JP3128040B2 - 紡績機のピーシング装置 - Google Patents

紡績機のピーシング装置

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JP3128040B2
JP3128040B2 JP06133579A JP13357994A JP3128040B2 JP 3128040 B2 JP3128040 B2 JP 3128040B2 JP 06133579 A JP06133579 A JP 06133579A JP 13357994 A JP13357994 A JP 13357994A JP 3128040 B2 JP3128040 B2 JP 3128040B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旋回気流により加撚す
る紡績部を備えた紡績機において、切断された糸端を糸
継ぎするためのピーシング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、旋回気流を利用した紡績機におい
て、糸継ぎする場合,パッケージより巻き戻された巻取
側糸端と、紡績部より糸出しされた紡出側糸端とをエア
スプライサー等のピーシング装置に導入して糸継ぎを行
うのが一般的であるが、上記エアスプライサーによる撚
り継ぎの機構と、旋回気流による加撚機構の類似性に着
目し、上記巻取側糸端を吸引手段により吸引して引き出
し、更に引き出した糸端を把持して紡績部に移送すると
共に糸端を解繊して置き、紡績を再開することによって
該紡績部に新たに供給される繊維束が上記解繊糸端と共
に加撚され、紡績糸を形成する過程でピーシングするピ
ーシング装置が開発されている。
【0003】このようなピーシング装置において、確実
にピーシングを行うためには、巻取側糸端を正確に紡績
部に導くことが肝要であるが、特に、吸引手段により引
き出された糸端を、移送手段の把持部に受け渡す際、受
け渡しが不確実であったり、把持状態が不均一であると
紡績部に糸端が移送されなかったり、移送された糸端の
位置が一定しなくなり、ピーシングミスの原因となって
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
のこのような点に鑑みて、巻取側糸端を紡績部に導いて
該紡績部においてピーシングをする一連の動作を円滑、
且つ、確実に行なうことができ、ピーシングミスを防止
することが可能な紡績機のピーシング装置を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】機台上方から供給される
繊維束を下方に向けて紡績し、パッケージに巻き取る紡
績機のピーシング装置であって、パッケージに巻き込ま
れた糸端を吸引して引き出す可動吸引手段、該可動吸引
手段で引き出した糸端を旋回アームの先端に設けた糸送
りローラで把持して紡績部に移送する移送手段を備え、
紡績部に移送した糸端を前記糸送りローラにより紡績部
に挿通した後、紡績を再開し、新たに供給される繊維束
と前記糸端とを紡績部でピーシングするピーシング装置
において、上記可動吸引手段から移送手段へ糸端を受け
渡す位置に、前記可動吸引手段で引き出した糸端の糸道
を規制し移送手段の糸送りローラに該糸送りローラの回
転軸方向に対して90度の角度で把持されるように支承
する糸道規制手段を設けた。また、上記移送手段は、旋
回アームの回転軸と糸送りローラの回転軸とが互いに平
行であるものとした。更に、上記糸道規制手段は、糸端
受け渡し位置を挟んでその両側に直列に配置した2個の
糸道規制ガイドを備え、且つ、糸端受け渡し位置に対し
て前後に移動可能とした。
【0006】
【作用】吸引手段は、パッケージに巻込まれた切断糸端
を吸引して引き出すと共に、糸道規制手段は移送手段に
糸端の受け渡しを行う所定の位置に糸道を規制し、移送
手段は、上記所定の位置に規制されている糸端を把持し
