JPH026898Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は飲料水などの液体を加温された状態
または冷却された状態で長時間保持するために用
いられる液体保温容器に関する。

従来用いられてきた携帯用の吊り紐つき液体保
温容器には、肩部材に螺着されている栓体を半ば
ゆるめれば注液できるものがある。このような液
体保温容器では、栓体をゆるめるときに液通路も
栓体と一体となつて回転移動するため、特定の位
置から安定して注液することができず場合によつ
ては吊り紐の取付け部に注液口が来て、注液の邪
魔になることがあつた。さらに吊り紐の取付部を
別個に取り付けていたため、その取付手間及び部
品構成の複雑化を招いた。

この考案は、上記事情に鑑みなされたもので、
栓体を少しゆるめて容器を傾ければ栓体の回動位
置にかかわらず吊り紐の邪魔にならない特定の位
置からうまく注液することができ、しかも構成が
簡略化でき、かつ堅牢な液体保温容器を提供する
ものである。

すなわち、この考案にかかる液体保温容器は、
携行用の吊り紐が取り付けられ、、真空二重容器
の肩部を肩部材により被覆し、肩部材に栓体を設
けた液体保温容器において、前記肩部材に、真空
二重容器の開口内に嵌入されて内面部には栓体螺
合用の雌ねじが形成された円筒状の栓体螺合部を
一体成形するとともに、前記雌ねじの平面視にお
いて吊り紐の取付け部を避けた位置に少なくとも
ねじ山の部分を下端部から上端部に至るまで軸線
方向に切除した液通路を互いに対向させて２筋形
成し、かつ前記吊り紐取付け部を前記肩部材に一
体成形したことを特徴としている。

以下、図面にあらわされた本考案の実施例につ
いて説明する。第１図はこの考案にかかる液体保
温容器の一例をあらわす側面図、第２図はその平
面図である。第１図は一部が第２図におけるＡ−
Ａ断面であらわされている。

図において、この液体保温容器は外ケース１の
内部に真空二重容器（以下、中びんと呼ぶ）２を
収納保持し、該中びん２の開口部を肩部材３に螺
着された栓体４で閉塞するように構成されてい
る。

外ケースの上端部には内側に屈曲した固定縁１
ａが形成されており、該固定縁１ａの上面には肩
部材３の下端部３ａが当接し、固定縁１ａの下面
には肩部材３に螺着された環状の支持具５の嵌部
５ａが当接している。これにより外ケース１、肩
部材３、支持具５はそれぞれ固定される。

肩部材３には中びんの開口内に嵌入される円筒
状の栓体螺合部３ｂが一体成形され該栓体螺合部
３ｂの内面には栓体螺合用の雌ねじが形成されて
いる。この栓体螺合部３ｂは、前記雌ねじの平面
視において後述の吊り紐の取付け部１１を避けた
位置に少なくともねじ山の部分を下端部から上端
部に至るまで軸線方向に切除した液通路３ｃを互
いに対向させて２筋形成している。この液通路３
ｃは、図示例では、より注液が容易なように栓体
螺合部３ｂの全肉圧を切欠いて形成したが、ねじ
山のみを切除して形成してもよい。

なお、肩部材３と中びん２との間には環状のパ
ツキン６が配設されている。

栓体４は、内部に発泡スチロールなどの断熱材
７が装填されており、下部には肩部材３の栓体螺
合部３ｂの内側に挿入される挿入部４ａが形成さ
れている。挿入部４ａの外周部には上記栓体螺合
部３ｂの雌ねじに螺合する雄ねじが設けられてい
る。第４図は栓体４を肩部材３に螺着した状態を
あらわす要部拡大図であり、第５図は栓体４の側
面図である。これらの図からもわかるように、栓
体４にはＯリング８が装着されており、栓体４を
締め込んだ状態、すなわち施栓状態ではＯリング
８は栓体４の段部４ｂと肩部材３の開口周縁部３
ｄとの間で押圧され、栓体４と肩部材３の間を密
閉するが、栓体４を１回転程度まわしてゆるめれ
ば、この密閉部に隙間が生じるので、中びん内の
液が、前記液通路３ｃを通つてこの部分から注出
されるのである。

