JPH0313541A

JPH0313541A - 耐摩耗性に優れたシリンダーライナー材

Info

Publication number: JPH0313541A
Application number: JP14714789A
Authority: JP
Inventors: Takeru Morikawa; 長森川; Yoshihiro Nakagawa; 中川　義弘; Takashi Hashimoto; 隆橋本
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1989-06-09
Filing date: 1989-06-09
Publication date: 1991-01-22

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）自動車等のピストンエンジンに使用されるシリンダーラ
イナーの材料に関する。

（従来の技術）エンジンの主要構成部品の一つであるシリンダーライナ
ーには、耐摩耗性が良いこと、熱伝導性が良いこと、強
度・剛性が大きいこと、ピストンとのなじみが良いこと
、耐食性が良いことが必要条件とされ、近年、低ＮＯｘ
対策や高出力化のため過酷な条件で使用される傾向にあ
る。このため、その耐久性を向上させる工夫が種々なさ
れている。

材質面では、一般にＰ−Ｃｒ系鋳鉄が主流で、その他に
、Ｎｉ、　Ｃｒ５ＣｕＳＶ等を加えたもの、あるいは、
Ｎｂ、　Ｂを添加したものがある。そして、ライナー摺
動面には、片状黒鉛を晶出させ、基地をパーライトとし
、更にステダイトおよびセメンタイト炭化物を析出させ
、摺動面の硬度は、８ｇ３０〜４０程度とされている。

一方、製造法としては、普通鋳造法が主流であるが、金
型遠心力鋳造法も開発されている。

（発明が解決しようとする課題）従来の片状黒鉛鋳鉄を硬く、強くするために合金を多く
含有させた場合は、硬度が高くなっても、片状黒鉛が少
なくなり、摺動部材としての機能が低下する傾向があっ
た。

本発明はかかる問題点に鑑みなされたもので、片状黒鉛
を晶出させながら、従来材よりも高硬度で、強度や両性
が大きく、かつ耐摩耗性に優れたシリンダーライナー材
を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段）上記目的を達成するためになされた本発明のシリンダー
ライナー材は、化学組成が重量％で、Ｃ：　　２．０〜
３．５％、Ｎｉ：２．０〜１２．０％、Ｓｉ　：　　１
．６〜３．５％、Ｃｒ　：　　０．１〜５．０％、Ｍｎ
：　　１．５％以下、　Ｍｏ　：　　２．０〜１６．０
％、残部実質的にＦｅから成り、組織中に片状黒鉛が面
積率で５〜２０％晶出していることを発明の構成とする
ものである。

また、上記化学組成におけるＮｉ：２．０〜１２．０％
に代えて、Ｎｉ　：　１０．０％以下とし、Ｃｕ　：　
０．５〜５．０％の範囲で、Ｎｉ＋Ｃｕ　：　２．０〜
１２．０％としてもよい。

（作　用）本発明のシリンダーライナー材の化学組成は以下の理由
により限定される。組成単位は以下すべて重量％である
。

Ｃ：２．０〜３．５％ＣはＭｏと結合してＭｏ炭化物を形成し、また後述のＳ
ｉ、　Ｎｉの黒鉛化促進元素の働きによって微細な黒鉛
となって晶出する。２．０％未満では河０炭化物が減少
すると共に黒鉛が晶出し難くなる。一方、３．５％を越
えると黒鉛の晶出が過多となって、耐摩耗性が劣化する
。

Ｓｉ：１．６〜３．５％Ｓｉは、白銑化元素であるＭｏを多量に含有し、また、
Ｃｒも含有する本成分系の材料に黒鉛を晶出させるため
に必要で、１．６％未満ではこの効果がほとんどなく、
３．５％を越えると黒鉛品出が過多となり、耐摩耗性を
劣化させる。なお、Ｓｉの添加については、鋳込前のＳ
ｉ量を目標よりも低目にしておき、鋳込時に接種を行っ
て、最終製品の組成で上記範囲に入るように調整する方
が黒鉛の晶出には有利である。

Ｍｎ：　　１．５％以下ＭｎはＳの害を除（ために必要であるが、１．５％を越
えると機械的性質特に靭性の劣化が著しくなる。

Ｎｉ：２．０〜１２．０％Ｎｉは基地組織の改良と共に黒鉛を晶出させるために必
要で、２％未満では黒鉛の晶出が困難となる。一方、１
２．０％を越えるとＳｉの場合と同じく、黒鉛品出が過
多となり耐摩耗性が劣化すると共に、残留オーステナイ
トが増加して、圧延使用時の分解、膨張に起因して発生
する肌荒れが問題となる。