て紡績部に移送する。
【0007】上記糸道規制手段は、受け渡し位置におけ
る糸道を規制してパッケージから引き出された糸のトラ
バース位置や、可動吸引手段の吸引位置に拘らず、移送
手段の糸送りローラの回転軸方向に対して90度の角度
をなすように支承し、これにより糸送りローラに把持さ
れる糸端の角度が常に90度で一定となり、紡績部への
糸端の導入時には糸送りローラから紡績部に向けて糸端
が真っ直ぐに送出される。この際、旋回アームの回転軸
と糸送りローラの回転軸とが互いに平行であるため、糸
送りローラで把持した糸端の角度は紡績部に移送後も確
実に保持される。また、上記糸道規制手段は移送手段の
旋回時には後方に退避して糸端把持手段(糸送りロー
ラ)との干渉を防止する。
【0008】
【実施例】実施例について図面と共に説明する。
【0009】図1及び図2に本発明実施例のピーシング
装置11を備えた紡績機1を示す。図において紡績機1
は、バックローラ対21,サードローラ対22,エプロ
ンベルトを装架したセカンドローラ対23,フロントロ
ーラ対24の4線からなるドラフト装置2,ノズル部材
31及び該ノズル部材31から分離可能に設けたスピン
ドル部材32からなる紡績部3,糸ガイド部材4,デリ
ベリローラ51およびニップローラ52からなる糸送出
装置5,エアートラップ6,糸切断装置7,糸欠点およ
び糸切れ等の検出を行うヤーンクリアラ8,巻取装置9
を糸道上流側より一連に設けた紡績ユニット1uを多数
列設してなり、図には1ユニットのみ示してある。
【0010】図3は、紡績部3を示す断面図である。図
において、スピンドル部材32は、ノズル部材との接合
部分にフランジ部321を形成した段付円筒形をなし、
その軸心には中空スピンドル33が支持されている。該
中空スピンドル33は、空気タービンやモータ駆動又は
ベルト駆動等適宜の手段で駆動回転されるか、若しく
は、スピンドル部材32に固定されていても良い。そし
てスピンドル部材32は、シリンダ34の2本のロッド
341,341に固定した支持アーム342の先端部に
自動調心加圧機構343を介して以下の如く支持されて
いる。
【0011】即ち、支持アーム342先端の円孔344
を遊貫するスピンドル部材32は上記円孔344の周囲
に3箇所穿設した小円孔345に遊貫する3本のボルト
322をスプリング323を介してフランジ部321に
螺設することにより柔支持されている。そして、上記フ
ランジ部321の前面には、該フランジ部321より小
径の円筒状突部324を形成し、該円筒状突部324の
周縁部は僅かに円弧状に面取りしてある。該円筒状突部
324はスピンドル部材32をノズル部材31に接合し
た状態においては中空円筒状のノズル部材31の開口部
311に嵌合するようになっている。また、上記開口部
311の周縁部は面取りされ内円錘面をなす導入部31
2を形成している。
【0012】以上の如く構成された自動調心加圧機構3
43は、図2に32´で示す如くノズル部材31より分
離したスピンドル部材32を上記ロッド341,341
を短縮してノズル部材31に接合する際、それらの軸心
間に平行誤差や角度誤差を生じた場合いおいても、スピ
ンドル部材32の円筒状突部324が導入部312の内
円錘面に案内されることでスピンドル部材32の位置が
修正され、常に開口部311に軸心を一にして嵌合され
る。
【0013】これにより、シリンダ34の取付け位置や
ストロークの設定に許容範囲が生じ、ノズル部材31お
よびスピンドル部材32の組付を容易ならしめている。
【0014】ノズル部材31の中央部には、段付円筒状
のノズル35が支持され、該ノズル35の後端開口部3
51は、前記開口部311に連なる円筒状の中空室31
3内に位置すると共にノズル35内には前記中空スピン
ドル33が位置している。そして、上記ノズル35に
は、中空スピンドル33の先細円錐状の先端部332に
向けて内周壁接線方向に、ノズル35の軸方向に対して
