JPH0315304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はグラビア印刷機の印刷ユニツトにおけ
る版胴交換装置に関するものである。

従来の技術 グラビア印刷機の版胴として両端にチヤツキン
グコーン挿入用の穴を有する軸なし版胴が多く用
いられており、この軸なし版胴は印刷ユニツトの
両側のフレームに設けられたチヤツキングコーン
により保持されている。版胴の交換は通常作業者
が版胴を抱え上げる手作業に依存しており、重労
働且つ危険な作業となつている。かかる手作業を
なく方法として、手動の昇降装置を備えた版胴運
搬台車を用いる方法が知られている。版胴運搬台
車を用いて版胴を交換する手順は、まず印刷ユニ
ツトの版胴下方のインキパン及びその関連配管等
を取り除き、その位置に、空の版胴運搬台車を搬
入し、該台車の版胴支持部を昇降装置により版胴
の位置まで上昇させて版胴支持部に版胴を支持さ
せ、次いで版胴を降ろし、台車をユニツト外に移
動させ、次に新しい版胴を載せた台車をユニツト
に搬入し、昇降装置により版胴を版胴装着位置に
持ち上げ、上下方向及び前後方向の位置決めを目
測で行つて版胴の装着を行うものである。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、この方式は版胴着脱時に昇降装
置付版胴運搬台車を印刷ユニツト内に搬入する必
要があり、そのため、インキパン及びインキ供給
配管等を取り除かねばならず、印刷準備に手間が
かかり、生産効率の低下を招く結果となつてい
る。

本考案はこのような従来の問題点を解消せんと
するもので、インキパンやインキ供給配管等を印
刷ユニツトから除去することなく版胴の交換を行
いうる版胴交換装置を提供することを目的とす
る。

問題点を解決するための手段 即ち、本考案の版胴交換装置は、グラビア印刷
機の印刷ユニツトにおいて、該ユニツトに取り付
けられた版胴１の中心軸線に平行な軸線を中心と
して旋回可能に設けられた旋回アーム１２と、該
旋回アームを旋回させる第一駆動装置（モーター
１５等）と、前記旋回アームに、旋回アームの旋
回中心軸線に直角な平面内を移動可能に保持さ
れ、版胴の周面を支持する版胴支持具１３と、該
版胴支持具を旋回アームに対して移動させる第二
駆動装置（モーター２０等）と、前記版胴支持具
を旋回アームの回転にかかわりなく水平に維持す
る水平維持装置（シヤフト２５、プーリー２４，
２６，２９，３１等）とを有することを特徴とす
るものである。

作 用 上記版胴交換装置によれば、印刷終了後、版胴
下方のインキパン４を下降させ、第一駆動装置，
第二駆動装置により版胴支持具１３を版胴１の下
に位置決めし、版胴のチヤツキングを解除して版
胴１を版胴支持具１３に載せ、次に、第一駆動装
置，第二駆動装置により、版胴を印刷ユニツト外
に搬出し、版胴支持具１３に載せた版胴１を台車
３５又はクレーン等の適当な版胴運搬装置に載せ
変えることにより版胴の取り外しができ、また、
この逆の動作を行うことにより、版胴の取り付け
ができる。この動作中、版胴支持具１３はその上
に版胴１の周面を載せただけで、版胴１を支持し
ているが、旋回アームの旋回にかかわらず、常時
水平を維持しているので、版胴を常に安定して支
持することができる。また、版胴支持具１３は旋
回アーム１２の旋回により円弧状に移動し、しか
も旋回アーム１２に対してもその旋回中心軸線に
直角な面内で移動可能であるので、結局、旋回中
心軸線に直角な面内（即ち印刷ユニツトに取り付
けられた版胴の軸線に直角な面内）を任意の位置
に移動可能であり、版胴運搬台車３５に平行に設
けられた２個の版胴支持台３７のいずれに対して
も版胴を載せたりすくい上げたりすることができ
る。なお、本考案は、軸なし版胴の交換にのみな
らず、軸付の版胴の交換に適用してもよい。