Ｃｒ　：　　０．１〜５．０％ＣｒはＣと結合して、Ｍｏ炭化物中に入り、炭化物を強
化する。０．１％未満では強化作用がほとんど期待でき
ないが、５．０％を越えると黒鉛の晶出を阻害する。

Ｍｏ　：　　２．０〜１６．０％Ｍｏは焼戻し抵抗性を高めるために、高温での使用時の
耐摩耗性向上に有効である。また、Ｃと結合してＭｏ炭
化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。

２．０％未満ではこれらの効果が少な（、一方１６％を
越えると黒鉛晶出を阻害する。

上記合金成分において、Ｎｉ：２．０〜１２．０％とあ
るのを、Ｎｉ　：　１０，０％以下、Ｃｕ　：　０．５
〜５．０％の範囲で、ＮｉとＣｕとの含有量の合計（Ｎ
ｉ＋Ｃｕ）が２．０〜１２．０％としてもよい。Ｎｉを
１０％以下に押えることにより、残留オーステナイトの
増加、安定化を抑制することができる。ＣｕはＮｉと同
等の黒鉛化促進効果を有し、かつパーライト組織の強化
や熱的安定化に寄与するが、０．５％未満では有効な作
用を奏せず、一方５％を越えると金属Ｃｕが析出し、機
械的性質が劣化する。Ｃｕ＋Ｎｉが２．０％未満では黒
鉛の晶出が困難となり、一方１２％を越えると黒鉛晶出
が過多となり、耐摩耗性が劣化する。

本発明の鋳鉄材は以上の成分のほか残部Ｆｅおよび不純
物で形成される。尚、Ｓは成分を脆くするので少ない程
望ましく、Ｓ：０．１２％以下に止めておくのがよい。

一方、Ｐも一般的に材質を脆くするので少ない程望まし
いが、摺動耐摩耗材としては、Ｐ共晶組織を出すことに
より、耐焼付性、耐摩耗性を向上させるため、０．８％
程度以下の含有が許容される。また、基地組織の改善、
炭化物の強化、微細化のために、Ｆｅの一部をＢ：１．
Ｑ％以下、Ｖ：１．０％以下、Ｎｂ　：　１．０％以下
に置き換えることができる。

一方、組織中の片状黒鉛量は面積％で５〜２０％とされ
る。５％未満では耐焼付性に劣り、一方２０％を越える
と、強度、ヤング率が低下し、ひいては剛性も低下する
。

本発明の鋳鉄材は、前記化学組成の溶湯を普通鋳造法又
は金型遠心力鋳造法によりシリンダーライナーとして鋳
造する。その際、Ｆｅ−５ｔ等の接種材によって接種を
行ない、黒鉛化を促進するのがよい。尚、本発明材は鋳
造後、通常のように、歪除去熱処理が施されるが、機械
加工の面から、硬度をあまり高くした（ない場合は、歪
取温度を高くすればよく、歪取温度を調整することによ
り硬度を調整することができる。

（実施例）〈実施例Ａ〉（１）下記第１表の化学組成（重量％、残部実質的にＦ
ｅ）の鋳鉄材を溶製し、砂型鋳造を行なって試験素材を
得た。尚、同表中Ｎα１〜６が本発明実施例、漱７およ
び８が比較例、Ｎα９が従来例である。

第１表（２）　　（１）の素材より試料を採取し、硬さ試験、
引張試験および焼付性試験に供した。その結果を第２表
に示す。

第２表中、焼付性試験は下記のファレックス試験により
、判定したものであり、×は焼付発生有、Ｏは無を意味
する。

■　ファレックス試験は、第３図に示すように、テスト
ビン１１の一端を回転機１２にシアービン１３によって
固定し、その他端を一定荷重Ｐの下で一対のＶブロック
１４．１４により挟み付けながらテストピース１１を回
転させ、回転に要したトルクにより焼付の有無、程度を
調べるものである。

■　試験条件は下記の通りであった。

テストビン寸法−一一一−−−−−−−φ１０　Ｘ　３
５　ｆ■ブロック寸法・−・−−−−−・−φ１５（材
質ＳＯ５４３０）テストビン回転数・−−−−−３０Ｏ
ｒ　ｐ　ｍ負荷荷重Ｐ・−・−−−−−−−−３０ｋｇ
　ｆ試験環境−−−−ｍ＝−−−・・−−一−−大気中
無潤滑第２表（３）また、実施例中代表的成分であるＮα１および従
来例阻９について、光学顕微鏡による組織観察を行った
。その結果をＮα１については第１図（１）および（２
）に、Ｎα９については第２図（１）および（２）に示
す。各組織写真とも１００倍であり、図中（１）は腐食
なし、（２）は腐食後のものである。