は斜に複数の圧空噴射孔352を穿設している。
【0015】また、ノズル35の導入側には繊維束導入
部材36を嵌合している。該繊維束導入部材36は、図
4に示す如く、繊維束導入路361内に繊維束ガイド部
材362を設けている。図示例では、繊維束ガイド部材
362は、導入口37側より中空スピンドル33の入口
に向けて設けた細いニードル状をなしている。
【0016】そして、ノズル部材31の中空室313の
周側壁の下側部は長穴状の開口314となっており、該
開口314は、中空室313内部と、ノズル部材31の
支持アーム39を兼ねたダストコレクタ391内部とを
連通している。
【0017】上述の如く構成された紡績部3における紡
績過程は以下の通りである。即ち、ドラフト装置2でド
ラフトされ、偏平に押し拡げられた状態でフロントロー
ラ対24より送出されたスライバSは、図4に示す如
く、圧空噴射孔352からノズル35内への圧空噴射に
より生じる繊維束導入部材36の導入口37における吸
引気流により該導入口37を経て繊維束導入路361内
に導入され、更に、繊維束ガイド部材362の周囲に沿
って送られ中空スピンドル33の通糸孔331内に導入
される。
【0018】この際、上記スライバSを構成する繊維の
後端は、フロントローラ対24の把持を通過した後、ノ
ズル35内において、上記圧空噴射により発生し中空ス
ピンドル33の周囲を旋回しながら開口部351を経て
中空313内に至り拡散される旋回気流を吹き当てられ
ることにより繊維束より分離され、上記気流の旋回方向
に沿って中空スピンドル33の先端部332に巻き付き
つつ該中空スピンドル33の通糸孔331内に引込まれ
ることで仮撚され紡績糸Yを形成する。
【0019】このようにして得られる紡績糸Yは繊維束
ガイド部材362が上記仮撚の上流側への伝達を阻止す
ると共に、該繊維束ガイド部材362が繊維束の流れの
中心部に位置して芯繊維の形成を阻止することにより、
芯となる繊維が殆ど存在しない実撚状となっている。
【0020】上述の如く構成された紡績機1は、機台1
01の長手方向全長に亘り設けら軌道102,103に
沿って各紡績ユニット1u間を往復動する作業台車10
に付設したピーシング装置11を備えており、以下該ピ
ーシング装置11について説明する。
【0021】ピーシング装置11は、ピーシングすべき
当該紡績ユニット1uのパッケージ1Pを巻取装置9の
フリクションローラ91より離反するパッケージ押出部
材121,離反した位置でクレードル92を固定するグ
リップレバー122、及びパッケージPを逆回転するリ
バースローラ123よりなるパッケージ巻戻し装置1
2,パッケージPに巻取られた切断糸端を吸引して引き
出すサクションマウス13(可動吸引手段),該サクシ
ョンマウス13によりパッケージPから引き出された糸
端を所定の受け渡し位置に案内する糸端案内装置14
(糸道規制手段),該位置に案内された糸端を把持する
ヤーンフィンガー15を備え、把持した糸端を紡績部3
に移送する移送装置16(移送手段),移送された糸端
を紡績部3に糸通しするエアサッカー装置17,糸通し
した糸端を解繊する糸端解繊管18等より構成されてい
る。
【0022】糸端案内装置14は、図1及び図5乃至図
10に示す如く、ヤーンフィンガー15への糸Yの受け
渡し位置を挟んでその上下に、糸道に対して直列に配置
した2個の糸道規制ガイド141,142及び該糸道規
制ガイド141,142の糸道下流側に配置され、それ
らの案内位置に向けて糸を案内する糸案内レバー143
からなる。それらは、作業台車10のフレーム104に
固定したブラケット105に揺動可能に設けた支持アー
ム144の先端側、中央、基端側に設けられ、上記支持
アーム144は、図示しないロッドを介してカム群10
6のうちの1つのカムディスクのフォロワに連接し、そ
れにより所定のタイミングで前後方向に揺動する。
【0023】糸道規制ガイド141は、図5に示す如
