JPH0318171Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、射出成形機において、成形された製
品を金型から取出す際に使用するエジエクターの
ストローク調整装置に関するものである。

「従来の技術」 従来、射出成形機には、成形品をエジエクター
ピンにより突出して金型から取出すエジエクター
が設けられ、このエジエクターには、そのエジエ
クターピンの突き出しストロークを調整するため
のストローク調整装置が付設されている。第３図
ないし第５図はこれら装置の一例を示すもので、
図中１は、一方の金型である移動型（図示せず）
が金型取付け面１ａに取付けられる移動盤（金型
取付け盤）である。この移動盤１の金型取付け面
１ａとは反対側の後面１ｂには、取付けプレート
２が複数（図では４本）のガイドバー３，…を介
して移動盤１とは所定間隔離間して取付けられ、
この取付けプレート２の接面には油圧シリンダー
（駆動装置）４が固定して取付けられると共に、
上記ガイドバー３，…には、移動盤１の後面１ｂ
に対向する前面５ａに複数のエジエクターピン
６，…が植設されたエジエクタープレート５がガ
イドバー３，…に沿つて前後に移動自在に取付け
られ、このエジエクタープレート５の中心部に上
記油圧シリンダー４のピストンロツドの先端が締
結されている。そして、この油圧シリンダー４の
ピストンロツドを前進（伸長）させることによ
り、エジエクタープレート５が移動盤１に接近
し、各エジエクターピン６，…が移動盤１及び移
動型を貫通して移動型の内部の成形品を突き出す
ようになつている。

また、上記エジエクタープレート５の側方部位
で射出成形機の操作側（第５図における右方側）
の下方部と、反操作側の上方部で上記下方部とは
油圧シリンダー４の軸線を中心として点対称の部
位には、おねじ部材から成るストツパー７，７
（ストローク調整装置）が、それぞれエジエクタ
ープレート５を前後に貫通して前後に移動自在に
螺合され、ロツクナツト８，８によつて固定され
ている。そして、エジエクタープレート５が移動
盤１に接近したとき、この各ストツパー７，７が
移動盤１の後面１ｂに当り、エジエクタープレー
ト５を所定の位置に停止させるようになつてお
り、この各ストツパー７，７の前後位置を調整す
ることにより、エジエクターピン６，…の突き出
しストロークが調整されるようになつている。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、上記従来の装置では、エジエク
タープレート５を移動盤１に対して平行な状態で
停止させる必要があることから、上述のように２
本のストツパー７，７を設けている。このため、
エジエクターピン６，…の突き出しストロークを
調整するに当つては、双方のストツパー７，７の
前後位置を、片当りにならないように互いの前後
位置が完全に同一になるように注意して、調整し
なければならず、しかも、一方のストツパー７は
射出成形機の操作側から調整できるが、他方のス
トツパー７は反操作側に回つて調整しなければな
らなかつた。また、各ストツパー７，７の前後位
置の調整は、各ロツクナツト８，８を一旦緩めて
各ストツパー７，７を前後させ、再び各ロツクナ
ツト８，８を締付けて各ストツパー７，７を固定
するが、その際大きなスパナーが必要となるとい
う不具合もあつた。

本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、
エジエクターの突き出しストロークを射出成形機
の操作側から極めて容易に調整することができ、
操作性、精度の良好な射出成形機のエジエクター
のストローク調整装置を提供することを目的とす
る。

「問題点を解決するための手段」 上記目的を達成するために、本考案は、エジエ
クターピンを備えたエジエクタープレートを金型
取付け盤の金型取付け面とは反対側の面に対向し
て配設し、上記エジエクタープレートを駆動装置
により移動して金型取付け盤に接近させ、これに
より上記エジエクターピンを金型取付け盤を貫通
して金型内に突き出させて金型内の成形品を排出
するようにした射出成形機のエジエクターにおい
て、上記金型取付け盤と上記エジエクタープレー
トの少なくとも一方に、エジエクタープレートの
金型取付け盤に対する接近位置を規制するストツ
パー部材をエジエクタープレートの移動方向に移
動自在に設け、このストツパー部材に、ストツパ
ー部材をエジエクタープレートの移動方向に移動
する移動調整機構を付設すると共に、この移動調
整機構に、移動調整機構を操作する操作部を射出
成形機の操作側に位置させて付設して構成したも
のである。

