JPH0322334B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この発明は、たとえば、自動車の側壁に向けて
折りたたみ収納しうるように構成される折りたた
みシートに適用すると好適なシート等の折りたた
み機構に関する。

【従来技術】

自動車のシートには、たとえば、実公昭48−
21136号公報に示される、いわゆるリクライニン
グシートがある。このリクライニングシートは、
それに着座した個々の乗員の体型あるいは好みに
合わせてそのシートバツクを所望の角度に調節す
ることから、運転席と、助手席とを別個独立に構
成する一人掛けのフロントシートには容易に適用
可能であるが、いわゆるベンチシートが多用され
るリヤシートにはあまり適用されない。 ところで、いわゆるワン・ボツクス・カーのよ
うに、乗用のみならず、荷物運搬用、あるいはレ
ジヤー用など、多目的に使用しうる自動車のリヤ
シートは、たとえばフロントシートの背部に折り
たたみ収納することにより、適宜荷室空間を広げ
ることができるようになつている。こうした従来
のシートにおける折りたたみ機構は、横長のベン
チシートを、そのシートバツクのシートクツシヨ
ン上に重ねるように前倒れ回動可能にするとも
に、シートバツクを重ねたシートクツシヨンをそ
の前脚の枢支部を中心として前方倒立回動させ、
フロントシートの背部に重ねるようになつてい
る。

【発明が解決すべき問題点】

ところで、上述したような折りたたみ機構で
は、通常のシート状態としているときシートクツ
シヨンが振動などでバウンドするといつたこと
や、シートクツシヨンとシートバツクとが重ねら
れた状態で収納されるので、シートクツシヨンの
厚みとシートバツクの厚みを加算した長さ荷室の
前後長が短縮されるといつた問題がある。さら
に、ベンチシート型のシートを折りたたむので、
折りたたんだとき乗員が着座しうるのはフロント
シートのみとなり、たとえば、３名乗車し、かつ
荷室空間を広げたい場合に困り、また、リクライ
ニング機構を付加するには不適である。

【発明の目的】

この発明は、上記の事情のもとで考え出された
もので、その目的は、たとえば自動車用リヤシー
トに適用すると、そのシートにリクライニング機
構と、折りたたみ収納機構の双方を都合よく具備
させることができ、また、シート状態としている
とき振動などでバウンドすることがなく、さら
に、折りたたんだとき車室空間の前後長が短縮さ
れることがない折りたたみ機構を提供することで
ある。

【目的を達成するための手段】

上記の目的を達成するため、この発明のシート
等の折りたたみ機構で採用した技術的手段は次の
通りである。 第一部材に対して第二部材を第一の回動軸心
回りに回動可能に連結したこと、 これら第一部材と第二部材の側方に、固定状
のベース部材と、このベース部材に対して上記
第一の回動軸心回りに回動可能に連結された回
動アームとをもつ回動機構を配置したこと、 上記第一部材と上記ベース部材とを互いに上
記第一の回動軸心と直交する第二の回動軸心回
りに回動可能に連結したこと、 上記第二部材と上記回動アームとを互いに上
記第一の回動軸心と直交する第三の回動軸心回
りに回動可能に連結したこと、 上記第二の回動軸心と上記第三の回動軸心と
を同一平面内に配置したこと。

【発明の作用・効果】

本願発明をたとえば自動車用シートに適用した
場合、次の作用・効果を発揮する。 自動車用シートに適用した場合、第一部材がシ
ートクツシヨン、第二部材がシートバツク、回動
機構がリクライニング機構と対応する。シートバ
ツクがシートクツシヨンに対して第一の回動軸心
を中心として回動可能となつており、シートクツ
シヨンがベース部材に対して上記第二の回動軸心
を中心として回動可能となつており、また、シー
トバツクが回動アームに対して上記第三の回動軸
心を中心として回動可能となる。 上記シートバツクのシートクツシヨンに対する
角度が180度以外の角度となつているとき、すな
わち、シートバツクをシートクツシヨンに対して
起立させ、シートとして使用するときには、シー
トクツシヨンの上記リクライニング機構のベース
部材に対する回動軸心（第二の回動軸心）と、シ
ートバツクの上記リクライニング機構の回動アー
ムに対する回動軸心（第三の回動軸心）とは交差
することとなるので、これらシートクツシヨンお
よびシートバツクは、リクライニング機構に対し
て回動することができない。しかしながら、上記
第二の回動軸心と第三の回動軸心とは同一平面内
にあつてかつ共に第一の回動軸心と交差するの
で、シートバツクのシートクツシヨンに対する角
度が180度となつたとき、すなわち、シートクツ
シヨンとシートバツクが水平状に連続する状態と
なつたときには、上記第二の回動軸心と第三の回
動軸心とが一直線状となり、このときはじめて、
シートクツシヨンとシートバツクとが一体となつ
てリクライニング機構に対して横方向に回動可能
となる。したがつて、リクライニング機構のベー
ス部材をたとえば車室の側壁近傍に固定して設け
ておくと、このシートを、そのシートクツシヨン
とシートバツクを水平状に広げたまま車室側壁に
沿うように折りたたむことができる。 このように本願発明を適用した自動車用シート
は、シート収納時、シートクツシヨンとシートバ
ツクとが一連となつて車室側壁に沿うようにして
折りたたまれ、シートを収納したとき、車室側壁
に形成される突部を最小限とすることができると
いうシート収納上の効果を発揮するほか、シート
として使用するとき、リクライニング機構のベー
ス部材に対するシートクツシヨンの回動軸心と、
リクライニング機構の回動アームに対するシート
バツクの回動軸心とが交差状態となることによつ
てシートクツシヨンをベース部材に対して回動不
能に保持し、折りたたみシートでありながら、シ
ート脚を設けなくても、リクライニング機構の剛
性によつてシートを使用状態に保持できるという
効果がある。