く、中央にガイド溝141gを形成した略V字状の案内
板141a,及び該案内板141aの上位に上記ガイド
溝141gの左側部分のみに設けた補助案内板141b
よりなる。該補助案内板141bの先端部141eは案
内板141aの先端部を越えて湾出すると共に、円弧状
に下垂している。これは、サクションマウス13の吸引
中心がやや左側寄りにあり、該サクションマウス13に
より左側に引き出された糸Yを確実に捕捉するために、
図9に示すサクションマウス13の旋回軌跡13aと交
錯しない範囲で補助案内板141bが糸道に最大限に接
近するようにしたものである。
【0024】また、上記糸道規制ガイド141の案内板
141aと補助案内板141bとの間には、ガイド溝1
41gに案内された糸Yを切断するカッタ145を設け
ている。カッタ145は、固定刃145a及び可動刃1
45bよりなり、該可動刃145bはエアシリンダー1
45cのロッドを伸縮することにより軸145dを中心
に回動可能である。
【0025】糸道規制ガイド142は、上記案内板14
1aと平行なほぼ同形状の一枚の案内板142aよりな
り、その中央にはガイド溝142gが形成されている。
【0026】糸案内レバー143は、図5乃至図7に示
す如く、左右対称の一対の鋏状レバー143a,143
bよりなり、それらは、支持アーム144に固定したブ
ラケット144bに設けた軸144aを中心に水平面内
で回動自在に支持され、尚且つ、夫々のレバー143
a,143bに穿設した長穴に上記軸144aに支持し
たスプリング144sの両端を掛合し、該スプリング1
44sにより一対のレバー143a,143bは常に先
端が開く方向に付勢されている。
【0027】そして、上記一対のレバー143a,14
3bの他端にはローラ146a,146bが軸支され、
且つ、支持アーム144の揺動に伴なう上記ローラ14
6a,146bの移動軌跡に沿って円弧状に湾曲し、該
ローラ146a,146bに当接する左右一対よりなる
カム147a,147bを設け、それらは一体に形成さ
れた基端部においてブラケット102に固定されてい
る。
【0028】上記一対のカム147a,147bは、そ
れらを平面的に展開した図6及び図7に示す如くそれら
の間隔が広い基端側から、先端側に向かうにつれて徐々
にその間隔が狭くなるように形成されている。これによ
り、支持アーム144が図9に示す如く後倒して位置し
ている時には、図6に示す如く、スプリング144sの
付勢で糸案内レバー143は両側に充分に拡開されてい
るが、支持アーム144が図10及び図5に示す如く前
方に揺動するにつれて、ローラ146a,146bがカ
ム147a,147bにより案内されて互いに近接し、
これと共に糸案内レバー143の各レバー143a,1
43bが中央よりに回動して互いに近接する。
【0029】次にヤーンフィンガー15を備えた移送装
置16について図1、図2及び図8により説明する。移
送装置16は、ヤーンフィンガー15、該ヤーンフィン
ガー15を先端に設け、基端部において旋回部材162
に支持されている旋回アーム161、及びそれらの駆動
手段より構成されている。
【0030】旋回部材162は、略円筒形状をなし、後
述する一対のベベルギア113,114のギアケースを
兼ねており、両端部に軸心を一にして設けた2本の中空
軸163,164において、作業台車10に固定したブ
ラケット107,108に回動自在且つ、軸方向に摺動
自在に支持されている。
【0031】また、一方の中空軸163の基端部には、
ギア165を同軸に設け、該ギア165は、作業台車1
0に回動自在に支持されているセグメントギア166に
噛合しており、該セグメントギア166は、図2に示す
如く前記カム群106のうちの1つのカムディスクのフ
ォロワをなすベルクランク168にロッド167で連接
している。そして、上記カム群106の回転に伴いベル
クランク168が所定のタイミングで揺動すればロッド
