JPH0319725Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は帆立貝とか真珠貝等の他の貝の養殖に
使用される貝係止具に関する。

（従来技術） 従来より帆立貝の養殖方法の一つとして耳吊養
殖がある。これは第３図に示すように海中に張つ
たのしロープＡに予め帆立貝Ｂを取付けた編ロー
プＣを吊すようにしたものである。

編ロープＣへ帆立貝Ｂを取付けるには、ビニー
ル、ナイロン等の合成樹脂製の紐を第５図のよう
に数本編んだ編ロープＣの編み目に、合成樹脂製
の紐Ｄを差込んで結び、その紐Ｄを帆立貝Ｂの耳
Ｅにあけてある孔Ｆ（第４図）に通し、更に同紐
Ｄを第５図のように結んで帆立貝Ｂが紐Ｄから抜
け落ちないようにしている。

しかしこの方法は７〜8mの一本の網ロープＣ
に100〜120本もの紐Ｄを一本一本手作業により結
び、更に各紐Ｄに帆立貝Ｂを一ケづつ手作業によ
り取付けなければならないため作業に多くの人員
と多大な時間を要するという難点がある。

そこで本件出願人は先に第６図のような貝係止
具ａを開発した。これはプラスチツク製のもので
あり、ロープＣに取付ける取付け部ｂの両側に帆
立貝Ｂを係止する貝係止突子ｃを形成し、しかも
それを取付け部ｂ側に向けて次第に外側拡がりに
突設したものである。

また本件出願人は先に第７図のような貝係止具
１も開発した。これもプラスチツク製であり、基
材２の中央部にロープＣに係止する取付け突子３
を形成し、取付け突子３の両側に同突子３側に向
けて次第に外側拡がりに突出する貝係止突子４を
形成し、基材２の長手方向両端につまみ用突子５
を形成したものである。

第６図、第７図の貝係止具は編ロープＣに差込
むだけで同ロープＣから外れなくなるため、従来
の紐Ｄのように編ロープＣに結ぶ必要がない。ま
た帆立貝Ｂを貝係止突子ｃより内側まで差込むだ
けで帆立貝Ｂが抜けなくなるため、帆立貝Ｂを差
込んだ後に従来の紐Ｄのように結ぶ必要もない。
そのため、第６図、第７図の貝係止具を使用すれ
ば帆立貝Ｂの取付け作業が非常に容易になる。

（従来技術の問題点） 第６図、第７図の貝係止具は貝係止突子ｃ、４
が直線状に外側拡がりになつているため、同突子
ｃ、４に帆立貝Ｂを差込むときや、帆立貝Ｂを取
り付けた貝係止具をロープＣに取り付けるとき
に、同突子ｃ、４が作業者が着ているセーターな
どに引つかかり易く、作業しにくかつた。また場
合によつてはセーターが破れることもあつた。

また貝係止突子ｃ、４が直線状に突出している
ため、同突子ｃ、４に差込んだ帆立貝が不用意に
抜けることがあり、また同係止突子ｃ、４の根元
ｄ、４ａに帆立貝の荷重が加わり易く、その荷重
により同係止突子ｃ、４の根元ｄ、４ａが裂けて
貝が脱落することもあつた。

（考案の目的） 本考案の目的は第６図、第７図の貝係止具を更
に改良して、貝係止突子への帆立貝の差し込み作
業が一層容易になり、セーターなどに引つかかり
にくくなり、しかも貝係止突子に差込んだ帆立貝
が同突子から不用意に抜けることがなくなり、そ
の上、同突子が根元から裂けにくくなるようにし
た貝係止具を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の貝係止具は、第１図のように基材１０
の中央部にロープＣに係止する取付け突子１１を
形成し、同基材１０のうち取付け突子１１より長
手方向端部側に取付け突子１１側に突出し且外側
に湾曲する貝係止突子１２を形成してなるもので
ある。