第１図において、肩部材３の外周部には雄ねじ
が設けられており、この雄ねじに外蓋９が螺着さ
れている。また、栓体４と外蓋９との間にはコツ
プ１０が肩部材３上に載置された形で収納されて
いる。

外ケース１の外面の肩部材３には吊り紐取付け
部１１が一体成形されており、この吊り紐取付け
部１１は、前記栓体螺合部３ｂにおいて雌ねじが
少なくともねじ山の部分を軸線方向に切除した液
通路を平面視において避けた位置に吊り紐１２が
取付けられている。

この考案にかかる液体保温容器は、真空二重容
器の開口部内で、該開口部内に嵌入させた円筒状
の栓体螺合部と栓体とを螺着するように構成した
ので、開口部が隙間なく密閉される結果、この部
分からの放熱が少なくなり、したがつて保温性能
がすぐれたものとなる。

従来の液体保温容器には、中栓の下部を中びん
開口部内へ挿入するようにしたものもあるが、挿
入される中栓下部の径が小さく、開口部内壁との
間に隙間があつたので、この部分からの放熱を充
分に防止することができなかつた。本案ではこの
部分に隙間がなく、開口部を連続的に閉塞するの
で保温効果が向上されるものとなつている。

また、栓体螺合部には液通路が栓体側でなく肩
部側に一体形成されているので、注液のため栓体
をゆるめても注液位置で移動せず、栓体の回動位
置にかかわらず常に定位置で安定した注液作業を
行なうことができる。さらに栓体螺合部には平面
視において吊り紐の取付け部を避けた位置に液通
路が設けられており、栓体を抜き取らなくても、
少しゆるめるだけで栓体の回動位置にかかわらず
注液することができるとともに、吊り紐が設けら
れていても注液時にその吊り紐が邪魔にならず使
用勝手の良いものになる。

それと相俟つて吊り紐の取付け部を避けた位置
に互いに対向させて液通路を２筋形成してあるた
め、一方向だけでなくその対向するいずれの液通
路からも栓体の回動位置に関係なく吊り紐の取付
け部を基準にして容器を左右いずれの方向にでも
傾けるだけで誤りなく注液でき、より使用勝手の
良いものになる。

特に前記栓体螺合部及び吊り紐取付け部は、そ
れぞれ肩部材に一体成形されているため栓体螺合
部及び吊り紐取付け部を特別に別部材として取付
ける必要がなく一部品で構成でき部品構成及びそ
の取り付け手間が簡素化される。

かつ、吊り紐取付け部と栓体螺合部との間の前
記位置関係の位置決めを特別に行なうことなく必
然的に形成され、より一層栓体の回動位置にかか
わらず安定した注液作業を行なうことができる。
さらに吊り紐取付け部は本体ケースに固定された
肩部材と一体となつてより堅牢な構成となる等の
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかる液体保温容器の一例
をあらわす一部断面側面図、第２図はその平面
図、第３図は肩部材の拡大平面図、第４図は肩部
材と栓体との結合状態をあらわす要部拡大断面
図、第５図は栓体の側面図である。 １……外ケース１、２……中びん、３……肩部
材、３ｃ……液通路、４……栓体、１１……吊り
紐取付け部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 携行用の吊り紐が取り付けられ、、真空二重容
   器の肩部を肩部材により被覆し、肩部材に栓体を
   設けた液体保温容器において、前記肩部材に、真
   空二重容器の開口内に嵌入されて内面部には栓体
   螺合用の雌ねじが形成された円筒状の栓体螺合部
   を一体成形するとともに、前記雌ねじの平面視に
   おいて吊り紐の取付け部を避けた位置に少なくと
   もねじ山の部分を下端部から上端部に至るまで軸
   線方向に切除した液通路を互いに対向させて２筋
   形成し、かつ前記吊り紐取付け部を前記肩部材に
   一体成形したことを特徴とする液体保温容器。