JPH0315567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、空気紡績装置において、空気噴射ノ
ズルを出たステープルフアイバー束に仮撚を施す
仮撚ユニツトに関する。

〔従来の技術〕

空気紡績装置として、空気噴射ノズルと仮撚ユ
ニツトを用いる紡績装置は知られている。

即ち、ステープルフアイバー束を、バツクロー
ラ、ミドルローラ、フロントローラからなるドラ
フト装置によりドラフトし、空気噴射ノズルに導
入し、空気噴射ノズルの旋回圧縮空気流によつて
ステープルフアイバー束をフロントローラーのニ
ツプ点を固定点として旋回圧縮空気流と同方向に
旋回するバルーンを形成し、この間にステープル
フアイバー束を構成する繊維間にずれを生じさせ
る。空気噴射ノズルを出たステープルフアイバー
束は、仮撚ユニツトにおいて互いに交差する無端
ベルト間にニツプされ、ニツプ面において撚転さ
れ仮撚作用を受け紡績糸となつて引き出される。

上記において、仮撚ユニツトは、空気噴射ノズ
ルで旋回動され繊維間にずれを生じさせた粗糸を
受け入れ仮撚を加えるものであるため、空気噴射
ノズルの出口に接近して無端ベルトのニツプ面が
位置するように設けられている。従つて、仮撚ユ
ニツトの無端ベルトの保守点検作業は、非常に困
難であつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ドラフト装置でドラフトされた粗糸に圧力噴出
空気流を吹き当てる空気噴射ノズルに接近して設
けられ交差した一対の環状ベルトの接触面をニツ
プ面とした仮撚ユニツトが、空気噴射ノズルの糸
出口付近に接近して設けなければならないため、
該部分が狭隘となり無端ベルトの点検交換等の保
守点検作業上極めて繁雑となつた。

そこで本考案は上記の点に鑑みて、保守点検時
に空気噴射ノズルと仮撚ユニツトとの間隔を多く
し、作業を容易とすることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

一対の無端ベルトをその表面を面接触させてな
る交叉仮撚ベルトを、ドラフト装置に続く空気噴
射ノズルの糸送り出し側前面に、前記仮撚ベルト
の接触面域に平行な面域に旋回可能とされた旋回
ベース上に支持し、前記面接触部分を糸走行軌跡
に位置させて設け、旋回ベースと、それに隣接し
て設けた固定フレームとの間に係止固定部材を設
け、仮撚作業時には、該固定部材により旋回ベー
スを固定し、固定部材の開放時には、旋回ベース
を旋回動し、仮撚ベルトの接触面部分を糸走行軌
跡から離去できるようにした。

〔実施例〕

本考案の実施の一例を図面と共に次に説明す
る。

本考案仮撚ユニツト１は結束紡績装置の製造に
用いる、ドラフト装置３、空気噴射ノズル４、仮
撚ユニツト１よりなる紡績装置の一部を構成す
る。

ドラフト装置３は、ステープルフアイバー束５
をドラフトしてなる粗糸６を空気噴射ノズル４に
送り込む従来公知の装置で、バツクローラ対７、
ミドルローラ対８、フロントローラ対９よりな
り、ミドルローラ対８にはエプロン１０が架装さ
れている。

前記ドラフト装置３のフロントローラ対９に接
近して空気噴射ノズル４が設けられている。空気
噴射ノズル４は、ノズル本体内を通過する粗糸６
に対し接線方向に噴出気流を噴出し、粗糸６にバ
ルーンを生じさせ粗糸６を構成するフアイバーに
ずれを生じさせるためのものである。

仮撚ユニツト１は次のように構成されている。

ドラフト装置３、空気噴射ノズル４、仮撚ユニ
ツト１で構成された紡績ユニツトＵを複数台列設
した紡績装置を通して設けた支持軸１１に旋回動
自在に支持されたアーム１２の頂部に旋回ベース
１３を設ける。旋回ベース１３には、第１の無端
ベルト支持腕１４及び第２の無端ベルト支持腕１
５をそれぞれボルト１６，１７により固定する。
第１の無端ベルト支持腕１４にはガイドバー１８
により摺動自在に案内される軸承部材１９により
従動プーリー２０を軸支する。また、第１の無端
ベルト支持腕１４と旋回ベース１３を通して軸承
２１により第１駆動軸２２を支持する。第１駆動
軸２２の頂部には駆動プーリー２３を下端には原
動プーリー２４を設ける。また前記従動プーリー
２０と駆動プーリー２３との間には無端仮撚ベル
ト２５を架け渡す。該ベルト２５は、前記ガイド
バー１８に嵌挿したスプリング２６により軸承部
材１９を介して常に緊張される方向に付勢されて
いる。

