JPH0313574Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関においてその冷間時の始動
を容易にするために始動用燃料を供給する装置に
関するものである。

〔従来の技術〕

一般に内燃機関では、その冷間時の始動性を向
上するために、吸気マニホールドに冷間始動用イ
ンジエクタを設け、機関の冷間始動時においてこ
の冷間始動用インジエクタから小量の燃料を噴霧
供給するようにしており、従来は、例えば特開昭
58−10154号公報に記載されているように、吸気
マニホールドを、気筒列方向に延びるサージタン
クと、該サージタンクから各気筒に対して各々独
立して延びる複数本の吸気管とによつて構成する
一方、エアクリーナからの吸気通路を、前記サー
ジタンクの一端部に当該サージタンクの長手方向
と平行に接続して成る内燃機関において、機関の
冷間始動に際して小量の燃料を噴霧供給するため
の冷間始動用インジエクタを、前記サージタンク
に対してその長手方向の略中央部の部位に設けて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしこの従来のものは、冷間始動用インジエ
クタからサージタンク内に噴霧供給した燃料を、
各吸気管に対して等しく分配することができない
点に問題がある。

すなわち、前記のように吸気マニホールドを、
気筒列方向に延びるサージタンクと、該サージタ
ンクから各気筒に対して各々独立して延びる複数
本の吸気管とによつて構成し、そのサージタンク
の一端部に、エアクリーナからの吸気通路を当該
サージタンクの長手方向に接続開口した場合、吸
入空気はサージタンク内をその長手方向に流れる
と共に、その流速は吸気通路のサージタンクへの
接続開口部に近付く程早くなつているから、サー
ジタンクに対して冷間始動用インジエクタを従来
のように当該サージタンクの長手方向の中央部に
設けることは、この冷間始動用インジエクタより
サージタンク内に噴霧供給された燃料のうち吸気
通路のサージタンクへの接続開口部に近い箇所に
位置する吸気管に向かう燃料は、吸気通路のサー
ジタンクへの接続開口部における吸入空気の早い
流速によつて、サージタンクの他端部の方に流さ
れることになる。このため、各吸気管のうち吸気
通路のサージタンクへの接続開口部に近い箇所に
位置する吸気管には、冷間始動用インジエクタか
らの燃料が入り難くなり、始動のための燃料を各
吸気管に対して等しく分配することができず、始
動用燃料の供給量が少ない気筒では燃料不足によ
る着火不良が発生することになるから、冷間始動
用インジエクタからの燃料の供給による冷間始動
性の向上を十分に達成することができないのであ
つた。

本考案は、この問題を解消することを目的とす
るものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案は、前記のように吸気マニホー
ルドを、気筒列方向に延びるサージタンクと、該
サージタンクから各気筒に対して各々独立して延
びる複数本の吸気管とによつて構成する一方、エ
アクリーナからの吸気通路を、前記サージタンク
の一端部に当該サージタンクの長手方向と平行に
接続開口して成る内燃機関において、機関の冷間
始動に際して燃料を噴霧供給するための冷間始動
用インジエクタを、前記サージタンクに対してそ
の長手方向の中央部の部位から前記吸気通路のサ
ージタンクへの接続開口部側に適宜距離だけ寄つ
た部位に設けた構成にしたものである。

〔考案の作用・効果〕

冷間始動用インジエクタを、内燃機関の気筒列
方向に延びるサージタンクに設けるにおいて、こ
の冷間始動用インジエクタを前記のようにサージ
タンクの長手方向の中央部の部位に設けることに
代えて、サージタンクの長手方向の中央部の部位
から前記吸気通路のサージタンクへの接続開口部
側に適宜距離だけ寄つた部位に設けたことによ
り、冷間始動用インジエクタは、吸気通路のサー
ジタンクへの接続開口部に近い部位に位置する吸
気管に近くなり、当該冷間始動用インジエクタか
ら噴霧供給される燃料のうち前記吸気通路のサー
ジタンクへの接続開口部に近い部位に位置する吸
気管に向かう燃料の流速を、従来の場合よりも向
上できるから、当該吸気通路に近い部位に位置す
る吸気管に入る燃料の量が、吸気通路からサージ
タンク内に流入する吸気空気の流速によつて阻害
されるのを低減できるのである。

