JPH031496B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、エンジンのアクセル操作量に対応し
てスロツトル弁開度を制御するようにしたエンジ
ンのスロツトル弁制御装置に関するものである。

（従来技術） 従来より、スロツトル弁がアクセルから切離さ
れ、アクセル操作量を検出し、これに基づいてス
ロツトル弁開度をアクチユエータによつて作動制
御するようにしたエンジンのスロツトル弁制御装
置は公知である（例えば、特開昭51−138235号公
報参照）。

また、エンジンの空燃比制御において、要求出
力が低い定常運転時等の所定運転状態において
は、空燃比をリーン化して燃費性能を向上するよ
うにした技術も知られている。このような空燃比
制御においては、出力が要求される高負荷状態で
は、リーン化を行うと出力が不足するために空燃
比をリツチ側に移行して運転するものである。そ
して、リーン運転状態から一定負荷以上になつた
時に、空燃比をリツチ側に移行する際に、急激に
空燃比を変動するとトルクも急激に上昇してその
移行にシヨツクが発生し、運転性に悪影響を与え
ることから、このシヨツクを回避するために、空
燃比を徐々にリツチ側に移行する必要がある。

また、リーンな空燃比で運転している状態では
NOxの排出量は少ないが、リツチな空燃比に移
行する際に、徐々に空燃比を移行するようにすれ
ば前記のようにトルクシヨツクが緩和できるが、
その移行途中でNOx排出量の多い空燃比領域を
徐々に通過することでNOx排出量が増えて、エ
ミツシヨン性上好ましくないものである。

特に、近時エンジンの燃焼性の向上によりリー
ン運転領域の拡大が図られているが、このリーン
運転域の拡大によりかなり負荷の高い領域までリ
ーン運転するようになつている。この場合、空燃
比を切換え移行するためのエンジンの負荷状態の
検出は、通常吸気圧力の検出によつて行われてい
る。しかして、負荷が上昇すると吸気圧力の変化
は小さくなり、わずかの圧力変化で空燃比を変化
させるためにシヨツクが発生しないように制御す
ることが困難となるものである。

上記のようにリーン運転とリツチ運転とで空燃
比を調整するについて、空燃比を遅い移行速度で
変化させることはエミツシヨン性能、応答性を阻
害し、この点からはできるだけ速い移行速度で空
燃比を変化させることが望ましい。しかし、移行
度合を大きくすることは、前述のように出力の急
激な変化による運転性の阻害を招くことになる。

（発明の目的） 本発明は上記事情に鑑み、エンジンが所定の運
転状態になつて空燃比を切換え移行するについ
て、アクセル操作量に対してスロツトル弁開度を
自由に設定できることを利用してトルクシヨツク
の発生を抑制するようにしたエンジンのスロツト
ル弁制御装置を提供することを目的とするもので
ある。

（発明の構成） 本発明のスロツトル弁制御装置は、アクセル操
作量を検出するアクセル操作量検出手段と、該ア
クセル操作量検出手段の出力を受けスロツトル弁
開度を制御するスロツトル調整手段と、エンジン
の運転状態を検出する運転状態検出手段と、該運
転状態検出手段の出力を受け、エンジンに供給す
る混合気の空燃比を比較的リーンな第１空燃比と
該第１空燃比よりリツチな第２空燃比とに即座に
移行するように移行制御する空燃比調整手段とを
備え、該空燃比調整手段による第１空燃比と第２
空燃比との移行領域では、上記スロツトル調整手
段によるスロツトル弁のアクセル操作量に対する
開度特性を移行領域以外の運転領域の開度特性よ
り変化率を小さくしたことを特徴とするものであ
る。

第１図は本発明の構成を明示するための全体構
成図である。エンジン１の吸気系２に介装したス
ロツトル弁３の開度調整による吸気量制御は、ア
クセルペダル４の操作量を検出するアクセル操作
量検出手段５を設け、その出力を受けたスロツト
ル調整手段６から制御信号がスロツトル弁３の開
閉作動を行うアクチユエータ７に出力されてスロ
ツトル弁３の開度を調整することによつて行われ
る。

また、エンジン１の吸気系２には例えばインジ
エクタ９への噴射パルスを制御することによつて
供給空燃比を調整する空燃比制御手段１０を設
け、この空燃比制御手段１０は、エンジン１の運
転状態を検出する運転状態検出手段１１からの検
出信号を受け、エンジン１に供給する混合気の空
燃比を定常運転時等の低負荷運転時に比較的リー
ンな第１空燃比と、加速運転時等の高負荷運転時
にこれよりリツチな第２空燃比とに切換え、空燃
比が即座に移行するように制御するものである。

さらに、上記運転状態検出手段１１の信号に基
づいて空燃比制御手段１０による第１空燃比と第
２空燃比との切換え時に、上記スロツトル調整手
段６によるスロツトル弁３のアクセル操作量に対
する開度特性を他の運転領域の開度特性より変化
率を小さくしてなめらかにし、アクセル操作量が
変化してもスロツトル開度は殆ど変化しないよう
にして吸入空気量変化の少ない状態で燃料供給量
を変更することによつて空燃比を変動移行させ、
エンジンの出力変動を緩和してトルクシヨツクを
低減するようにしたものである。

