JPH0312091Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、或る長さの金属板材の端縁を屋根の
巾方向で接続して葺き上げるようにする板屋根材
に係るのである。

（従来の技術） 銅板などの或る長さの金属板材の両側端縁を屋
根の巾方向で接続して葺き上げる従来の板屋根材
は、該板材の長さ方向の両端縁に上下を互いに反
対にした曲げ縁を設けたはぜ組み構造のもの、ま
たは板屋根材自体に曲げ加工を施さず、該板屋根
材の両側の端縁を差み込む溝を一体に形成した継
ぎ手捨て板を併せて使用している。

（考案が解決しようとする問題点） 従来は前項に述べたようにはぜ組み構造の屋根
板材も、継ぎ手捨て板とを併用する屋根板材も共
に、雨漏り防止施工を入念に施す必要があつて屋
根葺き作業に手間取る欠陥がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は前記した欠陥を除くことを目的とした
もので、金属板材の長さ方向の一方の端縁に、下
面に鋭角を以て折り返した第１傾斜面と、その第
１傾斜面の下縁から水平に折り返して屈曲した第
１水平面と、その第１水平面の端縁から鋭角に曲
げて第１傾斜面と対称形に対応させた第２傾斜面
と、その第２傾斜面の上縁から金属板材の上面と
ほぼ同じ高さにして鋭角に曲げ返した第２水平面
とを形成し、金属薄板の他方の長さ方向の端縁に
下面へ接合する突出曲げ返しを施し、その曲げ返
しの端縁から前記の第１傾斜面とほぼ平行であ
り、且つその第１傾斜面の長さ以内の第３傾斜面
を鋭角を以て斜め下方に曲げ、第１傾斜面の上面
の金属板材上面に、隣り合つた金属板材の突出曲
げ返しを接合すると共に、第１傾斜面と第１水平
面との間に第３傾斜面を挿入する嵌め合い溝を構
成する構造により嵌め込みだけで屋根葺きを迅速
に施し得るもので、前項に述べた従来構造の欠陥
を除き得る。

（実施例） 本考案の一実施例を説明するに、金属板材１は
横に長い矩形の銅板からなり、第１図に示すよう
に右下の隅に後記する第１傾斜面９、第一水平面
１０、第２傾斜面１１、第二水平面１２及び補強
縁１３を曲げて形成する部分に合致させ、その曲
げ加工を避ける第一隅落し切欠６を設け、左上及
び左下の隅に後記する突出形曲げ返し１４、第三
傾斜面１５及び補強二重縁１６を形成する部分に
合致させて第二隅落し切欠７と第三隅落し切欠８
とを設ける。

金属板材１の右側の端縁部２には下面に鋭角状
を以て折曲した第１傾斜面９を設け、その第１傾
斜面９の下縁から折返し状の水平に屈曲して該第
１傾斜面９の下面から一部を突出する第１水平面
１０を設け、その第１水平面の端縁から上方に鋭
角に曲返して第１傾斜面９と対称形に対応させた
第２傾斜面１１を形成し、その第２傾斜面１１の
上縁から折返し状に曲げた第２水平面１２を設
け、該第２水平面１２の端縁に下面に曲返して二
重にした補強縁１３を形成する。また金属板材１
の左側の端縁部３に、下面に接合する突出形曲げ
返し１４を施し、その曲げ返し１４の端縁から前
記の第１傾斜面４とほぼ平行であり且つその第１
傾斜面９の長さ以内の第３傾斜面１５を鋭角形を
以て曲げ、該第３傾斜面１５の端縁に補強二重縁
１６を曲げ返しによつて形成する。

この金属板材１の上端縁部４には上面に鋭角形
を以て曲げた上側継ぎ屈曲２１を設け、下端縁部
５には下方及び屋根の上方に順次に直角二度曲げ
を施した下側継ぎ屈曲２２を設ける。

第１傾斜面９と第１水平面１０とによつて構成
される懐部には、隣り合つた金属板材１ａの第３
傾斜面１５と補強二重縁１６とを差込む嵌合い溝
２３を構成する。上側継ぎ屈曲２１は第１傾斜面
９から第２水平面１２及び補強縁１３までを曲げ
た上側継ぎ屈曲２１ａと第２水平面１２を屈曲し
た上側継ぎ屈曲２１ｂを含む。

