JPH0310718B2 - - Google Patents
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- JPH0310718B2 JPH0310718B2 JP58241680A JP24168083A JPH0310718B2 JP H0310718 B2 JPH0310718 B2 JP H0310718B2 JP 58241680 A JP58241680 A JP 58241680A JP 24168083 A JP24168083 A JP 24168083A JP H0310718 B2 JPH0310718 B2 JP H0310718B2
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Description
本発明はクラツクの生じない鉄・リンめつき被
膜を得ることができる鉄・リン電気めつき浴に関
する。 鉄・リンめつき被膜は、鉄めつき被膜に比べて
硬度が大きく、このためピストンのスカート部な
どの摺動部材に鉄・リンめつき被膜を形成するこ
とにより、耐摩耗性、耐焼付性などを向上させる
ことが期待できるものである。 しかし従来、鉄・リン電気めつき浴としては、
2価の鉄イオンと次亜リン酸又はその塩とを含
み、更にホウ酸や塩化アンモニウム等を含むもの
が知られているが、本発明者らの検討によると、
この種のめつき浴を用いて鉄・リン電気めつきを
行なつた場合、得られる鉄・リンめつき被膜の断
面に多数のクラツクが生じ、このクラツクが特に
機械的性能を要求する応用面では大きな障害とな
ることを知見した。即ち、クラツクの発生した
鉄・リンめつき被膜はそれ自体のじん性が著しく
低い上、クサビ(ノツチ)効果によりめつきが施
された素材そのもののじん性を低下させるもので
あつた。 このため、本発明者らはクラツクのない鉄・リ
ンめつき被膜を得ることができる鉄・リン電気め
つき浴につき検討を進めた結果、2価の鉄イオン
と次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩とを含むめ
つき浴にアルミニウムイオンを0.05〜0.5g/
添加した場合、得られる鉄・リンめつき被膜はク
ラツクがなく、機械的特性に優れており、このた
め摺動部材などに鉄・リンめつき被膜を形成させ
るためのめつき浴として非常に有効であることを
知見し、本発明をなすに至つたものである。 ここで、アルミニウムイオン添加効果につい
て、ピストンスカートにめつきを行なつた場合を
例として更に説明すると、内燃機関のピストンの
如く、爆発圧力及び慣性力が作用した状態では弾
性変形して作動する摺動部材では、従来の鉄・リ
ンめつき被膜のように柔軟性が不足しているめつ
き被膜をピストンスカートに形成した場合、作動
中の母材の弾性変形にめつき被膜が追従できなく
なると、第1段階としてめつき被膜中にクラツク
が発生する。このクラツクは被膜に平行なものと
垂直方向のものとがある。第2段階では、このク
ラツクが進展し、平行なクラツクは表面にまで進
むとめつき被膜からの剥離になり、垂直方向のク
ラツクは母材にまで進むと母材からの剥離にな
る。第3段階では、剥離片がピストンスカートと
シリンダボアとの摺動面間を移動する時にめつき
被膜を引掻きスカートの摺動方向に大きな損傷と
して発展し、いわゆるピストンスカツフという損
傷につながる。これを防ぐには母材の変形に追従
できる程度の柔軟性を備えためつき被膜に改良す
れば良いわけで、このためには、本発明の場合め
つき浴中へのアルミニウムイオンの添加によつて
結晶粒を微細化し、伸びを出すようにしたことで
目的を達成した。この効果については、実機試験
でも確認でき、めつき浴中へのアルミニウムイオ
ンの添加によつて、ピストンスカツフを防止する
ことができた。 即ち、摺動部材等への応用において、クラツク
の有無は重要な問題であるが、アルミニウムイオ
ンの添加により、結晶粒が微細化され、柔軟性に
優れ、クラツクフリーの鉄・リンめつき被膜が得
られるということは、本発明者らによる新知見で
ある。 以下、本発明につき更に詳しく説明する。 本発明に係る鉄・リン電気めつき浴は、2価の
鉄イオンと、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩
とを含有する鉄・リン電気めつき浴において、ア
ルミニウムイオンをめつき浴1当り0.05〜0.5
g添加したもので、これにより上述したようにク
ラツクがなく、機械的特性の優れた鉄・リンめつ
き被膜の形成を可能としたものである。 ここで、2価の鉄イオンの供給源は特に制限さ
れないが、例示すると硫酸第1鉄、塩化第1鉄、
スルフアミン酸第1鉄、ホウフツ化第1鉄などを
挙げることがででき、これらの1種を単独で又は
2種以上を併用して使用することができる。ま
た、2価の鉄イオンの含有量も必ずしも限定され
