JPH0314179Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、体の不自由な身体障害者を入浴させ
る場合や、死者を湯潅する場合に用いて好適な昇
降式入浴装置等に関する。

《従来の技術》 一般に、身体障害者を入浴させる場合や、死者
を湯潅する場合、多くの困難がつきものである
が。例えば浴槽を昇降式とし、身体障害者が横臥
している担架を運搬車に載せたまま、浴槽内の固
定台に横づけし、担架ごと固定台上に移し替えた
後、浴槽を上昇させて入浴させ、これにより、身
体障害者を動かさずに入浴可能とした昇降式入浴
装置は、既に提案されている。

従来のこの種の昇降式入浴装置としては、第８
図、第９図に例示した如く、給湯器等を内蔵する
装置本体ａに対し、浴槽ｂを片持ちにて支持する
と共に、固定台ｃの一端部を装着本体ａに、他端
部は浴槽ｂの底面を液密にシールした状態で挿通
する支柱ｄに夫々支持した構成とされている。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、従来の昇降式入浴装置において
は、固定台ｃが昇降式浴槽内の中央部にあつて担
架搬入高さに固定されており、可動式ではないか
ら、入浴に際しては、身体障害者等が横臥してい
る担架を運搬車に載せたまま浴槽内の固定台に直
接横づけしようとしても浴槽が邪魔して横づけす
ることはできない為、担架を一旦運搬車から浴槽
の周縁上などに下した後、固定台上に移し替える
こととなるが、担架は身体障害者等が寝ているこ
ともあつて重く、しかも浴槽内に充分に沈めるこ
とができるように前後方向へ細長く形成されてお
り、かつ持ち難いこともあつて、運搬車から固定
台上へ、又固定台から運搬車上へ、浴槽の周縁及
び該周縁と固定台間の間隔を跨いで移し替える
際、浴槽や装置本体等が邪魔になり、多くの人手
が必要であつたり、又担架の揺動は避けられない
為、身体障害者が不安になり、精神的に動揺する
等、多くの困難がつきまとう問題点を有してい
る。

本考案は、従来の技術の有するこのような問題
点に鑑みてなされたもので、昇降式の浴槽の底面
を挿通する前後２本の支柱に固定された前後の支
持台上に、浴槽内の巾方向にあつて、その一側方
向へ引き出し可能なるよう担架載置用スライダー
が、スライド自在に係嵌されているガイドレール
の一端部を、水平状態から上記スライダーの引き
出し側が上方へ回動されるよう枢着された構成と
することにより、前後一対のスライダーが浴槽周
縁の一側上部まで引き出し得るようになし、これ
により身体障害者等の担架を運搬車に載せたまま
スライダー側傍まで横づけ状態とし、担架ごとス
ライダー上に移し替えることができ、その後、ガ
イドレールに沿つて浴槽中央部まで当該スライダ
ーをスライドするようにして浴槽内への担架の搬
出入を容易にすると共に、スライダーを引き出し
た状態で不用意に浴槽が上昇した場合にあつて
も、当該浴槽の上昇に伴ないスライダー、スライ
ドレールが上方へ回動されるようにして、当該ス
ライダーと浴槽の衝突に伴なうこれら部材の破損
をも防止し得るようにするのが、その目的であ
る。

《課題を解決するための手段》 本考案は上記の目的を達成するために、浴槽が
昇降自在に支持された装置本体と、上記浴槽の底
面を液密状態で挿通する２本の支柱に夫々固定さ
れた前後の支持台と、上記浴槽の巾方向へ長く形
成され、担架載置用のスライダーが浴槽の巾方向
にあつて、一側方向へ引き出し可能にスライド自
在なるよう係嵌された前後のガイドレールとを具
備し、当該各ガイドレールが各支持台上にあつて
水平状態に保持された位置からそのスライダーの
引き出し端側が上方へ回動可能なるよう夫々の一
端部が各支持台に枢着されてなる昇降式入浴装置
を提供しようとするものである。

《作用》 浴槽を降下させた状態では、前後のスライダー
は、担架を運搬車に載せたまま横づけできるよう
に浴槽の周縁一側上部まで引き出すことができ
る。

担架を上記の両スライダー上に移し替えた後、
浴槽内方へ押し込むと、スライダー上の担架が
夫々のガイドレールに沿つて浴槽内の中央部まで
スライドして停止し、保持されるから、これに次
いで浴槽を上昇させることで入浴または湯潅を行
うことができる。

入浴終了後は、浴槽を下降させ、手前、即ち、
浴槽の一側方向へ担架を引きよせると、スライダ
ーは担架を載置したまま、該担架を運搬車等に移
し替えるのに都合よく、浴槽周縁の上部まで引き
出される。

