JPH03108Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両用座席、詳しくは両側あるいは
一側と中央部とにリクライニング装置が設けられ
る車両用座席に関する。

近年、背もたれ部が座部に対して回動自在に設
けられる所謂リクライニング装置を有する座席
は、様々なものが実施化され、特に車両用座席に
おいてはリクライニング装置を有する座席が常識
となつている。このリクライニング装置は、通常
座席の片側に設けられることが多いが、シートフ
レームの強度あるいは剛性が低い構造の座席、例
えば二人掛け用の座席においては両側にリクライ
ニング装置を設けることが多い。この場合、両側
に設けられるリクライニング装置は同様の構造の
ものが使用され、一方側の操作によつて他方側の
リクライニング装置も連動するように構成されて
いる。従つて、例えば、有段調整のリクライニン
グ装置を両側に使用した場合には、一方側と他方
側のロツクの位置が合わないことがあり、製作時
に寸法精度を非常に高いものとしなくてはなら
ず、仮りに高いコストをかけて寸法精度を上げた
にしても、使用に伴なつて左右がずれることが
多々あつた。そして、ずれたまま両側がロツクさ
れると背もたれ部がねじれた状態となり着座状態
が不快なばかりか、安全性にも問題が残るもので
あつた。また両側に無段調整式のリクライニング
装置を使用したものにおいては、有段で調整した
い場合、つまり着座者の好みの位置を記憶させた
い場合などには、好みの位置の見当がつきにく
く、その操作も何度もしなければならず、面倒な
ものであつた。

本考案は前記従来の事情に鑑みなされたもので
あつて、座席の両側あるいは片側と中央に設けら
れたリクライニング装置の一方を有段式に他方を
無段式とし、従来欠点を解消した新規な構成の車
両用座席を提供することを目的とする。

以下図示の実施例によつて本考案を説明する。

第１図に本考案の一実施例である車両用座席１
０を示す。車両用座席１０は、座席座部を構成す
るクツシヨンフレーム１と、このクツシヨンフレ
ーム１に回動自在に取付けられるバツクフレーム
２と、クツシヨンフレーム１の両側に設けられる
有段調整式リクライニング装置３及び無段調整式
リクライニング装置４とから構成されている。バ
ツクフレーム２は有段調整式リクライニング装置
３及び無段調整式リクライニング装置４を介して
クツシヨンフレームに回動自在に取付けられて、
有段調整式リクライニング装置３及び無段調整式
リクライニング装置４でその回動角度が調整され
るようになつている。有段調整式リクライニング
装置３は、第２図にその詳細を示すようにクツシ
ヨンフレームの側部に固着されるベース板３１
と、このベース板３１に回動自在に取付けられ、
バツクフレーム２を支持するアーム３２とを有
し、アーム３２下端に形成された歯溝３３に、ベ
ース板３１に取付けられた係止部材３４が噛合す
ることによつて、アーム３２の回動を規制してい
る。係止部材３４の基端はベース板３１に回動自
在に取付けられ、その先端部にはベース板３１に
回動自在に取付けられたレバー３５の端部が当接
されている。またレバー３５の端部にコイルばね
等の引張部材３６が取付けられ、常時レバー３５
端部と係止部材３４の先端部とが当接し、係止部
材３４とアーム３２の歯溝３３とが噛合し、アー
ム３２の回動が規制されるようになつている。さ
らにレバー３５の係止部材３４と当接する側とは
逆の側には、手などで操作する為のグリツプ３７
が設けられ、グリツプ３７を上方に回動すること
によつてレバー３５端部が引張部材３６から離れ
る方向に回動し、引張部材３６とアーム３２の歯
溝３３との噛合が解除される。係止部材３４と歯
溝３３の噛合が解除されると、アーム３２は回動
自在となり着座者の好みに合わせて、バツクフレ
ームの傾斜角度を調節することが出来るようにな
つている。またレバー３５端部の係止部材３４と
当接する側とは、逆の側には、平板状の回動部材
３８がベース板３１に回動自在に取付けられ、そ
の上端がレバー３５の端部と当接するように構成
されている。この回動部材３８の下端部には、第
１図に示すように連結ワイヤ５の一端が取付けら
れ、レバー３５のグリツプ３７を上方に回動させ
たときに、レバー３５端部に回動部材３８の上端
が押され、下端部が移動し連結ワイヤ５が引かれ
るようになつている。換言すると、グリツプ３７
を上方に動かし、係止部材３４と歯溝３３との噛
合を解除しアーム３２を回動自在とした時に連結
ワイヤ５が引かれるわけである。

