JPH0319862B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は、合成樹脂の強度を低下させることな
く、導電性充填材が均一に分散できかつ電磁波遮
蔽効果の大きい導電性成形材料に関する。

［発明の技術的背景とその問題点］ 近年、外部の妨害電波から電子回路を保護し、
かつ発信回路等から発生する不要な電波を外部に
漏洩するのを防止するために電子機器の筐体を電
磁波遮蔽材料により形成することが要求されてい
る。このような電磁波遮蔽材料としては、金属や
導電性合成樹脂等が挙げられるが、前者の金属は
優れた電磁波遮蔽効果を有する反面、重い、高
価、加工性が悪い等の欠点があるため、導電性合
成樹脂の使用が主流となりつつある。

合成樹脂に導電性を付与する方法としては、合
成樹脂を成形後、導電性塗料を塗布したり、金属
を熔射、メツキしたりして表面に導電層を形成す
る方法と、合成樹脂内部にカーボンや金属粉末等
の導電性の充填材を添加する内部添加法がある。
前者の合成樹脂表面に導電層を形成する方法は、
工程が増えて量産性に乏しく、また導電層が長時
間の使用により剥がれてしまうという欠点がある
ため、後者の内部添加法に期待が寄せられてい
る。

しかしながら後者の内部添加法にも次のような
問題があつた。

すなわち所望の電磁波遮蔽効果を有するために
は、カーボンや金属等の導電性の充填材を多量に
配合する必要があり、その結果分散不良を起こし
たり、成形品の機械的強度が低下するという欠点
があつた。さらに金属等を合成樹脂に充填した場
合、合成樹脂を劣化させるという問題があつた。
いいかえれば電磁波遮蔽効果が大きく、合成樹脂
との混合が均一にでき、しかも合成樹脂の強度を
低下又は劣化させたりすることのない導電性成形
材料が得られていないのが実情であつた。

［発明の目的］ 本発明はこのような点に対処してなされたもの
で、導電性充填材を合成樹脂に均一に分散するこ
とができ、機械的強度が高くしかも電磁波遮蔽効
果の大きい導電性成形材料を提供することを目的
としている。

［発明の概要］ 本発明は前記の目的を達成すべく鋭意研究を重
ねた結果、後述のマスターペレツトとナチユラル
ペレツトを主成分とすることによつて目的が達成
できることを見出した。

即ち、本発明の導電性成形材料は、カーボン層
を有する金属繊維の表面に合成樹脂層を形成して
なる導電性充填材を用いるマスターペレツトと、
ナチユラルペレツトとを主成分とすることを特徴
とする導電性成形材料である。

以下図面を用いて本発明の導電性成形材料をさ
らに説明する。

第１図は本発明に用いる導電性充填材の断面を
示している。金属繊維１の表面にカーボン層２が
形成され、さらにこのカーボン層２の表面に合成
樹脂層３が形成されている。金属繊維としては
銅，ニツケル，アルミニウム等が使用される。そ
して金属繊維を被覆する合成樹脂としては、成形
品の合成樹脂と同種のものでよいが、そのほか、
成形品の合成樹脂と混合することによつて界面に
形成する第三の合成樹脂が補強効果をもつもの、
すなわちブレンドポリマーとなるようなものが好
ましい。例えばスチレン系ポリマーの成形品を得
たい場合は、ポリフエニレンオキサイド樹脂、ポ
リブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を使
用すると好結果が得られる。こうすることにより
界面に形成する第三の合成樹脂が補強効果をも
ち、成形品の特性が改善される。第２図は第１図
に示した導電性充填材を用いて形成したマスター
ペレツトの長手方向の断面図を示している。第１
図に示した導電性充填材の長繊維状のものを束
ね、それを合成樹脂層で一体化しマスターペレツ
トとする。繊維状の充填材は第２図で太く示して
あるが実際は細くまた本数も多い。

本発明に使用するナチユラルペレツトは、合成
樹脂からなり前述したごときブレンドポリマーを
形成するものが選択される。一般の可塑性樹脂例
えばポリスチレンの射出成形ではマスターペレツ
ト１重量部に対しナチユラルペレツト（ポリスチ
レン）１〜20重量部を配合することが好ましい。

マスターペレツトの製造方法を第３図を用いて
説明する。第１図で示したカーボン層２と合成樹
脂層３を有する長い繊維状導電性充填材を束ねて
一体化する。束ねた導電性充填材４を押出機５の
ダイス６を通し合成樹脂で束ねた導電性充填材４
を被覆成形７し、さらにカツテイング８してペレ
ツト９とする。第４図はペレツト９の拡大見取図
で束ねた導電性充填材１０をうすく合成樹脂１１
で被覆してマスターペレツト１２とした。

［発明の実施例］ 次に本発明の実施例について説明する。

直径約50μmの長尺銅繊維の表面に、厚さ約
1μmのカーボン層を設けポリスチレン変性のポリ
フエニレンオキサイド樹脂をデイツプ塗布により
被覆した。このようにして得られた導電性充填材
を束ねて合成樹脂をうすく被覆一体化して直径約
２mmとし、長さ約５mmにカツテイングしたものを
マスターペレツトとした。

このマスターペレツト１容に対し９容のポリス
チレンのナチユラルペレツトを機械的に混合して
導電性成形材料を製造した。得られた成形材料を
使用して射出成形し厚さ３mmの板状成形品を得
た。成形品の電磁波遮蔽効果は500MHzで40dBで
あつた。成形品は導電性充填材が均一に分散して
おり、成形品の強度の低下や劣化はみられなかつ
た。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明の導電性成形材料は
カーボン層で被覆された金属繊維を使用している
ので電磁波遮蔽効果が非常に大きく、しかも導電
性充填材の最外層は母材合成樹脂との親和性が良
好であり、又ブレンドポリマーを形成しやすい合
成樹脂で形成されているので均一に合成樹脂に分
散して強度の大きいしかも劣化のない合成樹脂成
形品を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に使用する導電性充填材の断面
図、第２図はマスターペレツトの長手方向断面
図、第３図は本発明に用いるマスターペレツトの
製造方法を示す図、第４図はマスターペレツトの
拡大見取図である。 １…金属繊維、２…カーボン層、３…合成樹脂
層、４，１０…束ねた導電性充填材、５…押出
機、６…ダイス、７，１１…合成樹脂被覆、８…
カツテイング、９，１２…マスターペレツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ カーボン層を有する金属繊維の表面に合成樹
   脂層を形成してなる導電性充填材を用いるマスタ
   ーペレツトと、ナチユラルペレツトとを主成分と
   することを特徴とする導電性成形材料。 ２ マスターペレツトは、長繊維状の導電性充填
   材を束ねた表面に合成樹脂層を形成一体化し、ペ
   レツト状に切断したものであることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の導電性成形材料。 ３ マスターペレツトの合成樹脂層はポリスチレ
   ン又はポリスチレン変性樹脂、金属繊維は銅繊
   維、そしてナチユラルペレツトはポリスチレン又
   はポリスチレン変性樹脂のペレツトであることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   の導電性成形材料。 ４ マスターペレツトの合成樹脂層とナチユラル
   ペレツトの合成樹脂とがブレンドポリマーを形成
   することを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至
   第３項いずれか記載の導電性成形材料。 ５ 金属繊維は、銅繊維であることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項乃至第４項いずれか記載の
   導電性成形材料。