ないが、めつき浴1当り20〜80gとすることが
好ましい。 次亜リン酸や次亜リン酸塩は、鉄・リンめつき
被膜に対するリンの供給源として使用されるもの
であり、その含有量は要求する鉄・リンめつき被
膜のリン含量等によつて相違するが、通常めつき
浴1当りNaH2PO2・H2Oとして0.01〜15g、
特に0.05〜10gとすることが好ましい。本発明浴
によれば、次亜リン酸や次亜リン酸塩の含有量を
変えることにより、通常0.1〜9.9%のリン含量を
有する鉄・リンめつき被膜を得ることができる。
なお、次亜リン酸塩としては、次亜リン酸ナトリ
ウム等が使用し得る。なおまた、本発明において
は、次亜リン酸や次亜リン酸塩に亜リン酸や亜リ
ン酸塩を併用することができる。この場合、亜リ
ン酸や亜リン酸塩の含有量としては、めつき浴1
当りNaH2PO3・2H2Oとして20g以下、特に
10g以下とすることができる。 本発明浴には、上述したように2価の鉄イオ
ン、次亜リン酸類に加えてアルミニウムイオンを
含有させるものであり、これにより鉄・リンめつ
き被膜に対するクラツクの生成を良好に防止し得
るものである。この場合、アルミニウムイオンの
供給源としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミ
ニウム、アルミニウムミヨウバン等が挙げられる
が、これに制限されるものではない。なお、本発
明においては、これらのアルミニウム化合物の1
種を単独で用いてもよく、2種以上を併用するよ
うにしてもよい。また、本発明において、アルミ
ニウムイオンの含有量はめつき浴1当り0.05〜
0.5gとするもので、アルミニウムイオンが0.05
g/より少ないとクラツク発生防止効果が十分
発揮されない場合があり、0.5g/より多いと
めつき被膜と素材との密着性が低下し、機械的特
性が低下する。 本発明に係るめつき浴には、上述した成分に加
え、更に必要によつては電導度塩として硫酸アン
モニウム、塩化アンモニウム等を0〜200g/、
特に20〜150g/、PH緩衝剤としてホウ酸等を
0〜60g/、特に20〜50g/、2価或いは3
価の鉄イオンの錯化剤として酸性フツ化アンモニ
ウム等を0〜20g/、特に1〜10g/添加す
ることができる。 なお、本発明めつき浴のPHは0.5〜3.5とするこ
とが好ましい。 上述した鉄・リン電気めつき浴を用いて所望の
被めつき物をめつきする場合、浴温は室温〜80
℃、特に30〜70℃とすることができ、また陰極電
流密度は0.5〜30A/dm2、特に2〜20A/dm2と
することができる。更に、攪拌は必ずしも必要と
しないが、カソードロツカー、スターラーによる
浴攪拌を採用することができる。なお、陽極には
一般に鉄板が用いられる。 本発明の鉄・リン電気めつき浴を使用して得ら
れる鉄・リンめつき被膜の外観は、一般に半光沢
の均一な面であり、また得られためつき被膜はク
ラツクがなく、機械的特性に優れたものであるの
で、例えばピストンのスカート部などの摺動部
材、その他のめつきに好適に用いられる。 以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的
に説明するが、本発明は下記の実施例に制限され
るものではない。 実施例 1 FeSO4・7H2O 250g/ NH4Cl 50 〃 H3BO3 20 〃 NH4F・HF 5g/ Al2(SO4)3・14−18H2O 1 〃 NaH2PO2・H2O 0.1 〃 PH 1.8 実施例 2 FeCl2・4H2O 160g/ (NH4)2SO4 100 〃 H3BO3 20 〃 NH4F・HF 5 〃 Al2(SO4)3・14−18H2O 5 〃 NaH2PO2・H2O 3 〃 PH 1.4 実施例 3 Fe(NH2SO3)2 Feとして50g/ NH4Cl 5 〃 NH4F・HF 5 〃 Al2(SO4)3・14−18H2O 2 〃 NaH2PO2・H2O 10 〃 NaH2PO3・2H2O 1 〃 PH 2.4 次に、上記めつき浴を使用し、浴温60℃,
Dk4A/dm2の条件において公知の方法により前
処理したAC8A,T6のアルミニウム合金に30μの
鉄・リン電気めつきを施した。 また比較のため、下記比較例のめつき浴を使用
し、浴温55℃,Dk10A/dm2の条件でAC8A,
T6のアルミニウム合金に30μの鉄・リン電気めつ
きを施した。 〔比較例〕 FeCl2・4H2O 80g/ FeSO4・7H2O 100 〃 (NH4)2SO4 25 〃 NaH2PO2・H2O 10 〃 PH 1.4 得られた鉄・リンめつき被膜の外観、硬度、リ
ン含量を第1表に示す。 また、めつき被膜を切断し、その切断面を5%
ナイタールにて2秒間エツチングした後、金属顕
微鏡(倍率400倍)にてクラツクの有無を調べた。
結果を第1表に併記する。
膜を得ることができる鉄・リン電気めつき浴に関
する。 鉄・リンめつき被膜は、鉄めつき被膜に比べて