「作用」 上記構成において、駆動装置を作動してエジエ
クタープレートを金型取付け盤に接近させると、
エジエクタープレートはストツパー部材に当つて
停止し、エジエクターピンが金型内に突出され
る。このエジエクターピンの突き出しストローク
の調整は、射出成形機の操作側に位置している操
作部を操作して移動調整機構を作動させ、ストツ
パー部材をエジエクタープレートの移動方向に移
動させてその位置を調整することにより、行う。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図及び第２図を
参照して説明する。なお、従来例と基本構造を同
一にする部分については、従来例と同一の符号を
付してその説明を省略する。

図中１０は、移動盤１の中心部に移動盤１を前
後に貫通して形成された取付け孔であり、中央部
分は小径部１０ａに、後方側は大径部１０ｂにな
つている。この取付け孔１０の大径部１０ｂに
は、上記小径部１０ａと略同径のめねじ孔１１ａ
を有するめねじ部材１１が、その前端部を大径部
１０ｂと小径部１０ａの境の段部１０ｃに当接し
て、ブツシユを介して周方向に回転自在に嵌入さ
れている。そして、上記めねじ部材１１の後端部
は移動盤１の後面１ｂから後方に突出し、その突
出部位の外周部には従動スプロケツト１２が嵌合
固定されると共に、その突出部位の外端面には、
移動盤１の後面１ｂにボルト１３ａによつて固定
された略Ｌ字状の複数の押え部材１３が係合さ
れ、この押え部材１３によりめねじ部材１１の後
方への移動が阻止されるようになつている。

さらに、上記めねじ部材１１のめねじ孔１１ａ
には、軸孔１４ａにエジエクターピンが移動自在
に挿通されたおねじ部材から成るストツパー部材
１４が螺合されており、上記めねじ部材１１を周
方向に回転させることにより、このストツパー部
材１４が前後方向に移動させられるようになつて
いる。一方、上記移動盤１の後面１ｂで射出成形
機の操作側の部位には鉛直な取付け座１５が固定
して設けられ、この取付け座１５には、おねじ部
１６ａを有するハンドル軸１６が取付け座１５を
前後に貫通して回転可能に、かつ軸方向にはナツ
ト１７を介して不動に取付けられている。そし
て、上記ハンドル軸１６の後端には操作ハンドル
１８が固定して取付けられ、前端には、上記従動
スプロケツト１２より径の充分小さい駆動スプロ
ケツト１９が、従動スプロケツト１２と同一の平
面内に位置して固定して取付けられており、上記
駆動スプロケツト１９と従動スプロケツト１２に
は無端状の伝動チエーン２０が巻回されている。

しかして、上記めねじ部材１１、従動スプロケ
ツト１２、伝動チエーン２０、駆動スプロケツト
１９等が、ストツパー部材１４を前後方向に移動
調整する移動調整機構２１を構成し、ハンドル軸
１６、操作ハンドル１８等が上記移動調整機構２
１を操作する操作部２２を構成している。なお、
図中２３は、前記取付孔１０の前端側に挿入して
移動盤１に固定されており、ストツパー部材１４
の過度の前方への移動を阻止する係止部材であ
る。

次に、上記構成のストローク調整装置の作用に
ついて説明する。

成形品の排出の際には、従来同様油圧シリンダ
ー４を作動してエジエクタープレート５を移動盤
１に接近させる。すると、エジエクタープレート
５の前面５ａがストツパー部材１４の後端面に当
つてエジエクタープレート５が停止し、エジエク
ターピン６が移動盤１と移動型（図示せず）を貫
通して移動型の内部に突き出され、移動型の内部
の成形品を排出する。