本実施例は、先端を鋭角形に曲返してフツク２
７を形成した巾の狭い止め板２６の、前記のフツ
ク２７を上側継ぎ屈曲２１の上から引つ掛け、該
止め板２６を、勾配を持つた屋根板ａに釘止めし
て金属板材１を取付け、右に隣り合つた金属板材
１の突出曲げ返し１４を上面に重ねると共に第３
傾斜面１５を嵌合い溝２３に嵌める順序により、
左から右に、多数の金属板材１を連結して延長す
る。（尤も本実施例の金属板材１を以て右から左
に連結して延長することもできる。）屋根勾配の
上方の金属板材１の上側継ぎ屈曲２１を下方の金
属板材１の上側継ぎ屈曲２２及び止め板材２６の
フツク２７の上から下面に差し込んで噛合い状の
係合を施し、該上方の金属板材１の上側継ぎ屈曲
２１にも止め板２６のフツク２７を引つ掛け、該
止め板の前記と同じな釘止めをして屋根葺き工事
を進行する。

隣り合つた金属板材１の突出曲げ返し１４を上
面によつて重ねることによつて生ずる継ぎ目ｂ
（第６図）は屋根の勾配方向に於いて千鳥形にす
るものであるが、一直線にすることもできる。

図面では第１傾斜面９、第１水平面１０、第２
傾斜面１１及び第３傾斜面１５の形成状態を分か
りやすくするため離してあるが、実際には上から
押し潰して偏平にする。このため嵌め合い溝２３
も押し潰された偏平形状になる。

前記の押し潰しは屋根葺き工事中に生じさせる
ことも出来る。

（本考案の作用及び効果） 本考案は、前記の説明により明らかにしたよう
に、多数枚の金属板材１のみを以て屋根葺きを施
すようにしたものであつて、屋根の巾方向で隣り
合う金属板材１突出曲げ返し１４が上面に重な
り、同時に第３傾斜面１５が第１傾斜面９の下面
と第１水平面１０の上面間に構成される嵌合い溝
２３に嵌まり（第６図）、それによつて構成され
る継ぎ目ｂから漏れる雨水は、第１傾斜面９と第
１水平面１０と第２傾斜面１１とによつて構成す
る縦溝に流れ、屋根勾配の下方に葺かれた金属板
材１の上面に流れ出すから、継ぎ目ｂを千鳥形に
しているときに屋根下への雨漏りを完全に防ぐ。
又継ぎ目ｂが屋根の上下方向で直線になつている
ときも、本考案に於いて本考案の要旨外となつて
いる下側継ぎ屈曲２２を越えて下方の継ぎ目ｂに
流れるのでこの場合も雨漏りを防ぐことが出来
る。また本考案は従来のようにはぜ組みを施した
り継ぎ捨て板の類を使用しないものであるから、
屋根葺き工事を容易にする。その他、葺工事の折
りの継ぎ目ｂの多少の伸縮を、突出曲げ返し１４
の突出の長さと第３傾斜面１５を嵌める嵌合い溝
２３の嵌め込みの長さの範囲内で加減出来るか
ら、屋根巾の方向での伸縮の許容性を充分に持た
せ得る等の利益がある。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示し、第１図は
金属板材１の展開図、第２図は金属板材１の折曲
げを施した態様の一部切欠平面図、第３図は止め
板材２６の斜視図、第４図は第２図Ａ−Ａ線切断
側面図、第５図は第２図Ｂ−Ｂ線切断側面図、第
６図は要部の切断正面図である。 １→金属板材、２，３→端縁部、９→第１傾斜
面、１０→第１水平面、１１→第２傾斜面、１２
→第２水平面、１４→突出曲げ返し、１５→第３
傾斜面、２６→止め板、２７→フツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 或る長さの金属板材の長さ方向の端縁を屋根の
   巾方向で接続して葺き上げるものに於いて、金属
   板材１の長さ方向の一方の端縁２に、下面に鋭角
   を以て折り返した第１傾斜面９と、その第１傾斜
   面９の下縁から水平に折り返して屈曲した第１水
   平面１０と、その第１水平面１０の端縁から鋭角
   に曲げて第１傾斜面９と対称形に対応させた第２
   傾斜面１１と、その第２傾斜面１１の上縁から金
   属板材１の上面とほぼ同じ高さにして鋭角に曲げ
   返した第２水平面１２とを形成し、金属板薄１の
   他方の長さ方向の端縁３に下面へ接合する突出曲
   げ返し１４を施し、その曲げ返し１４の端縁から
   前記の第１傾斜面９とほぼ平行であり、且つその
   第１傾斜面の長さ以内の第３傾斜面１５を鋭角を
   以て斜め下方に曲げ、第１傾斜面９の上面の金属
   板材１上面に、隣り合つた金属板材の突出曲げ返
   しを接合すると共に、第１傾斜面９と第１水平面
   １０との間に第３傾斜面１５を挿入する嵌め合い
   溝２３を構成してなる板屋根材の構造。