（４）評　価従来例Ｎα９は、片状黒鉛が多量に発生し、基地はパー
ライトの軟らかい組織であり、硬度はＨｓ３４、ヤング
率は９９００ｋｇｆ／ｍｍ２であったが、実施例は、第
１図のように片状黒鉛と、多（のＭＯ炭化物、基地から
成り、硬度も、１ｌｓ６９〜７４、ヤング率１４０００
〜１５０００Ｋｇｆ／ｎ＋ｍ２であり、従来例に比べて
硬度、ヤング率の大幅な向上が図られた。

また、焼付試験の結果、従来例、実施例（ＮＯ１１〜６
）では、黒鉛が片状であり、面積が５％以上あるので、
焼付は生じなかった。しかし、比較例漱７および８では
、黒鉛が粒状で面積が３％程度あるため焼付が発生した
。

また、引張強さは、実施例は従来例に対して２倍程度の
向上が認められた。従って、実施例はヤング率が格段に
向上したことを合せて考えると、シリンダーライナーの
厚さを薄くすることができ、しかも硬度の大幅な向上に
よって優れた耐摩耗性を具備するものとなる。

〈実施例Ｂ〉（１）　　第１表Ｎ０１１の溶湯を遠心力金型鋳造して
、外径１１９ｍｍφ、内径１０４　ｍｍφ、肉厚７　、
５　ｍｍ　、長さ１８３５ｍｍの円筒素材を鋳造した。

鋳造に際して接種材としてＣａ−５ｉを１．０％（Ｓｉ
分として０．５％）取鍋中に添加した。

（２）その後、該素材に５６０°ＣＸ１５Ｈｒの歪除去
熱処理を施した後、目標の寸法のシリンダーライナーに
加工した。硬度を測定したところＨｓ６Ｂであった。ま
た、組織観察したところ、基地中に片状黒鉛が面積率で
１０％晶出していた。

（３）該シリンダーライナーを組み込んだエンジンを用
いて試験運転したところ、耐久性の著しい向上が見られ
、期待通りの効果が得られた。

（発明の効果）以上説明した通り、本発明のシリンダーライナー材は特
定組成のニッケル・クロム・モリブデン系鋳鉄材で形成
したので、基地中に片状黒鉛を５〜２０％晶出させると
共に多量の高硬度Ｍｏ炭化物を生成させることができ、
硬度、引張強さおよびヤング率を大きくすることができ
、そのためシリンダーライナーの厚さを薄くすることが
でき、しかも高温焼戻し抵抗性が高く、耐摩耗性に優れ
る。

また片状黒鉛晶出量を所定量に規定しているので、優れ
た耐焼付を具備している。更に、ヤング率が大きいため
、機械加工時のチャックによる保持に対しても変形が少
なく、寸法精度の向上効果も期待することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図（１）および（２）は実施例のシリンダーライナ
ー材の金属組織写真、第２図（１）および（２）は従来
例の同ライナー材の金属組織写真、第３図はファレック
ス試験要領説明図を示す。特　許　出　願　人　　久保田鉄工株式会社−２′；

Claims

【特許請求の範囲】

（１）化学組成が重量％で、Ｃ：２．０〜３．５％、Ｎｉ：２．０〜１２．０％、Ｓ
ｉ：１．６〜３．５％、Ｃｒ：０．１〜５．０％、Ｍｎ
：１．５％以下、Ｍｏ：２．０〜１６．０％、残部実質
的にＦｅからなり、組織中に片状黒鉛が面積率で５〜２
０％晶出していることを特徴とする耐摩耗性に優れたシ
リンダーライナー材。
（２）化学組成が重量％で、Ｃ：２．０〜３．５％、Ｃｒ：０．１〜５．０％、Ｓｉ
：１．６〜３．５％、Ｍｏ：２．０〜１６．０％、Ｍｎ
：１．５％以下、Ｃｕ：０．５〜５．０％、Ｎｉ：１０
．０％以下、Ｎｉ＋Ｃｕ：２．０〜１２．０％残部実質
的にＦｅからなり、組織中に片状黒鉛が面積率で５〜２
０％晶出していることを特徴とする耐摩耗性に優れたシ
リンダーライナー材。