実施例 以下、図面に示す本考案の好適な実施例を説明
する。

第１図は本考案の版胴交換装置を備えたグラビ
ア印刷機の印刷ユニツトの主要部の側面断面図で
ある。同図において、１は版胴、２は版胴を保持
するチヤツキングコーン、３はフアニツシヤロー
ラー、４はインキパン、５はインキパン４を支持
して昇降する昇降台、６はユニツトフレームであ
る。フアニツシヤローラー３はインキパン４に保
持されており、インキパン４と共に昇降する。１
０は本考案になる版胴交換装置であり、インキパ
ン３の昇降に支障の無い位置に配置されている。

版胴交換装置１０は、第２図，第３図に示すよ
うに、チヤツキングコーン２の中心軸線に平行
に、従つて該チヤツキングコーン２に保持された
版胴の中心軸線に平行に、ユニツトフレーム６に
回転可能に保持された駆動シヤフト１１、該駆動
シヤフト１１に固定された一対の旋回アーム１
２，１２、その先端に旋回可能に保持された補助
アーム１４，１４、その先端に回転可能に保持さ
れた版胴支持具１３，１３等を有している。駆動
シヤフト１１はモーター１５により回転駆動され
るようになつており、支持した旋回アーム１２を
回転させる。即ち、モーター１５，駆動シヤフト
１１等は旋回アーム１２を旋回させる第一駆動装
置を構成する。なお、駆動シヤフト１１は必ずし
も両ユニツトフレーム６間に延びた１本のもので
ある必要はなく、各旋回アーム１２に対応して短
い駆動シヤフトを設けてもよい。

版胴支持具１３は種々な径の版胴の周面を支持
しうるよう、ほぼＶ字状をなしている。なお、Ｖ
字状の内面（上面）で直接版胴の周面を保持する
代わりに、版胴支持具１３に自在に回転する球を
設けるとか、回転可能なコロを設け、これらの球
やコロで版胴を受けるようにしてもよい。このよ
うな球やコロを設けると、版胴を版胴支持具上で
軽く回転させることができ、版胴１のチヤツキン
グコーン２を挿入する時、両者の位相合わせが容
易となる利点がある。

旋回アーム１２と補助アーム１４との連結は第
３図から良くわかるように、中空のスリーブ１８
で行われており、このスリーブ１８は旋回アーム
１２には回転可能であるが、補助アーム１４には
固定されている。更にスリーブ１８の一端にはプ
ーリー１９が取り付けられ、該プーリー１９は旋
回アーム１２に保持されたモーター２０のプーリ
ー２１にベルト２２により連結されている。かく
して、モーター２０の回転により、補助アーム１
４は旋回アーム１２に対し、スリーブ１８の中心
軸線を中心として旋回し、先端に保持した版胴支
持具１３を旋回アーム１２に対して移動させる。
モーター２０，プリー１９，２１等は版胴支持具
を旋回アームに対して移動させる第二駆動装置を
構成する。

版胴支持具１３はそれに固定された軸２３を有
し、該軸２３は補助アーム１４に回転可能に保持
される。この軸２３はプーリー２４が固定され、
中空のスリーブ１８に回転可能に保持さたシヤフ
ト２５に固定されたプーリー２６にベルト２７に
より連結されている。シヤフト２５には更に他の
プーリー２９が固定され、駆動シヤフト１１に回
転可能に保持されたプーリー３０にベルト３１に
より連結されている。プーリー３０はユニツトフ
レーム６に適当な手段で固定され、駆動シヤフト
１１の回転にかかわらず、常時回転しない。ベル
ト２７で相互に連結されたプーリー及びベルト３
１で相互に連結されたプーリーはそれぞれ直径比
が１対１に定められている。このため、旋回アー
ム１２が旋回しても、補助アーム１４が旋回して
も、その先端の版胴支持具１３は回転せず、一定
の方向を、即ち版胴を保持した面が上向きになる
水平位置を保ち、版胴１を常に良好に保持するこ
とができる。これらのシヤフト２５，プーリー２
４，２６，２９，３０及びベルト２７，３１等は
版胴支持具１３を常時水平に維持する水平維持機
構を構成する。なお、水平維持機構は図示のプー
リー及びベルトを用いたものに限らず、他の手
段、例えばリンクを用いたものを用いてもよい。