硬度が大きく、このためピストンのスカート部な
どの摺動部材に鉄・リンめつき被膜を形成するこ
とにより、耐摩耗性、耐焼付性などを向上させる
ことが期待できるものである。 しかし従来、鉄・リン電気めつき浴としては、
2価の鉄イオンと次亜リン酸又はその塩とを含
み、更にホウ酸や塩化アンモニウム等を含むもの
が知られているが、本発明者らの検討によると、
この種のめつき浴を用いて鉄・リン電気めつきを
行なつた場合、得られる鉄・リンめつき被膜の断
面に多数のクラツクが生じ、このクラツクが特に
機械的性能を要求する応用面では大きな障害とな
ることを知見した。即ち、クラツクの発生した
鉄・リンめつき被膜はそれ自体のじん性が著しく
低い上、クサビ(ノツチ)効果によりめつきが施
された素材そのもののじん性を低下させるもので
あつた。 このため、本発明者らはクラツクのない鉄・リ
ンめつき被膜を得ることができる鉄・リン電気め
つき浴につき検討を進めた結果、2価の鉄イオン
と次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩とを含むめ
つき浴にアルミニウムイオンを0.05〜0.5g/
添加した場合、得られる鉄・リンめつき被膜はク
ラツクがなく、機械的特性に優れており、このた
め摺動部材などに鉄・リンめつき被膜を形成させ
るためのめつき浴として非常に有効であることを
知見し、本発明をなすに至つたものである。 ここで、アルミニウムイオン添加効果につい
て、ピストンスカートにめつきを行なつた場合を
例として更に説明すると、内燃機関のピストンの
如く、爆発圧力及び慣性力が作用した状態では弾
性変形して作動する摺動部材では、従来の鉄・リ
ンめつき被膜のように柔軟性が不足しているめつ
き被膜をピストンスカートに形成した場合、作動
中の母材の弾性変形にめつき被膜が追従できなく
なると、第1段階としてめつき被膜中にクラツク
が発生する。このクラツクは被膜に平行なものと
垂直方向のものとがある。第2段階では、このク
ラツクが進展し、平行なクラツクは表面にまで進
むとめつき被膜からの剥離になり、垂直方向のク
ラツクは母材にまで進むと母材からの剥離にな
る。第3段階では、剥離片がピストンスカートと
シリンダボアとの摺動面間を移動する時にめつき
被膜を引掻きスカートの摺動方向に大きな損傷と
して発展し、いわゆるピストンスカツフという損
傷につながる。これを防ぐには母材の変形に追従
できる程度の柔軟性を備えためつき被膜に改良す
れば良いわけで、このためには、本発明の場合め
つき浴中へのアルミニウムイオンの添加によつて
結晶粒を微細化し、伸びを出すようにしたことで
目的を達成した。この効果については、実機試験
でも確認でき、めつき浴中へのアルミニウムイオ
ンの添加によつて、ピストンスカツフを防止する
ことができた。 即ち、摺動部材等への応用において、クラツク
の有無は重要な問題であるが、アルミニウムイオ
ンの添加により、結晶粒が微細化され、柔軟性に
優れ、クラツクフリーの鉄・リンめつき被膜が得
られるということは、本発明者らによる新知見で
ある。 以下、本発明につき更に詳しく説明する。 本発明に係る鉄・リン電気めつき浴は、2価の
鉄イオンと、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩
とを含有する鉄・リン電気めつき浴において、ア
ルミニウムイオンをめつき浴1当り0.05〜0.5
g添加したもので、これにより上述したようにク
ラツクがなく、機械的特性の優れた鉄・リンめつ
き被膜の形成を可能としたものである。 ここで、2価の鉄イオンの供給源は特に制限さ
れないが、例示すると硫酸第1鉄、塩化第1鉄、
スルフアミン酸第1鉄、ホウフツ化第1鉄などを
挙げることがででき、これらの1種を単独で又は
2種以上を併用して使用することができる。ま
た、2価の鉄イオンの含有量も必ずしも限定され
ないが、めつき浴1当り20〜80gとすることが
好ましい。 次亜リン酸や次亜リン酸塩は、鉄・リンめつき
被膜に対するリンの供給源として使用されるもの
であり、その含有量は要求する鉄・リンめつき被
膜のリン含量等によつて相違するが、通常めつき
浴1当りNaH2PO2・H2Oとして0.01〜15g、
特に0.05〜10gとすることが好ましい。本発明浴
によれば、次亜リン酸や次亜リン酸塩の含有量を
変えることにより、通常0.1〜9.9%のリン含量を
有する鉄・リンめつき被膜を得ることができる。
なお、次亜リン酸塩としては、次亜リン酸ナトリ
ウム等が使用し得る。なおまた、本発明において
は、次亜リン酸や次亜リン酸塩に亜リン酸や亜リ
ン酸塩を併用することができる。この場合、亜リ
ン酸や亜リン酸塩の含有量としては、めつき浴1
当りNaH2PO3・2H2Oとして20g以下、特に
10g以下とすることができる。 本発明浴には、上述したように2価の鉄イオ
ン、次亜リン酸類に加えてアルミニウムイオンを
