JPH02839B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は暖房器などに用いる蓄熱式電気ヒータ
に関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来、人体などの局所暖房器においては、その
保温材の中に埋設した電気ヒータが汎用されてい
るが、この従来の電気ヒータでは、その電源コー
ドが常時必要であり、暖房器の空間的使用範囲が
その電源コードの長さの範囲に限定されていた。
近年、電気ヒータの電源切断後もなお一定時間暖
房機能を有する暖房器が要望されており、それに
は蓄熱式電気ヒータの開発が必要である。しか
も、この様な蓄熱式電気ヒータは軽量であり、可
撓性があり、蓄熱に要する時間が短かく（蓄熱能
率が高く）、安全性が高く、低コストであること
が要望される。一方、従来の潜熱蓄熱本式は堅牢
な蓄熱槽の中に潜熱蓄熱材を収納し、さらにその
潜熱蓄熱材の中に電気ヒータなどの加熱源を埋設
した構成である。この従来の潜熱蓄熱方式を上述
の暖房器の蓄熱方式として採用するには重量、可
撓性、コストなどにおいて問題があつた。

発明の目的 本発明の目的は軽量であり、可撓性があり、加
熱（蓄熱）能率が高く、安全性が高く、低コスト
である潜熱蓄熱方式による暖房器、保温器などに
用いる電気ヒータを提供することにある。

発明の構成 本発明の基本構成は少なくとも２個以上の可撓
性を有する発熱体を電気絶縁被覆された可撓性の
あるリード線でもつて、直列あるいは並列に接続
し、潜熱蓄熱材を収納する可撓性を有する密封容
器でもつて上記発熱体を直接包囲する構成であ
る。この蓄熱式電気ヒータの構成上の特徴は、た
とえ密封容器が可撓性を持たない場合でもそれら
の間を結合しているリード線が可撓性を持ち、電
気ヒータ全体として可撓性を持つていることにあ
る。可撓性の観点からでは発熱体ユニツトをでき
るだけ小さく、また数多くした方が望ましいが、
経済性との兼ね合いがある。

また本発明の構成は発熱体と密封容器とが密接
しているが、あるいは熱良導性充填物および熱良
導性接着剤を介して熱的接触を保つことに特徴が
ある。この構成は発熱体の表面温度を均一に保
ち、即ちヒータの安全性を高め、信頼性を高める
上に効果がある。また蓄熱（加熱）効率を高める
効果もある。

また本発明の構成は発熱体とリード線との接続
部が密封容器の壁を介して潜熱蓄熱材と熱的接触
を保つものである。この構成により発熱体の表面
での不均一発熱はなくなり、ヒータの安全性を高
める上に著るしい効果がある。

また本発明の構成は発熱体として線状、リボン
状、あるいは面状発熱体を用いるが、これらはい
ずれも可撓性があり、安全であり、低コストなも
のである。また、一方、密封容器の材質としては
プラスチツク、金属箔、およびそれらのラミネー
トフイルムを用いる。これらはいずれも可撓性が
あり、軽量であり、低コストなものである。

実施例の説明 実施例 １ まず、第１図に示す蓄熱式電気ヒータユニツト
を試作した。１１は線状発熱体、ここでは電気絶
縁被覆された直径３mm、長さ３cm、ヒータ電力
6W（印加電圧3V）の線が発熱体を用いた。１２
は可撓性のリード線であり、電気絶縁被覆されて
いる。１３は発熱体１１とリード線１２との接続
部であり、第１図に示すように密封容器の壁を介
して潜熱蓄熱材と熱的接触を保つている。１４は
潜熱蓄熱材を収納する密封容器であり、ここでは
プラスチツク製の中空成型体を用いた。中空の半
円柱状であり、中央に発熱体を挟むための半円形
凹部がある。半円柱の半径は１cm、長さは４cmで
あり、内容積は7.5c.c.である。このプラスチツク
容器の中に潜熱蓄熱材１５を充填した。ここで用
いた潜熱蓄熱材１５は過冷却防止剤ピロリン酸１
０水塩を１重量％含む酢酸ソーダ１０水塩であ
り、これを9g、半円形中空容器の中に充填した。
そして第１図に示す様に、この半円形容器２個で
もつて発熱体１１およびリード線１２を挟み、耐
熱性接着剤で発熱体と容器、あるいは容器と容器
とを接着し、固定した。この様にして得た第１図
の蓄熱式電気ヒータユニツトを33個直列に接続
し、蓄熱式電気ヒータを得た。このヒータの全長
は約2mであり、蓄熱材の総量は594g、蓄熱容量
は48kcal（外気温度５℃、蓄熱温度レベル65℃に
設定）ヒータ電力は200W（100V印加）である。