（発明の効果） 本発明によれば、アクセル操作に応じて空燃比
をリーンな第１空燃比とこれよりリツチな第２空
燃比とに即座に移行する移行領域においては、ア
クセル操作量の変化に対してスロツトル弁開度の
変化率が小さくなるように作動特性を設定したこ
とにより、この切換時点における出力の大きな変
動を阻止して、トルクシヨツクの発生を低減する
ことができ、良好な運転性を確保できる。

また、ある程度急激な空燃比の変更が可能とな
り、NOxの発生領域を直ちに越えることによつ
てNOxの発生を抑制して良好なエミツシヨン性
を確保することができるものである。しかも、空
燃比の移行の検出が精度よく行えるものである。

（実施例） 以下、図面により本発明の実施例を説明する。
第２図は本発明スロツトル弁制御装置を有するエ
ンジンの全体構成図である。

エンジン１の吸気系２には上流側から、エアク
リーナ１２、吸気量を計測するエアフローメータ
１３、吸気量を制御するスロツトル弁３、燃料を
噴射するインジエクタ９が順に配設されている。
上記スロツトル弁３はスロツトルアクチユエータ
７によつて開閉作動される。なお、エンジン１の
排気系１４には触媒コンバータ１５が介装されて
いる。

上記インジエクタ９からの燃料噴射量の制御に
よつてエンジン１に供給する燃料量を調整し、一
方、スロツトルアクチユエータ７によるスロツト
ル弁３の開度調整により吸気量を調整し、両者に
よつてエンジン１に供給する混合気の空燃比を制
御するものである。そして、このインジエクタ９
による燃料噴射およびスロツトルアクチユエータ
７によるスロツトル弁３の開閉作動は、コントロ
ーラ１６から出力される制御信号によつて制御さ
れる。このコントローラ１６には、アクセルペダ
ル４の踏込み量からスロツトル操作量を検出する
アクセルポジシヨンセンサ１７からのアクセル操
作量信号、前記エアフローメータ１３からの吸気
量信号、吸気温度を検出する吸気温センサ１８か
らの吸気温信号、スロツトル弁３の開度を検出す
るスロツトル開度センサ１９からのスロツトル開
度信号、冷却水温を検出する水温センサ２０から
の水温信号、エンジン回転数等を検出するために
イグナイタ２１およびデイストリビユータ２２か
らの点火信号、触媒コンバータ１５上流の排気系
１４に配設したO₂センサ２３からの空燃比検出
信号をそれぞれ受け、アクセル操作量およびエン
ジンの運転状態に応じてスロツトル開度および燃
料供給量すなわち空燃比を制御するものである。
なお、２４はバツテリである。

また、前記インジエクタ９には燃料タンク２５
からの燃料が、燃料ポンプ２６および燃料フイル
タ２７を介して燃料供給パイプ２８によつて送給
され、リターンパイプ２９には燃圧レギユレータ
３０が介装されている。

そして、コントローラ１６は、アクセル操作量
およびエンジン回転数に基づいて目標吸気量と目
標燃料流量を算出することによつて、目標空燃比
を制御するものである。この目標空燃比はエンジ
ンの運転状態に応じ低負荷状態（低アクセル操作
時）において、エンジンに供給する混合気の空燃
比を比較的リーンな第１空燃比に制御する一方、
高負荷状態（高アクセル操作時）においてはO₂
センサ２３出力に基づいて前記第１空燃比よりリ
ツチな第２空燃比（例えば理論空燃比）にフイー
ドバツク制御するものである。また、上記コント
ローラ１６は、基本的にアクセル操作量の増大に
応じてスロツトル弁開度を増大するように制御す
るとともに、前記空燃比制御における第１空燃比
と第２空燃比との移行領域において、アクセル操
作量の変化量に対するスロツトル弁開度の変化特
性を、他の運転領域の変化特性よりなめらかに設
定し、スロツトル弁開度の変化率を小さくするも
のである。

上記コントローラ１６の作動を第３図のフロー
チヤートに基づいて説明する。スタート後、コン
トローラ１６はステツプＳ１で各種センサからの
検出信号を読込む。ステツプＳ２では、読込んだ
エンジン回転数とスロツトル操作量とのマツプか
ら目標スロツトル開度を演算する。ステツプＳ３
ではこの目標スロツトル弁開度を補間処理、水温
補正、吸気温補正、吸気量補正（エアフローメー
タ１３の出力に応じたフイードバツク補正）等の
各種補正を施して最終目標スロツトル開度を演算
し、この目標値にスロツトル開度を調整するよう
スロツトル開度センサ１９による実開度と比較制
御する。