前記連結ワイヤ５の他端は、有段調整式リクラ
イニング装置３の逆側に設けられた無段調整式リ
クライニング装置４に取付けられている。無段調
整式リクライニング装置４はクツシヨンフレーム
１側部に固着された支持部材４１と、この支持部
材４１に回動自在に取付けられるくの字状のアー
ム４２と、アーム４２の下端部に取付けられるシ
ヤフト４３と、このシヤフト４３の移動を規制す
るロツク機構４４とからなつている。アーム４２
の上端にはバツクフレーム２が固着されていて、
アーム４２の回動によつてバツクフレーム２が回
動するようになつている。そして、アーム４２の
回動はアーム４２下端に取付けられたシヤフト４
３の移動によつて図られている。シヤフト４３の
移動を規制しているロツク機構４４は、第４図に
示すように、中空の筒状体４５内に一対のコイル
ばね４６，４７が収納され、コイルばね４６，４
７はこれらの内部に挿入されたシヤフト４３の外
面に締着している。これらコイルばね４６，４７
は、予めシヤフト４３の外径よりも小さな外径と
なるように形成され、シヤフト４３が挿入された
時にコイルばね４６，４７の内面がシヤフト４３
の外面に密着するようになつている。またコイル
ばね４６，４７は、互いに巻き方向が逆となるよ
うに配設され、コイルばね４６の一端部が筒状体
４５のシヤフト４３挿入口に、コイルばね４６の
一端部が筒状体４５の底面に夫々係止されてい
る。さらにコイルばね４６，４７の互いに対向し
近接する端部は、筒状体４５中間部に形成された
窓４８より筒状体４５の外側に突出し、ここで両
者が一体となり操作板４９に固着されている。な
お窓４８は筒状体４５の円周方向に沿つて長孔状
に形成され、操作板４９が窓４８に沿つて回動で
きるように構成されている。そしてこの操作板４
９には、前記連結ワイヤ５の他端部が固定されて
いて、連結ワイヤ５が引かれると、操作板４９が
矢印Ａ方向に動きコイルばね４６，４７はその内
径を開くように同時に変形される為、シヤフト４
３の拘束が解除され、シヤフト４３が移動自在と
なり、アーム４２及びバツクフレーム２が回動自
在となる。

前記のように車両用座席１０は、一方の側部に
設けられた有段調整式リクライニング装置３と、
他方の側部に設けられた無段調整式リクライニン
グ装置４とが連結ワイヤ５によつて連結するよう
に構成されている。詳述すると有段調整式リクラ
イニング装置３のレバー３５の操作によつて、ア
ーム３２の歯溝３３と係止部材３４との噛合を解
除し、アーム３２及びバツクフレーム２を回動自
在とし、それと同時にレバー３５の動きによつて
連結ワイヤ５が引かれ、無段調整式リクライニン
グ装置４側のロツク機構４４の操作板４９を動か
し、シヤフト４３が回動自在となつてアーム４２
が回動自在となる為、バツクフレーム２が回動自
在となる。そして好みの位置を得られた後は、レ
バー３５をもとの状態に戻せばアーム３２の歯溝
３３と係止部材３４とが再び噛合し、アーム３２
の回動が規制されるとともに、連結ワイヤ５が引
かれていない状態にあるため、コイルばね４６，
４７が復元し、再びシヤフト４３を締着固定する
ためアーム４２の回動も規制され、バツクフレー
ム２が固定される。

なお、前記実施例においてはリクライニング装
置の両側部に設けたものを説明したが、例えば二
人掛け用に２分割された自動車の後部座席等にお
いては、片側の無段調整式リクライニング装置４
を座部中央に設けてもよい。また有段調整式リク
ライニング装置３および無段調整式リクライニン
グ装置４の構成は、前記実施例に限定されるもの
でなく、例えば無段調整式のものは油圧シリンダ
等を適用してもよい。その他の構成も前記実施例
に限定されるものでなく、本考案の要旨を逸脱し
ない範囲での変更が可能である。

以上説明したように本考案は、座部と、この座
部に回動自在に取付けられる背もたれ部と、座部
の両側部あるいは、一側部及び中央部に設けら
れ、背もたれ部の回動角度を調整するリクライニ
ング装置とを有する車両用座席において、一側部
に設けられたリクライニング装置を有段調整式と
し、他側部または中央部に設けられたリクライニ
ング装置を無段調整式のものとし、両者を連動す
るようにしたものである。したがつて、従来のよ
うにバツクフレームの傾斜角度が左右で異なりバ
ツクフレームがねじれる等ということがなく、片
側の一方の側の有段調整式リクライニング装置に
よつて的確に傾斜位置を定め、他方の側の無段調
整式リクライニング装置はこの傾斜位置と正確に
合わせることができ、この左右の傾斜位置が合つ
た状態において、バツクフレーム２を固定するこ
とが出来るため非常に便利である。また本考案の
構成によれば、簡単に両側にリクライニング装
置、つまり両側にロツク機構を有する構成とでき
るため、座席全体の強度を高いものとすることが
出来、安全で快適な座席を提供することが可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す車両用座席の
斜視図、第２図は有段調整式リクライニング装置
の簡略側面図、第３図は無段調整式リクライニン
グ装置の簡略側面図、第４図は第３図のロツク機
構の詳細を示す斜視図である。 １……クツシヨンフレーム、２……バツクフレ
ーム、３……有段調整式リクライニング装置、４
……無段調整式リクライニング装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 座部と、この座部に回動自在に取付けられる背
   もたれ部と、前記座部の両側部あるいは、一側部
   及び中央部に設けられ、前記背もたれ部の回動角
   度を調整するリクライニング装置とを有する車両
   用座席において、 前記一側部に設けられたリクライニング装置を
   有段調整式とし、前記他側部または中央部に設け
   られたリクライニング装置を無段調整式のものと
   し、両者を連動するようにしたことを特徴とする
   車両用座席。