JPH026276Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は電磁ブレーキによる励磁が断たれた
とき、アマチユアをばねの力によつてドラムの内
周面に直接或は摩擦板等を介して圧接させて被制
動体に制動をかけ、制動解除を電磁コイルによる
励磁に基づく電磁吸引力によつて行う無励磁作動
形の電磁ブレーキのトルク（制動力）の調整装置
に関する。

「従来の技術」 先ず従来のこの種電磁ブレーキを図面を参照し
て説明する。第２図，第３図はこの種電磁ブレー
キの側面図と第２図における線Ａ−A′に沿う断
面図であつて同図において１は断面コ字状のブレ
ーキドラムで外方円筒状部の内周面を制動面と
し、内方円筒状部はハブとなつており、この部分
に被制動軸（図示せず）がキー等を用いて結合さ
れる。２は環状の電磁石で外周方に向つて開口す
るヨーク３とこのヨークの凹所内に収納されたコ
イル４によつて構成され、そのヨークの開口端部
の周面が磁極面となつており、一側面に複数個設
けられたねじ孔５において当該ブレーキの使用機
器の適所に固着され、ドラム１に対して同心配置
となつている。この従来例では電磁石は１個であ
るが複数個の電磁石を円周上に並べることによつ
て各磁極面を同一円周上に配列させるようにした
ものもある。６はコイル４に電流を供給するため
のリード線、７は複数個に分割された円弧状のア
マチユアで各一端において板ばね８を介して固定
部材９にボルトによつて取り付けられ、夫々同一
円周上においてヨーク１の外周面である磁極面に
対向し、板ばね８の可撓性により径方向に対して
開動自在となつている。固定部材９は電磁石の両
磁極面に亘つて取り付けられるので磁束の漏洩を
避けるため非磁性材で形成される。１０は各アマ
チユア７の先端部外周面にねじ止めされたブレー
キシユーで周面をドラム１の内周面に対向させて
いる。ブレーキシユー１０は、これをドラム１の
内周面に圧接させることによつて制動作用を行わ
せるものであるが軽負荷の場合は、これを省略
し、アマチユア７を直接ドラム１に圧接させるよ
うにする場合もあり、またブレーキシユー１０は
アマチユア側でなくドラム１の内周面に貼付され
る場合もある。１１は制動解放時におけるブレー
キシユー１０とドラム１間の空隙長を調整するた
めのライナーでアマチユア７とブレーキシユー１
０との間に挿入される。１２は制動用のばねでヨ
ーク３の周面である磁極面に複数個半径方向に設
けられた孔に挿入され、これ等のばねで各アマチ
ユアに押圧力を加え、各ブレーキシユー１０をド
ラム１の内周面に押し付けている。

従来の電磁ブレーキはこのように構成され、電
磁石２のコイル４に電流が供給されていないとき
には各ばね１２の弾撥力によつて、各アマチユア
７は外方へ押し開かれ、ブレーキシユー１０がド
ラム１の内周面に圧接せられ、このドラムを介し
てこれに連結された図示しない被制動軸に制動が
かけられており、この状態においてコイル４に電
流が供給されると破線で示す磁束が流れ、アマチ
ユア７がばね１２の力に抗してヨーク１の磁極面
に向つて吸引せられ、各ブレーキシユー１０はド
ラム１の内周面から離間せられ、被制動軸に対す
る制動は解放せられる。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが従来の電磁ブレーキの場合、各アマチ
ユア７には、電磁吸引力に抗する制動用ばね１２
の力は均等に加えられる構成となつているため各
アマチユアは電磁石の励磁電流のある値において
一斉に吸引され、制動トルクは零となる。つまり
コイルの励磁電圧乃至電流によつては制動トルク
は制動できないとされており、負荷に対する円滑
な制動力の制御ができないといつた問題点があつ
た。

「問題点を解決するための手段」 この考案は前述の従来の問題点を解決し得るト
ルク調整装置を提供するもので制動用のばねのば
ね圧、数量、或は設置場所を各アマチユアに対し
て不同ならしめ各アマチユアのドラムに対する接
触圧力を夫々異ならしめることを特徴とする。

「実施例」 以下第１図を参照してこの考案の実施例を説明
する。同図面はこの考案を実施した電磁ブレーキ
の側面図で第２図と第３図に示す従来の電磁ブレ
ーキと同一の部分については同一の符号を付し、
その説明を省略する。

この実施例による電磁ブレーキが上記従来の電
磁ブレーキと異なる点は従来の制動用のばね１２
に相当するばね１３の設置手段として同第１図に
符号１３−１〜１３−４で示すように各アマチユ
ア７に対する各ばねの数量を１乃至３個のように
異ならしめ、或はばね１３−１と１３−４のよう
にアマチユアに対するばねの作用位置を変え、各
アマチユアに対するばね力、従つて各アマチユア
のドラム１に対する接触圧力を異ならしめたもの
である。なおこれ等各ばねの個々のばね力を変
え、各アマチユアのドラムに対する接触圧を異な
らしめるようにしてもよい。

この考案は前述のように各アマチユアの、電磁
吸引力に抗するばね力を異ならしめたのでコイル
４の励磁電流による各アマチユアの動作点、この
場合ドラム１からの解放時点が異なることにな
り、従つてコイル４の励磁電流乃至電圧の制御に
よつて各アマチユア中、任意のアマチユアを解放
させ或は任意のアマチユアに制動作用を行せるこ
とができ、よつて制動トルクの調整が可能とな
る。

「考案の効果」 以上説明したようにこの考案によれば各アマチ
ユアの電磁吸引力に対する動作点、従つてコイル
励磁に対する各アマチユアの動作電圧が異なるの
でコイルの励磁電圧を加減することにより１部の
アマチユアのみを制動動作させ、他のアマチユア
は遊ばせて制動トルクを調整することができ、ま
た励磁電流の制御によつて各アマチユアを順次動
作させることができるので制動トルクの立上りを
一瞬でなく段階的に行わせ滑らかな制動作用を行
わせることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す電磁ブレーキ
の側面図、第２図、第３図は従来の電磁ブレーキ
を示す側面図と第２図における線Ａ−A′に沿う
断面図である。 １……ブレーキドラム、２……電磁石部、７…
…アマチユア、１３−１〜１３−４……制動用ば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状部を有するブレーキドラム、磁極面を上
   記ドラムの円筒状部の内周面と同心的に配列され
   た電磁石部、この電磁石部の磁極面と上記ドラム
   の内周面間において、その内周面に沿つて配列さ
   れ、かつ電磁石部に、その磁極面に対向させて取
   り付けられた複数個のアマチユア、および各アマ
   チユアを直接、または間接的に上記ドラムの内周
   面に圧接させる制動用のばねを備え、このばねの
   力によつてアマチユアをドラムの内周面に圧接さ
   せ、また同アマチユアを電磁吸引力によつてドラ
   ム内周面から離間させるようにした電磁ブレーキ
   において上記制動用のばねの各アマチユアに対す
   るばね圧、数量或は設置場所を不同ならしめ各ア
   マチユアのドラムに対する接触圧を夫々異ならし
   めたことを特徴とするトルク調整装置。