上記スライダーを引き出した状態で、浴槽が不
用意に上昇されてしまつたとしても、当該浴槽の
上昇に伴ないスライダーが押し上げられることに
より、該スライダーとガイドレールは支持台との
枢着点を中心として上方へ回動し、浴槽周縁とス
ライダーとの衝突による部材の損傷等がない。

《実施例》 以下、本考案の実施例について図面を参照して
説明する。

第１図〜第７図は、本考案の一実施例である昇
降式入浴装置を示し、第８図は担架のストツパー
機構を示している。

第１図〜第７図に示すように、昇降式の浴槽１
は、床面に設置した給湯、給水、排水制御機構等
が設けられた装置本体２に昇降機構３によつて支
持され、昇降自在である構成としてある。

上記昇降機構３は、本実施例の場合モータ３ａ
により駆動する構成としてあるが、油圧等により
駆動する構成とするなど適宜のものを選定すれば
よい。

浴槽１内部の前後には、ステンレス等で形成し
た支持台４，４が配設してあり、この各支持台
４，４は、浴槽１の底面１ａを挿通して装置本体
２の底板に固定された前後２本の支柱５，５の上
端に夫々の基端部が固定され、先端部が浴槽１の
巾方向へ延設されて水平に支持されている。

この両支柱５，５の長さは同一長さに形成さ
れ、浴槽１は支柱５，５の上端部から下部の間に
て昇降する。

上記支柱５，５は、浴槽１の長さ方向、即ち前
後方向における底面１ａの中心線上にあつて、そ
の前部と後部に挿通され、該各支柱５，５が浴槽
１の底面１ａを挿通する部分は図示しない適宜の
シール手段によつて液密にシールされる。

上記各支持台４，４上には、一軸方向へ長く形
成したガイドレール６，６が浴槽１内にあつて、
その横巾方向へ長く、かつ水平に配設してある。

この各ガイドレール６，６は、第８図に明示し
た如く、横断面略凹字形状に形成した本体６ａ内
の底部に、横断面略凹字形状に形成したローラ支
持部材６ｂを嵌着して複数個のローラ６ｃ……
を、長さ方向へ適宜間隔毎にて、巾方向へ回転自
在なるよう軸支して形成されている。

また、上記各ガイドレール６は、その基端部６
ｄが、上記各支持台４，４の先端部に横軸７にて
枢着されていることにより、該横軸７を中心とし
て先端部６ｅ側が、支持台４，４上の水平位置か
ら第４図に矢印ｅが示す上方へ回動可能なるよう
支持台４，４に支持されている。

上記各ガイドレール６，６には、担架載置用の
スライダー８，８が、浴槽１の横巾方向におい
て、その一側方向へ引き出し可能なるよう夫々ス
ライド自在に係嵌してある。

この各スライダー８，８は、第８図に明示した
如く横断面矩形状に形成され、その基端部と先端
部には、上方へ突出した担架位置決め用の突部８
ａ，８ｂが設けてあると共に、ガイドレール６，
６内へスライドにより後退させた第３図、第５図
に示す状態では、浴槽１の横巾方向の中央部に位
置するように設けてある。

又、スライダー８，８の引き出し時、ガイドレ
ール６，６と一直線を保持する為と、該スライダ
ー８，８の抜け止めを兼ねたコ字形部材９が、ガ
イドレール６，６の先端部６ｅ，６ｅ近傍にあつ
て、スライダー８，８の上面を案内支持可能なる
よう跨設してある。

一方、担架１０は、上記両スライダー８，８上
へ安定した状態で載置されるよう、その裏面にあ
つて長さ方向の前部と後部に、載置用脚ケース１
１，１１が第７図に示した如く横巾方向へ架設し
てあると共に、該各載置用脚ケース１１，１１の
両端部には、上記スライダー８，８が嵌合可能な
正面略逆向き凹字形状とした載置脚１２，１２が
夫々固定してある。

更に、スライダー８，８が引き出された位置
と、ガイドレール６，６にスライドにより後退さ
せた位置において、スライダー８，８がガイドレ
ール６，６にロツクされるよう、上記各ガイドレ
ール６，６にはストツパー機構１３，１３が第８
図に示す如く設けてある。

このストツパー機構１３は、ガイドレール６，
６における本体６ａの先端部近くの側壁に貫通し
た横孔１４にあつてスライド自在なるよう挿通し
たストツパー１５と、当該ストツパー１５の先端
部を、スライダー８の側壁に貫通したストツパー
孔１６，１６′に対し嵌合自在とする方向へスト
ツパー１５を付勢するばね１７と、上記ストツパ
ー１５をばね力に抗してスライドさせ、ストツパ
ー孔１６との係合を解除するようガイドレール６
にスライド自在なるよう支承したロツク解除用レ
バー１８とにより構成されている。