第２の無端ベルト支持腕１５の基部には、軸承
２７により第２駆動軸２８を設け、第１の無端ベ
ルト支持腕１４と同様に、ガイドバー２９により
摺動自在に軸承部材３０を支持し、前記第２駆動
軸２８と軸承部材３０により支持された軸（図示
せず）とのそれぞれに駆動プーリー３１及び従動
プーリー３２とを設け、両プーリー間に無端仮撚
ベルト３３を張架する。該ベルト３３はスプリン
グ３４の弾発力を軸承部材３０が受けて緊張され
ている。旋回ベース１３には更に軸承部材３５に
より支持された軸（図示せず）により原動プーリ
ー３６を支持し、原動プーリー３６と第２駆動軸
２８の一端に設けられた駆動軸プーリー３７との
間に中間プーリー３９を介して駆動ベルト４０を
架け渡す。中間プーリー３９は、旋回ベース１３
に支持されている。原動プーリー２４，３６に
は、図示しない原動機により動力の伝達を受け、
機台長手方向に沿つて設けた駆動ベルト４１が当
接している。旋回ベース１３は、前述の如く、支
持軸１１にアーム１２を介して揺動可能に支持さ
れているが、その両側には第５図に示す如く固定
フレーム４２，４３が設けられており、旋回ベー
ス１３を旋回動させないときは、係止固定部材４
４により固定フレーム４２と旋回ベース１３とを
固定しておく。係止固定部材４４は、固定フレー
ム４２に設けた案内体４５の内部にスプリング４
６により突出方向に付勢されたストツパー４７を
設け、一方旋回ベース１３に受爪４８を設け、ス
トツパー４７が受け爪４８に対し進出したときに
受け爪４８はその動きを阻止されベース１３は固
定される。

次に本考案装置の作用につき説明する。

本考案装置は第１図に示す状態で作動してい
る。即ち、ドラフト装置３に供給されたステープ
ルフアイバー束５はバツクローラ対７、ミドルロ
ーラ対８、フロントローラ対９のニツプ点を通過
しドラフトされ適宜太さの粗糸６となり空気噴射
ノズル４に導入される。空気噴射ノズル４は、筒
状をなしたノズル本体内に、ノズル筒体の軸方向
に粗糸６を通過させたとき、筒体内にその接線方
向に圧空を噴出する噴出孔を有しており、前記噴
出した圧空により粗糸６に噴出方向と同じバルー
ンを形成させ粗糸を構成するステープルフアイバ
ーにずれを生じさせる。このずれは、ステープル
フアイバー束の内層部から外層部へ向つて次第に
大となり上記遊離は主に外層部のフアイバーが完
全に分離されることによつて生じる。そして外層
の前記遊離されたフアイバーは、空気噴射ノズル
４内の第１のバルーンコントロールリングと仮撚
ユニツト１との間で強く撚り込まれ強い集束性を
付与され後に、前記仮撚ユニツト１を通過後強い
撚り戻し作用を受け、この撚り戻し作用によつて
スリツプしていた各フアイバーが撚り込まれ、特
に外層部の遊離していた各フアイバーが内層部の
フアイバーの周囲に強く巻き付く結果実撚と交絡
の混在した結束紡績糸２を得る。

