 硫安塩析のあと水に溶解したエラスターゼ液
12.000ユニット分(精製酵素5■に相当)5ml
をランダムに 肉に注射した。そのあと4°Cで17 時間放置した。
処理区■ 硫安塩析のあと50mMリン酸緩衝液(pH
8,0)に溶解したエラスターゼ液12,000ユニッ
トを凍結乾燥後、増量剤デキストリン5gと混合して 肉質改良剤を調整した。次にこの改 良剤をインジェクション用の針を用 いて表面を一定の深さで突き刺した 肉にまんべんなく振りかけた。その あと4°Cで17時間放置した。
レオメータ−による破断試験の結果から、市販のミート
テンダライザーやパパインと同じように、本酵素処理に
より肉を切断する力が小さくなり、肉の軟化が認められ
た。その効果は水や緩衝液に溶解させた溶液の形態でも
粉末の形態でもよかった。また処理を施した肉は冷蔵庫
や室温などで一定時間放置することにより効果が得られ
る。さらに、硫安塩析後の粗酵素のみならず、精製の最
終段階であるCM−セファデックス処理後の酵素を用い
ても同じ効果が認められた。なお、対照として水や緩衝
液のみを注射したり、デキストリンのみを振りかけた肉
は処理区■とほとんど同じ値を示した。
次に肉がさめないうちに、パネラ−10名で外観、風味
、食感、多汁性、結合組織の硬さ、味などの点から総合
評価を行った。その結果を表6に示した。市販ミートテ
ンダライザーやパパイン処理区では肉は軟化するが、ス
ジが残り、肉の弾力がなくなり、旨味、食感が著しくそ
こなわれていたが、エラスターゼ処理区ではパパイン同
様内の軟化が認められ、さらにスジが繊維状になり、肉
の弾力が残っていた。また肉本来の旨味、食感とも無処
理区、パパイン処理区に比べて増していた。
以上の結果より、食感、味ともエラスターゼ処理を処す
と著しく向上した。
また、本実験のスケールを大きくして、工業的スケール
で用いられるインジェクターにより食肉をエラスターゼ
処理しても同様の優れた効果が得られた。このことより
、本発明は十分、工業的に利用される技術であることが
裏づけられた。
表6 豪州輸入牛モモ肉の官能評価 〔効 果〕 従来のエラスターゼに比較して本出願に係る活性の高い
アルカリ性バチルス属細菌由来のエラスターゼを含有す
る肉質改良剤はエラスチン含量が高い為にあまり食品と
して利用されていないスジ等の肉の低品質部位の改良に
有効である。
また、本発明の肉質改良剤は、アルカリ領域でも中性領
域でも用いることができるので、極めて広い範囲で実施
できる有用なものである。
尚、このアルカリ性バチルス属細菌由来のエラスターゼ
は上記食品への応用以外にも、動脈硬化の治療などにも
広く応用できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はアルカリ性バチルス属細菌Ya−B株(FER
M BP−2017)の培養した時の経時変化を示す。 図中Oは菌の生育、△は培地のpH変化、・はエラスタ
ーゼ活性をそれぞれ示す。 第2図は各種酵素処理した筋原線維タンパク質の5DS
−ポリアクリルアミド電気泳動図である。 レーン1は無処理で4℃、15時間放置した試レーン2
は精製エラスターゼ処理後、4℃、15時間放置した試
料 レーン3は粗エラスターゼ処理後、4°C115時間放
置した試料 レーン4はパパイン処理後、4°C115時間放置した
試料 レーン5は無処理で37°C,1時間放置した試料 レーン6は精製エラスターゼ処理後、37°C11時間
放置した試料 レーン7は粗エラスターゼ処理後、37°C11時間放
置した試料 レーン8はパパイン処理後、37℃、1時間放置した試
料 第3図は豪州輸入牛モモ肉のレオメータ−による破断試
験を示す。図の番号1〜9は実施例4に記載した処理区
■〜■の試料である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)アルカリ性バチルス属細菌により生産されるエラ
    スターゼを含有してなる肉質改良剤。
  2. (2)アルカリ性バチルス属細菌により生産されるエラ
    スターゼを鳥獣肉に作用させることを特徴とする肉質改
    良法。
JP2298477A 1989-12-05 1990-11-02 肉質改良剤 Pending JPH03224465A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1-316261 1989-12-05
JP31626189 1989-12-05

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH03224465A true JPH03224465A (ja) 1991-10-03

Family

ID=18075131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2298477A Pending JPH03224465A (ja) 1989-12-05 1990-11-02 肉質改良剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH03224465A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0631733A1 (en) 1993-07-02 1995-01-04 Ajinomoto Co., Inc. Enzymic agent for improving the tenderization of meat

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0631733A1 (en) 1993-07-02 1995-01-04 Ajinomoto Co., Inc. Enzymic agent for improving the tenderization of meat

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