JPH0314010Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は欠円筒状永久磁石に関し、更に詳しく
は、特にブラウン管（以下、CRTという）の電
子ビーム調整用磁石として好適な欠円筒状永久磁
石に関するものである。

「従来技術と問題点」 従来、CRTのピユリテイ及びコンバーゼンス
調整用磁石は、それぞれ２極、４極、６極に磁化
されたリング状磁石を２枚１組とし、樹脂製のホ
ルダーに組み込むか、あるいは偏向ヨークコア支
持の樹脂製ホルダーに組み込んだ形態とし、２枚
のリング状磁石の開き角度で移動量を、磁石の回
転で移動の方向を変えビームの調整を行つてい
る。

しかるに上記方法は２枚の磁石間のトルクに
バラツキがあり移動量の調整がスムーズに行えな
い、リング状磁石、ホルダーの他にセパレータ
ー（スペーサー）、CRTネツクへの固定用金属バ
ンド等多くの部品が必要であり、コスト、作業
性、信頼性の面で問題を含んでいる。

かかる問題を解決せんとして、予め押出し、ロ
ール加工等により作られた可撓性テープ状磁性体
成形品をCRTネツクの外側に設置し、TVカメラ
等によりビームの規定位置からのズレを読み取
り、そのズレに応じて外部に設置した上記成形品
に適正な着磁を行ない、ピユリテイ及びコンバー
ゼンス調整をする方法が提案されている（特開昭
54−24535号）。

しかし乍ら、可撓性テープ状成形品をCRTネ
ツクに装着する方法は接着テープ、接着剤等によ
り固定するに当たり、固定力の経時変化等の品質
的問題の他に作業性にも難があり、コスト的に高
くなるという問題を孕んでいる。

上記の如き問題点を解消せんとして、本出願人
は円筒周面に軸方向にスリツトを設け、該スリツ
トによる径方向の自由度を付与することにより装
着作業性を向上せしめた欠円筒状永久磁石を開発
し、先に出願した（実願昭60−72377号）が、既
設DY用樹脂ホルダーとの結合性及び従前のリン
グ状マグネツト取り付け位置への装着作業性、装
着精度が今一つ十分でない。

「問題点を解決するための手段」 本考案者はかかる実情に鑑み、上記問題点を解
決すべく鋭意研究の結果、円筒状端部又は内周面
に凹部を設けることにより、所期の目的が達成さ
れることを見出し、本考案を完成した。

即ち、本考案はプラスチツク又はゴム磁石から
なり、円筒状周面の軸方向にスリツトを設け、且
つ円筒状の端部又は円筒状の内周面に凹部を設け
たことを特徴とする欠円筒状永久磁石を内容とす
るものである。

「実施例」 本考案の実施態様を示す図面に基づいて説明す
ると、第１図において、欠円筒状永久磁石は円筒
状周面１の軸方向にスリツト２が設けられ、円筒
状の端部に凹部３が設けられている。

本考案の永久磁石のバインダー用樹脂又はゴム
材料として、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート、ポリフエニレンサルフアイド、エ
ポキシ樹脂、フエノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹
脂、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリ
エチレン等を挙げることができる。また強磁性フ
エライト粉末としてはバリウムフエライト、スト
ロンチウムフエライト等を挙げることができる。
バインダー中の強磁性フエライト粉末の割合は50
〜95重量％の範囲が好適である。

本考案におけるスリツト２はリング径方向に自
由度を与え、永久磁石のCRTネツクへの装着を
容易にし、作業効果を高めるものであるから、円
筒状周面の軸方向に貫通するスリツト、即ち、エ
ンドレスなスリツトであれば良い。また、必ずし
も軸方向に真直である必要はなく、少々斜めに傾
いていても、また第２図に示す如く、途中で曲折
していても差し支えない。

本考案における凹部３は既設DY樹脂ホルダー
等を使つてCRTネツク部への装着を簡便に行う
ためのものである。凹部３は第３図に図示せる如
く、円筒状の内周面にリング状に設けても良い。

第４図は本考案の他の実施態様を示し、可撓性
永久磁石材料からなり、円筒状周面の軸方向にス
リツト２を設けてなる欠円筒状永久磁石４の内周
面に、非可撓性材料からなる欠円筒状支持体５を
配設した構成からなり、端部に凹部３が設けられ
ている。本例の如く、非可撓性の支持体５を用い
ることにより、欠円筒状磁石４として安価な可撓
性永久磁石材料を使用できる利点がある。またか
かる構造の永久磁石はスリツトを有する欠円筒状
支持体に可撓性の磁性体シートを接合・被覆する
方法、非可撓性シートと可撓性の永久磁石シート
とをラミネートし、該ラミネートをスリツトを有
する欠円筒状に加工する方法等により容易且つ安
価に製造することができる。かかる構造とすれば
支持体のスリツトによる径方向の自由度と、可撓
性材料に由来する柔軟性、融通性とが相乗的に機
能し、CRTネツクへの装着作業の効果を更に高
める効果がある。

上記支持体５と可撓性磁石４とは接合一体化さ
れていることが好ましいが両者がズレない様な材
料の組合せ又はズレない様な構成（例えば物理的
な凹凸嵌合等）であれば、十分目的を達成するこ
とができる。

「作用・効果」 叙上の通り、本考案によれば円筒形永久磁石に
軸方向のスリツトを設けたことにより、径方向
に自由度が付与され、CRTネツクへの装着の作
業性が大巾に高められると共に、端部又は内周面
に設けた凹部により、既設DY用樹脂ホルダーと
の結合が容易になり、従来のリング状マグネツト
取り付け位置への装着、固定の作業性、装着精度
が大巾に向上する。支持体との複合体とし、外
周面に永久磁石材料を配設したことにより磁化装
置の簡略化、着磁スポツトの鮮明化ができる。
より安価な可撓性永久磁石材料の利用が可能であ
り、この場合には支持体に設けたスリツトによる
径方向の自由度に加えて、軟質磁性材料の柔軟性
に由来する自由度が、前記CRTネツクへの装着
作業性の向上に一層貢献するものである。尚、本
考案の永久磁石は電子ビーム調整用に限られず、
従前の円筒形磁石の用途に広く利用できるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は、いずれも本考案の実施態
様を示す斜視図である。 １……円筒状周面、２……スリツト、３……凹
部、４……可撓性欠円筒状磁石、５……支持体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ プラスチツク又はゴム磁石からなり、円筒状
   周面の軸方向にスリツトを設け、且つ円筒状の
   端部又は円筒状の内周面に凹部を設けたことを
   特徴とする欠円筒状永久磁石。 ２ 欠円筒状永久磁石が可撓性であり、その内周
   面に非可撓性の非磁性材料からなる欠円筒状支
   持体を配設した実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の永久磁石。