印刷ユニツトの近傍には版胴運搬台車３５走行
用のレール３６が設けられ、且つ版胴運搬台車３
５を所定の位置に位置決めするストツパー（図示
せず）が設けられている。運搬台車３５は版胴の
ほぼ中央を支持する２個の平行な版胴支持台３７
を有しており、この支持台３７の長さは一対の版
胴支持具１３の間隔よりも小さく定められる。

次に上記版胴交換装置１０による版胴交換動作
を説明する。通常の印刷中、版胴交換装置１０は
第１図に図示した状態で待機している。版胴交換
前に、一方の版胴支持台３７に新しい版胴を載せ
た版胴運搬台車３５を印刷ユニツトの側に運び、
待機させる。印刷終了後、インキパン４及びフア
ニツシヤローラー３を降下させ版胴取り外し可能
の状態とする。次に、旋回アーム１２及び補助ア
ーム１４をモーター１５，２０で旋回させ先端の
版胴支持具１３を版胴１の下に位置決めし、この
状態で版胴のチヤツキングをはずすことにより版
胴を版胴支持具１３に載せる。次に再び旋回アー
ム１２及び補助アーム１４を旋回させて版胴を印
刷ユニツト外に運び出し、運搬台車３５の空の版
胴支持台３７上に版胴を降ろす。次いで、版胴支
持具１３を版胴支持台３７上の新しい版胴の下に
入れてすくいあげ、チヤツキング位置（チヤツキ
ングコーン２で保持される位置）に持つて行き、
その位置に停止させる。その後、チヤツキングコ
ーン２を前進させてその先端を版胴１の側面の穴
に挿入して版胴１を保持させる。この際、もし、
版胴１とチヤツキングコーン２との位相を合わせ
る必要がある場合には版胴１を版胴支持具１３上
で回転させるか、或いはチヤツキングコーン２を
回転させて位相合わせを行う。版胴１をチヤツキ
ングコーン２に保持させた後、旋回アーム１２，
補助アーム１４を元の位置に戻し、版胴取り付け
動作が終了する。

上記動作において、インキパンの昇降動作、旋
回アーム、補助アームの旋回及び停止動作、チヤ
ツキングコーンの前進後退動作等は、全部或いは
一部をオペレータによる押しボタン操作で行うよ
うにしてもよいし、或いは全動作をシーケンス制
御等による自動制御で行つてもよい。ところで、
版胴支持具１３に保持された版胴１は種々な直径
のものがあり、従つて版胴１をチヤツキング位置
に位置決めする際の版胴支持具１３の停止位置は
版胴の直径に応じて変化する。従つて、旋回アー
ム１２及び補助アーム１４を自動的に停止させる
場合には、停止角度位置を版胴直径に応じて補正
する必要がある。第４図において、版胴支持具１
３に支持した直径ｒの版胴１の中心心をチヤツキ
ングコーンの中心Ａに一致させる際の旋回アーム
停止角度θ及び補助アーム１４の停止角度θ₂は次
の２式から計算できる。

L₁＝l₁sinθ₁＋l₂sin（θ₂−θ₁）＋l₀＋ｒ／sinα L₂＝l₂cos（θ₂−θ₁）−l₁cosθ₁ ここで、L₁，L₂，l₁，l₂αは定数 上記の計算により求めた角度θ₁，θ₂の位置で旋
回アーム１２及び補助アーム１４を停止させれ
ば、版胴支持具１３上に載せた版胴の中心を、チ
ヤツキングコーン２の中心Ａに合致させることが
できる。

上記したように、版胴支持具１３に保持した版
胴の中心がチヤツキングコーンの中心に合致した
時旋回アーム１２，補助アーム１４を停止させる
には、上記の角度θ₁，θ₂で両アームを停止させれ
ばよい。この動作を自動的に実施するには、角度
θ₁，θ₂の計算を行うマイクロプロセツサーを設け
且つ旋回アーム１２の旋回角度及び補助アーム１
４の旋回角度検出用のエンコーダーを設けてお
き、オペレーターが事前に版胴径をインプツト
し、版胴径に対する旋回アーム，補助アームの停
止角度θ₁，θ₂を計算させ、エンコーダーの信号で
モーター１５，２０を停止させるように構成すれ
ばよい。