（考案の作用） 本考案の貝係止具２０を使用するには第８図の
ように、貝係止具２０をその長手方向一端からロ
ープＣに差し込み、その後に同貝係止具２０をそ
の一端から帆立貝Ｂの耳Ｅに開けた通孔Ｆに通し
て、同帆立貝Ｂを貝係止用突子１２の内側まで引
き寄せる。このとき貝係止用突子１２は帆立貝Ｂ
により取付け突子１１側に押し倒されるが、貝係
止用突子１２は帆立貝Ｂが通り過ぎると自己の弾
性により元の状態に起立して帆立貝Ｂが抜け落ち
ないようになる。

（実施例） 本考案を第１図、第２図及び第８図に基づいて
説明する。本考案の貝係止具２０はプラシチツク
製の基材１０の中央部にロープＣに係止する取付
け突子１１が形成され、同基材１０の取付け突子
１１より両端側に同突子１１側に突出し且外側に
湾曲する貝係止用突子１２が形成されている。基
材１０は中央部１５が丸棒状に成形され、その両
端側部分１６の夫々が中央部１５側から端部１７
側に向けて次第に肉薄に成形されている。

取付け突子１１は前記中央部１５よりやや細い
丸棒状に形成され、それを内側に向けて次第に外
側拡がりに突設してある。

貝係止突子１２は取付け突子１１より両端側
に、同突子１１側に向けて突出すると共に外側に
湾曲させて、第１図の矢印方向（湾曲方向）に弾
性をもたせてある。

第１図の貝係止突子１２は取付け突子１１の両
端側に一個づつしか形成されていないが、貝係止
突子１２は取付け突子１１の左右に夫々二以上形
成してもよい。

以上の説明は帆立貝を吊す場合の説明である
が、本考案の貝係止具２０は帆立貝に限らず、真
珠貝やその他の貝の係止にも使用できる。

（考案の効果） 本考案の貝係止具は次のような各種効果があ
る。

(1) 貝係止突子１２が取付け突子１１側に突出し
且外側に湾曲しているので同突子１２がセータ
ーなどへ引つかかりにくく、係止作業がし易く
なる。また貝係止突子１２が前記のように取付
け突子１１側に突出し且つ外側に湾曲している
ので、貝係止突子１２に加わる帆立貝Ｂの荷重
が同係止突子１２の先端側に逃げ易くなり、同
係止突子１２の根元１２ａに加わる荷重が少な
くなるので同根元１２ａが裂けにくくなり、同
係止突子１２に係止された貝の脱落がほとんど
なくなる。

(2) 基材１０の両端に取付け突子１１が形成され
ているので、貝係止具２０をその一端から取付
け突子１１の内側までロープＣに差し込むだけ
で、貝係止具２０がロープＣに係止されてそれ
から外れなくなる。このためロープＣへの貝係
止具２０の取付け作業が容易になる。

(3) 一本の基材１０に貝係止突子１２を複数本づ
つ突設すれば、一本の貝係止具２０で多くの帆
立貝Ｂを養殖でき、帆立貝養殖のコストも低減
される。

(4) 貝係止突子１２に弾性が付与されているので
帆立貝Ｂを同突子１２へ差し込み易く、しかも
同突子１２に一旦差し込まれた帆立貝Ｂは不用
意に外れない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の貝係止具の一実施例を示す説
明図、第２図は同貝係止具に帆立貝を差し込んだ
状態の部分説明図、第３図は帆立貝の耳づり養殖
の説明図、第４図は帆立貝の説明図、第５図は従
来の帆立貝の吊下げ状態の説明図、第６図、第７
図は本件出願人が先に開発した貝係止具の異種例
を示す説明図、第８図は本考案の貝係止具の使用
説明図である。 １０は基材、１１は取付け突子、１２は貝係止
突子、Ｂは帆立貝、Ｃはロープ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 基材の中央部にロープに係止する取付け突子
   を形成し、同基材のうち取付け突子より長手方
   向端部側に同突子側に突出し且外側に湾曲する
   貝係止突子を形成してなることを特徴とする貝
   係止具。 (2) 貝係止突子に弾性が付与されていることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   具係止具。