この蓄熱式電気ヒータは局所暖房器の一つであ
る電気チヨツキのヒータとして用いることができ
る。チヨツキの保温材の中にこの蓄熱式ヒータを
埋設した結果、電源を入力するとチヨツキは保温
状態（20W放熱）に入り電源を入力してから19分
で潜熱蓄熱材１５の温度は設定温度の65℃に達
し、この時点で電源を切断しても、その後２時間
47分保温状態（20W放熱）を接続することができ
た。従来の電気チヨツキは電源を切断すると急速
に保温機能を失うが、本発明実施例の蓄熱式電気
ヒータは電源切断後も保温機能を持続することが
できる。しかもこの蓄熱式電気ヒータは可撓性が
あり、軽量（約800g）であり、ヒータの安全性
が高く、低コストであり、実用性の高いものであ
る。

実施例 ２ 第２図に示す様な蓄熱式電気ヒータユニツトを
試作した。２１は発熱体であり、ここでは電気絶
縁被覆された面積４cm×２cm、ヒータ電力10W
（印加電圧20V）の面状発熱体を用いた。２２は
電気絶縁被覆された可撓性のあるリード線であ
る。２３は発熱体２１とリード線２２との接続部
であり、第２図に示す様に密封容器２４の壁を介
して潜熱蓄熱材２５と熱的接触を保つている。２
４は潜熱蓄熱材を収納する密封容器であり、ここ
ではプラスチツク製の中空成型体を用いた。外形
は平板状であり、上面積52cm×2.7cm底面積5.2cm
×3.2cm、高さ1.0cmの寸法を持ち、底面の中央部
に発熱体２１およびリード線２２を挟み込むため
の凹部を設けてある。この中空プラスチツク製容
器の内容積は10c.c.である。この容器の中に実施例
１で用いた潜熱蓄熱材と同じ潜熱蓄熱材２５を
12.5g充填し、その容器を密封した。この密封容
器２個でもつて、第２図に示す様に面状発熱体２
１およびリード線２２を挟み、耐熱性接着剤で密
封容器と密封容器とを接着し、固定した。この
時、発熱体２１と密封容器２４との間隙には熱良
導性充填剤を適当に充填した。この様にして得た
第２図の蓄熱式電気ヒータユニツトを５個直列に
接続し、さらに、この直列体を４組平列に電気的
接続して、蓄熱式電気ヒータを得た。このヒータ
の占有面積はほゞ35cmγ23cmであり、蓄熱材の総
量は500g、蓄熱容量は40kcal（外気温度５℃、蓄
熱温度レベル65℃に設定）、ヒータ電力は200W
（100V印加）である。

この蓄熱式電気ヒータは実施例１と同様、電気
チヨツキのヒータとして用いることができる。こ
のヒータをチヨツキの保温材の中に入れ、電源を
入力するとチヨツキは20W放熱の保温状態に入
り、電源を入力してから15分30秒で潜熱蓄熱材２
５の温度は設定温度の65℃に達し、この時点で電
源を切断しても、その後２時間15分保温状態
（20W放熱）を持続することができた。しかもこ
の蓄熱式電気ヒータは可撓性があり、軽量（約
750g）であり、ヒータの安全性が高く、低コス
トであり、実用性の高いものである。

発明の効果 以上の如く本発明の蓄熱式電気ヒータは、可撓
性があり、短時間蓄熱（例えば30分以内）、長時
間放熱（例えば２時間以上）が可能である蓄熱効
率の高いヒータを得ることができる。さらに本発
明の構成は軽量であり、安全性が高く、低コスト
なヒータを提供し、局所暖房器などのヒータとし
て用いた場合、そのコードレス化を可能にするも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ本発明の蓄熱式
電気ヒータユニツトの実施例を示す斜視図であ
る。 １１，２１……発熱体、１２，２２……リード
線、１３，２３……発熱体とリード線との接続
部、１４，２４……潜熱蓄熱材と収納する密封容
器、１５，２５……潜熱蓄熱材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも２個以上の可撓性を有する発熱体
   を電気絶縁被覆された可撓性を有するリード線で
   直列あるいは並列に接続し、かつ、潜熱蓄熱材を
   収納する可撓性を有する密封容器で上記発熱体を
   直接包囲してなる蓄熱式電気ヒータ。 ２ 発熱体は線状、リボン状、あるいは面状発熱
   体で構成してなる特許請求の範囲第１項記載の蓄
   熱式電気ヒータ。 ３ 発熱体は密封容器に密接して設けてなる特許
   請求の範囲第１項記載の蓄熱式電気ヒータ。 ４ 発熱体と密封容器との間隙に熱良導性充填剤
   を詰めた特許請求の範囲第１項記載の蓄熱式電気
   ヒータ。 ５ 発熱体と密封容器とは熱良導性接着剤で接着
   した特許請求の範囲第１項記載の蓄熱式電気ヒー
   タ。 ６ 発熱体とリード線との接続部は、密封容器の
   壁を介して潜熱蓄熱材と熱的に接触させてなる特
   許請求の範囲第１項記載の蓄熱式電気ヒータ。 ７ 密封容器は、プラスチツクあるいは金属箔・
   プラスチツクラミネートフイルムで構成した特許
   請求の範囲第１項記載の蓄熱式電気ヒータ。