第５Ａ図，第第５Ｂ図は本考案の他の実施例で
ある。本実施例では版胴支持具１３を、２本の平
行な旋回アーム４１に滑動可能に保持されたガイ
ド４２で保持している。２本の旋回アーム４１は
版胴支持具１３の水平維持機構としても作用す
る。また、版胴支持具１３を移動させる第二駆動
装置として、エンコーダー付のエアシリンダ４３
が設けられている。なお、エアシリンダの代わり
に、モーターに連結されたスクリユウネジと版胴
支持具１３に連結されたナツトを用い、スクリユ
ウネジの回転で版胴支持具１３を昇降させるよう
にしてもよい。本実施例では、旋回アーム４１の
旋回と版胴支持具１３の旋回アーム４１に対する
昇降により、版胴をチヤツキング位置と印刷ユニ
ツト外の運搬台車上とに搬送することができる。
なお、この実施例においても、版胴をチヤツキン
グ位置に運んで自動的に停止させる際、版胴径に
応じて旋回アームの停止角度と版胴支持具の昇降
位置との割出しが必要でるが、この場合も版胴径
又は版胴周をマイクロプロセツサーにインプツト
し、第６図に関連する次式で計算させることによ
り所定位置に停止させることが可能である。

L₁＝ｒ／sinα＋l₀＋lsinθ L₂＝lcosθ 考案の効果 以上のように、本考案の版胴交換装置によれ
ば、単にインキパンを降下させて版胴支持具１３
が版胴を保持して移動するスペースを作るのみ
で、版胴の交換が可能であり、また、版胴運搬台
車は版胴置場から印刷ユニツトのところへ１往復
するだけで版胴の交換が可能であり、そのため、
印刷準備時間が短縮でき、生産効率の向上につな
がる。また、オペレーターによる手作業，重労働
が消減されオペレーシヨンのシンプル化に大いに
効果を奏しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の版胴交換装置を備えた印刷ユ
ニツトの主要部の側面断面図、第２図は一部部品
の省略して示す版胴交換装置の斜視図、第３図は
版胴交換装置の駆動系統を示す概略断面図、第４
図は版胴支持具１３に保持された版胴とチヤツキ
ングコーンとの位置関関係の説明図、第５Ａ図は
他の実施例の斜視図、第５Ｂ図は第５Ａ図の実施
例において、版胴運搬台車を所定位置に位置決め
した状態を示す斜視図、第６図は第５Ａ図の実施
例における版胴支持具１３に保持された版胴とチ
ヤツキングコーンとの位置関係の説明図である。 １…版胴、２…チヤツキングコーン、３…フア
ニツシヤローラー、４…インキパン、６…ユニツ
トフレーム、１０…版胴交換装置、１１…駆動シ
ヤフト、１２，４１…旋回アーム、１３…版胴支
持具、１４…補助アーム、１５，２０…モータ
ー、３５…版胴運搬台車、４２…ガイド、４３…
エアシリンダ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) グラビア印刷機の印刷ユニツトにおいて、該
   ユニツトに取付けられた版胴の中心軸線に平行
   な軸線を中心として旋回可能に設けられた旋回
   アームと、該旋回アームを旋回させる第一駆動
   装置と、前記旋回アームに、旋回アームの旋回
   中心軸線に直角な平面内を移動可能に保持さ
   れ、版胴の周面を支持する版胴支持具と、該版
   胴支持具を旋回アームに対して移動させる第二
   駆動装置と、前記版胴支持具を旋回アームの回
   転にかかわりなく水平に維持する水平維持機構
   とを有することを特徴とする版胴交換装置。 (2) 前記版胴支持具が、前記旋回アーム先端に旋
   回可能に連結された補助アームに保持されてい
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の版胴交換装置。 (3) 前記版胴支持具が、前記旋回アームに滑動可
   能に保持されていることを特徴とする実用新案
   登録求の範囲第１項記載の版胴交換装置。 (4) 前記版胴支持具が、版胴を支持する回転可能
   な球或いはコロを有することを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の版胴交換装
   置。