含有させるものであり、これにより鉄・リンめつ
き被膜に対するクラツクの生成を良好に防止し得
るものである。この場合、アルミニウムイオンの
供給源としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミ
ニウム、アルミニウムミヨウバン等が挙げられる
が、これに制限されるものではない。なお、本発
明においては、これらのアルミニウム化合物の1
種を単独で用いてもよく、2種以上を併用するよ
うにしてもよい。また、本発明において、アルミ
ニウムイオンの含有量はめつき浴1当り0.05〜
0.5gとするもので、アルミニウムイオンが0.05
g/より少ないとクラツク発生防止効果が十分
発揮されない場合があり、0.5g/より多いと
めつき被膜と素材との密着性が低下し、機械的特
性が低下する。 本発明に係るめつき浴には、上述した成分に加
え、更に必要によつては電導度塩として硫酸アン
モニウム、塩化アンモニウム等を0〜200g/、
特に20〜150g/、PH緩衝剤としてホウ酸等を
0〜60g/、特に20〜50g/、2価或いは3
価の鉄イオンの錯化剤として酸性フツ化アンモニ
ウム等を0〜20g/、特に1〜10g/添加す
ることができる。 なお、本発明めつき浴のPHは0.5〜3.5とするこ
とが好ましい。 上述した鉄・リン電気めつき浴を用いて所望の
被めつき物をめつきする場合、浴温は室温〜80
℃、特に30〜70℃とすることができ、また陰極電
流密度は0.5〜30A/dm2、特に2〜20A/dm2と
することができる。更に、攪拌は必ずしも必要と
しないが、カソードロツカー、スターラーによる
浴攪拌を採用することができる。なお、陽極には
一般に鉄板が用いられる。 本発明の鉄・リン電気めつき浴を使用して得ら
れる鉄・リンめつき被膜の外観は、一般に半光沢
の均一な面であり、また得られためつき被膜はク
ラツクがなく、機械的特性に優れたものであるの
で、例えばピストンのスカート部などの摺動部
材、その他のめつきに好適に用いられる。 以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的
に説明するが、本発明は下記の実施例に制限され
るものではない。 実施例 1 FeSO4・7H2O 250g/ NH4Cl 50 〃 H3BO3 20 〃 NH4F・HF 5g/ Al2(SO4)3・14−18H2O 1 〃 NaH2PO2・H2O 0.1 〃 PH 1.8 実施例 2 FeCl2・4H2O 160g/ (NH4)2SO4 100 〃 H3BO3 20 〃 NH4F・HF 5 〃 Al2(SO4)3・14−18H2O 5 〃 NaH2PO2・H2O 3 〃 PH 1.4 実施例 3 Fe(NH2SO3)2 Feとして50g/ NH4Cl 5 〃 NH4F・HF 5 〃 Al2(SO4)3・14−18H2O 2 〃 NaH2PO2・H2O 10 〃 NaH2PO3・2H2O 1 〃 PH 2.4 次に、上記めつき浴を使用し、浴温60℃,
Dk4A/dm2の条件において公知の方法により前
処理したAC8A,T6のアルミニウム合金に30μの
鉄・リン電気めつきを施した。 また比較のため、下記比較例のめつき浴を使用
し、浴温55℃,Dk10A/dm2の条件でAC8A,
T6のアルミニウム合金に30μの鉄・リン電気めつ
きを施した。 〔比較例〕 FeCl2・4H2O 80g/ FeSO4・7H2O 100 〃 (NH4)2SO4 25 〃 NaH2PO2・H2O 10 〃 PH 1.4 得られた鉄・リンめつき被膜の外観、硬度、リ
ン含量を第1表に示す。 また、めつき被膜を切断し、その切断面を5%
ナイタールにて2秒間エツチングした後、金属顕
微鏡(倍率400倍)にてクラツクの有無を調べた。
結果を第1表に併記する。
【表】
更に、上記めつき浴を用いて公知の方法により
前処理した素材(AC8A,T6のアルミニウム合
金)に20μの鉄・リン電気めつきを施したものを
試料として使用し、JIS Z2274に基いて金属材料
の回転曲げ疲れ試験を行なつた。その結果を第2
表に示す。
前処理した素材(AC8A,T6のアルミニウム合
金)に20μの鉄・リン電気めつきを施したものを
試料として使用し、JIS Z2274に基いて金属材料
の回転曲げ疲れ試験を行なつた。その結果を第2
表に示す。
【表】
第2表の結果より、本発明浴から得られた鉄・
リンめつき被膜が良好な機械的特性を有している
ことが認められる。 また、実施例2の組成のめつき浴にAl2
(SO4)3・14−18H2Oを0〜11g/添加し、実
施例と同様の条件でAC8A,T6のアルミニウム
合金製ピストン材にめつきを施し、これをA390,
T6のアルミニウム合金シリンダボア材と組み合
せ、機械試験所式摩擦摩耗試験機を用いて焼付荷
重を評価した。結果を図面に示す。 図面の結果より、Al量0.05〜0.5g/のもの
が焼付荷重が高く、良好な機械的特性を有してい