更に、上記ストツパー機構１３は、上記レバー
１８によるロツク解除手段以外にも、担架１０側
に他のツク解除手段により作動可能としてある。

このロツク解除手段は、載置用脚ケース１１，
１１の対向壁に貫通した横孔１９にスライド自在
に挿通した作動片２０付きスライダー２１と、当
該スラーダー２１に後退力を付勢するばね２２
と、第７図の加く担架１０の長さ方向の略中間部
にあつて、担架１０の横巾方向へスライド自在
に、その一側へ突出して配設した引手２３と、該
引手２３の左右から対称に突設した可動アーム２
４，２４と、上記スライダー２１，２１に連結さ
れたワイヤー２５，２５とにより構成されてい
る。

従つて、スライダー８，８が引き出された第４
図に示す状態では、当該スラーダー８，８の後端
部側に設けたストツパー孔１６′にストツパー１
５が係合することにより、スライダー８，８、担
架１０は第４図の状態にロツクされ、このロツク
状態の解除は、上記レバー１８を第８図に示す矢
印ｆ方向へスライドし、ばね力に抗してストツパ
ー１５を図示の矢印ｇ方向へ移動させて、ストツ
パー孔１６′から外すことにより行われるから、
スライダー８，８と共に担架１０を第３図の状態
にスライドさせることができる。

第３図の状態では、スライダー８，８の先端部
側のストツパー孔１６とストツパー１５が係合
し、スライダー８，８、担架１０はこの状態にロ
ツク保持される。

このロツク状態の解除は、上記レバー１８によ
つても可能であるが、該レバー１８は担架１０の
下方に隠れていて操作し難い為、上記引手２３に
よつて行うのがよい。

即ち、引手２３を手前に引くと、その左右の可
動アーム２４，２４が内側へ回転し、ワイヤー２
５，２５が第７図の矢印ｈ方向へ牽引され、スラ
イダー２１、作動片２０は、ばね力に抗して第８
図の矢印ｉ方向へ移動し、これによりストツパー
１５がばね力に抗して矢印ｇ方向へ後退され、ス
トツパー孔１６との係合が解除される。

尚、浴槽１における周縁１ｂの上面にあつて、
スライダー８，８が引き出されたとき、これに対
応する位置にあつて、金属等、硬質材によるスラ
イダー受け２６，２６を設けておくと、スラーダ
ー８，８との接触による浴槽１の損傷を防止でき
る。

又、このスライダー受け２６，２６を金属また
は合成樹脂製のローラとしてもよい。

《考案の効果》 本考案は、上述のとおり構成されているので、
担架載置用スライダーを浴槽の周縁上部まで引き
出すことにより、身体障害者等の担架を運搬車に
載せたまま、直接当該スライダーに横づけでき、
担架ごとスライダー上に移し替えた後、押動して
浴槽内の所定位置（中央部）までスライドさせて
保持した後、浴槽を上昇させて入浴させることが
できると共に、入浴後は、担架ごとスライダーと
共に浴槽の周縁上部まで引き出し、運搬車に横づ
けできるので、入浴前及び入浴後の運搬車等とガ
イドレール相互の担架ごとの移し替えが容易に、
かつ少ない人手により簡単に行い得るようになる
と共に、スライダーを引き出した状態で、誤操作
等によつて浴槽が不用意に上昇された場合には、
スライダーはガイドレールと共に上方へ回動し、
該スライダーと浴槽との衝突が回避されるから、
浴槽、スライダーを含む各部材の破損を未然に防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る昇降式入浴装置の一実施
例を示す平面図、第２図は同実施例の縦断側面
図、第３図はスライダーと担架を浴槽中央部に保
持した状態、第４図はスライダーと担架を引き出
した状態の夫々第１図における−線矢視断面
図、第５図は、同実施例において、スライダーを
ガイドレール内に後退保持させた状態の斜視図、
第６図は同実施例において、スライダーを引き出
し、上方へ回動した状態の斜視図、第７図は同実
施例における担架の裏面図、第８図は第３図にお
ける−線矢視拡大横断面図、第９図、第１０
図は従来の昇降式入浴装置を夫々示す平面図と、
側面図である。 １……浴槽、１ａ……底面、２……装置本体、
４，４……支持台、５，５……支柱、６，６……
ガイドレール、８，８……スライダー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 浴槽が昇降自在に支持された装置本体と、上記
   浴槽の底面を液密状態で挿通する２本の支柱に
   夫々固定された前後の支持台と、上記浴槽の巾方
   向へ長く形成され、担架載置用のスライダーが浴
   槽の巾方向にあつて、一側方向へ引き出し可能に
   スライド自在なるよう係嵌された前後のガイドレ
   ールとを具備し、当該各ガイドレールが各支持台
   上にあつて水平状態に保持された位置からそのス
   ライダーの引き出し端側が上方へ回動可能なるよ
   う夫々の一端部が各支持台に枢着されてなる昇降
   式入浴装置。