JPH0311317Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は屋根棟部から軒先部側に向けて消雪水
を波状水膜を形成させて流下せしめながら消雪す
る屋根消雪装置に係るものである。

〔従来の技術〕

従来の屋根消雪装置は、屋根上に散水パイプを
配設し、この散水パイプより温水や地下水を散水
して消雪する方法や、ヒーター線を配設したりパ
ネルヒーターを敷設して消雪する方法や、自然雪
滑屋根で雪を滑り落とす方法等があるが、前者は
屋根の損傷が早く、その上水漏れの心配があり、
中者は電気代がかさみ経済的ではなく、後者は広
大の敷地が必要であり普及されていないのが現状
であつた。

最近これらに変わつて室内暖気（排熱）で屋根
裏を加温して雪を融かす自然融雪屋根が開発さ
れ、普及し始めたが、経済的であるが、熱エネル
ギーが小さいため良く融けず豪雪時には全然効果
が発揮されない。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、かかる欠点を解決したもので、屋根
棟部から軒先部に向かつて地下水や温水や貯水等
で波状水膜を形成させて流下せしめることにより
強制的に消雪する画期的な屋根消雪装置を提供す
ることを技術的課題とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

勾配を有する屋根において、棟部の棟方向に地
下水や温水や貯水等の消雪水を流し出す消雪水流
出パイプ１を設け、棟部から軒先部までの屋根全
面に板材を折曲して凹条２及び凸条３を横方向に
交互に連設し夫々の凹条２及び凸条３を屋根勾配
に沿わせるとともに夫々の凸条３の頂縁を棟部に
対して略平行に形成した波状体４を載置し、この
波状体４の凸条３の頂部に上側の凹条２から溢水
して下側の凹条２へ流下する消雪水の流下部３′
を設け、波状体４の軒先部に排水樋５を設けた事
を特徴とする屋根消雪装置に係るものである。

〔作用〕

消雪水流出パイプ１に地下水や温水や貯水等を
送り込んで屋根上の波状体４に流出させると、消
雪水はまず最も棟部に近い凹条２を満たし、この
凹条２から溢水した消雪水は凸条３の流下部３′
を通過して次の下側の凹条２へ流下し、順次凹凸
した波状体４の全面に波状水膜を形成し乍ら軒先
部に向かつて流れて行き、この波状体流水で波状
体４上の雪を消雪することになる。

上側の凹条２から流下部３′を乗り越えて下側
の次の凹条２へ溢水する消雪水は、その落差によ
りチヤプンという音を立てて流下する。この落下
力（波のエネルギー）及び溢水による水同志の摩
擦力により生ずる微熱により消雪効果が高まる。

消雪水流出パイプ１から消雪水を波状体４上に
波状水膜が常時形成される程多量に流下させた場
合においても、降雪が凹条２に落下すると、その
凹条２の水面が上昇して上述の溢水現象同様の状
態が生じることになる。

この融けた水は軒先部に設けた排水樋５によつ
て回収され外部に排出される。

〔実施例〕

図面の屋根は切妻屋根を図示し、棟部上に水用
と温水用の２本の消雪水流出パイプ１を設けた場
合を図示している（温水用は上部の凹条２の中に
設けても良い）。

この消雪水流出パイプ１には送水管６が連設さ
れ、この送水管６の途中にポンプ７を設け、他端
部を地上の貯水槽８に連設している。

図面の波状体４は凹条２、凸条３の谷角度、山
角度が夫々約60゜前後で凹条２底部に平らな接地
部１０を形成した折曲金属板製の波状体４を図示
している。

第３図の波状体４は市販の折版波状材を使用
し、凸条３の長さ方向にキヤツプ部材１１を被嵌
して凹条２、凸条３を形成した場合を図示してい
る。

この波状体４の形成は新築の場合には、野地板
上に直接波状体４を張設すれば良いし、改造の場
合には、既存屋根上に張設すると良い。

この波状体４の両側部の勾配方向に止水板１２
を設けている。

排水樋５には排出管１３が連設され、この排出
管１３に先端部を貯水槽８に連設して融水を貯水
槽８に回収し再び使用する場合を図示している。

また、図面の波状体４は、凸条３の下側壁が屋
根勾配に対して略垂直方向に向くから降雪面積が
小さく、それだけ雪の付着することが防止され、
仮に付着しても急勾配のため凹条２の中にすぐに
滑り落ちてしまう為、非常に良好な波状体４とな
る。

実施例の場合、夏場には、この波状体４の凹条
２に水を溜め、太陽熱で温めて風呂、シヤワー等
の温水として使用することが可能となる。

図中１４はフイルター、１５は凍結防止用の温
水パイプ、９はボイラーである。

尚、消雪水流出パイプ１から大量の水を瞬間的
に送り出す波状流水方式を採用すれば一層秀れた
融雪効果が発揮されることが実証済であり、また
水の中に少量の不凍剤を入れることにより効果が
上ることも実証済である。

〔考案の効果〕

本考案は、上述の様に構成したから消雪水流出
パイプ１から流れ出た消雪水は波状体４上を波状
流水となつて流下するため、波状流水運動による
水の分子間摩擦により発生する微熱により波状体
４上の積雪を効率良く消雪し得ることになる。

更に、この消雪水は高低差のある上側の凹条２
から下側の凹条２へ溢水することで流下する為、
その落下により生じる波のエネルギーにより効率
的な消雪が行なわれることになる。

そして、消雪水流出パイプ１から流下する消雪
水を多量にすれば波状体４上に波状水膜が形成さ
れ、より効率的な消雪が可能となる。

降雪量が多かつたり、仮に良く融けなかつた雪
は水膜によつて流されて次の凹条２の中に送ら
れ、この凹条２の溜水で融かされるから確実な消
雪が出来る。即ち水が流れている中に雪を投げ入
れて流し乍ら融かして行う「流雪溝の原理」と同
様にして雪を流し乍ら融かし、しかも融けなかつ
た雪を途中の溜水の中で強制的に融かして行く消
雪方法であるから確実な屋根消雪装置になる。

更に本考案は波状体４が板材を折曲して形成さ
れるものである為、波状体４から消雪水が漏れ出
す心配も全くないことになる。

かように本考案は、降雪時に大量の水を波状体
４全面に流すことにより確実に効率の良い消雪を
行うことが出来ると共に従来の石油、ガス、電気
等の熱エネルギーを使用する方法に比して経済的
で省エネタイプの屋根消雪装置を提供することに
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本装置の斜面図、第２図は要部の側断
面図、第３図は別紙要部の側断面図である。 １……消雪水流出パイプ、２……凹条、３……
凸条、３′……流下部、４……波状体、５……排
水樋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 勾配を有する屋根において、棟部の棟方向に地
   下水や温水や貯水等の消雪水を流し出す消雪水流
   出パイプ１を設け、棟部から軒先部までの屋根全
   面に板材を折曲して凹条２及び凸条３を横方向に
   交互に連設し夫々の凹条２及び凸条３を屋根勾配
   に沿わせるとともに夫々の凸条３の頂縁を棟部に
   対して略平行に形成した波状体４を載置し、この
   波状体４の凸条３の頂部に上側の凹条２から溢水
   して下側の凹条２へ流下する消雪水の流下部３′
   を設け、波状体４の軒先部に排水樋５を設けた事
   を特徴とする屋根消雪装置。