ることが認められる。
リンめつき被膜が良好な機械的特性を有している
ことが認められる。 また、実施例2の組成のめつき浴にAl2
(SO4)3・14−18H2Oを0〜11g/添加し、実
施例と同様の条件でAC8A,T6のアルミニウム
合金製ピストン材にめつきを施し、これをA390,
T6のアルミニウム合金シリンダボア材と組み合
せ、機械試験所式摩擦摩耗試験機を用いて焼付荷
重を評価した。結果を図面に示す。 図面の結果より、Al量0.05〜0.5g/のもの
が焼付荷重が高く、良好な機械的特性を有してい
ることが認められる。
図面は鉄・リン電気めつき浴中のアルミニウム
イオン量(Al2(SO4)3・14−18H2O量)と焼付荷
重との関係を示すグラフである。
イオン量(Al2(SO4)3・14−18H2O量)と焼付荷
重との関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 1 2価の鉄イオンと、次亜リン酸及び/又は次
亜リン酸塩とを含有する鉄・リン電気めつき浴に
おいて、アルミニウムイオンをめつき浴1当り
0.05〜0.5g添加してなることを特徴とする鉄・
リン電気めつき浴。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24168083A JPS60131993A (ja) | 1983-12-21 | 1983-12-21 | 鉄・リン電気めつき浴 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24168083A JPS60131993A (ja) | 1983-12-21 | 1983-12-21 | 鉄・リン電気めつき浴 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60131993A JPS60131993A (ja) | 1985-07-13 |
JPH0310718B2 true JPH0310718B2 (ja) | 1991-02-14 |
Family
ID=17077916
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24168083A Granted JPS60131993A (ja) | 1983-12-21 | 1983-12-21 | 鉄・リン電気めつき浴 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60131993A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60131999A (ja) * | 1983-12-21 | 1985-07-13 | Toyota Motor Corp | 摺動部材及びその製造方法 |
JPS60165384A (ja) * | 1984-02-09 | 1985-08-28 | C Uyemura & Co Ltd | 鉄・リン電気めつき浴 |
US7494578B2 (en) * | 2004-03-01 | 2009-02-24 | Atotech Deutschland Gmbh | Iron-phosphorus electroplating bath and method |
CN116043295A (zh) * | 2023-01-17 | 2023-05-02 | 大连海事大学 | 一种高硬度和耐腐蚀Fe-P非晶镀层的制备方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60131999A (ja) * | 1983-12-21 | 1985-07-13 | Toyota Motor Corp | 摺動部材及びその製造方法 |
JPS60131991A (ja) * | 1983-12-19 | 1985-07-13 | Kawasaki Steel Corp | Fe−P系めつき鋼板 |
-
1983
- 1983-12-21 JP JP24168083A patent/JPS60131993A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60131991A (ja) * | 1983-12-19 | 1985-07-13 | Kawasaki Steel Corp | Fe−P系めつき鋼板 |
JPS60131999A (ja) * | 1983-12-21 | 1985-07-13 | Toyota Motor Corp | 摺動部材及びその製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60131993A (ja) | 1985-07-13 |
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