一方、上記エジエクターピン６の突き出しスト
ロークを調整する必要が生じた場合には、射出成
形機の操作側から操作ハンドル１８を所定方向に
回して駆動スプロケツト１９を回転させる。駆動
スプロケツト１９の回転は、伝動チエーン２０を
経て従動スプロケツト１２に伝わり、めねじ部材
１１を所定方向に回転させ、さらに、めねじ部材
１１の回転は、これに螺合されているストツパー
部材１４に伝わつてストツパー部材１４を前後に
移動させ、ストツパー部材１４の前後位置、すな
わち、エジエクターピン６の突き出しストローク
が調整される。

このように、上記構成の装置では、射出成形機
の操作側から操作ハンドル１８を回すのみでエジ
エクターピン６の突き出しストロークを簡単に調
整することができ、従来のような煩わしい調整作
業が不要になつて操作性が大幅に向上する。ま
た、移動盤１の中央部に設けた一つのストツパー
部材１４によりエジエクタープレート５を停止さ
せるようにしたから、ストツパー部材１４を複数
設けた場合に比較して、メネジ部材１１とストツ
パー部材１４との螺合によつて生じるネジ部のバ
ツクラツシユやガタの影響が少なく、ストツパー
１４とエジエクタープレート５との当接位置を高
精度で設定することができる。さらに、エジエク
タープレート５が移動盤１に対して正確に平行に
保たれ、したがつて、従来のようにストツパー
７，７が片当りになることにより生じる不具合が
解消される。

さらに、従来のストローク調整装置としては、
移動盤の後方（第１図中左方）に固定盤を配置
し、この固定盤に押出しロツドを移動盤に向けて
前進後退自在に突設し、移動盤側に、移動盤と共
に後方に移動するエジエクターピンを設け、移動
盤を型開方向に移動させながら、エジエクターピ
ンを押出しロツドによつて移動盤に対して相対的
に前進させ、押出しロツドにより成形品を突出す
ようにした装置も知られている。しかしながら、
こうした装置においては、成形品の排出のため
に、移動盤が、金型を開状態とする位置からさら
に後方まで移動する必要があり、こうした移動を
許容するために、固定盤および押出しロツドの位
置は、型閉め状態における移動盤に対して後方側
に大きく離間させられている。一般に、射出成形
機を操作する操作者は、固定、移動金型どうしの
突き合わせ状態や、成形品の突出し状態を確認す
る必要性から、金型どうしの突き合わせ面の近傍
に待機しているため、こうした装置においては、
操作者の待機位置から離間した場所に固定盤や押
出しロツドが配置されていることになり、固定盤
に取り付けられた押出しロツドの突出ストローク
の計測やその調整をする際に、操作者が固定盤ま
で移動しなければならずに作業領域が拡大されて
手間がかかり、作業効率が悪いといつた問題があ
つた。

これに対して、本実施例の装置によれば、移動
盤１に取り付けられているストツパー部材１４を
前後に移動させることによつて、エジエクターピ
ン６のストロークを調整することができるので、
操作者は、機械の操作側中央付近において、エジ
エクターピン６のストロークを調整することがで
き、固定盤のある機械の端まで移動する必要がな
く、操作者の作業領域を狭めることができて作業
効率が良いという利点がある。

また、固定盤に押出しロツドを設けた従来の装
置においては、成形品の深さの変化などによつて
金型の型開き量が変化した場合に、例えば、移動
盤の移動量が増加した場合には押出しロツドに移
動盤が過度に接触して押出しロツドの変形や座屈
を招いたり、移動盤の移動量が減少した場合には
移動盤が押出しロツドに当接することができなく
なるために成形品を突出すことができなくなると
いうおそれがある。このため、こうした装置にお
いては、型開き量の変化に伴つて、押出しロツド
の位置を調整する必要があり、作業が煩雑となつ
ていた。本実施例の装置によれば、移動盤１を後
方に移動させた後、エジエクタープレート５を移
動盤１に接近させることにより、エジエクターピ
ン６を金型内に突出して成形品を離型させるよう
に構成しているので、エジエクターピン６の突出
しストロークは、移動盤の移動量すなわち型開き
量と無関係に一定とすることができる。したがつ
て、型開き量が変化した場合であつても、押出し
ロツドの位置調整という手間が必要なく、作業効
率を一層向上させることができる。