167によりセグメントギア166が回動し、更に該セ
グメントギア166に噛合するギア165が回動するこ
とによって旋回部材162、及び旋回アーム161が往
復旋回動する。尚、図2に示す如く旋回アーム161が
上方に旋回して、ヤーンフィンガー15を紡績部3下流
側の糸道上に位置させる際におけるセグメントギア16
6の回動の終端部には、セグメントギア166の不必要
な揺動を阻止すると共に緩衝するダンパー169を設け
てあり、該ダンパー169はブラケット109により作
業台車10のフレームに固定されている。
【0032】また、一方の中空軸164には、シリンダ
110のロッド111が挿通され、該ロッド111の先
端部は旋回部材162の内部において、該旋回部材16
2にスラスト軸受(図示せず)を介して連結されてい
る。そして、上記シリンダ110を作動してロッド11
1を収縮すれば、旋回部材162は底方向に摺動し、該
旋回部材162と一体の旋回アーム161及びヤーンフ
ィンガー15も横方向に移動可能となっている。尚、前
記ギア165は、上記摺動の行程を許容しうる幅を有し
ている。
【0033】次に、ヤーンフィンガー15、及び、その
駆動手段について図1及び図8により説明する。
【0034】ヤーンフィンガー15は、移送装置16の
旋回アーム161の先端に支持部材151で支持されて
いるギアボックス152の側方に回動可能に片持支持さ
れている駆動軸153aに固定した糸送りローラ15
3,該糸送りローラ駆動軸153aに回動可能に設けた
フィンガー部材154,該フィンガー部材154に揺動
可能に支持された可動フィンガー部材155、及び可動
フィンガー部材155に回動自在に設けたニップローラ
156より主に構成されている。
【0035】上記可動フィンガー部材155には、フィ
ンガー部材154に固定されているシリンダ157のロ
ッド158を連接しており、該シリンダ157の作動に
よりロッド158を伸縮すれば、可動フィンガー部材1
55が揺動してニップローラ156が糸送りローラ15
3に接離し、それらの間に糸を把持可能になっている。
尚、糸送りローラ153の周面は、把持力を高めるため
ウレタンゴム等を被嵌している。
【0036】また、上記シリンダ157には、旋回アー
ム161の先端にピボット支持されているシリンダ15
9のロッド160の先端に固定したL字状のレバー16
0aを連接しており、該シリンダ159の作動によりロ
ッド160を伸縮すれば、ヤーンフィンガー15は、糸
送りローラ153の駆動軸153aを中心にギアボック
ス152及び旋回アーム161に対して約90°旋回動
する。
【0037】更に、糸送りローラ153の駆動軸153
aはギアボックス152の内部に設けた一対のベベルギ
ア152a,152bを介してアクセルワイヤー112
に接続している。アクセルワイヤー112は、旋回アー
ム161の内部に挿通され旋回部材162に達してお
り、該旋回部材162の内部に回転自在に支持されてい
るベベルギア113に接続している。該ベベルギア11
3と噛合するベベルギア114の軸115は中空軸16
3の内部に挿通され、該軸115は、該軸115に穿設
した角孔に摺動自在に嵌合する角断面形状の軸116を
介してモータ117の出力軸に連結されている。これに
より、モータ117を駆動すれば、該モータ117の出
力軸の回転は、軸116,軸115,一対のベベルギア
114,113,アクセルワイヤ112、一対のベベル
ギア152a,152bを介してヤーンフィンガー15
の糸送りローラ駆動軸153aに伝達され、糸送りロー
ラ153は、ニップローラ156の圧接状態において
は、該ニップローラ156と協動して駆動回転し、それ
らの間に把持された糸Yを送出可能である。尚、この際
において糸Yの送出量は、モータ117の回転数により
任意に制御可能である。
【0038】次に上記実施例に基づいてピーシング過程
を説明する。
【0039】紡績機1の或る紡績ユニット1uで糸切れ