【実施例の説明】

図面には、本発明の折りたたみ機構を自動車用
シートに適用した例を示してある。 第一部材１としてのシートクツシヨンフレーム
１′の後部に対して、第二部材２としてのシート
バツクフレーム２′の基部が、ヒンジ３を介して
回動可能に連結されている。図示例では、上記ヒ
ンジ３は、右側のみ設けてあるが、左側について
は、後記するリクライニング機構４がヒンジとし
ての機能を営む。これらシートクツシヨンフレー
ム１′およびシートバツクフレーム２′の左側に
は、ベース部材５に対して回動アーム６を取付
け、この回動アーム６の傾斜角度をレバー７操作
により所望量に調節しうるように構成された、回
動機構４としてのリクライニング機構４′が配置
される。このリクライニング機構４′における回
動アーム６の回動軸心laは、上記ヒンジ３の回動
軸心lb（第一の回動軸心）と一致しており、この
結果、シートバツクフレーム２′は、シートクツ
シヨンフレーム１′に対し、回動軸心laまたはlb
を中心として前後方向に角度調節可能に回動しう
ることになる。 さらに、上記シートクツシヨンフレーム１′の
左側部１a′は、蝶番８を介して上記リクライニン
グ機構４′のベース部材５に対し、横方向回動可
能に連結され、また、上記シートバツクフレーム
２′の左側部２a′は、蝶番９を介して上記リクラ
イニング機構４′の回動アーム６に対して横方向
回動可能に連結される。なおこの場合、上記蝶番
８の回動軸心lc（第二の回動軸心）と上記蝶番９
の回動軸心ld（第三の回動軸心）は、同一平面内
に位置するようにする。したがつて、第１図に示
すようにシートバツクフレーム２′がシートクツ
シヨンフレーム１′に対して起立しているとき、
上記回動軸心lcとldは、交差することになる。ま
た、これら回動軸心lcとldの交差点は、上記ヒン
ジまたはリクライニング機構４′の回動軸心la，
lbを通るようにすべきであることはいうまでもな
い。なお、リクライニング機構４′のベース部材
５は、第３図に表れているように、ブラケツト１
０を介してたとえば車室内に膨出するタイヤハウ
ジング１１の上面などに固定される。 次に本例の自動車用シートの作用について説明
する。 第１図に示すように、シートバツクフレーム
２′がシートクツシヨンフレーム１′に対して起立
した状態にあるとき、上記蝶番８および蝶番９の
回動軸心lcおよび回動軸心ldは、互いに一致して
いないので、シートクツシヨンフレーム１′はベ
ース部材５に対し、シートバツクフレーム２′は
回動アーム６に対し、それぞれ回動することはで
きない。このことは、シートバツクがシートクツ
シヨンに対して起立しているかぎり、シートは竪
牢な状態に保持され、たとえば、そのシートクツ
シヨンの右方下部に脚を設けなくてもリクライニ
ング機構の持つ強度で乗員の体重を支持すること
ができ、また、車両の振動によつてバウンドした
りすることがないことを意味する。 そして、第２図に示すように、シートバツクフ
レーム２′を、それがシートクツシヨンフレーム
１′と一連となるまで後方に倒すと、上記各蝶番
８，９の回動軸心lc，ldが一致し、このときはじ
めてシートクツシヨンフレーム１′およびシート
バツクフレーム２′が一体となつて上記軸心lc，
ldを中心として横方向に回動可能となり、第３図
に示すように、シートを車室側壁に添うようにし
て折りたたみ収納することができるようになる。
このように、本例では、リクライニング機構４′
を操作するだけで、シートバツクの角度調整をす
ること、および、折りたたみ収納可能な状態とす
ることができ、その操作は極めて簡単である。ま
た、リクライニング機構′４とシートとの間に蝶
番を介在させることにより簡単に構成することが
できるので、コスト的に非常に有利である。 なお、本発明の範囲は、上述した実施例に限定
されないことはもちろんであり、たとえば、本発
明を折りたたみ棚に適用することができる。この
場合、図面に示したシートクツシヨンフレームお
よびシートバツクフレームを、それぞれ二枚の棚
板とし、リクライニング機構を簡単なロツク機構
付きの、ベース部材と回動アームからなる回動機
構に転換するだけでよい。このようにすると、壁
面に対して直角にのびる水平板と直立板とからな
る棚を簡単に壁面に添つたかたちで折りたたみ収
納することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成部品を分解し
た状態で示す斜視図、第２図および第３図はその
作用説明図である。 １……第一部材、２……第二部材、４……回動
機構、５……ベース部材、６……回動アーム、
la，lb，lc，ld……回動軸心。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 第一部材に対して第二部材を第一の回動軸心
   回りに回動可能に連結するとともに、これら第一
   部材と第二部材の側方に、固定状のベース部材
   と、このベース部材に対して上記第一の回動軸心
   回りに回動可能に連結された回動アームとをもつ
   回動機構を配置する一方、上記第一部材と上記ベ
   ース部材とを互いに上記第一の回動軸心と直交す
   る第二の回動軸心回りに回動可能に連結するとと
   もに、上記第二部材と上記回動アームとを互いに
   上記第一の回動軸心と直交する第三の回動軸心回
   りに回動可能に連結し、かつ、上記第二の回動軸
   心と上記第三の回動軸心とを同一平面内に配置し
   たことを特徴とする、シート等の折りたたみ機
   構。