なお、上記ストツパー部材１４の取付け位置は
移動盤１の中央部が好ましいが、必ずしもその位
置に限るものではない。また、上記構成のストロ
ーク調整装置は、取付け空間の関係で通常は移動
盤１側に設けるのが好ましいが、エジエクタープ
レート５側に取付けることもできる。

この場合であつても、エジエクタープレート５
にストツパー部材１４を取り付けているので、上
記実施例と同様に、ストツパー部材１４のストロ
ーク調整において、従来の装置に比較して操作者
の作業領域を狭くすることができ、作業効率が良
いという利点がある。他の作用は上記実施例と同
様であるので説明を省略する。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案のストローク調整
装置は、射出成形機の操作側に配した操作部を操
作して移動調整機構を介してストツパー部材をエ
ジエクタープレートの移動方向に移動させ、これ
によりエジエクターピンの突き出しストロークを
調整するようにしたものであるから、従来のよう
に射出成形機の操作側と反操作側の双方から各ス
トツパーを調整するといつた煩わしい作業が不要
になり、操作性が大幅に向上すると共に、調整精
度が良好になる等の効果を奏する。

さらに、本考案のストローク調整装置によれ
ば、移動盤又はエジエクタープレートにストツパ
ー部材を取り付けているので、型開閉用シリンダ
等の駆動装置がある場合であつてもこれを避けて
周縁位置にストツパー部材を配置する必要がな
く、移動盤又はエジエクタープレートの中央又は
その近傍に１つのストツパー部材のみを取り付け
ることにより、エジエクターピンのストロークを
調整することができる。この場合には、ストツパ
ー部材を複数設けた場合に比較して、ネジ部のバ
ツクラツシユやガタの影響が少なく、ストツパー
部材とエジエクタープレートとの当接位置を高精
度で設定することができる。また、移動盤又はこ
れに近接した位置に配置されているエジエクター
プレートにストツパー部材を取り付けているの
で、作業者は、機械の操作側中央付近においてエ
ジエクターピンのストロークを調整することがで
き、機械の端まで移動して作業をする必要がな
く、操作者の作業領域が狭くなつて作業効率が良
い。さらに、ストツパー部材を、固定盤のような
エンドプレート等に取り付けていないので、型開
き量が変化した場合であつても、これに対応して
エジエクターピンの突き出しストロークを逐一調
整することがなく、したがつて、作業効率を一層
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は一部を断面で示す平面図、第２図
は同側面図、また、第３図ないし第５図は従来例
を示すもので、第３図は側面図、第４図は平面
図、第５図は第３図の−矢視図である。 １……移動盤（金型取付け盤）、４……油圧シ
リンダー（駆動装置）、５……エジエクタープレ
ート、６……エジエクターピン、１４……ストツ
パー部材、２１……移動調整機構、２２……操作
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エジエクターピンを備えたエジエクタープレー
   トを金型取付け盤の金型取付け面とは反対側の面
   に対向して配設し、上記エジエクタープレートを
   駆動装置により移動して金型取付け盤に接近さ
   せ、これにより上記エジエクターピンを金型取付
   け盤を貫通して金型内に突出させて金型内の成形
   品を排出するようにした射出成形機のエジエクタ
   ーにおいて、上記金型取付け盤と上記エジエクタ
   ープレートの少なくとも一方には、エジエクター
   プレートの金型取付け盤に対する接近位置を規制
   するストツパー部材がエジエクタープレートの移
   動方向に移動自在に設けられ、このストツパー部
   材には、ストツパー部材をエジエクタープレート
   の移動方向に移動させる移動調整機構が付設され
   ると共に、この移動調整機構には、移動調整機構
   を操作する操作部が射出成形機の操作側に位置し
   て付設されて成ることを特徴とする射出成形機の
   エジエクターのストローク調整装置。