が発生し、ヤーンクリアラ8がこれを検出した場合、又
は、ヤーンクリアラ8が糸欠点を検出し、該ヤーンクリ
アラ8からの信号でカッタ7が作動して糸を強制的に切
断した場合、ドラフト装置2のバックローラ対21及び
サードローラ対22を停止し、上記後者の場合には、サ
ードローラ対22からカッタ7までの欠点糸はエアート
ラップ6に吸引され、除去される。これと共に、紡績部
3のシリンダ34が作動し、ロッド341を伸長してノ
ズル部材31からスピンドル部材32を図2中32´の
如く分離すると共に、該ノズル部材31内に空気噴射を
行い清浄する。そして、これと逆行して、又は、オペレ
ータが障害の原因を解除した後に作業台車10が当該紡
績ユニット1uに停止し、以下の動作によりパッケージ
Pに巻取られた切断糸端を紡績部3まで導く。
【0040】先ず、図9に示す如く、パッケージ押出部
材121が突出してパッケージPを押圧しフリクション
ローラ91から離反させると共に、グリップレバー12
2がクレードル92と一体のクレードルボス94に圧接
されその位置でクレードル92を固定する。続いて、リ
バースローラ123がパッケージPに圧接して該パッケ
ージPを逆回転しながら、図9中13´の位置まで旋回
動しているサクションマウス13により上記パッケージ
Pに巻取られた切断糸端を吸引して把持すると共に、サ
クションマウス13が元の位置まで旋回動して上記糸端
Yを上方に引き出し、糸端案内装置14の前面に導く。
【0041】次いで、図10に示す如く、糸端案内装置
14が前方に旋回動しながら上記糸端Yを図5に示す2
個の糸道規制ガイド141,142により案内して該糸
道規制ガイド141,142のガイド溝141g,14
2g内に導入し、所定の受け渡し位置に位置決めする。
この際、上記糸端YのパッケージPにおける位置が該パ
ッケージPのいずれかの端部側に極端に片寄っている
と、上記糸道規制ガイド141,142のみでは上記糸
端Yをガイド溝141g,142g内まで導きにくい場
合もあるが、糸案内レバー143が図6及び図7に示し
た先述の動作により上記糸端Yを強制的に中央寄りに引
き寄せるので、糸端Yは上記ガイド溝141g,142
g内に確実に導かれ、それらの間に一定の糸道をなして
垂直に支持される。
【0042】続いて図1に2点鎖線16´で示す如く糸
端案内装置14の側方に位置していた移送装置16が、
シリンダ110の作動で図1中左方向に移動し、ヤーン
フィンガー15が、上記糸端案内装置14の2個の糸道
規制ガイド141,142の間に進入すると共に、それ
らにより案内されている糸端Yを把持する。この際、糸
端Yは上述の如く一定の糸道をなして垂直に支持されて
いるのでヤーンフィンガー15の糸送りローラ153と
ニップローラ156とにより、それらの軸方向に対して
常に一定の角度(90°)で把持される。この後、糸端
案内装置14のカッタ145が作動して、把持した糸端
Yを所定の位置で切断し、該切断部分先端側はサクショ
ンマウス13に吸引され除去される。
【0043】次いで、ヤーンフィンガー15は、シリン
ダ159の作動により糸端Yを把持した状態で糸送りロ
ーラ153の駆動軸を中心に約90°旋回動した後、旋
回アーム161が上方に旋回動することにより、図2に
示されるように、糸端Yを糸ガイド部材4と、ノズル部
材31より分離されたスピンドル部材32´との間に移
送する。尚、糸送出装置5のニップローラ52は、図示
しない機構によりデリベリローラ51より離反して、上
記糸端Yが送られないようにしている。
【0044】これと並行して、紡績部3のノズル部材3
1より分離されたスピンドル部材32の導入側にはエア
サッカー装置17が位置している。即ち、該エアサッカ
ー装置17が揺動アーム171を図2中2点鎖線で示さ
れている位置まで揺動すると共に、ロッド173を17
3´の如く伸長することによりノズル部材31とスピン
ドル部材32との間に進入する。
【0045】そして、エアサッカー装置17を中空スピ