従つて本考案によると、機関の冷間始動に際し
て噴霧供給される燃料を、各気筒に略等しく分配
することができ、冷間始動時における着火燃焼を
全部の気筒について安定化できるから、冷間始動
用インジエクタからの燃料供給による冷間始動性
の向上を確実に達成できる。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、図において１は、４つの気筒Ａ１，Ａ２，Ａ
３，Ａ４を列状に備えた内燃機関、２は、該内燃
機関１の側面に取付く吸気マニホールドを各々示
し、前記吸気マニホールド２は、前記内燃機関１
の気筒列方向に延びるサージタンク３と、該サー
ジタンク３から前記各気筒Ａ１，Ａ２，Ａ３，Ａ
４における吸気ポート４に対して各々独立して延
びる複数の吸気管５とで構成され、この吸気マニ
ホールド２におけるサージタンク３の一端部に
は、エアクリーナ（図示せず）からの吸気通路６
が、前記サージタンク３の長手方向と平行となる
ようにして接続されており、この吸気通路６には
吸入調節用のスロツトル弁（図示せず）が設けら
れている。

この場合、前記各吸気管５のサージタンク３に
対する接続開口部５ａは、略同じ高さに位置し、
換言すると各吸気管５のサージタンク３への該接
続開口部５ａは略水平な同一平面上に位置してい
る一方、前記吸気通路６のサージタンク３への接
続開口部６ａは、前記各吸気管５のサージタンク
３への接続開口部５ａよりも、適宜寸法（Ｈ）だ
け下方又は上方の部位に位置している。

そして、前記吸気マニホールド２におけるサー
ジタンク３に、機関の冷間始動に際して適宜時間
の間だけ燃料をサージタンク３の長手方向に広が
り角度（θ）を持つて噴霧するようにした冷間始
動用インジエクタ７を設けるにおいて、この冷間
始動用インジエクタ７を、内燃機関１の平面視に
おいてクランク軸線８と直角方向の横中心線９の
上の部位、つまりサージタンクにおける長手方向
の中央部の部位に設けることなく、この横中心線
９よりも適宜距離（Ｌ）だけ前記吸気通路６のサ
ージタンク３への接続開口部６ａに寄つた部位に
設ける。

このように、サージタンク３に対して設けられ
る冷間始動用インジエクタ７を、内燃機関１の平
面視においてクランク軸線８と直角方向の横中心
線９、つまりサージタンク３の長手方向の中央部
の部位よりも適宜距離（Ｌ）だけ前記吸気通路６
のサージタンク３への接続開口部６ａに寄つた部
位に設けることにより、該冷間始動用インジエク
タ７は、各吸気管５のうち前記吸気通路６のサー
ジタンク３への接続開口部６ａに近い部位の吸気
管５に近付くことになり、当該冷間始動用インジ
エクタ７から噴霧供給される燃料のうち前記吸気
通路６のサージタンク３への接続開口部に近い部
位の吸気管５に向かう燃料の流速を、冷間始動用
インジエクタ７を前記横中心線９の付近に設けた
場合よりも向上できるから、当該吸気通路６のサ
ージタンク３への接続開口部に近い部位の吸気管
５に入る燃料の量が、吸気通路６から図に矢印Ａ
で示すようにサージタンク３内に流入する吸入空
気の流れによつて阻害されることを低減できる。

なお、前記実施例は、前記吸気通路６のサージ
タンク３への接続開口部６ａを、各吸気管５のサ
ージタンク３への接続開口部５ａよりも適宜寸法
（Ｈ）だけ下方に位置する一方、サージタンク３
における底板３ａに前記冷間始動用インジエクタ
７を設けた場合を示したが、前記吸気通路６のサ
ージタンク３への接続開口部６ａを、各吸気管５
のサージタンク３への接続開口部５ａよりも適宜
寸法（Ｈ）だけ上方に位置した場合には、冷間始
動用インジエクタ７を、サージタンク３の天井板
３ｂに設けるようにすれば良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は内燃機
関の一部切欠平面図、第２図は第１図の−視
断面図である。 １……内燃機関、２……吸気マニホールド、３
……サージタンク、４……吸気ポート、５……吸
気管、６……吸気通路、６ａ……吸気通路のサー
ジタンクへの接続開口部、７……冷間始動用イン
ジエクタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気マニホールドを、気筒列方向に延びるサー
   ジタンクと、該サージタンクから各気筒に対して
   各々独立して延びる複数本の吸気管とによつて構
   成する一方、エアクリーナからの吸気通路を、前
   記サージタンクの一端部に当該サージタンクの長
   手方向と平行に接続開口して成る内燃機関におい
   て、機関の冷間始動に際して燃料を噴霧供給する
   ための冷間始動用インジエクタを、前記サージタ
   ンクに対してその長手方向の中央部の部位から前
   記吸気通路のサージタンクへの接続開口部側に適
   宜距離だけ寄つた部位に設けたことを特徴とする
   内燃機関の始動用燃料供給装置。