次に、ステツプＳ４は同様にエンジン回転数と
アクセル操作量とのマツプから目標空燃比を読込
み、ステツプＳ５ではこの目標空燃比を補間処
理、水温補正、吸気温補正、吸気量補正、O₂フ
イードバツク補正等の各種補正を施して最終噴射
パルス幅を演算し、インジエクタ９に出力するも
のである。

さらに、ステツプＳ６では同様にエンジン回転
数とアクセル操作量とのマツプから目標点火時期
を読込み、ステツプＳ７ではこの目標点火時期を
補間処理、水温補正、空燃比補正等の各種補正を
施して最終点火進角値を演算し、点火出力するも
のである。

上記制御における各マツプに設定されている特
性における第１空燃比と第２空燃比との切換え移
行時期は、第４図に示すように、エンジンの負荷
すなわちアクセル操作量に対応し、基本的にはア
クセル操作量の小さい低負荷域でリーンな第１空
燃比に、アクセル操作量の大きい高負荷域でリツ
チな第２空燃比に切換えるものである。そして、
その切換時点は、エンジン回転数が高い程大きい
アクセル操作量に設定している。すなわち、例え
ば、エンジン回転数がN₁＝1000rpmの時にA₁の
アクセル操作量で切換え、N₂＝2000rpmの時に
これより大きいA₂のアクセル操作量で切換え、
同様にN₃＝3000rpmの時にA₃のアクセル操作量
で、N₄＝4000rpmの時にA₄のアクセル操作量で
それぞれ切換えるように設定している。これに伴
つて、点火時期もリーンな第１空燃比領域では進
角し、リツチな第２空燃比で遅角するように設定
する。

一方、上記アクセル操作量に対応するスロツト
ル弁開度の制御は、第５図に示すように、エンジ
ン回転数に対応して上記空燃比を切換える各アク
セル操作量A₁〜A₄を含むアクセル操作範囲で、
スロツトル弁開度の変化率を他の領域より小さく
し、各エンジン回転数N₁〜N₄においてθ₁〜θ₄の
スロツトル弁開度にそれぞれ保持し、前後のアク
セル操作量においては、アクセル操作量に比例し
てスロツトル弁開度を増減するようにしている。
上記保持スロツトル弁開度θ₁〜θ₄はエンジン回転
数が高いほど大きなスロツトル弁開度となり、さ
らに、この保持スロツトル弁開度θ₁〜θ₄は第６図
に示すように、各エンジン回転数N₁〜N₄におけ
る吸入空気量の変曲点でのスロツトル弁開度に設
定するものである。

よつて、上記の如き構成により、空燃比を第１
空燃比と第２空燃比との間で移行する際の出力変
動を抑制して、トルクシヨツクの発生が低減でき
るものである。

なお、上記実施例においては、空燃比を第１空
燃比と第２空燃比とで急激に切換えるようにして
いるが、ある程度急な傾きをもつて空燃比を移行
するか、段階的に移行するようにしてもよい。そ
して、空燃比を移行する領域において、アクセル
操作量に対するスロツトル弁開度の変化率を小さ
く設定するものである。

また、空燃比の移行時のスロツトル弁の開度特
性は、所定の範囲でアクセル操作の変化に対して
一定の開度を保持するようにしているが、これ
は、他の運転量の開度特性より小さな変化率で変
化させるようにしてもよく、急激な空燃比変化に
対する出力変動が小さくなるようにする。

さらに、上記実施例においては、スロツトル弁
開度に応じて空燃比の切換え時期を設定するよう
にしているが、その他、吸気負圧等のエンジンの
負荷に応じて切換え時期を設定するようにしても
よい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を明示するための全体構
成図、第２図は具体例の全体構成図、第３図はコ
ントローラの作動を説明するためのフローチヤー
ト図、第４図ないし第６図はそれぞれ空燃比、ス
ロツトル弁開度等の制御特性例を示す特性図であ
る。 １……エンジン、２……吸気系、３……スロツ
トル弁、４……アクセルペダル、５……アクセル
操作量検出手段、６……スロツトル調整手段、７
……スロツトルアクチユエータ、９……インジエ
クタ、１０……空燃比制御手段、１１……運転状
態検出手段、１６……コントローラ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アクセルの操作量を検出するアクセル操作量
   検出手段と、該アクセル操作量検出手段の出力を
   受けスロツトル弁開度を制御するスロツトル調整
   手段と、エンジンの運転状態を検出する運転状態
   検出手段と、該運転状態検出手段の出力を受け、
   エンジンに供給する混合気の空燃比を比較的リー
   ンな第１空燃比と該第１空燃比よりリツチな第２
   空燃比とに即座に移行するように移行制御する空
   燃比調整手段とを備え、該空燃比調整手段による
   第１空燃比と第２空燃比との移行領域では、上記
   スロツトル調整手段によるスロツトル弁のアクセ
   ル操作量に対する開度特性を移行領域以外の運転
   領域の開度特性より変化率を小さくしたことを特
   徴とするエンジンのスロツトル弁制御装置。