ンドル33の先端に嵌合すると共に、該中空スピンドル
33内を吸引しながらモータ117を作動することによ
りアクセルワイヤー112を介してヤーンフィンガー1
5の糸送りローラ153を回転し、該糸送りローラ15
3とニップローラ156とで把持している糸端Yを一定
長送出すれば、該糸端Yは、上記エアサッカー装置17
の吸引により中空スピンドル33に糸通しされる。
【0046】この際、上記糸端Yは、糸送りローラ15
3の軸方向に対して直角に把持されているので、糸送り
ローラ153から上流側のスピンドル部材32に向けて
糸端Yは真直ぐに送出され、該糸端Yは中空スピンドル
33内に確実に吸入されると共に、送出される糸端Yの
長さは常に一定に保持される。
【0047】次いで、エアサッカー装置17の吸引を停
止した後、エアサッカー装置17のロッド173を短縮
して解繊ノズル18の入口を中空スピンドル33の先端
部の下位に位置させ、上記糸端Yを解繊ノズル18内に
導入して解撚,解繊する。
【0048】糸端Yの解繊の後、エアサッカー装置17
は、作業台車10側に退避する。そして、ヤーンフィン
ガー15の糸送りローラ153を回転して更に一定長の
糸Yを上流側に送出しながら、シリンダ34を作動して
ロッド341を短縮しスピンドル部材32を移動してノ
ズル部材31に接合する。この後、ヤーンフィンガー1
5は、シリンダ157を作動して可動フィンガー部材1
55を回動し、糸Yの把持を解除した後、移送装置16
と共に糸道の側方に退避する。
【0049】そして、このような状態において、紡績を
再開すれば、ドラフト装置2によりドラフトされ、繊維
束導入部材36を経てノズル35内に導入されたスライ
バSは、解繊糸端Yと共に加撚されることで一体となり
ピーシングされる。
【0050】上記紡績再開時には、糸送出装置5のニッ
プローラ52がデリベリローラ51に圧接してピーシン
グされた紡績糸Yの送出を再開すると共に、パッケージ
Pが巻取装置9のフリクションローラ91に圧接され巻
取を再開するが、慣性モーメントの大なるパッケージP
はフリクションローラ91との間でスリップを生じ、糸
送出装置5の下流側では糸弛みを生じるが、上記糸弛み
は、糸送出装置5の直後に位置したエアトラップ6によ
り吸引され、巻取テンションが補償される。
【0051】
【発明の効果】本発明の紡績機のピーシング装置は、上
述のとおり構成されているので次に記載されるような効
果を奏する。
【0052】機台上方から供給される繊維束を下方に向
けて紡績し、パッケージに巻き取る紡績機のピーシング
装置であって、パッケージに巻き込まれた糸端を吸引し
て引き出す可動吸引手段、該可動吸引手段で引き出した
糸端を旋回アームの先端に設けた糸送りローラで把持し
て紡績部に移送する移送手段を備え、紡績部に移送した
糸端を前記糸送りローラにより紡績部に挿通した後、紡
績を再開し、新たに供給される繊維束と前記糸端とを紡
績部でピーシングするピーシング装置において、上記可
動吸引手段から移送手段へ糸端を受け渡す位置に、前記
可動吸引手段で引き出した糸端の糸道を規制し移送手段
の糸送りローラに該糸送りローラの回転軸方向に対して
90度のの角度で把持されるように支承する糸道規制手
段を設けたので、可動吸引手段により引き出された糸端
が、所定の受け渡し位置に常に一定に固定され、移送手
段への糸端の受け渡しを確実に行うことができると共
に、移送手段の糸送りローラに把持される糸端の角度が
該糸送りローラの回転軸方向に対して常に90度となる
ため、紡績部への糸端の導入時には糸送りローラから紡
績部に向けて糸端が真っ直ぐに送出され、紡績部への糸
端の導入を確実に行うことができ、これらに起因するピ
ーシングミスを防止することが可能であり、且つ、糸送
りローラにより紡績部に導入される糸端の長さが一定に
なるので、ピーシング部分の長さ・太さが均一化され、
強度・外観共に優れたピーシングを行える。