上記仮撚ユニツト１は、駆動ベルト４１に原動
プーリー２４，３６を当接し駆動ベルト４１から
動力の伝達を受けてそれらを回転している。原動
プーリー２４の回転による第１駆動軸２２の回転
で駆動プーリー２３が回転し従動プーリー２０と
の間に架け渡されている第１の無端仮撚ベルト２
５が回転する。一方、原動プーリー３６の回転は
中間プーリー３９を経て駆動軸プーリー３７、第
２駆動軸２８を回転し、駆動プーリー３１の回転
となる。駆動プーリー３１の回転により従動プー
リー３２と駆動プーリー３１との間に架け渡され
ている第２の無端仮撚ベルト３３が回転する。従
つて、第１、第２の仮撚ベルトの交差する面の間
に挟持されている、空気噴射ノズル４を出た粗糸
６は仮撚が加えられることにより仮撚ユニツト１
を出て結束紡績糸２となる。

上記にあつて、無端仮撚ベルト２５，３３の交
換或は仮撚ユニツト１の保守点検の必要が生じた
場合は次の如く操作をする。

旋回ベースが無端ベルトの接触面に平行な面に
旋回可能とされているから、第５図、第６図に示
す係止固定部材４４のストツパー４７をスプリン
グ４６の弾発力に抗して右方向に引き、ストツパ
ー４７先端を受爪４８から引き離し、旋回ベース
１３と固定フレーム４２との係合を解き、ベース
１３を支持軸１１を中心に時計針方向に旋回動す
る（第１図では反時計針方向）。

上記旋回動により旋回ベース１３上に無端ベル
ト支持腕１４，１５に支持されている無端仮撚ベ
ルト２５，３３は共に旋回動し粗糸６、結束紡績
糸２の進行軌跡から外れ、かつ、同ベルト部分が
ドラフト装置３及び空気噴射ノズル４から離去
し、無端仮撚ベルト２５，３３周辺部分の空間が
広くなる。

上記旋回動と共に、無端仮撚ベルト２５，３３
を駆動する原動プーリー２４，３６は共に駆動源
に連なるベルト４１から離れるためにその回転は
停止する。

上記仮撚ユニツト１の旋回動時に、無端仮撚ベ
ルト２５，３３の点検、交換或は他の部分の保守
作業を行なうことになる。保守作業終了後は旋回
ベース１３を第５図において反時計針方向に旋回
動し、係止固定部材４４のストツパー４７を受爪
４８に係止することにより仮撚ユニツト１を紡績
作業位置に固定し紡績を再開する。

〔考案の効果〕

本考案仮撚ユニツトは、一対の無端ベルトをそ
の表面を面接触させてなる交叉仮撚ベルトを、ド
ラフト装置に続く空気噴射ノズルの糸送り出し側
前面に、前記仮撚ベルトの接触面域に平行な面域
に旋回可能とされた旋回ベース上に支持し、前記
面接触部分を糸走行軌跡に位置させて設け、旋回
ベースと、それに隣接して設けた固定フレームと
の間に係止固定部材を設け、仮撚作業時には、該
固定部材により旋回ベースを固定し、固定部材の
開放時には、旋回ベースを旋回動し、仮撚ベルト
の接触面部分を糸走行軌跡から離去できるように
したため、仮撚ベルト及びその付近の保守作業に
際して旋回ベースを旋回することにより仮撚ベル
ト及びその支持部材を空気噴射ノズルから離し、
該部付近の空間を大きくとることができるから、
保守作業を容易とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は紡績ユニツトの側面図、第２図は仮撚
ユニツトの正面図、第３図、第４図はそれぞれ第
２図の−線、−線断面図、第５図は仮撚
ユニツトの斜視図、第６図は係止固定部材の一部
断面図である。 ３……ドラフト装置、４……空気噴射ノズル、
１３……旋回ベース、２５，３３……無端仮撚ベ
ルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対の無端ベルトの表面を面接触させてなる交
   叉仮撚ベルトを、ドラフト装置に続く空気噴射ノ
   ズルの糸送り出し側前面に、前記仮撚ベルトの接
   触面域に平行な面域に旋回可能とされた旋回ベー
   ス上に支持し、前記面接触部分を糸走行軌跡に位
   置させて設け、旋回ベースと、それに隣接して設
   けた固定フレームとの間に係止固定部材を設け、
   仮撚作業時には、該固定部材により旋回ベースを
   固定し、固定部材の開放時には、旋回ベースを旋
   回動し、仮撚ベルトの接触面部分を糸走行軌跡か
   ら離去できるようにしたことを特徴とする紡績装
   置における仮撚ユニツト。