【0053】上記移送手段は、旋回アームの回転軸と糸
送りローラの回転軸とが互いに平行であるので、糸送り
ローラで把持した糸端の角度が移送後も保持され、紡績
部への糸端の導入を所定の長さで確実に行うことができ
る。
【0054】上記糸道規制手段は、糸端受け渡し位置を
挟んでその両側に直列に配置した2個の糸道規制ガイド
を備え、且つ、糸端受け渡し位置に対して前後に移動可
能としたので、可動吸引手段により引き出された糸端の
糸道を2個の糸道規制ガイドによって把持手段である糸
送りローラ(ヤーンフィンガー)の近傍に確実に規制で
き、糸端の受渡しが一層確実になると共に、把持手段の
旋回時には糸道規制手段が後方に退避するため、上記の
如く把持手段の近傍で糸道を規制しつつも糸道規制ガイ
ドと把持手段との干渉を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のピーシング装置を備えた紡績
機を示す要部正面図である。
【図2】本発明の実施例のピーシング装置を備えた紡績
機を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例のピーシング装置を備えた紡績
機の紡績部を示す側断面図である。
【図4】紡績部の要部拡大断面図である。
【図5】糸端案内装置からヤーンフィンガーへの糸端の
受け渡し状況を示す斜視図である。
【図6】糸案内レバーを示す平面図である。
【図7】糸案内レバーの作動を示す平面図である。
【図8】ヤーンフィンガーを示す平断面図である。
【図9】パッケージ巻戻し装置及びサクションマウスの
作動を示す側面図である。
【図10】糸端案内装置の作動を示す側面図である。
【符号の説明】
1 紡績機 2 ドラフト装置 3 紡績部 4 糸ガイド部材 9 巻取装置 10 作業台車 11 ピーシング装置 12 パッケージ巻戻し装置 13 サクションマウス 14 糸端案内装置 15 ヤーンフィンガー 16 移送装置 17 エアサッカー装置 18 解繊ノズル 31 ノズル部材 32 スピンドル部材 33 中空スピンドル 141,142 糸道規制ガイド 143 糸案内レバー 144 支持アーム 145 カッタ 146a,146b ローラ 147a,147b カム 153 糸送りローラ S スライバ Y 糸(切断糸端) P パッケージ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機台上方から供給される繊維束を下方に
    向けて紡績し、パッケージに巻き取る紡績機のピーシン
    グ装置であって、パッケージに巻き込まれた糸端を吸引
    して引き出す可動吸引手段、該可動吸引手段で引き出し
    た糸端を旋回アームの先端に設けた糸送りローラで把持
    して紡績部に移送する移送手段を備え、紡績部に移送し
    た糸端を前記糸送りローラにより紡績部に挿通した後、
    紡績を再開し、新たに供給される繊維束と前記糸端とを
    紡績部でピーシングするピーシング装置において、上記
    可動吸引手段から移送手段へ糸端を受け渡す位置に、前
    記可動吸引手段で引き出した糸端の糸道を規制し移送手
    段の糸送りローラに該糸送りローラの回転軸方向に対し
    て90度の角度で把持されるように支承する糸道規制手
    段を設けたことを特徴とする紡績機のピーシング装置。
  2. 【請求項2】 移送手段は、旋回アームの回転軸と糸送
    りローラの回転軸とが互いに平行である請求項1記載の
    紡績機のピーシング装置。
  3. 【請求項3】 糸道規制手段は、糸端受け渡し位置を挟
    んでその両側に直列に配置した2個の糸道規制ガイドを
    備え、且つ、糸端受け渡し位置に対して前後に移動可能
    である請求項1または2記載の紡績機のピーシング装
    置。
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